深夜のバー。小学校のクラス会三次会。

「十六歳だった。あのひとに出会うまで十六年もかかってしまったという気持ちは、後悔に少し似ている―」。

人に迎合し、喜ばせることが生きがいの眉子。

30歳の誕生日を挟んで、ふたつの大災難に見舞われた松村鳩子。婚約者に逃げられ、勤め先が破綻。

デートの経験もある。男と寝たこともある、一度きりだけど。

朝霞、新座、志木。家庭を持ってもこのへんに住む元女子たち。

四十三歳の宇津井茂美はいまだに男性経験がない。自分と似た境遇の伯母が入院してしまい、独り身の行く末を案じていた。

事務系OLの青葉は、仕事で出会った男、朔郎と結婚した。新居は彼の赴任先の札幌の築十五年3LDKのマンション。

誰もが名も無き日常を、諦めと期待の中で生きている―ともしびスーパーマーケット鳥居前店の買い物客も従業員も、彼らの帰宅を待つ家族も、遠くから想う恋人も。

B(ブス)でW(わきが)の内海恵理伊は、幼い頃から華やかな名前と地味な容姿とのギャップに悩み、自信が持てずにいた。

「夫としてはたぶんもう好きじゃないんだよね」。

北海道のある町で運命的に出会った中学生「ニコ」と「弥子」。

最高に格好いい87歳、伝説の元刑事。

ご近所さん、同級生、バイト仲間や同僚―。

ぼくの飼い猫のピートは、冬になるときまって「夏への扉」を探しはじめる。

アットホームが社風のメーカーに入社した美夏が配属された総務課には、美人、真んなか分け、中年女の3人の先輩OLが待ち構えていて…(「直立チューリップ」)。

小さなまちで、男の目を引くからだを持て余しつつ大人になった地味な性格のアカリ。

人生の「秋」をむかえたおとなたちは、家族、恋愛、仕事のあれこれに、日々惑わされている。

わたしは、この「ちいさな集まり」の一員になったときの母が、もともとの母であるような気がした。

この子の未来を応援しよう、と決めた子がわたしたちにはいた。オリンピック代表の彼女に期待し、夢を託したが―(第一話)。

母親が自分に寄せる夢を体に溜め込み肥満化した節子。他人の秘め事を言い当てられるがゆえに高慢で孤独な絵理香。

いつもだいたい機嫌がよろしい元ブリキ職人の夏目清茂・七十四歳。

大人気恋愛漫画『やがて君になる』の外伝ノベライズが登場! 理解でもなく、諦めでもなく、そこにあるのは自分への納得。

10年ぶりの再会が、騙し合いの始まりだった。 青春を奪った体罰教師に卒業生たちが仕掛けた罠。

愛する人との内縁関係を貫いた曾祖母、族のヘツドの子どもを16歳で産んだ祖母、理想の家庭像に邁進しすぎる母という、強烈な女系家族に育つ女子高生の若菜は、自分のキャラのなさに悩んでいた。

寄生して成長するコウモリラン、いつの間にやら大繁殖するホテイアオイ、暗くてじめじめしたところにいるほど生き生きするコケ…。

いつも背中を追いかけていた、あの人への『憧れ』。夢の中で一緒に過ごした、海辺でのあの子との『友情』。

平凡な街の地下鉄駅構内で通り魔事件が発生。事件はさまざまな人々に影響を及ぼす―。

札幌のデパートに勤務する吉田は、中年の男性にひとめぼれしました。あとは、まっしぐらです。

売れないアラサータレント「おかえり」こと丘えりか。唯一のレギュラー番組が、まさかの打ち切り…。

平安時代中期。天皇の従兄である仁和寺僧・寛朝は、己の楽音を究めるため、幻の師を追って京から東国へ下った。

就職を前に何も変わらない灰色の日々。

正子は75歳の元女優。

あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。

一番近くにいるのに 誰よりも遠い。 海釣りに出たまま、二度と帰らなかった夫。

本屋大賞ノミネート作家、瀬尾まいこのデビュー直後から3年半の日常をつづるほのぼのエッセイ。

うる波は、事故死した夫「鹿野くん」の幽霊と一緒に暮らしている。

「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導し……。

いま旬の女性ミステリー作家による、「イヤミス」短編を集めたアンソロジー。

「なんだか、硬いね」ベッドで恋人が乳房の異変に気づいた。仕事と恋を謳歌する咲子の人生に暗雲が翳る。

平凡な郊外の町に、災いは舞い降りた。熱に浮かされ、痙攣を起こしながら倒れる住民が続出、日本脳炎と診断された。

幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。

もし絵馬の言葉が本当なら、私をあなたのお嫁さんにしてください―。きっかけは絵馬に書いた願い事だった。

遠く離れた2つの温泉地で硫化水素による死亡事故が起きた。

一級建築士の青瀬は、信濃追分へ車を走らせていた。望まれて設計した新築の家。

警察官を定年退職し、妻と共に四国遍路の旅に出た神場。

『孤狼の血』『盤上の向日葵』著者が放つ、社会派ミステリ! 結婚詐欺容疑で介護士の冬香が逮捕された。

この主人公の流され方に、自分は違うと言い切れますか。人間・人生の不可思議をとことん突きつめる、著者の新たな代表作の誕生。

大手製薬会社社員の藤井賢一は、不祥事の責任を取らされ、山形の系列会社に飛ばされる。

まじむの事業計画は南東東島のサトウキビを使って、島の中でアグリコール・ラムを造るというものだ。

東京でインテリア・アートの販売員をするOL、真紅。仕事に挫折し、母親の待つ故郷に帰るべきではないかと悩んでいたある日。

「日本に美術館を創りたい」。その夢を追いかけ、絵を一心に買い集めた男がいた。

大学で犯罪心理学を教える高倉は、妻と二人、一戸建てに暮らす。

30年前に小樽で発生した母娘惨殺事件。死刑 がすでに執行済みにもかかわらず、被告の娘 が再審を請求した。

朝倉かすみが挑む少女×ふしぎの物語。表題作のほか「留守番」「カワラケ」「おもいで」「へっちゃらイーナちゃん」の全5話。

仕事がしたい。なのに、あの男は“私の家”に帰ってきて偉そうに「夕飯」だの「掃除」だの命令する…。