恋人と別れ、突然実家に帰ってきた娘、梓。歳下のシングルマザーに親身になる母、祥子。

家族全員で出かけるはずだった日帰りのさくらんぼ狩りツアーに、ふとしたことから父と二人で行くことになった桐子。

喫茶店で働く私の日課は、向かいの部屋の窓の中を覗くこと。そんな私はやがて夜の街を徘徊するようになり……。

強大な帝国・東乎瑠にのまれていく故郷を守るため、絶望的な戦いを繰り広げた戦士団“独角”。

ファンを名乗る主婦から、亡くなった姉の伝記執筆を依頼された新人作家の律。その姉は生前の姿形が律と瓜二つだったという。

希望を失い、にわか地上げ屋となった中年男。

27歳のタクシードライバーをいまも脅かすのは、親に捨てられ、孤児として日常的に虐待された日々の記憶。

あなたと生きる、その痛みごと。

猪瀬藍・３７歳・女性・独身。「借金をして家を買おう」そう思いついたのは六年前のことだった。

社会人五年目で友人なし。恋人は三ヶ月前に出て行ったばかり。

ままならず、愛おしい、たったひとつのこの体。 「早く年を取りたい」と願う23歳のミナイ。

娘の緑子を連れて大阪から上京してきた、「わたし」の姉でありホステスの巻子。

《自殺か、他殺か、虚飾の女王、謎の死》――醜聞(スキャンダル)にまみれて謎の死を遂げた美貌の女実業家富小路公子。

湖のほとりにある「お休み処・風弓亭」の三姉妹。

長男が結婚することになった若松家には、不穏な空気が流れている。

公園にひとりで座っていると、あなたには何が見えますか?スターバックスのコーヒーを片手に、春風に乱れる髪を押さえていたのは、地下鉄でぼくが話しかけてしまった女だった。

繊細で美男な大学生、鮎太朗。女はみんな彼に片想い。

緑地の平屋に住む姉妹・貴子と澄子が奏でるあまりにも純粋な愛憎（「風」）、ともに大手肌着メーカーに就職した十五年来の友人・実加と未紀が育んだ友情の果て（「二人の場合」）、身体の声に忠実に決して踊らない優子（「ダンス」）、そして旅行を終えて帰ってくると、わたし

美容師の舞は、結婚して一年になる夫に対し暴力を振るう自分を止められずにいた。

長谷川初実（ハツ）は、陸上部に所属する高校1年生。

芥川賞作家にして最年少川端賞作家が描く奇蹟 美しかったり、謎めいていたりする、隣の人びと。

「あたりまえ」なんて知らない、孤独だけが「世界」を撃ち抜く！芥川賞作家が贈る至極の短篇集。

母は結婚をほのめかし、アクセルを思い切り踏み込んだ。

「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導し……。

友もなく、女もなく、一杯のコップ酒を心の慰めに、その日暮らしの港湾労働で生計を立てている十九歳の貫太。

「二〇〇一年のクリスマスを境に、我が家の紐帯は解れ」すべてを失った“わたし”は故郷に還る。

「―― 大きい俺や小さい俺、青空に円形に展開、みな、くわっとした格好で中空に軽くわなないている ――」。

あみ子は、少し風変わりな女の子。

「ママは大人を卒業します！」シングルマザーで小説家の母親が突然の宣言。

3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。

専業主婦の小夜子は、ベンチャー企業の女社長、葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めるが…。

人を殺し、育った修道院兼教護院に舞い戻った青年・朧。なおも修道女を犯し、暴力の衝動に身を任せ、冒涜の限りを尽くす。

母と二人で大切にしてきた幼い妹が、ある日突然、大人びた言動を取り始める。

高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律に魅せられた外村は、念願の調律師として働き始める。

出産を控えた姉に毒薬の染まったジャムを食べさせる妹…。

2025年第23回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリ受賞作 余命宣告された人々が集まる山荘で起きた、ある一人の突然死。

涙がおさえられない最後が待ち受ける 十五歳のわたしの家にやってきた三十七歳のレミちゃん。

炎暑のヴェニスを訪れた二組の夫婦。

大阪の下町で生まれ小説家を目指し上京した夏子。38歳の頃、自分の子どもに会いたいと思い始める。

「ひとりの生活」をテーマにした6名の女性作家によるオール書き下ろし競作集。物騒なので番犬のレンタルサービスを始めた女性。

極端に臆病な幼い有里の初恋の相手は、文房具屋で買った銀のステッキだった。

生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。

一つ年上の幼馴染、千種と付き合う十七歳の遠馬は、父と父の女の琴子と暮らしていた。

砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。

本屋大賞ノミネート作、待望の文庫化！ 宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。

十七歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たちは、生きていくためにカード犯罪の出し子というシノギに手を染める。

「朝、黄色い車を三台見たから、今日はいいことがあるかもしれない」。

終戦の年に生まれた“わたし”は九段の花街で育った。家は置屋から芸者を呼ぶ料亭「八重」。

ダンス用品会社で働くセールスレディのわたしは、ヘンな顧客、重たい家族、痴情の縺れた上司に次々絡まれ、ぶちギレ寸前。

古書店『無窮堂』の若き当主、真

クラスでは目立たない存在の結佳。

婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。 その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。

就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。

あひるを飼い始めてから子供がうちによく遊びにくるようになった。

秋田の貧しい小作農に生まれた富治は、伝統のマタギを生業とし、獣を狩る喜びを知るが、地主の一人娘と恋に落ち、村を追われる。

極限状況での謎解きを楽しんだ読者に驚きの〈真相〉が襲いかかる。