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緑衣の女



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【この小説が収録されている参考書籍】
緑衣の女
緑衣の女 (創元推理文庫)

緑衣の女の評価: 4.21/5点 レビュー 62件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.21pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全62件 61~62 4/4ページ
No.2:
(5pt)

心打つ悲しく優しい北欧ミステリー

前作「湿地」にてアイスランドの悲しいサーガ・ミステリーの世界を見せてくれたアーナルデュル・インドリダソン氏の邦訳2作目です。「湿地」と同様に疲れた中年警察官エーレンデュルが主人公です。

レイキャヴィグ郊外の住宅造成地で人骨が見つかります。アメリカ軍の基地があった場所に数十年前に埋められたらしいのです。殺人事件の捜査と警官エーレンデュルの苦悩とある家族の家庭内暴力。この3つの物語が並行して語られます。はじめの2つの物語は現在形ですが、家族の物語はかなり前に起こったことのようです。このように本書は三重構造になったミステリーです。

人間はどうしたらここまで残酷になれるのでしょうか。凄惨な暴力場面が繰り返されます。暴力は肉体を痛めつけるだけではなく、心を深く傷つけ、人間らしい感情すら奪ってしまうのです。苦痛に耐える母と子の酷い描写を読むのが何度も辛くなりました。虐げられた女性の悲しみと優しさが少しずつ浮かび上がってきます。ミステリーである以前に、胸が震える物語を作り上げることに作者は注力しているようです。

捜査官のエーレンデュルは20年前に別れた妻との間に生まれた娘が意識不明の重体に陥っているのは自分のせいだと思い込み、苦しんでいます。そのためか捜査は、事件に関わる人物の内面を掘り下げるようにゆっくりと進んでいくのです。数々の証言や証拠がどう繋がるのか、読者はエーレンデュルに自分を重ねてどんどん惹きこまれていきます。最後に明らかになる意外な事実に、読者はあとがきにある作者の次の言葉をかみ締めることでしょう。
「日常的な風景、平和の暮らしの営みとそこに生きる人間を描き、その中での殺人事件が起きる意味を考えたいのです。殺すまでの過程を理解したいのです。殺すにはそれ相当の理由があり、殺された人間のほうが犯人よりも悪人であることもあり得る」

最後に、「訳せないほど恐ろしかった」と述懐する翻訳者の柳沢由実子さんに感謝します。素晴らしい訳を得て心震わせる至高のミステリーを愉しむことができました。インドリダソン氏の次の邦訳を楽しみに待ちたいと思います。
緑衣の女Amazon書評・レビュー:緑衣の女より
4488010016
No.1:
(5pt)

暴力からうまれるものは・・・・・

どうして、そんなに女性(ひと)の事をを蔑む事が出来るのだろうか?
どうして、そんなに子供(ひと)の尊厳が軽く扱われるのだろうか?
昔から私たちの周りには暴力があふれてる、この事実は否めない。
ひとりひとりが、命が軽く扱われている現実から目をそむけてはいけない。

“暴力からは暴力しか生まれない”その事実に痛感させられる。

だとするならば、優しさからは優しさが生まれるのだろうか。
労りからは労りが、愛からは愛が生まれ、受け繋がれていくのだろうか。
その事を信じれる、行動を起こせる自分(ひと)でありたい。

今言える事は、ひとりの人として誰に対しても、何に対しても“真摯に向き合う”こと。
それが出来る自分(ひと)になると心に刻む。
緑衣の女Amazon書評・レビュー:緑衣の女より
4488010016

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