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(短編集)
権現の踊り子
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権現の踊り子の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.42pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全19件 1~19 1/1ページ
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町田氏の色々な書物を読んでいるが、個人的には町田さんの 脳味噌を隈なく覗き込む事が出来る、隠れた作品。 笑いあり、涙あり、狂気あり。 中でも「工夫の減さん」と「ふくみ笑い」は同じ人間が 書いたとは思えない落差。減さんは、本当に良い。こんな 短編と出会えたのは嬉しい限り。 「ふくみ笑い」は、町田ワールド全快。狂気。怖いです。 「逆水戸」は、筆者のお遊びだが面白い。不条理過ぎる世界。 気分の悪くなる人、居ると思う。 「工夫の減さん」目的でも、読む価値はあると思います。 私はこの話が今でも大好きです。 | ||||
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初めて町田さんの作品を読んだのは「正直じゃいけん」でした。なんじゃこの便所の落書きのような文章は!と後悔しつつ、耐えに耐えて100ページを超えたあたりからド〜ンと町田ワールドに嵌り、その快感が癖になりました。 大作「告白」、「宿屋めぐり」や自身の心模様が描かれるエッセイ「東京飄然」など素晴らしい作品群。どの作品にも共通するのはこれまで文章化することが不可能であった愚かな人間の心を描いてるということです。いわゆる奇人変人の思想、思考を文章化するのは町田さんにしかできないでしょう。いたって普通に生きてきた人間にとって、想像もできない人生の疑似体験をすることが文学のだいご味。その究極が町田さんの作品です。 この短編集では少ないページ数に凝縮されたワールドに読者が入り込むには、素のままでははじき返されてしまいます。中編、長編で慣らしてからにした方が良いでしょう。それでもというならば、コツを。町田ワールドでは造語や奇妙な名詞がちりばめられています。鹿叛木=ろっぽんぎなどは序の口。読めないし、ルビもないそんな単語ですが、読めなくてもいい!その漢字の雰囲気を脳に信号化することです。信じられない思考が文章になって溢れていますが、それを疑似体験して愚かな人生を体験しましょう。人はおろかなものである…これこそ町田ワールド。例えばヒトラーなんてものすごく愚かです。どんな偉人にも愚かな内面があります。スティーブ・ジョブスも死の病への対応を誤り、惜しまれて亡くなりました。それでいいじゃないか、絶対に死ぬものであり、しかし死ぬまでは生きているのも確かなこと。ならば死ぬまで全力で生きてやる!そんな熱さを行間に感じられたら、あなたはもう町田ワールドの住人です。 表題作「権現の踊り子」が川端康成文学賞を受賞したとのことですが、私には「?」です。この作品集では「ふくみ笑い」の凄さが際立っており、その世界への4段ロケットの一つだという印象です。「鶴の壺」から徐々に社会の重力から脱していき「権現の踊り子」で大気圏外へするとそこにデススターならぬ「ふくみ笑い」がド〜ンと!!! でも「ふくみ笑い」は中編の分量だから対象外なのかな? もしこの作品から入られた方には「告白」への挑戦をお勧めします。では、じゃんかじゃんかじゃんかじゃんか。 | ||||
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以前読んだ、本著収録の『工夫の減さん』がどうしてももう一度読みたくなり、購入した。本著には川端康成文学賞を受賞した表題作のほか、全6編の短編が収録されているが、読み終えて数年後、どうしてももう一度読みたくなったのが『工夫の減さん』だった。 この話は、工夫をしすぎて人生を破滅させていく男の物語なのだが、そんなおかしなことがあるはずなさげで、「めっちゃあるじゃん。こういう人っているじゃん。なんか俺も心当たりがあるぞ」と思わされる作品。個人的には町田康さんの短編の中で一番好きだ。町田さんにして、世の理不尽を哀愁いっぱいに描ききった名作だと思う。 | ||||
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上手い作家だと思う。 ドライブ感とかリズムとか、笑いとかノリとかが目立つが、実のところすごい文学的技巧派。ほんとうに「文学」を良く勉強してらっしゃるな、と関心させられる。 その点が、他の、ノリだけの若手の書き殴り系とは明らかに一線を画しており、玄人集にも高い評価を受けているゆえんだと思う。 計算しつくされ、言葉も選び抜かれ、清廉された文体で書かれている。 なおかつ個性的、独自性があるというのは、ものすごく貴重。 天才、秀才、どちらにしても、すげーとしか言いようがない、書き手だと思う。 | ||||
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収録作品のうち、二篇について書く。 現代の「のっぺらぼう」、と呼ぶべきか、「ふくみ笑い」。 検閲のことを考えた。検閲なんて、いまの時代の文学に関係ない、そりゃ、そうなんだけど、これに近いことは日常生活で頻繁に起こっていると私は思う。以下に書くことは、あくまでたとえ話である。たとえば、そう、社員同士で、社長か役員かの噂話をする、もちろん悪いほうだが、そこにその噂の当人が通りかかる、なに、しゃべってんだい、と当人が言う、そこでその噂話をしてる人たちは、阿吽の呼吸ともいうべき、「ふくみ笑い」を交し合い、噂されてる当人じゃなく、別の人のことを言ってるんだ、と噂の当人に思い込ませようとする、話をすげかえちまう、すっとぼける、ごまかしやがる、噂された当人は、何か飲み込めないものを感じ、その日一日を鬱々と暮すことになる、まったくもって、「ふくみ笑い」ほどの不気味、不可解な笑いはない。まったくもって、町田さんには、やられた。 「工夫の減さん」。私にも、ちょこっと、思い当たる節がある。明日楽するために、今日苦労するのだ、と気合を入れて仕事をする。はじめのうちは、うきうき楽しいのであるが、しだいに、どんな因果で、わしは、明日の仕事を今日せんければならんのだ、明日のことを思い煩うな、とあの人が言っていたのではなかったか、まったく、あほらしい、明日のこた、明日やりゃいいのだ、やめっちまおうかな、と思うのだが、やはり、何の因果か、これが、やめられぬのである、しまったことになってしまった、と思うのだが、どうしようもねえんである。まったくもって、わしの工夫は、諸悪の本である、まったくもって、町田さんにはやられた。 | ||||
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「ふくみ笑」いは「けものがれ、俺らの猿と」のような陰鬱として粘着質で多湿、展開も不条理極まりない、町田作品の中ではあまり好きではない方の文章。「石井君のストーン」「工夫の減さん」は良かった。特に「減さん」はその不器用な生き様にホロッときた。 | ||||
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自分の考え付くことは独自だっていう、自分は自分であることそれ自体が特殊で特別であるっていうガキみたいな考え方なんだよね。 その思いの根本、根源にあるのは、自分が理解できぬ、わからない世界の中で若い者が楽しそうにしているということに対する嫉妬・羨望の思いであって、自分というものは灰色の日常の中で苦闘、感性・感覚がすっかり鈍麻して新しい音楽を聴いてもわからなくなってしまっているというのに、そんな苦労をいっさい知らぬ若僧が音楽を聴いて楽しんでいるのが、むかつく、ということで、そんなことを認識して俺はますます悲しく絶望的だ。 なるほどなあ〜〜と思った作中の文章であります。 | ||||
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町田康。たぶん好き嫌いが分れる作家だと思う。 何も知らずに読むと足を掬われます。つかみ所のない話が多くて、 訳が分からないけどまた読みたくなったりして不思議な魅力があります。 独特な言い回し(「りゃりゃりゃりゃ..」とか)にもやられました。 表題作は、音と作品が混ざったような、うまく表現できませんが、 何ともせつない気分になりました。 間違いなく町田康にしか書けない作品です。 | ||||
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題材の選び方と表現の面白さに爆笑しながらも、一抹の悲しさがいい意味で後味悪く残ります。 町田康さんの作品には、アウトロー(の道を進もうと四苦八苦する人)の視点から世俗の社会を語るという 基本テーマがあると思うのですが、『権現の踊り子』では特に大衆の悲しさが強調して描かれています。 かといって嫌味があるわけでもありません。町田作品の中では比較的ストーリーがしっかりしていて読みやすく、 なおかつ独特の小気味いい文体も健在です。 収録作品の『矢細君のストーン』もお気に入りです。「ヒコーキノッタラ…」のくだりが頭にこびりついて離れません。 | ||||
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この内容で580円? 安すぎる! いやぁ面白い! 何か町田康の頭の中に入って脳味噌の皺を数えてる感じ。 なんか「逆水戸」が人気あるみたいですけど個人的には 「ふくみ笑い」が好きです。あっ!でも「矢細君のストーン」 と「工夫の減さん」も好き。って言うか全部好き! でもやっぱ「ふくみ笑い」が一番かなぁ。 個人的に・・・あくまで個人的な意見ですが「ふくみ笑い」が この時点での町田康の集大成の様に思えてしまいました。 あの序盤のいつも以上に異常な被害妄想、神経過敏っぷり から不思議なキャラ達。主人公の行動力及びにドライブ感。 そして終盤のトリップ感。あー面白っ。 | ||||
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特異な文体の町田康。その流れるような文体はさすがだと思う。 やっぱ表題作が素晴らしいです。インテリぶって調子乗って、俺はこんなんじゃないぞ、みたいな感じがでているんだけど実は弱気で、そんなことを繰り返して行き当たりばったりしているうちによくわかんないことになってにっちもさっちも行かなくなる。ラストには何故か哀愁ただよう不思議な作品。 あと、いちばん最後の作品は筒井康隆が書きそうなスラップスティックで、ちょっとどうかなって思った。 | ||||
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表題「権現の踊り子」は勿論、併録されている他の作品 どれをとっても面白い。文庫化されて小さくなった分、 町田さんの描く世界もギュッと凝縮された感じがする。 単行本で発売された時にはあまり気にならなかった装丁 も、文庫になるとなんか濃密な感じでグッド。 町田康の二大名作「パンク侍斬られて候」「告白」へと 続くターニングポイントと呼ぶに相応しい作品ではない でしょうか。今作から町田康の文章の方向性が確固たる ものになってきています。 音楽ネタや時代劇ネタ、町田さんならではの世界が展開 されているので、「浄土」よりもずっと距離が近い。町 田康の脳内縮図映像を堪能している感じ。 ただ残念なのは解説。玄侑宗久によるものだが、余りに も酷い。折角の作品にドロを塗ってしまっている気が…。 一体これのどこが解説なのかしらん。 | ||||
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町田さんは天才、と言うよりもこの作風で走りぬけ、あちらこちらで賞を獲得しているところがスゴイ。言語の使い方に決まりはないけど、このわけわかんなさで賞。 でも絶対に、町田さんは書いている時に「ふくみ笑い」かどうかはわからないけど、自分アホだと一人で笑っている時があると思う。 | ||||
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文体、ストーリーテリングともに、レベルアップしたような気が・・・。 それでいて、偉そうにならずに笑いを忘れないとこは、 やっぱり関西人だからでしょうか。 | ||||
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小説のフリージャズといった感のある「きれぎれ」よりはずっと読みやすい。 自分も嘘、自分以外の人もどこまで本当やら…というところはある意味勇気づけられる部分があります。『権現の踊り子』は数ページに渡って、主人公がつい乗せられて内面を如実に吐露してしまう部分があり、こういう事を(ここではそれが何であるかは言いません。是非読んでみましょう。)はっきり言ってくれるのはうれしい。 いわゆるインテリと呼ばれる人たちとは問題に対する切り口が絶対的に違うでしょう。 彼の作品を読むと、何もかもが曖昧になってゆき絶壁に立たされるような思いがします。 | ||||
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町田康の作品はどれを読んでも、主人公がじたばたする。何故じたばたするかというと、それは、主人公たちが“どこかへ辿り着こうとするからであって”その“どこか”というのが“自分以外の場所”だからだと思う。彼の作品に常に根底として流れているテーマは“結局自分は自分以外の何処にも逃れられない”と言う事で彼の目には世の人々のスタンスはそのように映るのだろう。そして、僕の目にもそう映る。だから、とても面白かった。彼を彼たらしめているのは、その悲しいテーマをユーモアを持って語るというところにあると思う。暗いテーマを明るいリズムに乗せて。彼のスタンスは、18歳パンクロッカーとしてデビューしたときとなんらの変わりなくその意志は持続している。 | ||||
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面白いのと面白くないのと半分半分。短いほど面白い率が高くて、長くなるとドライブ感を保てているのと失速してしまうのとがある。技巧研鑽の過渡期なんでしょうか。 文字を使うあらゆる手段が文学だと再認識できる町田節文体。ただ、読者からも批評家からもオエライ方からも一歩引いて安全地帯から提出された優等生の小論文みたいな姿勢が垣間見える。教条的な発想など頭から無く、人間の人間臭い一瞬の善悪のつかない感情を善悪という価値観を被せず掬い取ってみせるのは正に文学だけど、かつてから失われていない文学であって現代的な文学ではない。そういう意味でもやっぱり安全地帯でこちょこちょやってる賢しい策士の「優良図書」といったところ。 | ||||
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Tシャツを「ティーシャーツ」などと言うだけで僕なんぞは大笑いだ。ま、落語の模写なんだろうけど。そういう発想がなかなかできないからこそ、特異に見えるのだろう。ともあれ、これがエンターテインメントかというと、やっぱり文学であり、文学で笑えるというのは凄いことであるよ。その意味で僕は十分楽しめた。 | ||||
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町田さんの作品はやっぱり意味不明&面白い! 上手い事いいよるな、といつも感心させられるのであります。 『権現の踊り子』表題作の「権現の踊り子」はさることながら、 「逆水戸」には笑わせて頂きました!! 町田さんは時代劇を良くご覧になるようですが、私自身も水戸黄門等よく見るので話がよくわかるわかる。 やはり世の中そんなに上手くいかないよね。 現実味を帯びて傾いちゃった水戸黄門「逆水戸」はオススメです! わからない人は時代劇をみよう!! | ||||
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