婚期を過ぎて母とつましく暮らす市子のもとに、二十五年前に音信を絶った徒兄の圭吉が訪ねて来た。

森二が刑務所を出た日、塀の外で二人の「兄」が待っていた―。

腕利きの仕立職人・衛藤良丸には、戦争の間、外地で「特別な任務」についていた過去があった。

これは棒の手紙です。この手紙をあなたのところで止めると必ず棒が訪れます。

父の跡を継ぎ、浅草で「鮨芳」を営んでいる鮨職人・山内鬼一は、ある日、常連客の花房潤一の訃報を聞く。

十五年ぶりに再会した武田小春と碓氷優佳は、予備校時代の仲間が催す同窓会に参加した。

月のない夜、一台のタクシーが崖下に転落した。運転手は一命を取り留めたが、乗客の男は即死する。

末端のCIA女性職員ヘレンは、工作員たちの隠れ家で聞いてはならない極秘の会話を録音してしまう。

消えた修道女を捜してほしい、マロリーのもとに一件の訴えが持ち込まれる。

光源氏の正妻・女三の宮の不義の子とされる薫大将と、源氏の孫にあたる匂の宮――源氏の亡き後、二人の貴公子の織りなす物語が『源氏物語』でも名高き「宇治十帖」である。

星野台小5年1組の佐藤翔太たちは、探偵クラブ「51分署捜査1課」を結成する。

『刑事コロンボ』『ジェシカおばさんの事件簿』… 推理ドラマのクリエイター・コンビが贈る ミステリーの愉しさあふれる小説集。

放漫経営のツケが祟り、倒産寸前の苦境に陥った栄養剤メーカーのS製薬。銀行は融資を渋り、他社への吸収合併を迫って来た。

小説『昏い天使』で新人賞を受賞した、フランス帰りの美青年作家・宗像冬樹は、予告した第二作『黄昏の館』を書きあぐね、酒浸りの日々を送っていた。

多くの美女たちを売買してきた奴隷商人サラサは、妹を解放するため、自らを奴隷として売ることを決意した。

東京都内の雑居ビルの放火事件で、若い男性ガードマンが焼死する。

人気推理作家・雨宮縁。執筆時、作品ごとに主人公に成りきる姿は多重人格さながらで、憑依作家と呼ばれていた。

幼少より慈しみ育ててくれた組織のボスを射殺し、海外逃亡をはかる無軌道な青年(「ゴウイング・マイ・ウェイ」)、市民や学生のデモ隊が街にあふれ騒然とする中、外相の首を狙う孤独なテロリスト(「陽光の下、若者は死ぬ」)など、強烈なジャズ・ビートをバ

何度も同じような悪夢を見る。それはさまざまな女をいたぶり殺すことでエクスタシーを覚えるという夢だ。

16世紀中葉のイングランド。

両親の虐待に耐えかね逃亡した少年エリックは、遺伝子研究を行うテニエル博士の一家に保護される。

干上がった湖の底で発見された白骨。頭蓋骨には穴があき、壊れたソ連製の盗聴器が体に結びつけられている。

「見ざる、聞かざる、言わざる」になぞらえ猟奇殺人を繰り返した“四猿"が忽然と姿をくらましてから4カ月――シカゴを震撼させる新たな事件が発生した。

警視庁捜査一課内に新設された強行犯特殊捜査班、通称「SM班」。

4人家族の大黒柱である尼子拓真は、新築一軒家を購入し幸せの絶頂だった。

「庭は、寝がえりをうって、背をむけた。…庭にまで馬鹿にされるのは、いい気分ではない」(「風」)。

「知られざる傑作がある」と言い残し、世界的に有名な画家・山岡がこの世を去った。

ホラー&ミステリの宇佐美まことのデビュー作。受賞作を含む7篇を収録。

みんながこれを読むころには、ぼくはもうこの世にいない――高校生のウェイドはなぜ自殺を思わせる投稿をするに至ったのか。

前科持ちのティーケイクは、いつも通り貸倉庫の夜勤シフトに入っていた。

大阪で鷹匠として働く夏目代助。ある日彼の元に訃報が届く。

折口信夫、乱歩も絶賛した「かむなぎうた」、ほの暗く、ほの明るい幻想怪奇「東天紅」、民俗的ミステリ風味「吉備津の釜」、得意の台湾物「消えた家」、呪いの家「ひこばえ」、泉鏡花賞「泥汽車」、ハイカラ右京番外篇「明治吸血鬼」…澁澤龍彦も種村季弘も賛美した異端のダン

捜査のためなら、俺は外道にでもなる。

刑事であった夫が殉職後、強行犯係の刑事として、また一人娘の母親として日々を過ごす羽角啓子。

志賀倫成は、大手出版社の雑誌『週刊春潮』の副編集長。 スキャンダル記事に自負を持ち、充実した編集者生活を送っていた。

医師の辰史のもとに父が死んだという知らせが届いた。名家出身の父の後継者として雪深い山に建つ屋敷を訪れた辰史。

江戸川乱歩が戦時統制下に筆を折っていたように、ミステリーは自由で民主的な社会でしか発展できない。

白昼、老人が渋谷のスクランブル交差点で何もない空を指さして絶命した。正光秀雄96歳。

アクランド英国軍中尉はイラクで爆弾によって頭に重傷を負い、片目を喪失する。

駅前交番から突然、刑事一課強行係に異動となった原田貢(みつぐ)は慌てていた。

名門・師団坂法律事務所。しかし創設者を喪って以来、事務所の経営は下降の一途。

陥没した頭蓋骨には豆腐がぎっしり。他に凶器は見当たらない。

ある朝、川越城の外堀に浮かべられた一艘の紙の舟。

大森署の矢島は火災現場の冷凍倉庫で身元不明の五体の死体を発見する。死体は誰の手で何のために保管されたのか。

中国に渡って十五年、破産した紅真吾は、危機から救った大手商社の支店長・沢井から、儲け話に誘われる。

親友の夫だった医師アンドルー・モローと再婚したルシール。

とある若者の間で流行する奇病、異形性変異症候群にかかり、一夜にしておぞましい芋虫に変貌した息子優一。

友人に部屋を貸した翌朝、見知らぬ女がベッドで寝ていた。その上、彼女はとある理由で「俺」の部屋に居座り始め…。

ベイカー街221Bを訪れたある婦人は、強請に苦しむことを訴えつつも詳細を話せず、苛立つホームズに依頼を断られてしまう。

推理作家の恋住木美子は、作品数も収入も知名度も低いが、能書だけはまくし立て、おまけに酒乱ときては敬遠する編集者も多い。

妹のため殺人者となった兄!? 無実を訴える男のアリバイが崩れたとき、弁護人は……。

電機会社の資材課に勤める寿子にとって、女手ひとつで育ててくれた母親は、優しくて誰よりも仲良しの友だちだった。

病院で死を判定された人々が次々に生き返った―。

新宿歌舞伎町でセキュリティをするコウは、生きるためなら手段を選ばないしたたかな女。