医師のノートンは、海岸の遊歩道で見かけた美貌の娘に、一瞬にして心を奪われた。その名はダイアナ、あだ名は“コマドリ”。

隠退した名探偵リングローズはイギリス海峡に面した旧領主邸ホテルに招待された。

長閑な夏の昼下がり、田舎の名士の屋敷、赤い館で銃声が轟いた。死んだのは、15年ぶりに館の主マークを訪ねてきた兄。

年の瀬、ピーター卿は沼沢地方の雪深い小村に迷い込んだ。

ダレハムの海岸で男の溺死体が発見された。その六週間前、自殺すると言って姿を消した一人の旅芸人がいた。

山中で交通手段を無くした青年クインは、〈塔〉と呼ばれる新興宗教の施設に助けを求めた。

ヘレンは恐ろしくなって、台から電話を払い落とした。友人だというその女の声は、はじめ静かで、ほほえんでいた。

親友の夫だった医師アンドルー・モローと再婚したルシール。

目撃者の前で、少年が開けた荒野から忽然と消えた人間消失事件と、密室殺人――スコットランドを舞台に、名探偵ウィリング博士が不可能犯罪に挑む謎解きの傑作。

ドーセットの寒村シェンステッドに、死と暴力が不穏な空気をもたらしていた。

不穏な空気をはらんだ夏の午後、医師シャーロットの診療所にやって来た若い女。

六月半ばの日暮れどき、ダートムアの採石場で、スコットランド・ヤードの敏腕刑事ブレンドンは、絶世の美女とすれ違った。

匿名の電話の警告を無視してフリーダは婚約者の実家へ向かうが、その夜のパーティで殺人事件が起こる。

母親と妹を切り刻み、それをまた人間の形に並べて、台所の床に血みどろの抽象画を描いた女。

英国のとある小間物屋で深夜、二重殺人が発生。店主のエミリーと、巡回中のスラッパー巡査が犠牲となった。

ある不穏な噂と少女の失踪が人々を変えた。封鎖された団地での二千人規模の暴動、監禁、そして殺人。

クリスティ、セイヤーズらと並び、四大女流ミステリ作家のひとりに数えられるアリンガム。

邸の氷室は十八世紀に小丘を模して造られた。

八月も終わりに近づくと、夏の自由に飽いた子どもたちが、また小学校の運動場に戻ってくる。

女は裸で波間にただよっていた。脳裏をよぎるのは、陵辱されたことではなく手指の骨を折られたことだった。

共同経営者ハクストンの死は、他殺だった。

交通事故で視力を失い、ボーイフレンドとの婚約を自ら一方的に解消しながら、なぜか屋敷から彼を離さない富豪の娘ケルジー。

ある夜、自宅近くのたばこ屋でウィリングが見かけた男は、「私はベイジル・ウィリング博士だ」と名乗ると、タクシーで走り去った。

ロンドンのオークションでゴッホ作「医師ガシェの肖像」を日本人が競り落とした。落札価格は約百八十億円。

あと数カ月で、彼女は殺人者になる――世界27カ国が戦慄した結婚生活。

わたし、ミは、火事で大火傷を負い、顔を焼かれ皮膚移植をし一命をとりとめたが、一緒にいたドは焼死。

イギリスの田舎町を豪雨が襲った夜、舞踏会からの帰途にあった二人の男は、急カーブの続く難所で自動車事故に遭遇した。

数学の教授だったアレックは六十、年の離れた妻リタと村はずれで平穏に暮らしていたが、バリーという若造の出現で状況は一変する。

12月、雪のニューヨーク。その夜、一体の異様な死体が発見された。

英仏帝国による統治が長く続き、科学的魔術が発達した世界。

アメリカ随一の女流本格作家マクロイによる、趣向と技巧を凝らす短篇集が文庫化。

屋上の絞首台に吊された藁製の縛り首の女―小説家ストラットン主催の“殺人者と犠牲者”パーティの悪趣味な余興だ。

高名な探偵小説家の邸宅で行われた推理劇。だが被害者役の人物は二発の銃声ののちに本物の死体となって発見された。

雇い主の車で初めての南仏を目指した女が巻き込まれた事件。

二人は学生同士の恋人だった。女は妊娠しており、男は結婚を迫られていた。

魔術師リュウがやってのけた一世一代の大奇術。

ソフィーの目の前に転がる男児の無残な死体。ああ、私はついに人を殺してしまった。

ウェールズ地方の牧歌的な農園で勃発した、奇怪な事件。二転三転する謎に挑む、チャッキー警部。

大資産家の妻を目指して、知性と打算の見事な結晶の手紙を送ったドイツ人女性ヒルデガルト。

期せずして陰謀の証拠を手にしていた平和活動家ペネロペは、暗殺者に狙われ決死の逃亡を図る。

古都サンドミエシュのシナゴーグで見つかった女性の遺体。

リンダ・ヴァランダー、まもなく30歳。

ガソリンの危険性を除くという化学的大発見の実用化が進められていた。

自らの葬儀の手配をした当日、資産家の婦人が絞殺される。

十一月の深夜、歴史教師のキャロラスはミンコット荘のレディー・マーガレット・ピップフォードから電話を受ける。

思いたってメキシコ旅行に出かけたエイミーとウィルマ。

西インド諸島を発つ日、わたしは存在しない庭師から手紙の代筆を頼まれた。

ロジャー・シェリンガムが創設した「犯罪研究会」の面面は、迷宮入り寸前の難事件に挑むことになった。

娘の名はクリーオウ、自称22歳。

英国ミステリ史上、ひときわ異彩を放つ重鎮ブランド。本書には、その独特の調理法にもとづく16の逸品を収めた。

江戸川乱歩編『世界推理短編傑作集』刊行から五十余年。創元推理文庫が21世紀の世に問う、新たなる一大アンソロジー。

街いちばんの名探偵の元には、奇妙な依頼人ばかりがやって来る。

妻と喧嘩し、あてもなく街をさまよっていた男は、風変りな帽子をかぶった見ず知らずの女に出会う。

人気女優ジョージアをめぐる男たちの死。