屋上(屋上の道化たち)



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長編小説

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屋上 (講談社文庫)

2019年02月15日 屋上 (講談社文庫)

自殺する理由がない男女が、次々と飛び降りる屋上がある。足元には植木鉢の森、周囲には目撃者の窓、頭上には朽ち果てた電飾看板。そしてどんなトリックもない。死んだ盆栽作家と悲劇の大女優の祟りか?霊界への入口に名探偵・御手洗潔は向かう。人智を超えた謎には「読者への挑戦状」が仕掛けられている!(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.50pt

屋上(屋上の道化たち)の総合評価:4.98/10点レビュー 51件。Bランク


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全4件 1~4 1/1ページ
No.4:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

文庫版の表紙はいい仕事をしている

山口氏が本格ミステリ界のボブ・ディランと称した巨匠島田荘司氏は御手洗シリーズ第50作目にしてもその奇想度が全く衰えない。
今回は曰く付きの盆栽が置かれた屋上から突然人が飛び下りる不思議な事件を解決する。

いやはやよくもまあこんな話を思い付いたものだと感心した。先の山口氏のキッド・ピストルズの短編集の感想で私は偶然や予想外の出来事が起こることで不可能的状況が生まれるインプロビゼーションの妙が面白いと評したが、流石は巨匠島田氏、そんな山口氏の作品を遥かに凌駕する想像を超えた偶然をこれでもかとばかりに導入し、我々読者を上に書いた不可解事の世界へと誘うのだ。

物語のパートは大きく6つに分かれる。

まず物語の舞台となるU銀行の屋上に敷き詰められた盆栽の経緯について語る、夭折した若き盆栽家安住淳太郎の生涯。

そして田辺信一郎という青年のまるで階段を転げ落ちるかの如く、人生が転落していく様を描いた“苦行者”の章。

そして次から次へと行員が不審な飛び降り自殺を遂げるU銀行の“屋上の呪い”の章。

更にこれまた人生の落伍者である菩提裕太郎という40の独身男がたまたまサンタクロースの衣装を着たままU銀行に入り、銀行強盗に間違えられるまでを描いた、喜劇のような勘違いが連続する“サンタクロース”の章。

そしてU銀行員である“行き遅れ”OL岩木俊子が田辺信一郎と奇妙なシチュエーションで出逢う“宇宙人”の章。

そしてようやく御手洗潔が事件に乗り出し、真相を解明する“馬車道”の章。

いつもながら島田氏は社会の底辺で生活苦を強いられている人々や社会に馴染めない青年の話を事件に絡めて単なるミステリで終わらぬ、格差社会の矛盾など社会問題への提起を物語に含め、半ば作者の主張のような内容を盛り込むが、今回事件に関係する田辺信一郎と菩提裕太郎の2人は正直云って自業自得とも云える自分勝手な振る舞いと解釈とで生きていったがために社会から転落した男たちである。彼らは物事が上手く行かないことに自身の性格や考え方に問題があるのに、社会や他者のせいにすることで溜飲を下げ、そして脇の甘さから物事を悪化させていく。

例えば田辺信一郎。彼は大卒でありながら落研に所属し、碌に授業に出ず、寄席通いに精を出していたことで就活に失敗し、Y家電という量販店に入ったものの、典型的なブラック企業でその悪環境から逃げ出すように辞職し、その後転々と友人たちの家に泊めてもらう流浪生活を送った後、偶々見つけた社員募集のチラシに惹かれて入った不動産会社にルックスの良さでその女社長に気に入られ、就職したような人間だ。

しかも辞職後の放蕩生活の時によく見ていたピンク映画の影響で図らずも電車の中で痴漢を働き、捕まりそうになったので逃げ出し、更には時間つぶしに入ったショッピングビルで便意をもよおして誤って女子トイレに入り、危うく痴漢に間違えられそうになったところを必死で窓から飛び降りて逃げ出すという体たらく。

一方菩提裕太郎も生まれつき大きな身体を持っていたことで高校・大学と柔道である程度名を馳せ、その勢いで大手貿易会社に就職し、実業団柔道を続けていたがアキレス腱断裂で柔道選手の将来を絶たれ、体育会系の社員にありがちな横暴な生活が災いして上司とぶつかりそのまま辞職。
その後は自分が柔道だけが取り柄だったことに気付き、何もしても上手く行かず、40になっても独身で安アパート暮らし、バイトで日々の生計をようやく繋いでいるといった社会的弱者でありながら、大酒喰らいに粗暴な性格を直せず、社会に順応できずにいる。

いずれも大学まで出ていながらその後の人生を破綻してしまい、社会の底辺で管を巻き、不平不満と鬱屈した思いを抱きながら生きている底辺の人々だ。

また一方で岩木俊子のように容貌に恵まれず、行かず後家として銀行内の男性社員のみならず女性社員からも白目で見られながら、大阪出身のマイペースで明るい性格で周囲を感化する女性の心情も描く。
人前では明るく振る舞いながら、人一倍結婚願望が強いのに自分の容貌ゆえにそれが叶わず、男性に対して押しの強さを見せるものの、いつも付き合いまで発展せず、約束も反故にされることに慣れ、異性が自分に興味を持つことを期待しないようになった健気な一面が妙に心を打つ。

それら事件に関わる市井の人々を詳らかに、そしてやや饒舌に描く。その内容はいずれも我々の周囲に見かける普通の人々であり、読んでいる最中読者それぞれにモデルが浮かび上がることもしばしばだろう。

モデルと云えば最近の島田氏はモデルが特定できるような実在する企業をモチーフにしてこれら登場人物たちの背景を語ることが多くなってきている。

この前読んだ『ゴーグル男の怪』に登場する臨界事故を起こした住吉化研はもろJCOだし、今回登場する製菓会社プルコはその発展の礎となったおまけ付きキャラメルからグリコであることが容易に想起され、また登場人物の1人田辺信一郎が辞職する体育会系の家電量販店Y家電はヤマダ電機がモデルであろうことは容易に想像がつく。

思わず脱線してしまったので話を戻そう。

死にそうにもない社員が次々と会社の屋上から身を投げ、自殺することで呪われた銀行とまで云われるようになったこの怪異な事件を御手洗は快刀乱麻の如く解決する。

しかも本書は久々の、実に久々の読者への挑戦状が付いており、今回はそこで作者自身(語り手の石岡自身?)が述べているように、事件の背景となったそれぞれの登場人物の背景について語られており、今までの挑戦状付き作品よりも推理する材料は与えられていると感じた。
従って私もこの挑戦状を読み流さず、敢えて受けて立つことにした。

さてその真相は90%合っていたと云っていいだろう。豪腕島田ならではの、アクロバティックな事件の真相は本書でも健在。

しかし本書では文庫版の表紙が全てを物語っている。読み進めるうちにこの表紙も絵解き物として理解が増してくるのだ。

しかしそれでもU銀行とあさひ屋など隣接する2つのビル、そしてこの大型看板の位置関係は簡単な平面図が欲しかった。U銀行の屋上からは大型看板の裏側が見えるだけという一文でそれまでモデルとなった道頓堀のグリコの大型看板をイメージしていた私に混乱が生じた。
実在する看板のようにビルの壁一面に貼り付けられているようにイメージしていたのでその裏側が見えることに違和感を覚えたのだ。

また重箱の隅をつつくようで恐縮だが、以下の2点について触れておこう。

本書は短編集『御手洗潔のメロディ』所収の短編「SIVAD SELIM」の後の事件、つまり1991年の1月ごろの話となっている。しかしその時代だと、例えば田辺信一郎のエピソード“苦行者”の章で彼がY家電に入社し、労働省が「過労死ライン」を設定し、通達したとあるが、この通達は2001年12月に行われており、1991年の時点ではそれがなされていないため、時制が異なるのだ。

またプルコの看板を点検する際に御手洗が小鳥遊刑事にクレーンを呼ばせて道路を一部通行止めにするが、この場合は事前に警察に道路使用許可を申請して許可を得なければならないので、本書に書かれているようにはできないので注意が必要だ。

本書は冒頭に若き盆栽家の不遇な一生とそれに纏わるある大女優の悲惨な末路と遺された盆栽に纏わる連続する怪死事件と云う幻想的なエピソードを排し、更にそこに田辺信一郎という男と菩提裕太郎という社会的落伍者の不遇な歩みを彼らによって引き起こされる奇妙な出来事、更に事件の舞台となるU銀行界隈で起こるしがないラーメン屋と仏具店の主人が相次いでロールスロイスを買い、デパートのレストランのシェフが急に羽振りが良くなるという奇妙な状況、そしてそのデパートの4階の女子トイレで幽霊騒ぎが起きるなど、色んな噂話を放り込んでどんどん読者を引き込んだ後、それらが全て合理的に解決するというかつての御手洗シリーズの従来のスタイルを復刻させた作品であったことは喜ばしい。
しかも新作が刊行されるたびに重厚長大化が増していた頃と違い、導入されるエピソードもほどよい分量である(それでも540ページほどはあるが)。

この原点回帰のような健筆ぶりは評価したいが、先にも述べたように特定の企業をモデルにしたエピソードが正直事件に寄与しているとは云い難く、作品の怪異性、もしくは読者の興味を他へ逸らすためのミスリードのために盛り込まれているようにしか感じられないのは正直不満だ。書かれている内容は決して好意的な物でないため、実在する企業に対してそれは失礼であろう。

また元々の題名『屋上の道化たち』から『屋上』と非常に素っ気ないタイトルに変更したのも気になるところだ。

島田流本格ミステリが味わえるのは大歓迎だが、上に書いたような些末なミスや創作作法にいささか不満が残った。
特に上に書いたような時代考証の齟齬や公共機関への届け出の不備などは校閲の段階で指摘すべき点であろう。それは寧ろ出版社の務めだ。

島田氏が巨匠になり過ぎたために意見できないようになったのか。もしそうならばそれはそれで出版界も衰退していくだけだろう。本作品は単行本からノベルスを経て既に3度目の刊行でありながらこのようなミスが見られるのは何とも情けない限りだ。

しかし読者への挑戦状、幻想的な謎に合理的な解決と島田本来の本格ミステリが戻ってきたことは非常に喜ばしい。更に島田氏はその後も精力的に作品を刊行している。

御歳70歳でありながらなお意欲的な創作を続ける島田氏の作品のこれからが非常に楽しみだ。


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Tetchy
WHOKS60S
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

屋上の道化たちの感想


▼以下、ネタバレ感想

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氣學師
S90TRJAH
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

「屋上の道化たち」の感想

御手洗潔シリーズ50作目と言う事で、早速購入しました。
このところの島田荘司のミステリは、大層なトリックと見せかけて、実はそうでも無かった・・・というのが多く、少しずっこけ美味でしたが、本作は久々の御手洗潔の登場と言うことで、期待して読みました。

内容を一言で言えば、「自殺するはずのない人たちが、次々に飛び降りる屋上の謎」と言うことなのでしょうが、話がだらだらしすぎて、長編にする必要があったのだろうかと思えてしまいます。
謎解きだけなら、中編で十分です。余計な部分が多すぎて、ちょっと中だるみもしました。

また、大阪の女性が登場しますが、変な大阪弁ですね。私は大阪に住んでいますが、あのような大阪弁を使う女性に会ったことがありません。
時代が違うのかとも思ったりしましたが、時代設定は1991年1月で、舞台は神奈川県T見市と言う事です。
別に大阪弁を使う女性を登場させなくっても良いような展開ですが、終始気になって仕方がありませんでした。
また、変なラーメン屋のおじさんの話なんて、どうでも良い感じです。

それでも、260ページを過ぎたあたりからやっと、御手洗潔と石岡和己の掛け合いも登場し、それ以降は読む速度も早まりましたが、何かドタバタ喜劇の裏側を読んでいるような感じで、今回もずっこけながら読み終えました。

余談です。
読後に知ったことですが、作者の島田荘司さんが、NHKの朝ドラ・「あさが来た」を欠かさず見ていたそうです。
それで本作に最初に登場する女性が大阪出身で、神奈川に行っても大阪弁を話すと言う事は、もしかして朝ドラの影響なのでしょうか?
なので、登場する女性が、今はもう使わなったような、昔の大阪弁を使っているのかも知れないですね(笑)

トラ
WFY887SY
No.1:
(8pt)

屋上の道化たちの感想


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浮夜千尋
RZ2EE2JQ
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No.47:
(3pt)

賛否ありそう

島田荘司はコメディも出来るんだ
推理するには説明が足りなかった気がするが、ラストにかけては思わず石岡らと一緒にえーっ!っとなった
映像化したらなかなかコメディ俳優達が面白おかしくやってくれるんじゃないでしょうかワイヤーアクションで
自由すぎてちょっと、失笑してしまいました

プルコ笑笑
屋上 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:屋上 (講談社ノベルス)より
4062991187
No.46:
(4pt)

これはファンサービスかな

別れる前の御手洗・石川の話なので
キャラのファンなら楽しめるでしょう。
事件(事故?)は偶然の積み重ねな上に
人の意志で起きた死でないので全然盛り上がらず。
全体的にコメディーっぽいので
「嘘でもいいから殺人事件」を思い出します。
肩の力抜けた作品も長く続けるためには必要なんでしょうね
結構楽しめました
屋上の道化たちAmazon書評・レビュー:屋上の道化たちより
406219998X
No.45:
(3pt)

楽しめました

導入部分も面白いし3人の自殺者も謎だらけで楽しかったです。
ただこの謎解きはちゃんと実験して検証されているのですかね。
いくらなんでも無理があるような。
建物の位置関係や高さが記載されていないのでよくわかりません。
これで読者に挑戦状を叩きつけるのは納得がいきません。

が、楽しめたのでよしとします。

登場人物が不幸な人人ばかりで気の毒です。みんな死んじゃうし。
救われませんね。昔の島田先生の作品はかならず最後に希望があったのですが
最近のは情け容赦ないなぁ。
屋上 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:屋上 (講談社ノベルス)より
4062991187
No.44:
(1pt)

駄作

初期の作品と同じレベルを期待すると見事に裏切られる、かなりの駄作。
幼稚であり得ないトリックは、読者に対する詐欺に等しい。
主人公のキャラクターも、もうご馳走さまって感じ。
読むに値しない。
屋上 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:屋上 (講談社ノベルス)より
4062991187
No.43:
(5pt)

すぐ届いて便利です

評価遅れてすみません。迅速な発送でたすかりました。本も綺麗でした。
屋上 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:屋上 (講談社ノベルス)より
4062991187



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