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わたしを離さないで
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わたしを離さないでの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.10pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全707件 501~520 26/36ページ
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「臓器提供用のクローン」というテーマはSFそのものだけど、科学的部分はほとんど語られることはない。 じゃあこの話はSFじゃないのか? というと、そうでもない。 自分がクローンであるという事実は知っていても、その問題と正面から対峙していく人間ばかりではない。その運命の中でどうやって生きていくかを彼らは真剣に考えている。 試験管の中ではなく現実の世界で生きていかなくてはならない彼らがなにを考え、なにを思うのか。その心の動きこそがこの物語の本質だと思う。 そしてその真摯な姿に静かに心揺さぶられるのだ。 ありふれたSFではページを割いて書かないだけのことだ。 彼らがその「いけにえの運命」にあまりに従順であることに個人的には違和感を覚えるけど、当然なにかの理由があるんだろう。 語られていないだけで。 それを語るのはほかのSF小説に任せておけばいいじゃないか。 | ||||
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全ての人に受け入れられる作品ではないと思う。救いがあると感じる人もあれば、全くないと解釈する人もあるだろう。このタブーに触れることはこの時代のテーマなのかもしれない。。読了したのちに心臓の重たさを感じさせてくれた名作。 | ||||
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読後、しばらく他の本を手に取る気がしなかった。 それくらい大きな余韻を心に残す物語だ。 静かに、だが確信をもって美しく流れるメロディ。 転調、そして忍び寄る不協和音。 死を運命づけられた我々は、それでもなお、何故生きるのか? 本物の愛があったとしても“死”という人生最大の不条理からは逃れられない。 だけどそれは、生きていく強さになる。“死”の恐怖に立ち向かう強さになる。 そして、子供時代の美しい多くの記憶。 大人になって理解する数々の出来事。 わたしたちのヘールシャム。 わたしたちのノーフォーク。 ストーリー展開をみれば、SF小説、ミステリ小説的な要素もあるのだが、 私には、これ以上ないリアリズム文学に思えた。 世界的な文学作品を読んだ後と同じような、静かな興奮、少しの疲れ、心の充足感をもたらしてくれた。 枕を胸に抱き、目を閉じて「オー、ベイビー、ベイビー、わたしを離さないで……」 と、口ずさみながら体を揺らす少女の画が、頭にこびりついて離れない。 | ||||
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最後は確かに素晴しく心を揺さぶられるのだが、テンポが悪いのがどうも気になる。もう少しサクサク進んでも良いのではないだろうか。 | ||||
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イシグロ氏が用意した言葉の回廊を歩むことになります。 キャシー・Hという名のじょせいが回想します。 キャシーが育ったヘールシャムのことや親友たちのこと、どんな小さなことでも思い出せる限り言葉にしようと試みているような印象です。 多分それはありふれた一人の「提供者」の物語なのでしょう。 キャシーの一生懸命な語り口に惹かれて耳を傾ければ、時々あれっ何のことかなという疑問符が浮かびます。 少し私達とは違う思い出のようだということにすぐに気が付きます。 暫くキャシーの話を聞いていると、全く思いもしなかった世界が存在したことを知らされ、戦慄が背中を走ります。 彼女達は、本当のことは何も知らされず、決められた人生を生き、根拠のない噂に飛びつき、小さな希望を糧に生きます。 英雄的な勇気を持って知った真実は、余りに重く残酷なものでした。 果たして私たちがキャシー達とは別なのだ、と言い切れるでしょうか。深い問いかけです。 | ||||
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青春小説ですね。光景がまざまざと感じられるように映像的な書き方なので 美しいイギリス寄宿学校の雰囲気を楽しめると思います。 SFや社会派小説と思って読むと冗長で読み切れないと思います。 基本的にライトな感じで、サクサクと読み進められますが、 主人公キャシーが心のままに思いだして語るという形式のためか、 時間が前後する場合が多いのが、少し分かりにくく感じました。 作者のインタビューがwebで見られたので読んでみたのですが、 なるほどと思う感じでした。人は意外と運命を選べませんし、 どんな環境でも、良くも悪くも人間的に生きているということでしょうか。 | ||||
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寄宿舎暮らしの子供たち。親身なようで、どこかよそよそしい教師たち。展示館、マダム、そして何らかのシステムの一環であるという秘密。 牧歌的でありながら、どんよりした天候と閉鎖的な環境で、主人公のモノローグでとつとつと語られる過去の物語は、ミステリアスに遡上していく。 子供たちを待ち受ける運命を考えれば、教師たちの役割は重大だ。そしてその成果は十分に現れている。決して自暴自棄にならない、素直な提供者たちが成長し巣立っていった。宿命を受け入れる彼らの従順さは不思議だった。物語の抑えた語り口が、運命を甘受することを当然と感じてしまう諦念につながっているようだった。その無力さがやりきれない感じがした。もう少し、提供者の心の中で役割を認識して、それを受け入れて折り合いをつけるプロセスを語らせて欲しかったと思う。 作品に登場するジュディ・ブリッジウォーター「Never Let Me Go」、Youtubeで簡単に見つけることができる。何度聞いても、あまり主人公の気持ちになれない自分が残念だった。 この子供たちはどことなく天童荒太の作品に登場しそうな気がする。突き抜けた設定の、印象深い作品だ。 | ||||
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静かな小説です。語り部の淡々とした丁寧な口調が印象的で不思議な雰囲気です。 ある特定の間柄でしか通用しない冗談や暗黙の了解、そういったローカルルールなど 誰でも経験した事のある人間関係――感情の交錯――が細かく丁寧に描かれていて 気づいたら物語に強く引き込まれていました。 重大な事がさらっと明らかになったりするのですが、衝撃が凄い。 予備知識が少ない方が楽しめるタイプの小説なので、レビューを熱心に見るのはオススメしません。 (ネタバレありのレビューも多いので) | ||||
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静謐で抑制のきいた……などと賛美されているが、私にはただ退屈でつまらない物語だった。 「提供」が何を指すのか分からないままに読み進めるのは辛い。それは早晩明らかにはなるのだが、本質的な意味はしばらく、いや、最後までよく分からない。「介護人」にいたってはクライマックスに到ってさえ、結局は読者の想像に委ねられる部分が大きい。最後の元保護官の話が物語の世界観の種明かしにあたるのだが、それでも曖昧さは残されている。おそらく意図的に。下手に科学技術的な説明を導入して墓穴を掘るよりは良かったと思うが、私はディテールの乏しさに対する寂しさ、物足りなさみたいなものを感じた。いったいみんなは何に引っ張られて最後まで読んだのだろう。何度もやめようかと思った。著者のネームバリューとアマゾンレビューの評価の高さが無ければ途中でやめていただろう。読了できたのはみなさんのおかげです。ありがとう。 | ||||
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ある寄宿舎学校で、教育熱心な保護官たちに見守られ、大切に大切に育てられる子ども達。 うっすらと運命を知りながら、手をつなぎあい成長していく。 それは虐待ですらなかった。とても洗練された形の「犠牲」だった。 代替品としての人間に生まれついていようとも、幼い頃から覚悟していても 愛したい、生きていたいという思いを殺すことはできない。 すくすくと伸びる生命力と、のしかかる避けがたい運命とに 静かに向き合い、対峙する人々の物語。 | ||||
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海外で絶賛された作品とはいえ、 少し無批判に受け入れすぎの評価が目立つように思う。 確かに、全体にただよう叙情や、幼年期、 思春期と続く三角関係を描く心理の描写は非常に巧みだ。 そこに含まれる文学性も豊かだと思う。 しかし、作品に含まれるSF的な要素は評価できない。 まず、リアリティがない。 こういった小説ではリアリティがなさがかえって 作品の叙情性を高めるということもあるのだが、 それを差し引いてもやはり不自然さが目立つし、 浮かび上がってくる多くの疑問符が解消されないまま最後まで残り、 興醒めさせられ、不可解な読後感となってしまう。 文学しか読まない人ならともかく、 SFやミステリーのファンなら、 この真相とその明かし方の演出をどう評価するだろうか? | ||||
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初め本書を手に取ったとき、冒頭から語られているある《単語》の意味が把握しずらかったため、英文学を日本語に翻訳したとき特有の《翻訳に際する両言語の溝》が読者の理解を妨げているのだと思った。 冒頭が分かりにくいが故に、期待はずれとして読むのを止めようかと思ったくらいだ。 しかし、そのような不安は直ぐに晴らされ、中盤からは別の不安感が漂う。 正直に言って、本書はホラー映画に近いと思う。映画と言ったのは、場面を隅々まで鮮明にイメージしながら読みすすめられたからだ。その分リアリティーが高く、最後まで読んでショックで身が凍ってしまった。 | ||||
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世界観が明かされないまま淡々と描かれる子供たちの人間関係に、実は退屈しながら読みました。けれど第三部で世界の真実を知った途端、退屈だったはずの前半がとてもかけがえのないものに変わります。読了後すぐに最初から読み返し作品世界の深さに驚愕しました。 藤子・F・不二雄のSF短編に「ミノタウロスの皿」という名作があります。やはりこちらもある目的に使用されるために生まれた人間を描いたもので、初めて読んだ時には強烈な残酷さが印象に残りました。けれど本書を読んだ今では「ミノタウロスの皿」は非常に幸福な物語だったのだな、と思えます。 数年置いて再び読み返したい作品です。 | ||||
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20代半ばにして救うためだけにこの世に受けた“生”が見知らぬ誰かに“提供”される “私たちと私たちが救った人々に違いが?” 最後の最後で儚く潰えてしまった、見えかけたささやかなキャシーとトミーほんの少し先の未来 “それがわかっていれば、2人の手を離さずに潮の流れに逆らったのに” 「物の憐れ」 こんなにせつなく苦しくて、胸が痛くて堪らなかった小説は思い出しても、今までない 童謡「シャボン玉」にも似た物哀しさが終始漂う作品で、本当の意味での“傑作”だと思う | ||||
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20代半ばにして救うためだけにこの世に受けた“生”が見知らぬ誰かに“提供”される “私たちと私たちが救った人々に違いが?” 最後の最後で儚く潰えてしまった、見えかけたキャシーとトミーほんの少し先の未来 “それがわかっていれば、2人の手を離さずに潮の流れに逆らったのに” 「物の憐れ」 こんなにせつなく苦しくて、胸が痛くて堪らなかったのは、久しくなかった 童謡「シャボン玉」にも似た物哀しさが終始漂う作品で、本当の意味での“傑作”だと思う | ||||
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重要な問題提起を含んだ小説ではあるが、臓器提供を目的につくられた人間がここまで自由に行動しながら、最終的には例外なく運命を受け入れるという設定には大いに疑問が残る。 友人や恋人との間に起こるさまざまな感情の行き違いから、自暴自棄になることはある。「死にたい」と思う人もいる。しかし、そういう感情から臓器提供まで決意する設定には飛躍があり、どうも感情移入ができない。 感情の行き違いは時とともに風化するが、臓器提供の恐怖は時とともに増す。一度は決意しても、募る恐怖感から逃げようとするのが普通の人間ではないだろうか。しかも、厳重な監視体制はない。 また、完全に拒絶反応が起きない臓器提供を望むのは、普通は大金持ちではないだろうか。誰に臓器を提供するかは、この小説ではまったく分からないが、現実的には最も重要な問題だろう。 登場人物たちが美術の授業に励む理由がクライマックスで種明かしされるが、あまり意外性はない。ラストはなかなか感動的だが、「自己の分身」をめぐる考察が浅いという印象は最後まで拭えなかった。 | ||||
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文学チックな美しい表現でSFって反則なんじゃないですか。 クローンを題材とするならそれらしくディティールも緻密に描く べきじゃないでしょうか。社会背景も何の説明も無く最後の最後で いきなり全てを暴露されてもこっちは困るんですけど・・・・。 | ||||
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裏のあらすじを見ると「?」という感じ。 読み終わればあながち間違いでもないというか、こう書かざるを得ない話なのですが。 登場人物の感情、人間関係はよく描かれていて、そこは勿論良かったのですが、私としては話の先(全貌と言えないまでも“全貌の輪郭”が)が見えてしまうことが残念でした。 テーマ的には少し前に流行ったものですが、読むとちょっと虚しい気持ちになる、こういうのは良いですね。 キャシーの感情は語り手であるためか淡々としているので、感情移入・同情するのは難しいかも?どんなファンタジーだろうとSFだろうと、登場人物にまるっきり親近感が持てない、もしかしたらそれは作者の意図したところかもしれませんが、このせいで感情を揺り動かされるほどの衝撃はないと思いました。 私の印象としては静かで虚しい小説・・・です。 | ||||
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コンディションは自己評価以上によく、非常に満足しました。取引もスムーズでした。 | ||||
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通勤の行き帰りに読み耽りました。 正直、何ともそこまでの傑作かは私にはピンと来ませんでしたが、 通勤途中に全てを読み終えて、 帰りの電車を待ちながら、時間を持て余したので、 再び最初から読み返してみると、 1回目の読み初めには頭の中で整理できなかった人物像や様々な景色が広がるような この小説の冒頭の書き出しに感動してます。 物語の最後が物語りの最初へ繋がっていて、 2度目を読み終えた時に、また冒頭へ戻って読み始めたら? 毎回違う感慨を読者に起こしてくれそうな物語です。 この小説は読み返すほどに、味わい深き1冊かもしれません。 | ||||
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