一抹の真実
- 儀式 (103)
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反ユダヤ主義と“呪われた兵士”を背景に起きる連続殺人事件。挑戦する都落ちの検事が不倫のベッドの中で不倫の謎解き。その一方、現代捜査がDNA鑑定に触れない最大の『謎』も。面白さは前作を凌駕。 | ||||
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シリーズ1作目「もつれ」のテーマが「ポーランドの共産主義時代と秘密警察」であるとしたら、2作目のテーマは「ポーランドにおけるユダヤ人の歴史」でしょうか。 話の軸があちこち飛んで非常に読みづらかった1作目に比べると、本書はまだ読みやすくはなりましたが、メインテーマに関する説明的な記述が多過ぎて社会学のテキストを読んでいるような気分になりました。 ミステリーとして特筆すべきものはなく、目端のきく読者であれば犯人の見当はつくと思います。傲慢で我儘、身近な女性というと欲望の対象でしか評価できない主人公の人間性にも共感できるものはありません。 1作目、2作目共にポーランドに興味のない人に読破は厳しい内容だと思います。 | ||||
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本書により検察官テオドル・シャツキ三部作が揃った。 >さて、シャツキ三部作の最終作『怒り』は先に翻訳されており、好評を得ているそうである。本書は後から邦訳されたものの、三部作の最初の作品である。できれば順番に読みたいという、こだわりのぼくとしては、二作目の邦訳がなされるまでは、その後の『怒り』に辿り着くこと気になれない。なんとも気の長い話だが、性分はなかなか変えることができない。 前作『もつれ』のレビューで今年6月にぼくはこう書いている。『もつれ』『一抹の真実』『怒り』の順番に書かれた本シリーズが、日本では『怒り』『もつれ』『一抹の真実』の順番で邦訳されたわけである。ポーランド語→英語→日本語と経由しての翻訳経緯もあるだろうし、人気作『怒り』を先に邦訳し、要望により一作目から追加出版に踏み切った出版社側の事情もあるだろう。いずれにせよ12月には三作すべて揃ってくれたことで、ぼくは本シリーズを楽しむことができる幸運に浴した。 本シリーズの読みどころはいくつもあるが、とりわけスーパーな謎解きが圧巻であろう。解決を見たかに思えた事件がその後二転三転するプロットは多くの読者を楽しませてくれる。少し大げさなほどの小道具や凄惨な事件現場などにやり過ぎの嫌いを感じないでもないが。 またシャツキの思い通りに行かない人生や、彼の持つ個性もそのまま本書の個性を形作っているように思われる。例えばユダヤ教のラビがシャツキにこう語るシーンがある。 「私はあなたのいかにもポーランド人らしいところが気に入っています。両極端の感情に忠実であるところです――強い高揚感か、暗澹たる落胆か、大きな愛か、われを忘れるほどの怒りか。ポーランド人に関してひとつ言えるのは、ほどほどを知らないということです」 シャツキは、自分の大振れする魂をうまくコントロールすることができない。自分の中の獣のような本能を抑えつけることができないのだが、それでも犬のような勘を働かせた優れた捜査官である。検察官という立場ながら警察官たちと共に行動し、呆れるほどのリスクを負ってでも事件にしがみつくタイプ。このシャツキの不完全な魅力に読者は感じるところが多い、あるいは苛立ちや不制御な部分も感じるのではないか。 さらにポーランドという国の特性。ドイツに、そして続いてソ連に占領され、1989年に民主化を遂げたばかりの国。実は今月に読んだ川越宗一『熱源』の主人公の一人ブロニスワフの弟が初代国家元首であり、個人的読書体験の中で二つの異なる作品はつながってしまうところがあるのだが。さらにカトリックとユダヤ教の対立と、ナチスによるユダヤ人虐殺に続き戦後のユダヤ人追放の暗い歴史まで抱えている国の暗い闇までをも覗くことになるのが本書でもある。 さらに本書の舞台となる、小ローマとも称される古都サンドミエシュの魅力が作品そのものの持つ物語特性に深く関与する。バシリカ大聖堂に残された残酷な虐殺の絵は実在するし、シャツキの目を通して事件に濃い影を落とす。また幽閉や逃走に使われた地下道は現実に一部観光の目玉としてガイド付きツアーが行われている場所でもある。そうしたサンドミエシュ特有の歴史の影を多く見せながら、この作品は読者を物語に引きずり込む。 一抹の真実という言葉はいい意味でも悪い意味でも本書中に頻出する。一抹の真実が如何に頼りなく見えにくいものであるのかを探る旅に是非参加してみては如何だろうか? できれば『もつれ』から順番通りにシャツキの世界に、シャツキと共に旅されることを。 | ||||
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