ロンドンのビジネス街にあるささやかな煙草屋の二階に、切手商が間借りしていた。

神真人が何かに憑かれている―悪霊封じの九十九乱蔵は術の師・真壁雲斎から、真人の姉・小百合に会うことを依頼された。

零下三十度のモスクワの街頭で一人の男が爆死した。六十年前、その男・高村平介は独りソビエトへ留学した身だった。

ソ連製ヘリコプターで千キロを北上、ソ連空軍機の追撃を振り切り、はるかバイコヌールに潜入したガントだったが、すでにKGBが彼を待ち受けていた。

警視庁捜査1課の吉敷竹史は、ふと入った画廊で作者のない“羽衣伝説”と題された彫金を目にした。

ややワケありで、僕は家を出た。形が無いから大事にしていたものたちを失くし、僕にはもうほとんど何も残ってはいない。

輝く青い瞳、魅惑的なプロポーションにサテンのドレスをまとった女は何に怯えているのか?アメリカ西海岸で探偵をする〈わたし〉の許に、雨の金曜日の夜、仕事の依頼に現れた女はサラと名乗った。

初夏。傷ついた心をたずさえて、わたしはサンタマルゲリータへ帰ってきた。

昭和18年4月、脱獄歴6回の無期懲役囚・白岩由吉が網走刑務所に移送されてきた。

マユコです。内気で本好きの私には、ひとつ秘密があるんです。

三尾健治は東京転勤を機に、消息を絶っている高校の同級生・藤代瑛子のマンションに住み彼女を探すことになった。

2番ホールのティーショットのボールがフックして隣りの12番ホールでプレー中の税理士の側頭部を直撃、意識不明のまま70年後に死亡した。

めったに贈り物など受けとったことのないルポライター、浅見光彦のところに大きなダンボールの包みが届いた。

落ちこぼれが集まる私立高校の人気者美也子さんが殺され、さらに親友亜紀子の命も狙われている…。

ちょっとおませで利発ゆえに自閉的な少女マリ。

精神科医の前に現われた女は、真っ黒の水中眼鏡を取ることをかたくなに拒んだ。

思いたってメキシコ旅行に出かけたエイミーとウィルマ。

根吹岳山麓で遭難死した男の遺品の中から発見された手帳には、ライフルを持った男たちによるおぞましい人間狩りの模様が克明に描かれていた。

夏村絵里子はコンピュータ結婚相談所のオペレータ。データを見たいという女性の申し出を断わった翌日、その女性が殺された。

父は贈賄の容疑で手配中の逃亡犯、母は男と二人で駆け落ち―両親が同時に家出して、残されたのは姉と弟二人だけの“子子家庭”。

シベリアの寒村ツムスクで反体制医学博士サムソノフの娘が、何者かに殺害された。

流れ出した原油が夜の帳のように広がる海岸で、美しい女が鳥の死骸を抱いて泣いていた。女の名はローレル・ラッソ。

製薬会社社員の田原と禅道は数学者、相良五郎の命を偶然救い、親しくなった。

クラスでふたりは際立った。英語をきれいに発音できる少女と、訳出が上手な少女。

その時分、私は映画に狂っていた。終戦直後で中学が新制高校に切り替って間もなくのことだった。

銀座の宝石店から二億五千万円相当の宝石を奪った強盗の片割れ宮本信介が東京に護送される途中、「ひかり62号」の車中で何者かに射殺された!十津川警部は、彼の最後の言葉から主犯の江上利夫の割り出しに成功。

北多摩警察署の刑事課強行犯係の相馬刑事―身長180センチ、体重80キロ、通称ウマさん。

結婚を控えた友人のみやこが、性の悩みで日美子を訪ねてきた。

流氷が鳴くオホーツク沿岸で、名物観光列車が奇々怪々な事件に遭遇―というリレー式推理小説の筆者たちが、おそるべき運命の糸にたぐられて…。

ソ連大使館員殺害の容疑で逮捕された大学教授・荻野が、突如聞き慣れぬロシア人名を口走り、精神鑑定に持ち込まれた。

「自殺するみたいな走り方が、面白い?」と女は言った。

植物学者、由里正平の還暦を祝うパーティーが一家眷族を集め白金台の邸宅で催されていた。

プロ歌手の卵・千秋とピアニストの要之助はレコード出版を夢見るカップル。

「ドイツの休日」を楽しむご存じ三毛猫ホームズの一行。

わたしの名はウィラ。スタンフォードを卒後、ロー・スクールに通う33歳。

11月のある夜、〈私〉は殺人を目撃した。被害者が死の寸前に呟いたのは“奈落…”だった。

ダブル・スパイという後ろめたい過去に心身ともに疲れ果てていたローチェは、自由になる最後のチャンスとばかり新たな任務についた。

1957年のパリは、デイヴィッド・ローチェにとって居心地のいいところではなかった。

元F1ドライヴァーのアメリカ人が浜で顎を砕かれ殺されていた。女優の妻とよりを戻した矢先の出来事だった。

戦国の梟雄松永弾正は主筋の三好義興の美しい右京太夫に邪恋を拘き、自分の想いを遂げるため、幻術師・果心居士配下の根来僧7人に催淫剤を作らせた。

弁護士・藤岡信夫には22年間、隠し通してきた過去の秘密がある。

蘭の原種を探し求めるオーキッド・ハンターは、世界にただ一つの蘭づくりを最高の名誉とするが、その行動はあくまで隠密、敏捷である。

伝統ある良心的な大新聞〈シアトル・スター〉の社長から、極秘の依頼が舞いこんだ。

大正10年春、中国・上海。新進作家芥川龍之介は、源義経“清朝の祖”説を証明するという秘本を求め、上陸した。

ハネムーンで“神々の宿る島”バリを訪れた容子は、小さな親切と引き換えに不思議なペンダントをもらった。

佐古田組の佐古田史朗は弟分の島孝一を連れて、東京から雪の札幌へ乗り込んだ。

マヤ遺跡発掘に協力するため、ギデオンはメキシコへ飛んだ。遺跡から人骨が見つかり、人類学者の彼が鑑定を依頼されたのだった。

御用人の佐藤欽之助は、妻を通して琴の稽古友達だった女から、夫の仕官の世話を頼まれる。

ポンスン卿殺しの容疑者は三人いた。ミステリの愛読者は冒頭の一行のヒントから犯人を推定しだすだろう。

見知らぬ男から完全犯罪殺人の方法を囁かれた坂田陽三。彼は酔った勢いで上司の藤田を殺したいと洩らす。

「あんたにガールフレンドができたなんて」突然、〓@4EDEくんのおばさんが部屋に入ってきてあたし(奈々)はびっくりした。

神奈川県警の古参長谷が本部長からじきじきに命じられたのは特捜課の課長。

「ジェイク、あたし脅迫されてるの」そう言って、ラジオのスター歌手ネルは姿を消した。

不動産業者の倉地は、沖縄・那覇で出会った青年山口を東京にさそい、就職の世話をする。

厚子のパパ・達夫の同僚が変死体で発見された。冬の夕方、廃工場で……。

盛岡で喫茶店“ドールズ”を経営する月岡真司の7歳になる娘・怜が、雪道で車にはねられ重傷を負った。

美人歌手柏崎マリが、城崎で突然蒸発、そして出雲で、恋人のTVディレクター河西の殺害容疑で逮捕された。

ポリー・プレイド、といえば『「鎮痛磁気ネックレス」亭―』でおなじみの女誘推理作家。

優雅に横たわる別荘風の建物の子供部屋には10歳の男の子の写真と黒く血に汚れたシャツが置かれている。

未知への情熱で中国に渡った青年・紅真吾（くれないしんご）の貿易公司（コンス）は、日本の商社に押されて破産した。

捜査一課の十津川警部に「殺人ゲームがしたい」と謎の電話が―。

リットン美術館に転がっていた二つの死体。

2年前に失踪して以来、行方の知れなかった女子高生バレリーから、両親に手紙が届いた。

美貌の御曹司、片桐真吾。ハーバード帰りの彼をめぐる寡黙な刑事の兄と冗舌だが凡庸な双子の弟。

駄菓子屋「ことぶき屋」の女主人、波川まつ尾婆ちゃん以下、老年探偵団一行は、老人会で健康ランドへ。

美人からの熱烈なキスでウィーンに迎えられた片山ら三毛猫ホームズ一行。

傷ようやく癒えた神津恭介のもとに一通の手紙が。「七福神を殺す」とワープロ文字が踊っていた。

まともに取りあう気はなかった。人殺しがしたいので手伝ってくれ、などという依頼は聞いたことがない。

異星人が残した遺跡を調査していた考古学者ヘシュケのもとに、驚くべき資料がもたらされた。300年前に撮られた1枚の写真。

異星人が残した遺跡を調査していた考古学者ヘシュケのもとに、驚くべき資料がもたらされた。300年前に撮られた1枚の写真。

十三年前、父親が消息を絶ち孤独の日々を送る笛木慎二。そんな彼に一日だけの恋を与えてくれた女性、梢が蒸発した。

超一流ホテルの美貌のソーシャル・ディレクター八切美樹子が、厚木の山の中で凌辱され、殺された。その妹亜希子は文芸編集者。

「博之は北から来る何かによって殺される…」恐山の祖母サキの予言通り、青森県下北半島出身の音楽教室講師・杉山博之は東京のマンションで変死体で発見された。

旧弊な因襲と封建的人脈にとらわれた山峡の都市・平野に、喧噪と猥雑のまち新宿を追われ流れついたはみ出し刑事・沖竜介。

白馬岳山頂。偶然の出会いが3人の若者の運命を変えた。

イングランドの森深く、ひっそりと咲く幻の華。

女子大生亜由美の親友久恵が結婚を目前にして自殺した。

目的も知らされず、未開の惑星デルマク・Oに送り込まれた14人の男女。

山奥の旧家にひっそりと生きる沙霧。母親はある日、忽然と姿を消したという。

人びとの愛と祈り、ついには運命そのものを担って走りぬける名馬オラシオン。

20世紀最後の怪奇小説作家H.P.ラヴクラフト。

うまくいくはずなんかなかったのに、予想を裏切って？お手柄の連続。

彼。渋谷一也。

三菱重工社長に就任して2年半、牧田与一郎は硬直的な企業体質を野性味あふれる柔軟なものにかえ、日本経済の推進力となるべく、精力的な企業戦略を試みていた。

傷心をいやすために旅に出た香島紀子は、旅先で危いところを土地の若者・埴田晃二に助けられた。

京都・嵯峨野に降る初雪。ロマンチックなはずのその日に、ああ、事件は起きたのです。

訓練中の米空母を鳥の大群が襲った。乗組員は全滅、最新鋭の見えざる戦闘爆撃機が行方不明に。

京都の全裸女性の死体に残された指紋と鎌倉の二階堂警部夫人の友人が水中花火を見物中、落としたテレホンカードに付着した指紋が一致した。

二重スパイ・ハートマンは、もう引退したかった。病床の妻は死に、息子は独立した。

小島が犯した不可解な殺人事件は、刑事を辞めた今もくすぶり続ける。最初は被害者の未亡人に興味を覚えたことから始まった。

安隠な日本の生活を捨て、アマゾンの秘境で危険きわまりない商談に臨む美沙の得たものは?(「ダイヤと干し首」)。

突然、背中に銃が突きつけられた。今のわたしには、こういうことをされる謂れはない。

その年のイギリスは最悪だった。政治や経済は破綻の一途をたどり、絶望的ムードが国全体を覆っていた。

絵馬に書かれた呪いの言葉どおり、証券会社の午端邦夫が殺された。

「好きです。死にたいほど」―手塚透との初めての情事の翌朝、一枚のメモとピアスを残して珠樹が姿を消した。

財界黒幕のラブホテル腹上死、マンション上部からの落下物による住人直撃死亡事故、路上駐車の車での女性絞殺事件。

西風の強い秋の午後、新横浜駅に近いホテルで男が殺害され、直後、同室の黒いスーツの女が新横浜発15時58分の下り“こだま269号”で行方を絶った。

マイアミシティ、六月。