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火刑都市



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火刑都市の評価: 7.50/10点 レビュー 4件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.50pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全4件 1~4 1/1ページ
No.4:
(6pt)

火刑都市の感想


▼以下、ネタバレ感想

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なおひろ
R1UV05YV
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

まあまあでした

意外な方向に話が進んだ。

わたろう
0BCEGGR4
No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

火刑都市の感想

島田節による社会派ミステリー。御手洗シリーズのような派手さはまったく無く、地味な現場叩き上げの中村刑事が靴の底を減らしてコツコツと聞き込みと検証をしていく捜査小説とも言える。もちろん、トレードマークとも言える少々の『強引さ』もチラホラはしてくれているのだが、それ以上に骨太なテーマと緻密で丁寧なプロットが凄い。序盤に描かれた描写が、終盤に新たな事実が判明した後に読み返すとまた違ったものが見えてくるという、事件は解決していないにも関わらず得られるこの爽快感に終始酔いっぱなしになり、また謎解きやトリックではなく『人間』の描写が常に中心にあり、文字通り一挙手一投足までも読み流せない濃密なヒューマンドラマが展開されている。真相は解明されなくとも、ずっと読み続けていたい素晴らしい作品でした。

カミーテル
MCFS6K6O
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

島田流社会派ミステリ

東京各所で発生する連続放火事件を扱った本書は、それまでの作品でも顔を覗かせていた島田氏の都市論、日本人論が前面に押し出された島田版社会派推理小説だ。本作で主人公を務めるのが中村刑事。御手洗シリーズの短編「疾走する死者」で登場し、さらにもう1つのシリーズ、吉敷シリーズにも登場している刑事だ。御手洗シリーズに出ていた刑事が主人公を務めるのはこの他に『斜め屋敷の犯罪』に登場した牛越刑事の『死者が飲む水』があるが、両シリーズに跨って出ているのはこの人物だけだったのではないだろうか(後にある作品では御手洗シリーズのある人物と吉敷シリーズのある人物が邂逅するが、それはまた別として)?
とはいえ、この中村刑事は主役を務めるほど特徴的な人物かといえばそうではなく、むしろ人物としては地味。確か画家のようなベレー帽を被っているという叙述があったぐらいだと記憶している。したがってもちろん閃き型の天才型探偵ではなく、地道に靴底をすり減らして現場百遍を実践する努力型探偵だ。私は読んだことないが、クロフツのフレンチ警部シリーズのような人物像といえるのではないか。

さて物語はある警備員の焼死体発見から、彼が勤務中に睡眠薬を飲んでいたため、気づかずにそのまま焼け死んだという職務怠慢のレッテルを貼られた不名誉な死に対して、中村刑事が疑問を持ち、捜査するうちにある女性に行き当たり、その女性が鍵を握っていると判断し、その女性を追うという展開を見せる。そして東京各所で頻発する連続放火事件の捜査も同時並行的に行われる。
やがて浮かび上がってくる犯人の動機はどちらかといえば観念的である。ただこの常人に理解しがたい、一種狂気を感じさせる動機もこういう作風に妙にマッチしてあり、個人的には納得できた。
そしてこのような渋い社会問題を内包した作品であっても、島田氏はトリックを挿入することを忘れない。私はこういう社会派的な主題を掲げた作風にはこういった本格ど真ん中のトリックはミスマッチなのであまり好きではなく、この頃は特にその傾向が強かった。その後同氏の吉敷シリーズを読み続けていくうちに、その抵抗も少なくなり、むしろこれこそが島田社会派の味わいだと思うようになった。後に読んだ島田氏のエッセイの中に、大仰なトリックは今では忌避されがちだが、昔の社会派と呼ばれる松本清張氏や森村誠一氏の代表作にも大胆なトリックが使われていたのだ、だから何もおかしいことはないのだという文章を読んでから、島田氏が意図的にトリックを採用していることを知った。

さて本作で開陳される弱者へのまなざし、そして江戸と現在の東京を比較した都市論はその後島田氏の作品で頻繁に語られることになる。今まで島田氏が東京という大都会に対して持っていた不満をぶつけた最初の作品だと云っていいだろう。御手洗シリーズでは見ることのない、渋みの効いた語り口を体験するにはうってつけの好編だとお勧めする。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S

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