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わたしを離さないで
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わたしを離さないでの評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.11pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全714件 501~520 26/36ページ
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| これまでSFやミステリーなどでお世話になっていたハヤカワさんから出ていたので書店でなんとなく買ってみた本書。 あとがきなんかを読むとどうやら文学という奴らしいですね…。 今まで文学と名のつくような文章とは教科書以外では接点が無かった僕ですが、とてもすらすらと頭に入ってきて、自分の中の”文学”という言葉の持つ敷居の高さをまったく感じませんでした。 独特な世界観だからこその心情の変化なども丁寧に書かれているせいか、想像しやすく、感情移入しやすかったです。 初めて本格的に出会った文学作品がこれでよかった。そう思える本でした。 | ||||
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| 常に先が読める物語。少しずつ真相を明らかにしていくのだが、馬鹿でもない限り先が読めてしまうので、その焦らそうとする展開に鬱陶しさを感じるだろう。ほとんどが真相に関わらない日常を描いているから、その部分でも退屈極まりない。好きな音楽にテープをなくしただの町に買い物にいっただの刺激もひねりもない話が大半を占める。飽き飽きしたところに出てくるのがはるか昔から予想していた”真相”。呆れた。また全編にわたり「セックス」が無意味に出てくる。とにかく頻繁に。中身のないセックス小説である。 | ||||
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| 映画を先に鑑賞してから原作を読書。 映画を観て抱いた印象は、仏教的な無常観・諦観でした。また、モルモット、実験動物、人間に食されるために生まれて育てられる多くの家畜、植物のこと、「いのちの食べかた」という映画を思い浮かべました。 映画を観て「打ちのめされた」私は、原作を読み始めて意外と淡白な語り口に驚いたのです。映画は、全編重苦しいペール・ブルーの色彩を持つ陰鬱な印象でしたが、小説の語り口は割と淡々としていて、あまり陰鬱さを感じられません。 へールシャムの様子が、映画よりも描写が細やかで長い歳月を追って綴られ、悲壮感が少ない分、読みやすい小説でした。 映画を観ている時に大きな疑問を抱いたへールシャム出身の子供たちが成長してからの、男女の性的関係〜妊娠・出産問題は、原作を読んで明らかになりすっきりとした部分です。 また、本の表紙になった1本のカセットテープ、タイトルになった「わたしを離さないで」の歌が持つ、重要なテーマが映画では抜け落ちています。 キャシーが歌を聞いて踊る時の心情と、マダムがその姿を見て抱いた心情の温度差が、作品の大きなテーマの一つだと思いますが、映画ではその部分が省略されている点が異なっていました。 命の尊厳、臓器移植問題、生きている存在価値と使命を深く考えさせられた小説です。 アメリカで映画が批判された点は、へールシャム出身の主人公達が自ら運命を変えようとしない、切り開こうとなぜ努力しないのか〜という部分だということを知りました。 しかし、全てリストバンドで登録されて監視・管理されている以上、逃亡不可能であること、たとえ逃亡したとしても、通報されることは必至で、就業もできず、住む家も食べる物さえなく、彼らをかくまってくれる人が皆無なら、まず生きていけないと思います。 クライマックスにかけて、定められた避けようがない過酷な運命と使命を受け止め、残された時間の中で「愛」だけが最後に残された唯一の望みであることを信じて愛し合う姿は、崇高に感じられました。 取り扱ったテーマ自体は素晴らしく、どの世代の方にも読後深く考えさせられるものがある小説だと思います。 映画を先に観た為、小説への期待が大きかったのですが、文体等のイメージが想像と異なり、テーマ自体は★5ですが、総合で★は3・5〜4の間くらいです。 | ||||
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| 極めて繊細に書かれた青春ドラマという生地を、ひどく細いSFの糸で縫いあげた物語。 外から眺める我々には、どのような衣服が出来上がるのか、この衣服をまとっているテーマが何なのか、うすうす分っているし、いざとなれば確かめることもできる。さらには違う状況についてあれこれ考えをめぐらすこともできるはずなのに、彼女から離れられない。いっしょに縫い目を追っていかざるをえない。 つまり単純によい小説ということです。 | ||||
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| カズオ・イシグロの最高傑作だと思う。 すべての人に手にとって欲しい本。 なぜなら、人はみなある意味“ドナー”なのだから。 | ||||
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| 情報がこれほど氾濫している昨今、たとえ裏表紙のあらすじに残酷な真実が表記されていなくても、僕ら読者はおおよその梗概を知り得るだろう。僕もそうだった。そしてそれを承知の上、長い長いヘールシャムの日々を主人公たちと共に過ごした。それはイギリス文学にしばしば登場する孤児院、または寄宿舎の生活を彷彿させつつも、何か懐かしい日本的な、のぺっりとしたモルタル壁の校舎を僕は思い描いた。確執、嫉妬、裏切り、そして思い浮かべただけで落涙してしまいそうな友情。子どものころ、これだけは決して忘れてはならない、いつまでも大切にとっておくべきだと思ったさまざまな情感。たとえ備忘録を取ったとしても、読み返しても決して再現できない、きわめて個人的なエピソード。作者はそれらをまるで追体験するように描写する。僕はたしかにこの夏を、ヘールシャムでコテージで、ノーフォークで、そしてキングスフィールドで過ごした。そして保護官やマダムが時折見せる不可解な仕草に、ようやく予備知識(残酷な真実)を思い出す。この作者はほんとに魔法使いのような作家だと思う。残酷な真実を決して作為的に隠蔽していないしトリックのようなものもない。そして僕らを包み込んだそれら体験の末に、現実を突きつけるのである。ここで僕らは、この作品を開く前に得た予備知識は単なる認識でしかなかったこと、そして同じ日々を過ごした友人たちの前に立ちはだかる現実の酷さを思い知るのである。静かな、ややもすると倦むような描写は、実はここへ導くための非常に巧妙な伏線だったのかな?とすれば大変な小説だな。 | ||||
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| 落ち着いた語り口で、ある特殊な運命を強いられた若者たちを描いた話 強烈な感動はなかったが、しみじみとした余韻が残った。 登場人物の描写が素晴らしい。 決して完璧ではなく、欠点もあるし、もろい所もある。 だからこそ感情移入してしまうし、だからこそ運命の残酷さも感じてしまうことになる。 なぜヘールシャムでは絵を描く行為が重要視されているのかなど、ミステリー要素もあり、最後までぐいぐい読ませる所も素晴らしい。 小説はあまり読まないのだけれど、上品な雰囲気の漂う良い小説だった もし最近の小説で、良い小説を探しているなら、これを勧める | ||||
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| 「臓器提供用のクローン」というテーマはSFそのものだけど、科学的部分はほとんど語られることはない。 じゃあこの話はSFじゃないのか? というと、そうでもない。 自分がクローンであるという事実は知っていても、その問題と正面から対峙していく人間ばかりではない。その運命の中でどうやって生きていくかを彼らは真剣に考えている。 試験管の中ではなく現実の世界で生きていかなくてはならない彼らがなにを考え、なにを思うのか。その心の動きこそがこの物語の本質だと思う。 そしてその真摯な姿に静かに心揺さぶられるのだ。 ありふれたSFではページを割いて書かないだけのことだ。 彼らがその「いけにえの運命」にあまりに従順であることに個人的には違和感を覚えるけど、当然なにかの理由があるんだろう。 語られていないだけで。 それを語るのはほかのSF小説に任せておけばいいじゃないか。 | ||||
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| 全ての人に受け入れられる作品ではないと思う。救いがあると感じる人もあれば、全くないと解釈する人もあるだろう。このタブーに触れることはこの時代のテーマなのかもしれない。。読了したのちに心臓の重たさを感じさせてくれた名作。 | ||||
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| 読後、しばらく他の本を手に取る気がしなかった。 それくらい大きな余韻を心に残す物語だ。 静かに、だが確信をもって美しく流れるメロディ。 転調、そして忍び寄る不協和音。 死を運命づけられた我々は、それでもなお、何故生きるのか? 本物の愛があったとしても“死”という人生最大の不条理からは逃れられない。 だけどそれは、生きていく強さになる。“死”の恐怖に立ち向かう強さになる。 そして、子供時代の美しい多くの記憶。 大人になって理解する数々の出来事。 わたしたちのヘールシャム。 わたしたちのノーフォーク。 ストーリー展開をみれば、SF小説、ミステリ小説的な要素もあるのだが、 私には、これ以上ないリアリズム文学に思えた。 世界的な文学作品を読んだ後と同じような、静かな興奮、少しの疲れ、心の充足感をもたらしてくれた。 枕を胸に抱き、目を閉じて「オー、ベイビー、ベイビー、わたしを離さないで……」 と、口ずさみながら体を揺らす少女の画が、頭にこびりついて離れない。 | ||||
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| 最後は確かに素晴しく心を揺さぶられるのだが、テンポが悪いのがどうも気になる。もう少しサクサク進んでも良いのではないだろうか。 | ||||
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| イシグロ氏が用意した言葉の回廊を歩むことになります。 キャシー・Hという名のじょせいが回想します。 キャシーが育ったヘールシャムのことや親友たちのこと、どんな小さなことでも思い出せる限り言葉にしようと試みているような印象です。 多分それはありふれた一人の「提供者」の物語なのでしょう。 キャシーの一生懸命な語り口に惹かれて耳を傾ければ、時々あれっ何のことかなという疑問符が浮かびます。 少し私達とは違う思い出のようだということにすぐに気が付きます。 暫くキャシーの話を聞いていると、全く思いもしなかった世界が存在したことを知らされ、戦慄が背中を走ります。 彼女達は、本当のことは何も知らされず、決められた人生を生き、根拠のない噂に飛びつき、小さな希望を糧に生きます。 英雄的な勇気を持って知った真実は、余りに重く残酷なものでした。 果たして私たちがキャシー達とは別なのだ、と言い切れるでしょうか。深い問いかけです。 | ||||
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| 青春小説ですね。光景がまざまざと感じられるように映像的な書き方なので 美しいイギリス寄宿学校の雰囲気を楽しめると思います。 SFや社会派小説と思って読むと冗長で読み切れないと思います。 基本的にライトな感じで、サクサクと読み進められますが、 主人公キャシーが心のままに思いだして語るという形式のためか、 時間が前後する場合が多いのが、少し分かりにくく感じました。 作者のインタビューがwebで見られたので読んでみたのですが、 なるほどと思う感じでした。人は意外と運命を選べませんし、 どんな環境でも、良くも悪くも人間的に生きているということでしょうか。 | ||||
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| 寄宿舎暮らしの子供たち。親身なようで、どこかよそよそしい教師たち。展示館、マダム、そして何らかのシステムの一環であるという秘密。 牧歌的でありながら、どんよりした天候と閉鎖的な環境で、主人公のモノローグでとつとつと語られる過去の物語は、ミステリアスに遡上していく。 子供たちを待ち受ける運命を考えれば、教師たちの役割は重大だ。そしてその成果は十分に現れている。決して自暴自棄にならない、素直な提供者たちが成長し巣立っていった。宿命を受け入れる彼らの従順さは不思議だった。物語の抑えた語り口が、運命を甘受することを当然と感じてしまう諦念につながっているようだった。その無力さがやりきれない感じがした。もう少し、提供者の心の中で役割を認識して、それを受け入れて折り合いをつけるプロセスを語らせて欲しかったと思う。 作品に登場するジュディ・ブリッジウォーター「Never Let Me Go」、Youtubeで簡単に見つけることができる。何度聞いても、あまり主人公の気持ちになれない自分が残念だった。 この子供たちはどことなく天童荒太の作品に登場しそうな気がする。突き抜けた設定の、印象深い作品だ。 | ||||
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| 静かな小説です。語り部の淡々とした丁寧な口調が印象的で不思議な雰囲気です。 ある特定の間柄でしか通用しない冗談や暗黙の了解、そういったローカルルールなど 誰でも経験した事のある人間関係――感情の交錯――が細かく丁寧に描かれていて 気づいたら物語に強く引き込まれていました。 重大な事がさらっと明らかになったりするのですが、衝撃が凄い。 予備知識が少ない方が楽しめるタイプの小説なので、レビューを熱心に見るのはオススメしません。 (ネタバレありのレビューも多いので) | ||||
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| 静謐で抑制のきいた……などと賛美されているが、私にはただ退屈でつまらない物語だった。 「提供」が何を指すのか分からないままに読み進めるのは辛い。それは早晩明らかにはなるのだが、本質的な意味はしばらく、いや、最後までよく分からない。「介護人」にいたってはクライマックスに到ってさえ、結局は読者の想像に委ねられる部分が大きい。最後の元保護官の話が物語の世界観の種明かしにあたるのだが、それでも曖昧さは残されている。おそらく意図的に。下手に科学技術的な説明を導入して墓穴を掘るよりは良かったと思うが、私はディテールの乏しさに対する寂しさ、物足りなさみたいなものを感じた。いったいみんなは何に引っ張られて最後まで読んだのだろう。何度もやめようかと思った。著者のネームバリューとアマゾンレビューの評価の高さが無ければ途中でやめていただろう。読了できたのはみなさんのおかげです。ありがとう。 | ||||
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| ある寄宿舎学校で、教育熱心な保護官たちに見守られ、大切に大切に育てられる子ども達。 うっすらと運命を知りながら、手をつなぎあい成長していく。 それは虐待ですらなかった。とても洗練された形の「犠牲」だった。 代替品としての人間に生まれついていようとも、幼い頃から覚悟していても 愛したい、生きていたいという思いを殺すことはできない。 すくすくと伸びる生命力と、のしかかる避けがたい運命とに 静かに向き合い、対峙する人々の物語。 | ||||
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| 海外で絶賛された作品とはいえ、 少し無批判に受け入れすぎの評価が目立つように思う。 確かに、全体にただよう叙情や、幼年期、 思春期と続く三角関係を描く心理の描写は非常に巧みだ。 そこに含まれる文学性も豊かだと思う。 しかし、作品に含まれるSF的な要素は評価できない。 まず、リアリティがない。 こういった小説ではリアリティがなさがかえって 作品の叙情性を高めるということもあるのだが、 それを差し引いてもやはり不自然さが目立つし、 浮かび上がってくる多くの疑問符が解消されないまま最後まで残り、 興醒めさせられ、不可解な読後感となってしまう。 文学しか読まない人ならともかく、 SFやミステリーのファンなら、 この真相とその明かし方の演出をどう評価するだろうか? | ||||
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| 初め本書を手に取ったとき、冒頭から語られているある《単語》の意味が把握しずらかったため、英文学を日本語に翻訳したとき特有の《翻訳に際する両言語の溝》が読者の理解を妨げているのだと思った。 冒頭が分かりにくいが故に、期待はずれとして読むのを止めようかと思ったくらいだ。 しかし、そのような不安は直ぐに晴らされ、中盤からは別の不安感が漂う。 正直に言って、本書はホラー映画に近いと思う。映画と言ったのは、場面を隅々まで鮮明にイメージしながら読みすすめられたからだ。その分リアリティーが高く、最後まで読んでショックで身が凍ってしまった。 | ||||
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| 世界観が明かされないまま淡々と描かれる子供たちの人間関係に、実は退屈しながら読みました。けれど第三部で世界の真実を知った途端、退屈だったはずの前半がとてもかけがえのないものに変わります。読了後すぐに最初から読み返し作品世界の深さに驚愕しました。 藤子・F・不二雄のSF短編に「ミノタウロスの皿」という名作があります。やはりこちらもある目的に使用されるために生まれた人間を描いたもので、初めて読んだ時には強烈な残酷さが印象に残りました。けれど本書を読んだ今では「ミノタウロスの皿」は非常に幸福な物語だったのだな、と思えます。 数年置いて再び読み返したい作品です。 | ||||
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