(短編集)
権現の踊り子
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町田氏の色々な書物を読んでいるが、個人的には町田さんの 脳味噌を隈なく覗き込む事が出来る、隠れた作品。 笑いあり、涙あり、狂気あり。 中でも「工夫の減さん」と「ふくみ笑い」は同じ人間が 書いたとは思えない落差。減さんは、本当に良い。こんな 短編と出会えたのは嬉しい限り。 「ふくみ笑い」は、町田ワールド全快。狂気。怖いです。 「逆水戸」は、筆者のお遊びだが面白い。不条理過ぎる世界。 気分の悪くなる人、居ると思う。 「工夫の減さん」目的でも、読む価値はあると思います。 私はこの話が今でも大好きです。 | ||||
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初めて町田さんの作品を読んだのは「正直じゃいけん」でした。なんじゃこの便所の落書きのような文章は!と後悔しつつ、耐えに耐えて100ページを超えたあたりからド〜ンと町田ワールドに嵌り、その快感が癖になりました。 大作「告白」、「宿屋めぐり」や自身の心模様が描かれるエッセイ「東京飄然」など素晴らしい作品群。どの作品にも共通するのはこれまで文章化することが不可能であった愚かな人間の心を描いてるということです。いわゆる奇人変人の思想、思考を文章化するのは町田さんにしかできないでしょう。いたって普通に生きてきた人間にとって、想像もできない人生の疑似体験をすることが文学のだいご味。その究極が町田さんの作品です。 この短編集では少ないページ数に凝縮されたワールドに読者が入り込むには、素のままでははじき返されてしまいます。中編、長編で慣らしてからにした方が良いでしょう。それでもというならば、コツを。町田ワールドでは造語や奇妙な名詞がちりばめられています。鹿叛木=ろっぽんぎなどは序の口。読めないし、ルビもないそんな単語ですが、読めなくてもいい!その漢字の雰囲気を脳に信号化することです。信じられない思考が文章になって溢れていますが、それを疑似体験して愚かな人生を体験しましょう。人はおろかなものである…これこそ町田ワールド。例えばヒトラーなんてものすごく愚かです。どんな偉人にも愚かな内面があります。スティーブ・ジョブスも死の病への対応を誤り、惜しまれて亡くなりました。それでいいじゃないか、絶対に死ぬものであり、しかし死ぬまでは生きているのも確かなこと。ならば死ぬまで全力で生きてやる!そんな熱さを行間に感じられたら、あなたはもう町田ワールドの住人です。 表題作「権現の踊り子」が川端康成文学賞を受賞したとのことですが、私には「?」です。この作品集では「ふくみ笑い」の凄さが際立っており、その世界への4段ロケットの一つだという印象です。「鶴の壺」から徐々に社会の重力から脱していき「権現の踊り子」で大気圏外へするとそこにデススターならぬ「ふくみ笑い」がド〜ンと!!! でも「ふくみ笑い」は中編の分量だから対象外なのかな? もしこの作品から入られた方には「告白」への挑戦をお勧めします。では、じゃんかじゃんかじゃんかじゃんか。 | ||||
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以前読んだ、本著収録の『工夫の減さん』がどうしてももう一度読みたくなり、購入した。本著には川端康成文学賞を受賞した表題作のほか、全6編の短編が収録されているが、読み終えて数年後、どうしてももう一度読みたくなったのが『工夫の減さん』だった。 この話は、工夫をしすぎて人生を破滅させていく男の物語なのだが、そんなおかしなことがあるはずなさげで、「めっちゃあるじゃん。こういう人っているじゃん。なんか俺も心当たりがあるぞ」と思わされる作品。個人的には町田康さんの短編の中で一番好きだ。町田さんにして、世の理不尽を哀愁いっぱいに描ききった名作だと思う。 | ||||
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上手い作家だと思う。 ドライブ感とかリズムとか、笑いとかノリとかが目立つが、実のところすごい文学的技巧派。ほんとうに「文学」を良く勉強してらっしゃるな、と関心させられる。 その点が、他の、ノリだけの若手の書き殴り系とは明らかに一線を画しており、玄人集にも高い評価を受けているゆえんだと思う。 計算しつくされ、言葉も選び抜かれ、清廉された文体で書かれている。 なおかつ個性的、独自性があるというのは、ものすごく貴重。 天才、秀才、どちらにしても、すげーとしか言いようがない、書き手だと思う。 | ||||
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収録作品のうち、二篇について書く。 現代の「のっぺらぼう」、と呼ぶべきか、「ふくみ笑い」。 検閲のことを考えた。検閲なんて、いまの時代の文学に関係ない、そりゃ、そうなんだけど、これに近いことは日常生活で頻繁に起こっていると私は思う。以下に書くことは、あくまでたとえ話である。たとえば、そう、社員同士で、社長か役員かの噂話をする、もちろん悪いほうだが、そこにその噂の当人が通りかかる、なに、しゃべってんだい、と当人が言う、そこでその噂話をしてる人たちは、阿吽の呼吸ともいうべき、「ふくみ笑い」を交し合い、噂されてる当人じゃなく、別の人のことを言ってるんだ、と噂の当人に思い込ませようとする、話をすげかえちまう、すっとぼける、ごまかしやがる、噂された当人は、何か飲み込めないものを感じ、その日一日を鬱々と暮すことになる、まったくもって、「ふくみ笑い」ほどの不気味、不可解な笑いはない。まったくもって、町田さんには、やられた。 「工夫の減さん」。私にも、ちょこっと、思い当たる節がある。明日楽するために、今日苦労するのだ、と気合を入れて仕事をする。はじめのうちは、うきうき楽しいのであるが、しだいに、どんな因果で、わしは、明日の仕事を今日せんければならんのだ、明日のことを思い煩うな、とあの人が言っていたのではなかったか、まったく、あほらしい、明日のこた、明日やりゃいいのだ、やめっちまおうかな、と思うのだが、やはり、何の因果か、これが、やめられぬのである、しまったことになってしまった、と思うのだが、どうしようもねえんである。まったくもって、わしの工夫は、諸悪の本である、まったくもって、町田さんにはやられた。 | ||||
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