火刑都市



※タグの編集はログイン後行えます

※以下のグループに登録されています。


【この小説が収録されている参考書籍】
オスダメ平均点

7.50pt (10max) / 4件

6.72pt (10max) / 18件

Amazon平均点

4.20pt ( 5max) / 15件

楽天平均点

3.57pt ( 5max) / 8件

みんなの オススメpt
  自由に投票してください!!
1pt
サイト内ランク []B総合:1232位
ミステリ成分 []
  この作品はミステリ?
  自由に投票してください!!

3.33pt

49.33pt

35.33pt

6.67pt

←非ミステリ

ミステリ→

↑現実的

↓幻想的

初公開日(参考)1986年03月
分類

長編小説

閲覧回数4,139回
お気に入りにされた回数2
読書済みに登録された回数34

■このページのURL

■報告関係
※気になる点がありましたらお知らせください。

改訂完全版 火刑都市 (講談社文庫)

2020年03月13日 改訂完全版 火刑都市 (講談社文庫)

東京都内の雑居ビルの放火事件で、若い男性ガードマンが焼死する。不審死の疑いが強く、警察が捜査を始めると、ガードマンには婚約者らしき女の影が。女の行方を追うさなか、あらたに赤坂のホテルが放火され、現場には“東亰”と不可解な文字が残されていた。都市論を巧みに織り込んだ社会派ミステリーの傑作。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.50pt

火刑都市の総合評価:8.21/10点レビュー 19件。Bランク


■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
全4件 1~4 1/1ページ
No.4:
(6pt)

火刑都市の感想


▼以下、ネタバレ感想

※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[]ログインはこちら

なおひろ
R1UV05YV
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

まあまあでした

意外な方向に話が進んだ。

わたろう
0BCEGGR4
No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

火刑都市の感想

島田節による社会派ミステリー。御手洗シリーズのような派手さはまったく無く、地味な現場叩き上げの中村刑事が靴の底を減らしてコツコツと聞き込みと検証をしていく捜査小説とも言える。もちろん、トレードマークとも言える少々の『強引さ』もチラホラはしてくれているのだが、それ以上に骨太なテーマと緻密で丁寧なプロットが凄い。序盤に描かれた描写が、終盤に新たな事実が判明した後に読み返すとまた違ったものが見えてくるという、事件は解決していないにも関わらず得られるこの爽快感に終始酔いっぱなしになり、また謎解きやトリックではなく『人間』の描写が常に中心にあり、文字通り一挙手一投足までも読み流せない濃密なヒューマンドラマが展開されている。真相は解明されなくとも、ずっと読み続けていたい素晴らしい作品でした。

カミーテル
MCFS6K6O
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

島田流社会派ミステリ

東京各所で発生する連続放火事件を扱った本書は、それまでの作品でも顔を覗かせていた島田氏の都市論、日本人論が前面に押し出された島田版社会派推理小説だ。本作で主人公を務めるのが中村刑事。御手洗シリーズの短編「疾走する死者」で登場し、さらにもう1つのシリーズ、吉敷シリーズにも登場している刑事だ。御手洗シリーズに出ていた刑事が主人公を務めるのはこの他に『斜め屋敷の犯罪』に登場した牛越刑事の『死者が飲む水』があるが、両シリーズに跨って出ているのはこの人物だけだったのではないだろうか(後にある作品では御手洗シリーズのある人物と吉敷シリーズのある人物が邂逅するが、それはまた別として)?
とはいえ、この中村刑事は主役を務めるほど特徴的な人物かといえばそうではなく、むしろ人物としては地味。確か画家のようなベレー帽を被っているという叙述があったぐらいだと記憶している。したがってもちろん閃き型の天才型探偵ではなく、地道に靴底をすり減らして現場百遍を実践する努力型探偵だ。私は読んだことないが、クロフツのフレンチ警部シリーズのような人物像といえるのではないか。

さて物語はある警備員の焼死体発見から、彼が勤務中に睡眠薬を飲んでいたため、気づかずにそのまま焼け死んだという職務怠慢のレッテルを貼られた不名誉な死に対して、中村刑事が疑問を持ち、捜査するうちにある女性に行き当たり、その女性が鍵を握っていると判断し、その女性を追うという展開を見せる。そして東京各所で頻発する連続放火事件の捜査も同時並行的に行われる。
やがて浮かび上がってくる犯人の動機はどちらかといえば観念的である。ただこの常人に理解しがたい、一種狂気を感じさせる動機もこういう作風に妙にマッチしてあり、個人的には納得できた。
そしてこのような渋い社会問題を内包した作品であっても、島田氏はトリックを挿入することを忘れない。私はこういう社会派的な主題を掲げた作風にはこういった本格ど真ん中のトリックはミスマッチなのであまり好きではなく、この頃は特にその傾向が強かった。その後同氏の吉敷シリーズを読み続けていくうちに、その抵抗も少なくなり、むしろこれこそが島田社会派の味わいだと思うようになった。後に読んだ島田氏のエッセイの中に、大仰なトリックは今では忌避されがちだが、昔の社会派と呼ばれる松本清張氏や森村誠一氏の代表作にも大胆なトリックが使われていたのだ、だから何もおかしいことはないのだという文章を読んでから、島田氏が意図的にトリックを採用していることを知った。

さて本作で開陳される弱者へのまなざし、そして江戸と現在の東京を比較した都市論はその後島田氏の作品で頻繁に語られることになる。今まで島田氏が東京という大都会に対して持っていた不満をぶつけた最初の作品だと云っていいだろう。御手洗シリーズでは見ることのない、渋みの効いた語り口を体験するにはうってつけの好編だとお勧めする。


▼以下、ネタバレ感想

※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[]ログインはこちら

Tetchy
WHOKS60S
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.15:
(5pt)

東ケイという幻の水運都市に憧れて

とにかくこのヒロイン像がすごい。
映像化されたときは樋口可南子がキャスティングされたそうですが、
この蘊蓄に満ちた作品を映像で説得力もたせるのは大変だと思う。
妊娠前にこの作品を読んだので、出産を安易に考えすぎてた私は、
自分とヒロインの年齢差を考慮に入れていなかったのでした。
母性があるのかないのか引き込まれながら読むうち、
動機が露になってほっとした部分もあります。
狂言回しは中村刑事で、御手洗でも吉敷でもありませんが、
著者のベストテンを選ぶとしたら私は迷いなく今作を入れます。
改訂完全版 火刑都市 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:改訂完全版 火刑都市 (講談社文庫)より
4065190134
No.14:
(5pt)

主人公の刑事の捜査に乾皮なき説得感

この時代だから描けた綿密で丹念な物語、惹き込まれるように読破しました。
ストーリーは最初の事件からその解決までの1年以上にわたっていて、起伏が大きかったりどんでん返しがあったりといった派手さはなく、淡々と着実に真実に迫っていくストーリーになっています。
(以下ネタバレあり)島田先生の作品は本当に読ませる力があるのですが、こちらはある意味テロリスト的犯罪の犯人が、なぜそのような犯行に至ったかの内面描写はなく、なぜその当時の若い男性にそういう思想があり得たか、を理解出来た感じでした。1970年ぐらいの学生運動から十数年ぐらいは経ってはいっているものの、今の大学生とは全く違うメンタルを持っていたであろう犯人が反政府的なこのような思想を持つことについては充分に納得ができますし、何と言ってもこの話のヒロインは消えた女性なので、その女性の生い立ちや上京して転々とするに至る経緯の方が主流なのです。
しかしこの話の大黒柱は何と言っても往年の刑事の地道な捜査です。意味不明な縁故的人脈を持っていて都合よく情報が入ってくるジャーナリストなんぞは出てきません。自分の感じた違和感を放置せず、何かあると調べ続ける実直な刑事がいるのみです。ここに断然たる昭和作家のリアリティがあります。
相手が刑事だからして周りが協力的なのは然るべきですが、それにしても「そんな都合のいい偶然あるか」「なんで相手にメリットもデメリットもないのに情報提供受けられた?」といった違和感を全く感じさせません。犯人側には犯罪を成功させるための若干の都合の良さが感じられないこともないのですが、それを追う側には都合の良さ・棚ぼた・あの人が実はあの人で(そりゃないぜ)が全くないところが珠玉です。最後犯行現場を巡る偶然については、普通考えられない確率のことだと思いますが、この一点だけがそうなので全体に納得感が保たれた上でドラマティックなのであり、なんでもかんでも都合よくあてはめてしまう事例が昨今の小説には散見されることを実感するに至りました。だからこそ最後のすごい確率の偶然が、ヒロインが犯人を殺すという幕引きに至るところに偶然を通り越した必然にすら感じてしまうのです。
なのに、その感動的なラストに事後談や無駄なセンチメンタルな語りをくっつけることをせずに、サラッと終わるのも素晴らしく清々しいのです。
改訂完全版 火刑都市 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:改訂完全版 火刑都市 (講談社文庫)より
4065190134
No.13:
(5pt)

島田荘司の東京あるいは江戸についてのノウハウが随所に生きている

島田荘司は、『島田荘司全集IV』の後書きの中で、『改訂完全版』としてリマスタするプロセスの中で、『夏、19歳の肖像』と『火刑都市』について、読み直してみて、自分の初期を代表する作品だと書いている。

この作品は、ホテルで缶詰ではなかったようだ。この前に書かれた『確率2/2の死』と、『サテンのマーメイド』・『夏、19歳の肖像』の3作は、出版社にホテルに缶詰にさせられて書いたらしい。ただ、この次の角川からリリースされた『消える上海レディ』は、御茶ノ水の山の上ホテルで缶詰になって書いた、と書かれている。

さて本作は、島田荘司の東京あるいは江戸についてのノウハウが随所に生きている。御手洗の短編集の中に『ギリシャの犬』というのがあるが、あれは『東京の橋』についてのノウハウが凄かった。あれと似たものを感じた。とても好きな作品です。
改訂完全版 火刑都市 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:改訂完全版 火刑都市 (講談社文庫)より
4065190134
No.12:
(3pt)

地道ながら焼身殺人(自殺)をテーマに、一族の因果と江戸の情緒とを丹念に織り込んだ佳作

作者としては珍しい地道な刑事物。事件は四谷で起きた自殺とも殺人とも取れる状況で発見された警備員の土屋の焼死体。殺人とも取れるのは(土屋が)結婚を約束していた同棲中の美人(「カンコ」とも「ユッコ」とも)が事件当夜以降、身辺整理の上、跡形もなく失踪しているからである。おまけに、土屋は極端な人嫌いで、2人の身辺調査は難航する。これを中村という刑事が執念深く追うというストーリー。

しかし、「カンコ」という愛称から中村が越後寒川に辿り着くのは流石に論理が飛躍し過ぎているだろう。美人の正体は渡辺由紀子。漁師だった由紀子の父親は既に亡くなっており、父親が半身不随で入院中に由紀子が産まれているので、由紀子は愛人の子供かも知れない。焼死体の話を聞いて母親が驚愕する辺りに事件の深層が潜んでいるのか。案の定、由紀子の実の父親は遊び人で焼身自殺したという。愛人の焼死という共通体験を母娘でしているのだ。しかし、由紀子は事件当夜のアリバイを主張し裏付けられる。そこへ、赤坂、虎の門と(密室状態での)放火魔による放火事件が起きる。四谷の事件もこの連続放火魔の仕業とも考えられるが、それではここまで由紀子を追って来た意味がなくなる。だが、発想の転換がある。由紀子が土屋を殺すために放火魔を利用したというものである。後は、放火魔の正体(は直ぐ分かる)、放火方法及び放火の動機である。そこへ、虎の門、新橋、有楽町、数寄屋橋、八重洲、大手町で放火事件が発生する。これらが江戸城のかつての外堀だった事は私でも分かる。放火魔の動機が東京の都市計画へのある種の狂信的抗議だった事が窺える。

密室のカラクリは詰まらないものでガッカリ。しかし、地道ながら焼身殺人(自殺)をテーマに、一族の因果と江戸の情緒とを丹念に織り込んだ佳作だと思った。
改訂完全版 火刑都市 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:改訂完全版 火刑都市 (講談社文庫)より
4065190134
No.11:
(5pt)

島田流・社会派推理の傑作

『占星術殺人事件』や『斜め屋敷の犯罪』などを読んで、江戸川乱歩や横溝正史直系の子孫だと思っていた島田荘司が、松本清張らの社会派ミステリの遺伝子も合わせ持っていたことを示した作品。なるほど主人公の刑事が、容疑者リストに浮かびあがった謎の女をおって、雪と日本海の荒海にだかれた北の寒村を訪れるところなどは、清張の名作『ゼロの焦点』を彷彿とさせるものがあった。

都市論に根ざした劇場型で偏執的な連続放火事件に殺人事件をかさね、時間的にも空間的にも広く興味をそそる物語展開で、飽きさせることなく読ませる。また、人生の勝ち組をもとめるゆえの犯罪者という、ある種の社会派推理小説にありがちな類型的な殺人者に堕することのない、より繊細で深い人生の機微を感じさせる犯人像の造形にも成功していた。細かな意外性やトリッキーな部分まであり、味わい深い島田流・社会派ミステリの傑作になっていると思う。
改訂完全版 火刑都市 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:改訂完全版 火刑都市 (講談社文庫)より
4065190134



その他、Amazon書評・レビューが 15件あります。
Amazon書評・レビューを見る     


スポンサードリンク