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わたしを離さないで
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わたしを離さないでの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.10pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全707件 401~420 21/36ページ
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あまりに有名で、どのような内容か知っていてもなお、静かな悲しみが胸に広がるお話でした。 諦めるとか、受け入れるとか、言葉にすれば一言になるとしても、その悲しみは長い物語にしなければ伝わらない。 だから、小説はあるのだと思います。 一言ではわからないことを、この本を読んで知ることができました。 | ||||
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※ネタバレがありますので、これからお読みになる方は注意してください。 カズオイシグロさんがNHKの白熱教室にご出演なさっており、 その創作理念に深く感動したので、「日の名残り」に引続き こちらを読みました。 感想は・・・正直、読んでいて腹が立ちました。 読み終わった後も、腹立たしさでよく眠れないほどでした。 若者がみんないずれ死んでいく状況にあるという物語を描いてみたかった というようなことを、カズオイシグロさんは語っておられました。 確かにそのような物語だと思えば、こちらはいずれ失われるはずの青春のきらめきのようなものが際立つ、 美しい物語だったといえるのかもしれません。 しかし、私にはどうしてもこの舞台設定がネックになり感情移入できませんでした。 第一に、なぜ主人公たちは逃げようとしないのか? 車もあり、ある程度の自由もある。 なのになぜ? そう教育されてきたから? 与えられた運命に従順なようにと? もしかしてこの物語は暗にそういった教育の必要性を説く遠大なテーマがあるのでしょうか? ・・・いやいや。 どんなに従順に育てられたとしても、人は皆、死の恐怖に対しては何よりも敏感なはずです。 逃げれば即刻殺されると言う状況ならまだしも、 このままではいずれ殺されるまで臓器を搾取されるということが明らかでありながら それを従順に待ち続ける主人公たちの行動は、何か理由をつけようと思ってもつけられるようなものではありません。 逃げてもどうせ追われるから・・・もしかしたらそうなのかもしれませんね。 しかしそれだったら、その追われる恐怖、迫害なども描くべきだったのでは・・・ どのように考えても、不自然です。 何か理由があるとすれば、小説家の側がどうしてもこの設定を使いたかっただけとしか思われません。 若者たちが老人のようにいずれ死んでいく状況・・・それを描きたいがために このテーマを選んだのであれば、適切ではなかったと思います。 命を、人の生きたいという気持ちを、あまりにも軽く見すぎていると思います。 この作品の前に読んだ「日の名残り」は良い作品だと思いました。 平凡な男性の何の変哲も無いたびを描きながら夢中で読んでしまったのは、 作者からの、この男性への愛を感じたからだとおもいます。 だから、私も引き込まれました。 ですがこの作品には、作者の愛情は微塵も感じられませんでした。 彼らを不幸に追い込むことが小説を面白くする方法だとでも言わぬばかりに。ロストコーナーなどのエピソードの一つ一つは良かっただけに、 この不自然極まりない舞台設定は残念でなりません。 | ||||
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スマホのキンドルで読了。 読書は、どんな形でも楽しいことを実感。 長いものがたりだったけれど、読んでいるという手応えがあった。 | ||||
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2005年に書かれた小説であるが、当時でも近未来的な内容かと思われる作品である。ある施設でのいかにもありそうな人間関係が丹念に語られていくが、その先に何があるのかついつい引き込まれる不思議な小説である。 | ||||
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自然細部の描写が美しい。人間の感情の動きが細やか。最近あまり読んでない種類の 本だと思いました。 最初のうちは、なんだか退屈な話のように思えるのですが、それらの描写が、後で 次第に強烈な意味を持ってきます。悲しい話ですが、淡々と書かれているので、 余計に悲しみが増します。 日本語の翻訳がややこなれていないのが少々残念です。 | ||||
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SF的設定を借り、ミステリ風の趣向を利用しながら、「苛酷な運命を決められてしまった人々」の心の襞を静謐に描き切った秀作。ヒロインはヘールシャムという施設で教育を受けたキャシーと言う介護人。物語はキャシーの回想の形式を採った一人称で語られる。 その回想の中心はヘールシャムという施設であり、特に、ルースという女友達、トミーという男友達との愛憎の描写が根幹となっている。次第に明かされる謎を除けば、良くある少女時代への回想と読者に想わせる構想が秀逸である。その「謎」については書けないのだが、衝撃的な設定でありながら、それを飽くまで透明感を持って語る手腕がこれまた秀逸。最終的に、キャシーは介護人としてルースとトミーを看取る事になるのだが、「Never Let Me Go」という原題の悲痛な叫びが胸に突き刺さる。本作は「愛と孤独」の物語でもあるのだ。 上でSF的設定と書いたが、ヘールシャムという施設は不治の難病患者を抱えた病院であっても良いし、ナチの強制収容所であっても良いという普遍性を持っている。回想中でノーフォークを「遺失物保管所」と喩えている辺りは、作者は認知症患者を意識しているとも考えられる。重いテーマでありながら、独特の透明感と静謐かつ緻密な筆致で読者を魅了する秀作だと思った。 | ||||
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『夜想曲集』に次いで、二冊目のイシグロさんの本を読みました。 正直、評価が高い『夜想曲集』が個人的にはあまり面白くなかったのですが、 この『わたしを離さないで』は、ページを進める手を止めることができない位、 引き込まれました。 プロットへの批判は随分あるようで、アマゾンレビューでもSF小説もどき、あるいは 科学への妄想などと書かれている方もいます。私自身はこのプロット自体が 奇想天外だとは思いませんでした。むしろ想起したのは 1920年代から70年代にかけてスウェーデンなどの福祉国家で行われた 優生学の隆盛です。少なくともその時代、多くの人にとっては 健康で優秀な人類を社会的に維持することにこそ、リアリティがあったことは 歴史的事実です。 にもかかわらず、私はプロットそのものよりも主人公であり語り手であるキャス、 友人のルース、トミーと過ごしたヘールシャムでの描写や、それ以降の邂逅などの 描き方に心を奪われました。その描写はその一文一文が 自分の感情を揺さぶり続けるようなそうした力をもっています。 おそらく私がまだ十代や二十代だったら、こうした小説を読んでもつまらなかった かもしれません。四十代を迎えることによって、自分の過去を振り返る、 自分自身が過ぎ去った時間のかけがえのなさを実感するようになったからこそ、 こうした本に巡り会えたのではないか、と。 イシグロさんの英語の文体を、村上春樹さんはどこかで絶賛していましたが、 土屋政雄さんの翻訳も素晴らしいです。 心を揺さぶる小説を書いてくださったイシグロさんに感謝します。 | ||||
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とても読みやすい訳でした。 読んでくうちにどんどんこの物語の世界がわかっていくので、一体何なの何なの??という感じで すらすら読みました。 普通に考えてとても奇妙です。それでも細かいところまで書かれていて、その状況が 頭の中に結構はっきり浮かんできますし、何より登場人物たちの会話や行動や思っていることがとてもリアルだなあと思いました。 登場人物たちの存在が、本の中だけでなく普通にそこらへんにいる普通の子のような感じなのです。 登場人物たちはクローン人間であり、人としての価値、自分の人生を自分で決める権利もなく、 最後は提供によって命を落とすというなかでも、もちろん私たちと同じように心があり、 友人がいて恋人かいて、好きな人がいて、大切な思い出もある。 とても残酷ですね。しかも本人たちはなんだかすんなり受け入れているんですよね。 あまりにもさらっと書いてあるので、私もとりわけ考えず読んでいたんですが、 最後の方や、特に読み終わったあとは「いや、おかしい、ほんとはすごくおかしいことなんだ」 と悲しくなりました。 もちろんそう教育されて、ずっと隔離されて成長してきたからなんですが…。 でもほんとに少しの抵抗はあっても、みんなそれに従い生きていて、それが当たり前のようで、 とても残酷ですね。 登場人物たちの関わり合いとかも、普通に誰にでもありそうな感じだったので、 「私たちのなんら変わりはないのに、クローン人間として生まれてしまったから この人たちの人生も命も、この人たちのものではないんだ…」と、 上手く言葉に出来ませんが、いろいろ考えました。 | ||||
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その哀しさが、案外生きてる人間全部の抱えてる哀しさにつながってる気もした。 | ||||
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人生においてはどんな命も無傷ではいられない。それが生きるということ。 自分の命と人生を過去も含めてよくみつめてみよう。 そんな気持ちにさせてくれる唯一無二な小説です。 感じるか感じないかは人それぞれだと思いますが。 | ||||
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運命を受け入れていながらも、やはり人間として、恋もし、葛藤もし、読んでいてせつない・・・過去にあったか、現在進行中か、未来にありそうな。そんな、余韻の残る話でした。 | ||||
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苦しく避けがたい終わりを待ちながら自分のやるべきことをすることが生きる事だよ、と教えてた本。 | ||||
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少年・少女たちの日常生活と、その中での心の動きを丁寧に綴っているが故に痛ましく切なく・・・。恋、友情を繊細な心で悩み受け止め、生きる喜びに溢れる彼らをどうして物扱いできるのか。実際にありそうで怖い設定です。後味が悪く辛い読後感でした。しかし★5つに十分値する作品です。 | ||||
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レビューを書く資格はないのだが、 読まずに手放すのは生理的に文章が受けつけなかったか、 好きではない色恋沙汰を初っ端から感じたためかもしれない。 失礼なレビューなので、改めて読み直す予定。 | ||||
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なんか回りくどくて冗長で、成人が思い出す子供の頃の意味のないエピソード、嫉妬、喧嘩(毎度!)、愛のない無意味なセックス、馬鹿馬鹿しい思い込み、etcがあって・・・本題と離れたことばかり書きながら少しずつネタを明かしていく、ってなんかぁな。こんなテーマは本来あり得ないのにどうして長編書こうと思うのか作者自体の常識を疑っちゃうね。フィクションにしてはリズムが無いし(抑制の効いた文章が高評価?)、アマゾンや村上春樹が騒いでいなかったら読み出して直ぐに止めてしまうくらいの退屈さでした。ある意味この長さは拷問だったね。誰かもレビューしてたけど200ページくらいで良かったんじゃない? | ||||
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なんとも不思議な空気感を感じながら読了しました。 施設での日常の生活観や仲間との感情の起伏など、懐かしいような気持ちで読みました。 恐ろしいテーマがベースにはあるのですが、だからと言って単純なオカルトにはなっていないところが作者の筆力だと思います。 | ||||
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非常に評価の高い小説ということで我慢して最後まで読んだ。 芥川賞作家の川上未映子が「最近、いわゆる純文学の作家たちが、タイムリーで事件性のある題材を書くことが増えてると思うんです。でも、その事件ではなくてはいけなかった必然性は見えてこない。」とい言っていたのを思い出す。(この後、直木賞作家の桐野夏生を絶賛するのですが) SFやミステリーの本の中にもこの本よりもはるかに人間を語っているものが多くある。場面設定を奇抜にしても、所詮、そこで生きている人間をどこまで語れるか、でその本の面白さが決まるのではないでしょうか。 私が小説講座の先生なら「良くかけています」ということで5つ星をあげますが。 | ||||
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人工授精技術は近年、進歩しており、試験管ベビーなどはたくさん生まれている。そこで誕生した人間はもちろん、普通の人間としての価値がある。 一方、このように誕生した人間を、「人工的に生み出されたものだから、他の人々が殺して食べてしまってもいい」というようなことはありえない。「食べる」のがおかしいとすれば、「銃で殺すマトにしてもいい」ということはないし、「切り刻んでもいい」ということもない。 ところが、この馬鹿馬鹿しい妄想を信じて、「この妄想が現実だったら」という状況を描くのが、本書だ。 「こんな妄想は科学的無知から生じたデタラメにすぎない」 とわかっていれば、読む気が失せる。呆れてしまうし、あいた口がふさがらない。おまけに、文学的な描写などは、皆無だ。ただひたすら、「抑制の利いた表現」があるだけで、気の利いた表現などはない。 要するに、退屈の一語。 読みやすさだけが取り柄だが、その意味では、ライトノベルに分類されるね。そのなかでも最低の一冊だと言える。時間を無駄にするだけ。「日の残り」と比べると、文章は似ているが、内容が空っぽであるという点で、大きく異なる。「日の残り」は、それなりに読む意義があったが、「私を離さないで」は、「科学的無知ゆえの偏見から生じた妄想」を描いただけだ。 科学的知識が少しでもある人には、読むに耐えない内容だろう。また、文学的な表現を好む人には、ひたすら退屈なだけだろう。 この本自体が、どこかの素人の妄想のクローン or コピーにすぎない、とすら言える。 | ||||
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淡い水彩画を見ているようなイシグロの文章は素晴らしい。物語の設定もいい。しかしプロットは納得できない。 これは新しい奴隷制をテーマとするSFだろう。 奴隷の物語には反乱・逃走・芸術や宗教による救済等々が付きものだ。この作品にはそれが欠けている。なぜ「彼ら」が運命に反逆しないのか、それがわからない。最後まで何も起こらないのが不満だ。 外部から反逆を働きかける解放勢力がいるはずだ。 寄宿舎から逃走したり、ストライキを企てたり、ドロップアウトしてヤクザになったり、悲観のあまり自殺を図ったり、精神異常になる生徒が現れるだろう。神に救いを求める動きも必ずある。 そういうことがいっさい起きないのは実に不思議だ。「彼ら」の中から天才的な学者や芸術家、オリンピック級のアスリートが出現したらどうなるのか、余計な心配をしてしまう。 何年か前、映画になって日本公開されたとき、原作者イシグロが来日して新聞(日経だったと思う)にインタビュー記事が出た。 私の感じた疑問・批判は欧米でかなりあったようだが、それに対して著者は、毅然として運命を受け入れ生きてゆく人々の尊厳を描いた、という意味のことを述べ、例として戦前の日本人やカミカゼ特攻隊をあげていたと記憶する。 それならわかる、意図は十分実現している、と言うべきかもしれない。 しかしその意図なら、物語の骨格を近未来ディストピアSFにもっと明確に寄せるべきだった。それが中途半端で、あまりにも現実と近似しているので、逆にリアリティ不足が露呈してしまったのではないだろうか。 | ||||
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介護人であるキャシー・Hと、その周辺の物語である今作。僕はカズオ・イシグロ作品は今まで読んだことがなく、今作が初読です。読んでみて、後味の悪さであるとか、そういった悪い印象は受けませんでした。しかし、とても面白かったとか、そういった満足感も得られませんでした。なぜなのか考えてみると、それは、この物語の最大に重要な設定である、介護人と提供者、これらの設定の既視感に起因していると思います。これらの設定は僕の知る限り、一つの映画と一つの小説で既に扱われています。なので、真新しい世界観であるとか、怒涛の展開のようなものを求めている方に、この小説はお勧めできません。 イシグロさんは英国のブッカー賞という賞を受賞されている、とても有名な小説家であるようですが、それほど面白く感じられる内容ではありませんでした。あくまで、エンターテイメントとしてはです。 文学としては、流石だと思わせられる点もあります。文体からは圧倒的な叙情感が溢れ出てきます。それは雪の降る夜に夜道を優しく照らすランプのようなもので、とても暖かみを感じます。 まとめると純文学を読むのが好きな方にはお勧めできますが、エンターテイメントを求める方にはお勧めできません。 | ||||
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