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緑衣の女
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緑衣の女の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.21pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全62件 41~60 3/4ページ
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内容的には大した謎もなく、先が読めるのでそこまで引っ張る話かなと思いました。 北欧ミステリーが好きなので、評価がよかった本書を購入しましたが、登場人物が最後まであんまり気持ちが入りませんでした。 虐待の描写も長いし、遺体の発掘も時間がかかるし、話があんまり進まず少し疲れました。 | ||||
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よくわからない殺人事件、酷いDV、そこに主役刑事の家庭の事情がサイドストーリーで気になって仕方がない。 一気に読んでしまいました。 | ||||
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DVがいかに人の尊厳を奪うか。 ただの謎解きよりも、その事件の背景に強いスポットを当てており、どんな犯罪にもそれが起こるまでにはそれなりの過程、理由があるのだということが、はっきりと伝わってくる。 所々、人生を穿つフレーズが出てきて、深く余韻を残した。 | ||||
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「湿地」に続くエーレンデュル・シリーズの第四弾。現在の所、「湿地」と並んで本作が作者の代表作として見做されている様だ。本作は前作にも増してミステリ色が薄いが、DVを中心とする社会的問題に真向から対峙した力作である。 冒頭、レイキャヴィクの郊外で70年前程の人骨が発見されるが、この謎を追う警察小説という感は全くしない。理由は2つあり、その1つは前作でも採り上げられていたエーレンデュルの父娘問題に多くの筆が割かれている点である。2つ目は、記述形式の問題で、現在の捜査状況と、過去に起こった非常に陰惨な家庭内暴力の模様が交互に描かれ、人骨の正体が誰かはすぐに分かってしまう点である。エーレンデュルの部下のシグルデュルの女性関係も良いクスグリとなっていて、作者の関心がアイスランドにおける親子(血縁)問題及び家庭内暴力にある事を如実に示している。一方では、作者がアイスランドの歴史を描こうとしている点も良く伝わって来た。作中に、第二次世界大戦中にアイスランドに駐屯したイギリス軍、アメリカ軍の兵士が登場するが、これは戦後の日本をも想起させる。アイスランドの歴史と、その中での社会的問題という「入れ子構造」を描いている点が本作を優れたものとしている。また、作中に、<ハレー彗星>や霊媒師を登場させ、「世界の終わり」を暗示したり、エーレンデュルのトラウマ(「時間はどんな傷も癒さない」との自嘲のセリフあり)を明かしたりしている点も印象に残った。 胸が痛む内容であるが、「家庭内暴力」を題材にして、親子(血縁)問題、一般に福祉国家と考えられている北欧特有(アイスランド特有?)の社会問題等を重厚に描き切った秀作だと思った。 | ||||
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先にこの緑衣の女を読んで湿地を後に読みましたが、湿地は主人公と娘の関係が都合良すぎる気がして 今回のほうのどうにもうまくいかない親と子の関係の方が私にはしっくり来ますねというかプライベートで重い問題を抱えながら 疲れた精神と身体にムチうち、事件を丁寧に探っていく主人公という設定が大好物なだけなんですけどね何故か元気をもらえる 湿地から先に読まなくてもすんなり登場人物に馴染める(関係を把握できる)ので前後気にしなくてもオーケーだと思います 次回作「声」が2015年7月31日出る予定らしいですがものすごく楽しみにしております | ||||
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このシリーズは私にとってはほぼ未知の国アイスランドの実態が描かれていて、とても興味深い作品です。 エーレンデュルの同僚エリンボルクの私生活が少し明らかになり、美食家で心優しい女性であり、時には男らしい面もあるエリンボルクに好感が持てました。 エーレンデュルの娘エヴァ=リンドの今後。 エーレンデュルの元妻は何故だらしないオバサンになってしまったのか? 第二次世界大戦前後の富豪ベンヤミンのフィアンセのソルヴェイグの本当の行方。 薄っぺらい人間のシグルデュル=オーリーとその恋人の今後の関係。 等、クリフハングして終わっている部分があるので、早く続きが読みたいです。 私もこのシリーズを映像化して欲しいと思っております。刑事ヴァランダーみたいな感じのドラマがいいような気がします。 | ||||
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ずっと以前からあったけれど無視されつずけて来た精神的肉体的家庭内暴力。重く暗いテーマに目をそむけたくなる。 しかしながらこの問題を乗り越えることなく人の魂の救いはない。なぜなら人の持つえたいのしれない不安、自己否定 そして他者への憎しみ、攻撃性の根源がここにあるからだ。心のふたをあけ、これを見据えてきりすてて前に進む努力をして 初めて親の呪縛からときはなされて自分自身の足で歩めるようになる。なぜか自分を否定的にみてしまうくせのあるあなた、 ほんの小さな愛が、誰かをそして自分自身を救うのだときずいてほしい。緑衣の女のように。 | ||||
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北欧アイスランドのミステリーとして日本に紹介された2冊目の作品で世界中から高い評価を得た衝撃の名作です。本書の題名「緑衣の女」(スウェーデン語版訳書から)はJ・カーリイのデビュー作「百番目の男」と同様に後で振り返ると本当はそれ程に重要ではないのに神秘的な効果で読者を強烈に読みたい気持ちにさせる誠に魅力的なタイトルだなと思いますね。昨年まで二年続けて邦訳が出た本シリーズですが今年はまだ出版されておらず、まだ10冊は作品が残っていますので例え既訳の2冊程に完成度は高い物でなくてもいいですから、出来れば高価なハードカヴァーではなく次は文庫本で出して欲しいと思いますね。 四月の下旬にティデヴァルヴスピンの住宅建設中の建物から人骨が発見され警察官エーレンデュルが捜査に当たる事となる。一方プライベートでエーレンデュルは「助けて、お願い」とだけ告げる電話の声を受け娘エヴァ=リンドからだと気づき懸命に捜し回るのだった。 本書でも前回に続いてドラッグ中毒者の娘エヴァ=リンドが命に係わる大問題を起こしエーレンデュルに最悪を覚悟させる程に心配させましたね。一方もう一人の息子シンドリ=スナイルは騒動を起こす気力もない様でどうも今後も話題になる事はなさそうです。重篤な病床の娘を見舞うエーレンデュルが自ら語る少年時代の不幸な事件の記憶からは彼の隠された内面と人間性が窺い知れて興味深いですが、まだ完全に深くは理解し切れず謎を残したままですね。今回の事件に対しても遅々として進まない考古学者の発掘作業にもっと腹を立ててもいいはずなのに案外のんびりとして寛容なのも偏屈な性格の一端なのでしょう。それから若い同僚の女性エリンボルクは至って真面目で普通なのに対し、他方シグルデュル=オーリは不真面目でいい加減な今時の若者なのですが、でもまあ物事を深刻に考える人間ばかりでなくこういう楽天的な者もいるのが却って世の中のバランスが取れて良いと思いますね。さてキャラクターについて書く部分が長くなりましたが、本書はミステリーとしては特段の注目すべき点はありません。わずかに似た時期に二つの失踪事件が重なって起きた為の混乱があるだけで、謎自体も推理によって解き明かされる訳でもないのですね。やはり誰もが考えるに違いない本書の最も重要な読み所はある不幸な家族がドメステック・ヴァイオレンスの問題と深く関わった凄絶なドラマの顛末でしょう。もうこれは不幸な運命の悲劇としか言い様がなく言葉を失う程の残酷な所業で、この結末は最良だったかと言うと若干の疑問が残りますが、でも更なる不幸を阻止する理由でも当事者にしてみれば止むを得ぬ選択だったと言うしかありませんね。実は私が本書を読んでから既に一年以上になるのですが、本書の一番衝撃的なシーンである鬼畜の如き男が最期に吐いた捨て台詞が今も脳裏を離れません。これは相当にショッキングであると同時に過酷な恐ろしさを覚えた場面で、あり得ない事とは言えもし自分が男の立場だったらと思うと堪らない気持ちになりましたね。自業自得だとは言えこんなに惨い運命には一抹の憐れみを感じずにはいられません。この場面は読んだ人の心に強烈にとり憑いていつまでも離れないでしょうし、ひたすら暗く重くはありますがこの部分だけでも本書を読む価値が十分にあるだろうと思いますね。そして本書を読む事でこんな嫌な事件は現実にも絶対に起きてはならないと人々に意識づける事につながればいいなと思いますよね。本書は人間の暗く哀しい性と業を描いた文学作品として人々の記憶に永遠に刻まれる事でしょう。 | ||||
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北欧アイスランドのミステリーとして日本に紹介された2冊目の作品で世界中から高い評価を得た衝撃の名作です。本書の題名「緑衣の女」(スウェーデン語版訳書から)はJ・カーリイのデビュー作「百番目の男」と同様に後で振り返ると本当はそれ程に重要ではないのに神秘的な効果で読者を強烈に読みたい気持ちにさせる誠に魅力的なタイトルだなと思いますね。昨年まで二年続けて邦訳が出た本シリーズですが今年はまだ出版されておらず、まだ10冊は作品が残っていますので例え既訳の2冊程に完成度は高い物でなくてもいいですから、出来れば高価なハードカヴァーではなく次は文庫本で出して欲しいと思いますね。 四月の下旬にティデヴァルヴスピンの住宅建設中の建物から人骨が発見され警察官エーレンデュルが捜査に当たる事となる。一方プライベートでエーレンデュルは「助けて、お願い」とだけ告げる電話の声を受け娘エヴァ=リンドからだと気づき懸命に捜し回るのだった。 本書でも前回に続いてドラッグ中毒者の娘エヴァ=リンドが命に係わる大問題を起こしエーレンデュルに最悪を覚悟させる程に心配させましたね。一方もう一人の息子シンドリ=スナイルは騒動を起こす気力もない様でどうも今後も話題になる事はなさそうです。重篤な病床の娘を見舞うエーレンデュルが自ら語る少年時代の不幸な事件の記憶からは彼の隠された内面と人間性が窺い知れて興味深いですが、まだ完全に深くは理解し切れず謎を残したままですね。今回の事件に対しても遅々として進まない考古学者の発掘作業にもっと腹を立ててもいいはずなのに案外のんびりとして寛容なのも偏屈な性格の一端なのでしょう。それから若い同僚の女性エリンボルクは至って真面目で普通なのに対し、他方シグルデュル=オーリは不真面目でいい加減な今時の若者なのですが、でもまあ物事を深刻に考える人間ばかりでなくこういう楽天的な者もいるのが却って世の中のバランスが取れて良いと思いますね。さてキャラクターについて書く部分が長くなりましたが、本書はミステリーとしては特段の注目すべき点はありません。わずかに似た時期に二つの失踪事件が重なって起きた為の混乱があるだけで、謎自体も推理によって解き明かされる訳でもないのですね。やはり誰もが考えるに違いない本書の最も重要な読み所はある不幸な家族がドメステック・ヴァイオレンスの問題と深く関わった凄絶なドラマの顛末でしょう。もうこれは不幸な運命の悲劇としか言い様がなく言葉を失う程の残酷な所業で、この結末は最良だったかと言うと若干の疑問が残りますが、でも更なる不幸を阻止する理由でも当事者にしてみれば止むを得ぬ選択だったと言うしかありませんね。実は私が本書を読んでから既に一年以上になるのですが、本書の一番衝撃的なシーンである鬼畜の如き男が最期に吐いた捨て台詞が今も脳裏を離れません。これは相当にショッキングであると同時に過酷な恐ろしさを覚えた場面で、あり得ない事とは言えもし自分が男の立場だったらと思うと堪らない気持ちになりましたね。自業自得だとは言えこんなに惨い運命には一抹の憐れみを感じずにはいられません。この場面は読んだ人の心に強烈にとり憑いていつまでも離れないでしょうし、ひたすら暗く重くはありますがこの部分だけでも本書を読む価値が十分にあるだろうと思いますね。そして本書を読む事でこんな嫌な事件は現実にも絶対に起きてはならないと人々に意識づける事につながればいいなと思いますよね。本書は人間の暗く哀しい性と業を描いた文学作品として人々の記憶に永遠に刻まれる事でしょう。 | ||||
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前作はネタの目新しさで賞を取った感じですが、小説としては今回のほうがいい気がする。 書き続けてうまくなっていく作者なのかもしれない。 推理小説というよりは、ヴァランダー警部もののような警察小説に近い感じ。 いわゆる推理小説や、アクションを期待すると点数が低くなるかもしれない。 個々の人間の生き方の多様さや複雑さの描き方は北欧らしいなと思う。 虐待は読んでいてつらいけれど、巻末(ただし小説を読んだ後読むべし)を読むと作者の意図に納得する。 相変わらずこの訳者の文章は苦手ですが、、、星3.5ぐらい。 | ||||
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骨は一体誰のものなのか、最後まで、それで引っ張られた。ほんとに明るさのない泥沼のような物語。でも最後のシーンで思わず涙が・・・、若干の救いを感じたから。また、調べていくと過去が関係して、という展開にロス・マクドナルドのハードボイルド小説を連想した。映像化してほしい作品。内容から言って、多分無理だろうけど。 | ||||
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くらい背景(ほとんどが冬のアイスランド)に負けないようなくらい物語ですが、上手な語りに引き込まれます。また、前作と同じく作者の書きたい意図もはっきりとつかめて、「湿地」同様読み応えのある本だと感じました。「男女の格差のほとんどない国、いったんは大変豊かだったが、金融危機で破綻した国」ということ以上に私の知らないアイスランドのこともいろいろと知ることができ、そういう意味でも興味深い本です。 | ||||
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何という読後感、考えさせられるのと同時に登場人物が深く描写されているので共感もする。ストーリーとしては少し読む事に辛らすぎるDVという問題があるが、それさえも打ち消してしまう位の人間、家族の愛の強さに涙が出るほど感動した。勘の良い方は後半部分で犯人がわかってしまうこともあるかもしれないが、だからと言ってストーリーがつまらなくなることはまず無い。ドキドキしながらエンディングに向うすばらしい作品。 | ||||
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「ミレニウム」以来、北欧のミステリーが注目を浴びているが、土地や名前になじみがないことがかったるい。登場人物の男女の区別も一瞬でつかないし、誰もかしこも聞いたことのない名前だから感情移入がしにくい。 もちろん、それは作品からすれば瑣末なことでそれが作品の良しあしを決めることではないことは百も承知なのだが。 最初の半分ほどがもたもたしていても途中から断然面白くなる作品は多い。が、これはずっと盛り上がらず、漫然とした雰囲気のまま読了となってしまった。 絶賛されているから今に面白くなるか面白くなるかと期待して読んでいたし、もしかしたら最後に「やられたー」と叫ぶ展開が待っているのかもという願いも裏切られた。 中でもタイトルとなった「緑衣の女」の種明かしがあまりにもつまらない。思わせぶりもいいところで、それほど大層な意味があったのかというほど、そのキーワードが何一つ生かされていないと言っていい。 この小説全体を覆っているのは寒々しい光景と低く覆いかぶさるような暗い空。刑事のエピソードにしても、どれもこれもが荒涼・寂寥感が満載。 陰鬱で少しも心が踊らないのはそうした低い空の北欧の独特の風土が欧米のミステリとは違った新鮮さをもたらしていると言えばそうかもしれない。だが、主人公の刑事たちや登場人物がまとっている閉塞感がずっと立ちこめていて、何よりも陰惨な事件とされるそのもの自体、それほどのものだったのかと首をかしげてしまう。 | ||||
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アイスランドのミステリーを読んだのは2冊目(1冊目はインドリダソンの「湿地」)。この「緑衣の女」は何とも言えない土臭さに付きまとわれ怖さで途中何度も読み止まったが、柳沢さんの読み易い翻訳に助けられ一気に読み終えた。どうしてもはっきりと読みたくないところはスーと読み飛ばせるが、翻訳者はそういう訳にはいかなかったでしょう。 | ||||
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CWAゴールドダガー賞、ガラスの鍵賞、両賞受賞納得の面白さである。 <床に座った子どもがしゃぶっているものを見て、若者はすぐにそれが人間の骨だと思った。> この巻頭一行目で読者を物語に一気に引き込むアイスランドの作家インドリダソンは手練れの大ベストセラー作家なのだ。同じくガラスの鍵賞受賞作「湿地」(東京創元社)で日本デヴューし絶賛されたレイキャベク警察犯罪捜査官エーレンデュルシリーズの2冊目の登場である。 物語はストレートに見えながら現在と過去が錯綜し、すべての家族の暗い陰があらわになる。 子どもがしゃぶっていた人骨が古い地層から発見されるが、それは誰のものなのか。 同時に語られるエーレンデュル自身の深い心の闇。<自分の人生を覆う沈黙がはっきり感じられた。だれもいない、一人だけの人生。>に彼はなぜ陥ってしまったのか。 捜査が進むと見えてくる「緑衣の女」とはいったい誰。 登場する人々の人生には人には言えない秘密があり、家族の誇りさえ打ち壊されすっかり壊れてしまっているのだ。 しかし<子どもたちは親たちがじつのところどうゆう人間なのかを知らない。>のであり<言葉であれ殴打であれ子どもたちの目の前で母親を半殺しにするまで手を緩めなかった。>男のDVという名の暴力と服従がすさまじいサスペンスで描かれ、読む者の心を震撼とさせる。 そして悲劇的な事件が結末をみたあと家族の涙腺をふるわせる結末が待っている。 まだ未訳が10冊もあるこのシリーズはこれから絶対に見逃せない。 | ||||
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前作を凌ぐ展開の面白さ。ただ、北欧の国々の人の名前の難しさはなんとかならないか。 | ||||
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アイスランドの首都の住宅街で土中から発見された古い白骨死体。刑事エーレンデュルと仲間の刑事二人は、その地区の昔を知る人々を訪ね歩き、そこで何があったのか、その白骨死体は誰なのかを突き止めようとする。そうした現代の描写の合間に、夫の激しい暴力にさらされる一人の女性とその子どもたちの様子が丹念に描かれる。あまりに激しい暴力に、読んでいる方も胸が苦しくなるほどだ。そして、調べが進むにつれて、その女性の一家が白骨死体が見つかった土地に住んでいたことがわかってくる。また、その一家が住んでいた家の所有者の婚約者も失踪を遂げていたことがわかる。白骨死体は、その二つの家族のどちらかと関係があるのか…? 謎解きと言うなら、おそらく読者の半分は結末の予想がつくだろう。しかし、この小説は謎解きを楽しむ小説ではない。どうしてその白骨死体となった人物はそこに埋められなければならなかったのか、その背景の中に、人間の持つ恐ろしいほどの非情さや信じられないほどの愛情深さが描かれ、読むものに人間という存在について考えさせる小説なのだと思う。捜査にあたるエーレンデュルやほかの刑事たちも、次第に明らかになる2つの家族の悲しい出来事を知るにつけ、自分と家族の関係を見直さずにはいられなくなる。 人の持つ残酷さや軽薄さ、それをもってしても消せない愛情深さ、真剣に相手のことを思う気持ちなど様々なことを、読者も刑事たちと一緒に考えることになるだろう。扱われる事件は悲惨極まりないが、それでも人間の持つ強さを信じたいと思わせる心に響く物語だ。 | ||||
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前作もそうでしたが雰囲気的には悪くはないものの、ややひねりに欠けるような気がします。 本作のエンディングは一般的なミステリファンにとっては意外でもなんでもありませんし、 ほとんどの人が途中で読めてしまってもおかしくないと思います。 主人公の娘のエピソードにしても前作のラストからするとあまりにも唐突ですし、 しかも真相はほったらかしで、これも次作に続くとでも言うつもりでしょうか。 かなり注目を集めているシリーズで、またゴールドダガーというブランドでもありますが、 ミステリファン必読、というほどの作品ではないように見受けられます。 | ||||
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人が殺められてしまうことの重さ、その悲劇に至るまでの悲しく、複雑な事情や人間の心情が見事に描写された名作です。ヨーロッパミステリ界の最上ランクの賞の受賞も納得です。この作者の新たな作品を、いつ手にできるのか、今から待ち遠しい思いです。 ストーリは、現在、過去の2面で進行します。 現在での事件発生からストーリは始まります。アイスランドの首都、レイキャビク郊外の住宅地で白骨死体が発見され、主人公であるレイキャビク警察の捜査官、エーレンデュルの捜査チームがこの事件を担当となります。 地道な捜査で、当時の住民の近親者に辿りついていきますが、事実解明への決め手になかなか近づくことができません。 一方で、白骨死体の人物像の特定もなかなか進みません。白骨の掘り出しを担当するスカルプヘディン、考古学者である彼は、丁寧な作業に固執し、エーレンデュルの要請も気にすることなく、マイペースで作業を進めてしまいます。 過去のストーリは、事件発生の地で細々と生活を営む一家の悲しい日常です。 夫から家族へ暴力が振舞われる日々、凄惨な生活に耐え忍ぶ母子の姿がメインです。 読者としては、現在で発見された白骨死体が、過去のストーリーに登場する誰かのものだろうか、あるいは、全く別の事実が提供されるのだろうかと思考を巡らせながら読み進めることになります。 この現在の捜査がなかなか進まないもどかしさと、過去の凄惨劇との絡め方が絶妙で、二つの時代にまたがるストーリーの組み方が素晴らしく、どんどんと引き込まれていきます。私自身は、この白骨死体が、可哀そうな母子のものであって欲しくない、なんとか、救われていて欲しいと思いながら、ハラハラしながら読み進めました(あくまで、ストーリの展開途中での私の思いです)。 捜査の「支流」とも思えた、考古学者スカルプヘイディンの白骨死体の人物像の割り出しですが、終盤、この結果が大変重要な要素となります。聞き込み主体の捜査が、終盤に単調になるかと見せて、大きな展開を持たせるところも、なかなか良かったと思います。 伏線として描かれる、エーレンデュルの娘エヴァ・リンドとの父娘のな複雑で悲しい交わりも、過去のストーリで描かれる家族模様とは別の、人間関係の「あや」がこのストーリに色を添えていると思います。 | ||||
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