人はなぜ人を殺すのか――河内音頭のスタンダードナンバーで実際に起きた大量殺人事件＜河内十人斬り＞をモチーフに、永遠のテーマに迫る渾身の長編小説。

「―― 大きい俺や小さい俺、青空に円形に展開、みな、くわっとした格好で中空に軽くわなないている ――」。

金がない、仕事もない、うるおいすらない無為の日々を一発逆転する最後の秘策。それはメルヘン執筆。

第28回川端康成文学賞を受賞した「権現の踊り子」ほか「鶴の壺」「矢細君のストーン」「工夫の減さん」「ふくみ笑い」「逆水戸」の全6編からなる短編集。

最高ってなんて最高なんだろう。僕らはいつも最高だ。

生きているだけ。ただ、生きているだけで負い切れぬ罪障が積み重なっていく。

日々の生活の中でたまった鬱を、日々の生活の中でいかに散ずるか。 「物」を買い、使い、また買い、使う。

浄土を求めながらも穢土に生き、現実と妄想のあわいで足掻く人々。

ひょんなことから跋丸への復讐をすることになった「自分」と帆一。

頭のなかに雨が降る。 小説という名の異世界。

家に不具合が生じたとき、「我慢する」と「リフォームする」の選択肢がある。

劣化する感性を粉砕する、破壊力抜群の傑作長編! こいつを潰すのは俺の使命。俺の勇気。

ホサナ。私たちを救ってください。

人を殺し、育った修道院兼教護院に舞い戻った青年・朧。なおも修道女を犯し、暴力の衝動に身を任せ、冒涜の限りを尽くす。

千年の時を超え、現代に生きる源義経が、自らの怒涛の生涯を語り出す。

1972年夏、キクとハシはコインロッカーで生まれた。

公園にひとりで座っていると、あなたには何が見えますか?スターバックスのコーヒーを片手に、春風に乱れる髪を押さえていたのは、地下鉄でぼくが話しかけてしまった女だった。

世界にあふれる「真実」を疑え! ストーリー、つまり嘘、を書き続けることに疲れた作家の「僕」は、本当のことだけを書く「真実真正日記」をつけはじめる。

金欠、妄想、愛憎、暴力。救いようもない最底辺男の壮絶な魂の彷徨は、悲惨を通り越し爆笑を誘う。

娘の緑子を連れて大阪から上京してきた、「わたし」の姉でありホステスの巻子。

長谷川初実（ハツ）は、陸上部に所属する高校1年生。

雅子、43歳、主婦。弁当工場の夜勤パート。

鼬族の惑星クォールの刑紀999年6月3日、国籍不明の2基の核弾頭ミサイルによって国際都市ククモが攻撃され、翌4日、無数の小型単座戦闘艇に乗ったオオカマキリを従えた文房具の殺戮部隊が天空から飛来した。

優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。

雪深いホテル。古いダンスホール…地方でくすぶる従業員カザマは、梅毒と噂される盲目の老嬢ミツコに出会う。

友人の死に導かれ夜明けの穴にうずくまる僕。地獄を所有し、安保闘争で傷ついた鷹四。

同情は美しい? それとも卑しい? 優しくたって、美人だって、幸せになるのは一苦労。第6回大江健三郎賞受賞作。

あひるを飼い始めてから子供がうちによく遊びにくるようになった。

「二〇〇一年のクリスマスを境に、我が家の紐帯は解れ」すべてを失った“わたし”は故郷に還る。

不遇に果てた大正期の私小説家・藤澤清造。その負の存在に心の支えを見出し“歿後弟子”を目指す男の捨て身の日々。

ある日突然現われた父親と名のる男が、奇怪な魚に生れ変り、それまで何の変哲も無かった街が水中の世界に変ってゆく『水中都市』、コモン君が、見馴れぬ植物になる話『デンドロカカリヤ』、安部短編作品の頂点をなす表題二作に、戯曲「友達」の原形となった『闖入者』や『飢え

公団住宅で三つ子の姉と、両親、祖父母に愛されて暮らす「こっこ」こと渦原琴子は、口が悪く、偏屈で硬派な、孤独に憧れる小学三年生。

27歳のタクシードライバーをいまも脅かすのは、親に捨てられ、孤児として日常的に虐待された日々の記憶。

同時に、しかも別々に誘拐された美貌の妻と娘の悲鳴がはるかに聞こえる。

あみ子は、少し風変わりな女の子。

タイム・マシンを発明して、直前に起った出来事を眺める「笑うな」など、ユニークな発想とブラックユーモアのショートショート集。

人はいったい体のどこで考えているのか。

薄紫の香腺液の結晶を、澄んだ水に落とす。

絶望的な"閉ざされた"状況にあって、疎外された少年たちが築き上げる奇妙な連帯感。

鋭敏な頭脳をもつ貧しい大学生ラスコーリニコフは、一つの微細な罪悪は百の善行に償われるという理論のもとに、強欲非道な高利貸の老婆を殺害し、その財産を有効に転用しようと企てるが、偶然その場に来合せたその妹まで殺してしまう。

砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。

男にだまされた母・肉子ちゃんと一緒に、流れ着いた北の町。肉子ちゃんは漁港の焼肉屋で働いている。

少女の秘密が、ぼくの世界を塗り替えた。信じること、与えること、受け入れること、そして変わっていくこと…。

僕はこの世界に左足から登場した―。圷歩は、父の海外赴任先であるイランの病院で生を受けた。

「この世界にアイは存在しません。」入学式の翌日、数学教師は言った。

錬金術の秘蹟、金色に輝く両性具有者(アンドロギュノス)、崩れゆく中世キリスト教世界を貫く異界の光……。

謎のカルト教団と革命の予感。自分の元から去った女性は、公安から身を隠すオカルト教団の中へ消えた。

研究者の道をあきらめ、家業の町工場・佃製作所を継いだ佃航平は、製品開発で業績を伸ばしていた。

行方不明だった少年の事故死体が、森の奥にあるとの情報を掴んだ4人の少年たちは、「死体探し」の旅に出た。

伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。

専業主婦の小夜子は、ベンチャー企業の女社長、葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めるが…。

「山は半分殺してちょうどいい―」現代の狩人であるマタギを取材していた編集者・美佐子は動物写真家の吉本から教えられたその言葉に衝撃を受ける。

「大きくなること、それは悲劇である」。

1975年、偉大なる総統の死の直後、愛すべき祖父は何者かに殺された。17歳。

「えっ。

日露戦争に従軍した猟師の矢一郎は故郷を離れ、樺太で過去を背負い流浪の生活を続けていた。そんな彼を探し回る男が一人。