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殺戮にいたる病



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殺戮にいたる病の評価: 3.80/5点 レビュー 585件。 Sランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.80pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全585件 61~80 4/30ページ
No.525:
(5pt)

唖然・愕然・呆然自失

『えっ???』というのが、ラストシーンを読み終えた瞬間の偽らざる感想で、もう一度斜め読み返しました。
すっかり騙され、ヤラれました!
殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)より
4061817914
No.524:
(3pt)

犯人側の心情を中心に犯罪を描く

最後の場面で大混乱するが、三世代家族という記述はなかったはずだから、この場面は成立しないと思った。
殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)より
4061817914
No.523:
(5pt)

衝撃

思わず顔をしかめてしまうようなグロテスクな事件の描写。
引き込まれるストーリー。
ラストで全てがひっくり返る構成。

読み返してみると小さな伏線が張り巡らされている事に驚き。
記憶を消してまた最初から読みたくなった。
殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)より
4061817914
No.522:
(5pt)

まじめに小説を読んだのが初めてでしたが

面白かった。
小説にハマるきっかけになりました。
殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)より
4061817914
No.521:
(3pt)

評価が高かったのですが

本のプロットが物語の終盤にかけて盛り上がる部分は素晴らしいと思いましたが、最後まで読み終えた時、どんでん返しというよりは、ああ、そちらの組み合わせでしたか…で終わってしまう肩透かしで終幕していました。そこまで捻っていないと思いましたので、物足りなかったです。
殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)より
4061817914
No.520:
(5pt)

どんでん返し

本が苦手な私でもどんどん読んでしまいました。
3人の視点からかかれ、最後は衝撃
殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)より
4061817914
No.519:
(2pt)

わからないことばかり

ネットで面白いと書いてあったり まあ一度くらいいいかとポチりました。
読んでいて 何が言いたいのかわからなくて不愉快。
死体切り取りなどグロには平気ですが 臭い汚いと思うとすごく不愉快 描きすぎかも。
どんでん返しがご自慢みたいですが なんとちゃっちい終わり方
年齢が親なみの初老男に惹かれる これもありふれたもので まあこんなものかと思いました。
好きな方にはいいのでしょうけど 面の皮ガチガチの私の心には響きませんでしたね。
時計仕掛けのオレンジなどが好きな方なら??
殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)より
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No.518:
(5pt)

びっくりしたー…

何にびっくりしたか書いたらネタバレなので、
面白かったとだけ。
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4061817914
No.517:
(4pt)

殺戮にいたる病

我孫子武丸先生の『殺戮にいたる病』読了しました。
最後の最後まで騙されました。
少しグロテスクな表現があるので注意が必要ですが、騙されたい方にオススメです。
殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)より
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No.516:
(4pt)

ラストが驚き

猟奇的な官能殺戮小説の体で物語は進んでいくが
ラストで読者を裏切る。
というか、冒頭からずっと騙されている。
初見で気づいていた人はまずいないであろう。
ただもう少しラストからエピローグまでを
書いてほしかったという思いも残る(なのでマイナス★1つ)。
唐突に終わってしまうので
初めて読んだ段階では??となってしまうので。
つまり読み返さなければ意味が分からなくなる。
殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)より
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No.515:
(4pt)

騙されました!

騙されました!良かったです!
殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)より
4061817914
No.514:
(5pt)

確かに病だ

残虐的な表現が多いとのとこでしたが、私は読んでいて大丈夫な範囲でした。
殺戮の表現は確かに顔をしかめる要素が満載でしたが、読後において登場人物たちについて思いを馳せるというか、どんな心情だったのかを考える時間がありました。
落ち着いて考えてみると、ひとごとだし物語だから読み進めることができるけれど、もしもこれが自分の家で起きたことだったら…
と、考えると恐ろしいです。

一度読んだ本は、基本的には再度手に取らない私ですが、なんとなくもう一度読んでみようかな、と思いました。
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No.513:
(1pt)

酷い状態でした

帯も外れ表紙も折り目がついて酷い状態なので返品しました。二度と購入しません。
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No.512:
(3pt)

衝撃的な結末に困惑する

最後の結末だけ気になり読みました。一見すると平凡な主人公が、次第に殺人に魅入られていく様子が描かれています。

物語は、主人公の心理描写を丁寧に追いながら、緊張感のある展開を見せていきます。著者の巧みな文章力により、読者は主人公の内面に引き込まれていくでしょう。社会の闇を垣間見せる描写も印象的です。

最後の結末には衝撃を受けました。しかし、その衝撃は必ずしもプラスの意味だけではなく、困惑させられる面もありました。結末部分については、賛否が分かれるところだと思います。

総じて、『新装版 殺戮にいたる病』は、一定の完成度を持った作品ですが、結末の是非が問われる一冊だと感じました。
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No.511:
(3pt)

微妙に意味がない気が

とりあえずグロい。評判だけで買ったのでこんなにグロい描写の作品だとは…そこだけ苦手な人はご注意を。叙述トリックは正直引っかかる引っかからないは別にしてそこ入れ替わった所で特に驚きも意味もあんまないような気がするが。個人的にはわかってしまったからなのかもっと意外な関係者と入れ替わってくれないと叙述トリックの意味なくない?と感じてしまいました。
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No.510:
(4pt)

古典的だけども愕然とするオチ

バラバラな視点、バラバラな時系列、それぞれの思惑が述べられ、ラストに向かって時系列が揃っていく加速感は気持ちが良かった。最も重要なページは、めくって数行読んで、思わず声が出てそのまま終わった。
読者側の衝撃が物語の中身的には全く影響されない作りなのが面白い。
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No.509:
(3pt)

栞と帯紙

栞と帯紙が付いてない
殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)より
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No.508:
(2pt)

んー?滑ってない?

この小説自体かなり前に書かれてら作品の様で(岡村孝子、携帯どころかメールと出てこない)ので、登場人物のセリフに時代を感じる事もあるが、それ以上に文体が古臭い、明らかに過剰なハードボイルド感の演出には失笑してしまう箇所もあったり。
またトリックというかオチに全振りしているので人物描写が浅く、え?なんでそうなる?という様な説得力のない行動が目に付く、この辺りは古い時代の小説ということが悪い意味で目立つ、現代の感覚ならこの辺りも上手く演出整理されて書かれているからだ。
オチに至るまで登場人物に対する深い描写もなく、ある意味で記号的な演出でしか書ききれていないのだが、オチを知るとなるほどこのオチの為に薄い人物描写なのかとも思わなくもなかったが、いやいやそれ故に単に頭のおかしな人がやらかしました以上の感想は持つことができない、深みに欠ける作品でした。
殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)より
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No.507:
(3pt)

”トリック”というよりは「情報操作」に近い。2回読むと、細かい調整が楽しめる。未読の人は、P340に注意!

ミステリー小説には、トリックの見事さも求められるが、地の文章のクオリティ・読みやすさが重要。
いくら名作と言われていても、スッと読んで、内容がすぐに頭に入ってくる文章であることが必要。
そうでないと読み続けることが、できない。

その点、『殺戮にいたる病』は優れていて、一度読んで、文意がスッと理解できる。違和感のある
語尾やくさい表現がなく、知的に統一されている。その分グロテスクな表現も脳内に侵入してくる
ので、えげつない効果を発揮する。

完全犯罪が困難なように、完璧なミステリー小説も少ない。ミステリー小説で、名作と言われている
ものを読んでもがっかりすることが多い。6割以上はそういうもの。”これは名作ではないだろう”
というものが多すぎる。「名作」評価が甘いから、直木賞選考委員にもバカにされてしまう。

それらは後出しジャンケン的なもの。必要な情報が読者に開示されておらず、最後になってそれを
出し、”ほら、こうだった”とやるパターン。『すべてがFになる』や『占星術殺人事件』がそう。
「ノックスの十戒」には、「事件解決者は、読者に提示していない手がかりによって解決しては
ならない」とあるし、「ヴァン・ダインの20則」でも「事件の謎を解く手がかりは、すべて明白に
記述されていなくてはならない」と書かれている。

これに最も厳しく立ち向かっている作家のひとりが東野圭吾で、彼のミステリーはこの点がフェア。
事態が目まぐるしく展開する『ある閉ざされた雪の山荘で』でも、犯人のことは文中に何度も出て
くるし、”この人が怪しいのではないか”という疑いすらかけられている。ミステリー小説を書く
ハードルは高いが、それだけにそれを乗り越えた作品は傑作として揺るがない。
『十角館の殺人』や『容疑者Xの献身』はそういう存在。

『殺戮にいたる病』は、冒頭に「プロローグ」ではなく「エピローグ」が置かれてる。ここに作者の
自信が表れている。そこは最後の犯行が行われた場面で、主要登場人物3人がそろっている。犯人は、
残忍で異常な犯行の後なのに「静かに微笑」み、「お前がやったのか」と問われて「そうです」と、
「ごく自然に答え」ている。このエピローグはわずか2ページだが、完璧な滑り出し。すでにミス・
リードの線路も敷かれている。

この後、小説は、「樋口」「稔」「雅子」という3人の視点で語られていく。蒲生稔は異常な殺人者
であり、樋口は稔を追い詰めていく初老の元警部。雅子は稔の家族という設定。

初読の方のために書いておくと、ラストの第10章に入ったら、ゆっくりと文意を確かめながら読む
こと。事態は急展開していくが、340ページは1行1行、内容を確認しながら読んでほしい。曖昧な
まま読み進んでしまうと、せっかくのトリックが味わえないし、驚けない。

*以下、ネタバレが含まれています。

蒲生家は、稔+雅子の夫婦と、その息子・信一、娘の愛。それに稔の母親が住んでいて5人暮らし。
問題は、老母の存在が隠されていることと、信一の生活や心情がほとんど語られないこと。これに
よって、読者は、「稔=信一。稔の母=雅子」と信じ込む。もしフェアなミステリー小説なら、
きちんと老母と信夫を描写した上で、どんでん返しのトリックを仕掛けるだろう。だが『殺戮に
いたる病』は、事実を読者から隠すことで話を作り上げている(ある程度匂わせてはいる)。

第1章・冒頭で、「雅子が自分の息子が犯罪者なのではないかと疑い始め」とあり、その2で
「蒲生稔が初めて人を殺したのは」と書かれる。読者はすんなり、雅子の息子が稔であり、稔が
殺人者だと思う。
稔は、仕事が大学の助教授で、その意味で彼はキャンパス・ライフを送っている。それを読者は、
雅子の息子(信一)の大学生活だと思い込む。母親・雅子の記述では信一は、どちらかと言えば
引きこもり系の平凡な学生なのだが、稔は、女性経験がある程度豊富で、女性あしらいもこなれて
いる。それを読者は、サイコパス特有の二重性だと思うが、「実際には人間自体が違って」いる。

何ヶ所かで作者は、稔と信一が別人であることをほのめかす記述をしているが、2回目に読んだ後に
”なるほど”と感じたのは、大学のキャンパスで女子学生と親しくなる場面。稔は彼女と「哲学専攻
なの? 僕と同じだ。ニーチェをやっている」と話し、女はそれに対して「ニーチェの権威とお知り
合いになれた」と応える。本書のタイトルから、ここはキルケゴールにしたいところだが、哲学の
内容からして、キルケゴールでは繊細で、キリスト教色が強いから、権力への意志を主張し、
発狂したニーチェの方が稔の資質に合っている。雅子が「息子」の部屋に入った時に、本棚の本に
ついて書いているが、そこには哲学関係に詳しい人が置いてあるはずの書籍はない。

作者は、3人の視点を利用して記述していくので、事件の時系列が乱れている。もし時系列そのままに
書かれていたら、読者は、雅子の息子の行動と、稔の行動に、微妙なズレがあることに気づいただろう。
P30では、2回目の事件が起きているのに、稔の初めての異常犯罪が記述されるのはP46。

面白いのは、稔の異常さを担保しているのが、雅子の異常さだということ。雅子は過剰なほど信一の
生活を監視し、それを性的な次元で考えていく。だから物語の強い性的なトーンは、稔の異常さだけ
ではなく、雅子の粘着質で視野の狭い行動にも支えられている。

P12には、雅子の言葉としてこう書かれている。「この人と結婚してよかったと思ったことはない。
息子と娘を夫の子供だとか、私たちの子供だと考えたことはない。どちらも私の子供でしかなかった」。
つまり雅子という女性の視野や思考の中に、夫・稔はほとんど存在していない。だから夫の日頃の
変化にはまったく気づかず、息子の日常には異常に敏感になっている。

母・雅子は、物語の中で長女のことは何度か「愛」と名前で呼ぶが、息子のことは、「あの子」「息子」
「うちの子」などという言い方で、一度も名前を出していない。敏感な人はこの時点で、長男の名前に
何かあると思い、全体の構造を察知するかもしれない。

P29には雅子の話として、「(息子・信一が)何かに怯えている。苦しんでいるように見えた」とある。
これは信一が異常犯罪に傾いていることではなく、父親の異常行動に気づき始めたことを意味している。
「2月3日。猟奇殺人が行われた日に、息子の部屋のゴミ箱から、赤黒い液体が入ったビニール袋を
発見」するのも、息子が犯人なのではなく、父親の異常行動を追跡する息子が、庭に埋められていた
証拠物を持ってきていたからだった。

P51には信一の部屋に8ミリビデオがあることが記されている。これは稔が異常犯罪を実行している
ときにその模様を撮影し始めたからで、信一はその確認をするために自分も8ミリカメラを手に入れた。
これも表面上では「雅子の息子=実行犯の証拠」として読まれる。逆に信夫の部屋からそれまであった
エロ本類がなくなっていくのは、父親のひどい所業を知って、欲望充足型のセクシャルな物事に
嫌悪感を持ったからだろう。というように、文中ではいっさい描かれていないが、信一の健気な心情と
行動が、2回目に読むと見えてくる。

稔は異常な性犯罪をし始めて、自分の本性を認識し、歓喜や充足を手に入れる。それは彼の様子に
変化を及ぼしたはず。しかし妻の雅子は夫に関心がないばかりか、否定的な評価を下しているから
それに気づかない。しかし息子は同性だし、大学の助教授になっている父親を、どこか尊敬しても
いたのだろう。だからこそ父の変化に気づき、心配して、何をしているのか実態解明に動いた。
その実態を知ると、これ以上犯罪を重ねないようにと思いながら、父を追った。普通の小説なら、家庭における父親の変化や、信一の心情についてじっくり描写があるはずだが、ここではそれは許されない。
そうした信一の気持ちが集約されているのが、ラストの「あんたは病気なんだ」という言葉。病理が
父を異常犯罪者にさせているのであって、父自身ではない。信一は、どこまでも父の側に立っていた。

P238で、独自に犯人を捕らえようとしている樋口は犯人をおびき出そうと計画し、それを実行する。
その途中、喫茶店で「誰かの視線を感じたように思ったが、そこに見知った顔は発見できなかった」
とある。多分その視線の主は、父親の不審な行動を追いかけている信一だったのだろう。

猟奇的殺人が連続していくが、最初の2回は行きずりの女性で、人物像も表面的。しかし3番目の島本
敏子だけは、主要登場人物の樋口と親しかったこともあり、読者に多くの情報が提示されている。
そのため読者はこの女性には感情移入して読んでいける。作者は彼女の殺害だけ、すべてを具体的に
克明に描写する。これが内容的にも心理的にも強烈で、まともに読み進められなくなる。

最後に「稔、雅子、信夫、樋口」が1ヶ所に集まる時がやってくる。樋口たちの計画に稔が引っかかり、
犯行に及ぼうとするから。その時、父親を尾行していた信一が割って入り、父親に腹を刺され絶命する。
この時稔は「なんであんな邪魔が入ったんだ」と思い、信一のことを「あいつ」と呼んでいる。息子を
見てもそれを認知できない。いくら異常行動に走っていても、息子の顔くらいわかるだろう。ここも
作者が自分のプランに話を合わせている箇所。さらに雅子が、事件を知って駆けつけた警察官に信夫の
検分をさせられるところでも、「信一」という名前は出てこない。

最初、このくだりを読んだ時、事態の進行が早いので、はっきりわからなかった。稔が反抗に及んで
いるときに飛び込んできた男は、樋口たちとチームを組んでいた記者(斉藤)かなと思った。
犯行現場のホテルの部屋に、信一が飛び込んでくるのだが、普通なら鍵がかかっている部屋に彼が
どうして入れたのか、書かれていない。ここも作者の意図が先走り、実現されている箇所。

この時点で、警察に「これは長男の信一さんですね」と言わせていれば、読者は、”息子は稔じゃない
のか?!”となり、最後の犯行(母親を殺し死姦する)のために自宅に向かっている稔をレクター博士
のようだと思えただろう。作者は、最後の1行ですべてをひっくり返す大掛かりな構造の実現に
こだわっていて、逆に話の強度を弱めている。

最初にクライマックスの描写、「自宅で老婆となっている母親を弛緩している稔」の場面を読んだ時、
これは”母親と祖母を間違ってやってしまったのか?”と超ブラックなギャグに見えてしまった。

ラスト第10章。340ページで樋口が雅子の肩を揺すりながら、「これはあんたの息子さんなんだね?」
と尋ねて、雅子は「何度も頷く」。雅子の息子・信一は死んだが、犯人は生きている。すると犯人は、
雅子の息子ではない。初読の時は、ここがよくわからずに先に進んでしまったので、作者が仕掛けた
ものを十分に味わうことができなかった。

信一という名前が登場するのは、ラストのページで文字がゴシック体になり、新聞記事で事件の
あらましが明らかになる時。そこに稔が43歳であり、母・容子65歳ということも記されている。
殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)より
4061817914
No.506:
(5pt)

衝撃のラスト!

終盤に向かって読み進めていくと小さな違和感が増大していき、その一つ一つがこの作品の世界をグニャリと歪ませていきます。
最後には、その歪みが何なのかが鮮やかに表現されます。
読了後には、最悪な気分と最高の爽快感が心の中で混ざり合う奇妙な感覚が心に残りました。
殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:殺戮にいたる病 (講談社ノベルス)より
4061817914

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