リベルタスの寓話



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初公開日(参考)2007年10月
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長編小説

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リベルタスの寓話 (講談社文庫)

2011年08月12日 リベルタスの寓話 (講談社文庫)

進化し続ける天才、最強の新作!! ボスニア・ヘルツェゴヴィナで、心臓以外の臓器をすべて他の事物に入れ替えられる、凄惨な切り裂き事件が起きた! MMORPG(オンライン・ゲーム)の闇を御手洗潔が暴く! 中世クロアチアの自治都市、ドゥブロブニク。ここには、自由の象徴として尊ばれ、救世主となった「リベルタス」と呼ばれる小さなブリキ人間がいた――。ボスニア・ヘルツェゴヴィナの一都市モスタルで、心臓以外の臓器をすべて他の事物に入れ替えられるという、酸鼻をきわめる殺人事件が起きた。殺されたのはセルビア人の民族主義グループの男たちだが、なぜか対立するモスリム人の男の遺体も一緒に残されていた。民族紛争による深い爪痕と、国境を越えて侵食するオンライン・ゲームによる仮想通貨のリアル・マネー・トレード。2つの闇が交錯するとき、複雑に絡み合う悲劇が起こる。 同じく民族紛争を題材とした中編「クロアチア人の手」も同時収録 --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。 (「BOOK」データベースより)




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リベルタスの寓話の総合評価:5.48/10点レビュー 29件。Cランク


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全2件 1~2 1/1ページ
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

トリックは奇抜だが・・

『リベルタスの寓話』を前編と後編に分けて、間に『クロアチア人の手』を挟む中編2作。『クロアチア人の手』の方はなかなかトリックとしては面白かったのですが、ほんまにそんなトリックできんのか?とやや疑問に感じてしまいました。一方、『リベルタスの寓話』は、最初の寓話は面白かったのですが、そもそも前編と後編に分ける意味が分からず、内容もなんか仮想通貨や何やらも絡み、1章ごとに結構話も飛びぃで、正直ようわかりませんでした。

タッキー
KURC2DIQ
No.1:
(8pt)

もう凄すぎて何が何だか

奇想と民族対立という社会的問題のコラボレーション。
本書を読む際、本格ミステリか民族問題提起の社会派小説か、どちらかに比重を置くことで評価も変わってくるだろう。

本書は大きく分けて3つの構成で成り立っている。
まず表題作の前編があり、その後に『クロアチア人の手』という中編が挿入され、最後にまた表題作の後編が始まるという、そう『帝都衛星軌道』と同じ長編の中に中編が挟まっているという構成だ。

表題作はボスニア・ヘルツェゴヴィアで起きた奇妙な猟奇殺人事件とオンライン・ゲームの話が平行して語られる。
メインの殺人事件は4つの惨殺死体のうち、3つが首を切られ、そのうち1つは心臓以外の内臓が全て取り出され、その代わりに飯盒の蓋やパソコンのマウスなどが内臓に見立てられて入れられているというおぞましい物。しかもクロアチアにはリベルタスという子供の大きさの金属人形の伝説があり、その死体はまさにリベルタスを擬えているという趣向だ。

もう1つの中編『クロアチア人の手』もこれまた奇妙な事件だ。ユーゴスラビアで起きた民族紛争の模様を通奏低音として流しながら、日本で起きた奇妙な密室殺人事件が語られる。
俳句国際コンクールで優秀賞を受賞したクロアチア人ドラガン・ボジョヴィッチとイワン・イヴァンチャンの2人が深川の芭蕉記念会館に宿泊した翌朝、イヴァンチャンの部屋はもぬけの殻となっており、もう1人のボジョヴィッチの部屋では男が密室状態で死んでいた。奇妙なことに部屋の水槽にはロビーの水槽にあったピラニアが入れられ、そこに手と顔を突っ込んだ状態で死んでいたのだ。遺体は右手と瞼と上唇を食いちぎられており、最も奇妙だったのは被害者はボジョヴィッチではなくイヴァンチャンだったということだ。
しかも逃亡したと見られたボジョヴィッチはなんと記念館の前の道路でタクシーに轢かれ、その拍子に持っていたトランクが爆発して死んでしまったというのだった。

いやあ本当に島田氏はとことん奇妙で理解不能な謎をどんどん放り込む。全然衰えないその奇想力に感服する。
この不可解な事件を解決するのがなんと石岡。彼は捜査を担当した寄居刑事が『占星術殺人事件』で知り合って以来御手洗と親交のある竹越刑事の伝手を頼って電話したのをきっかけに捜査に関っていく。

そして御手洗は、というとスウェーデンの大学にいてまたもや電話での出演となる。しかし今回は御手洗の推理が案外長く聞けるので、今までのような不満はないが、やっぱり彼の天才ぶりに現実味を感じないところがあるなぁ。

しかしクロアチアで俳句が盛んだったり、芭蕉記念会館にピラニアを詠んだ近代俳句が傑作だった理由でピラニアが飼われているなんて豆知識が投入されているが本当だろうか?しかしピラニアを詠んだ傑作俳句って一体…。

また余談になるが島田荘司氏の謎のモチーフには生命のないものが血肉を経て奇跡を起こすという幻想的な謎が多い。
デビュー作の『占星術殺人事件』のアゾートがそうだし、それをアレンジした『眩暈』も然り、『龍臥亭幻想』の森考魔王も然り、『ネジ式ザゼツキー』も機械仕掛けの人形が取り上げられている。とまあ一人の作家がこれほど人造人間、人形をテーマに取り上げるのも珍しい。
本書リベルタスもまた同じくブリキで出来た子供人形がクロアチアの前身とされるドゥブロブニクを救ったという寓話がテーマになっている。しかし作者あとがきによればこのリベルタスは全くの作者の創造によるもの。やはり島田氏はこのような人形の持つミステリアスな雰囲気が好きなのだろう。

しかし手垢がついているとはいえ、またこのテーマかと一度は思ってはみてもやはり面白い。

ただ本書はそんなギミックと驚愕の真相のみを評価するには十分ではないだろう。
本書で書きたかった島田氏の主張とはやはり旧ユーゴで起きた民族紛争が落とした暗く深い翳、セルビア人、クロアチア人たちの大きく深い暗黒のような溝にある。一緒の町に住み、一緒に遊んでいた子供達と親、仕事仲間が紛争が起きることでいきなり敵と味方に別れてしまう。それもそれまで深めた親交が全く意味がなかったかのように憎悪の炎を燃やし、家族同士が殺し合い、破壊し尽くし合い、レイプしあう、まさに地獄絵図のような状況に陥るのだ。それを民族の血がそうさせるのだという。
さらに紛争が終わった後も、レイプした者とされた者が以前と同じように同じ町に住み、働いており、顔も合わせるというのだから信じられない。
この民族の神経というものは一体何なのだろうか?感情の針の振り幅が大きすぎ、どうにも理解が出来ない。遠い日本の地でテレビや新聞、週刊誌を通じて伝えられる事実がいかに薄められて我々に提供されているのか、思い知らされた。
しかしそれでいいのだと思う。
世の中には知らなくていいこともあるし、もしありのままにメディアに情報が垂れ流しされていれば恐らくPTSDや人間不信に罹る日本人は増えたであろう。このような書物に触れた人間だけが知ればいいのであろう。
島田氏の世界残酷紀行は今なお続いている。


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No.27:
(5pt)

ミタライはスウェーデンにいて、『遠隔』で事件を解決していく

島田荘司の全作品コンプリートを推進中。島田荘司の『リベルタスの寓話』を読了した。『リベルタスの寓話』と『クロアチア人の手』という中編2篇からなる作品集で、初出は、2007年5月と9月の『メフィスト』。単行本は、同年10月5日リリース。

両方ミタライものなのだが、この段階でミタライはスウェーデンにいて、『遠隔』で事件を解決していく。

そしてこの作品も、島田荘司の基本である、

・まず、ありえないくらいの奇想がある
・その奇想をいくつかの別の奇想が加わり、より深い奇想になる
・それを最後には論理的に帰結させてしまう

が、ほぼ完全なカタチで構築されている。それも、今までの作品で最も難易度が高い、というかこれはいくらなんでも解けないだろう、と思うくらいにガチガチの奇想からスタートしている。チャプタ毎の構成もとても上手くて、唸ってしまう。

どちらも事件の発端は、クロアチア周辺だ(『クロアチア人の手』の事件自体は深川の芭蕉記念会館だが)。その歴史的背景と民族闘争の描き方が秀逸である。そして、この2篇がシンクロしている感じがする。

そういった要素に、医学的要素、そしてなんとRPGの要素、仮想通貨まで絡んでくる。もう驚いてしまう。そして、いつものように奇想は紐解かれ、論理的に帰結する。島田荘司のような大家が、こんなに斬新な世界をどんどんと自作に取り込んでいく姿に感銘すら覚える。

とても斬新な作品集で、ミステリー愛好者なら絶対に読み逃してはならない一冊だと思う。
リベルタスの寓話 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:リベルタスの寓話 (講談社ノベルス)より
4061827057
No.26:
(5pt)

学ぶ

歴史を含め多くのことを学ばせてもらった。普段は目を背けるようなこともこの本でなんとか読み続けることができた。人はどんな怪物にもなり得るものだと、血が氷る思いだ。
トリックや内容なのか、辛辣な意見が多いが、奇想天外だろうと、現実には難しいトリックであろうと、そのトリックを思いつけることが尊敬に値する。今ままでの己の書きてきたものと違うものを出力する才能というのものは尊敬に値する。
ただ、もう少し石岡くんに優しくしてほしいな、とは思ったが。
リベルタスの寓話 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:リベルタスの寓話 (講談社ノベルス)より
4061827057
No.25:
(5pt)

お家時間が充実

自宅で読書三昧できます。ありがとうございました。
リベルタスの寓話 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:リベルタスの寓話 (講談社ノベルス)より
4061827057
No.24:
(3pt)

クロアチア人をモチーフにした中編2編

御手洗シリーズの中編2編を収録。
両方ともクロアチア人とその民族紛争をテーマにした作品で海外ものと日本が舞台のもの。
最初の表題作は島田氏が当時提唱していた21世紀本格を志向したものだが、もともとこの21世紀本格というテーマ自体がイマイチ根付かないものであっただけに、最新科学を応用した内容だが、ミステリーとしてはやや面白味に欠けるか・・・・。
せっかくの猟奇的な導入部が台無しになっている感がある。
次のクロアチア人の手は日本が舞台で密室殺人もので本格ミステリーとしての面白さはこちらの方が上だが、その密室トリックは島田氏ならではのバカトリックだ。これも21世紀本格に沿ったトリックという事か・・・・。
まあ、御手洗ものとしては標準的な仕上がりか。
リベルタスの寓話 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:リベルタスの寓話 (講談社ノベルス)より
4061827057
No.23:
(2pt)

残念です

評価の低いレビューが並んでいる。クロアチアとセルビア等の根深い民族対立という、極東の地からは容易には体感として呑み込めない旧ユーゴスラビアの内戦をテーマとしており、その意味では手ごたえのあるはずの中編ミステリーが2編。しかし、近年の島田さんのミステリーづくりの無理なところが目について、こちらも☆3つどまりの評価しか下せない。

 おどろおどろしい描写、東欧史をそれなりに勉強したとおぼしき背景説明など、物語づくりに向けたいつもの意気込みはうかがえるものの、ひと言でいえば、2編ともに空回りしている。残念。
リベルタスの寓話 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:リベルタスの寓話 (講談社ノベルス)より
4061827057



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