■スポンサードリンク
黒いトランク
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
黒いトランクの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.27pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全37件 21~37 2/2ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
今読み返すと、あくまでトリックだけに凝った作品という印象です。それだけに手は込んでいますが。 まず、犯人の動機が粗雑です。「いくらなんでも」という思いが残ります。 さらに、詳しいトリックの解析を犯人自身にさせているので、捜査側が最後まで追い詰める話でもありません。 ただ、列車のダイヤをヒントにトリックをつくると、こんなことも可能というお話です。 結果論ですが、現代の宮部みゆきなどの社会性にくらべると、少し単純かと思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この作品を初めて読んだ時の衝撃は忘れられません。設定も探偵役も地味なので物足りなく感じるかもしれませんが、奇抜な設定や派手なトリックでごまかしていない分、純粋に謎解きの楽しみを味わうことが出来ると思います。アリバイ崩しもののミステリーでは最高傑作と言ってもいいでしょう。トリックはかなり複雑ですが、光文社文庫版では一読してよく分からないひとのためにトリック図解がついてます。 あまりそのキャラクターが語られていない鬼貫警部の恋愛ストーリーもあり、そういう意味でも魅力的です。とにかく、絶対おススメです! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
鬼貫刑事はここから始まっていたのですね~ テレビのドラマではよく名前をみていたのですが、この本を読んでなるほどと納得しました。 しかし、緻密な推理小説です。 推理小説の原点のような気がします。 大変面白く読みました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
多くの方が書かれているとおり、推理小説の醍醐味であるトリックを楽しめる小説です。 そして、文体が美しいです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
私の生まれる前の昭和49年当時の風景、風俗、世情を想像しながら読むと楽しいです。 まだ奥多摩湖ができる前でまだ「戦後」だった時代のことですから。 トリックは複雑で3つのトランクの移動がややこしく書き出さないとわからなくなると思います。 地道な捜査、旅趣、静かに流れる人物の感情がとてもいいです。文章の密度が高いと思いました。 アルバイト学生の職務日記は特におもしろかった。 捜査に赴いた旅先での食事メニューを書いてあれば私としてはもっとよかったと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
鮎川哲也の事実上のデビュー作で、講談社の「書下し長編探偵小説全集」の公募に入選した作品です。1956年(昭和31年)に発表されました。氏はこれまでもアマチュア作家として、数々の筆名を用いながら作品を発表していましたが、(ペトロフ事件、赤い密室、等)この入選をきっかけに本格的にデビューしたのです。 一つの殺人事件に対して刑事達の捜査が延々と続きますが、作者の言葉を借りれば「地味で退屈な上にテンポがおそく」とある様に、ストーリーが起伏に富んでいる訳でなく、クライマックスに向かって盛り上がる訳でもなく淡々と進行していきます。しかし、その文体は格調が高く洗練されており、風景描写や人間心理を鮮やかに表現している。元々は800枚ほどの作品だったそうだが、公募の規定に合わせて550枚位に書き直したそうなので、その時の作者の意気込みが伝わってくる様だ。 この作品は正に論理の組み立てと崩壊である。一つの謎が解けると新たな謎がそれを打ち崩す。そしてその謎が解けた時、まるでパズルのピースがピタッと嵌った様に事件の概要が明らかにされるのである。その後隆盛を極める社会派推理の先駆けの様な、終戦後の社会情勢が見事に反映されているのも、この作品がただの本格物ではなく当時その物を表現しているといえるのではないだろうか? アリバイ崩しではあるがその中には、時刻表トリックだけではなく色々なトリックが詰め込まれ(詳しくは書けない)正に本格の王道を行っている。正し、自分は「青ずくめの男」だけは失敗だったと思う。それによりトリックが見破られる確率を上げてしまったのではないだろうか? 論理に始まり論理に終わる、この作品を良しとするか否とするか。そこが本格好きと、ただのミステリー好きとの違いを分ける。自分は正にこれが本格の傑作であると言わせてもらう。本格の巨匠の渾身の作品をぜひとも読んで納得してもらいたい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
前評判が高いので読んでみました。 古い時刻表の1ページが原本のまま乗っていて、昔は九州と東京を24時間以上かけて走る列車があったんだなどとレトロな感動があります。 話はよく練られているとは思いますが、一見複雑なトランクと人物の動きをトランクの重さの変化も含めて図に書いてみると案外単純で、途中で謎が解けてしまい、本格推理小説の醍醐味である最後の謎解きのワクワク感が得られなかったので私的には☆3つの評価としました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
鬼貫警部自身が事件の関係者であり、被害者や容疑者達の名前や、殺人の動機等 一連のシリーズと趣を異にしている。 犯行の概要や探偵役が途中で交代する点等、明らかに「樽」を意識しているが、 「樽」よりも展開が早く、事件の経過や解明の過程が整理されて書かれているので わかりやすいと感じられる。 昔に読んだのだが、トリックや本筋の細かいところは忘れても、鬼貫の「最初からないです」や、 手紙の「化けて出るぞ、かか。」、ラストの丹那刑事の「解りませんな」等々のやりとりは 印象的で記憶に残っている。 本作を読んで以降、他の作品で地道に事件を追う鬼貫に同情的になってしまう。 鮎川氏はこれを狙っていたのだろうか? | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
クロフツの樽を遥かに凌駕する傑作です。ぜひ一読を。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
一級の本格推理小説としながら、ある意味鉄道小説としても愉しめる本作で難攻不落の事件に 立ち向かう鬼貫(おにつら)警部の姿には勇気に近いものがわいてくる。 彼の1+1=2という几帳面且つ誠実な性格描写があるからこそ、この作品には《論理の道》み たいなものが存在し、読者自身が鬼貫といっしょに靴底をすり減らしながら魅惑の謎に対して 智恵を絞るなんとも愉しい体験ができます。 いわゆる推理小説の分類に、フーダニット(誰が犯人なのか)、ハウダニット(どのように 犯罪を成し遂げたのか)、ホワイダニット(なぜ犯行に至ったのか)とあり、犯人当ての妙 からトリックの妙へ、そして繊細な動機を捉える読物に進化していった推理小説の歴史上に おいて、この『黒いトランク』が本格の後、隆盛を誇った社会派の流れに与えた影響はもの 凄く大きいんじゃないだろうか?と個人的には強く思う。 メインのトリックの衝撃だけで収束せずにその一歩先まで見据えていたからこそ、本作は本格 でありながら、あまりに繊細な人間関係を描き出す事に成功しており、まさに戦後本格から 社会派主流に移行する一瞬間に存在したこれ以上でもこれ以下でもない絶妙の輝きだ。 それ故なおさら星影龍三タイプの名探偵では為り得る筈もなく、鮎川先生の枠に捉われない 発想が、鬼貫のコツコツ型大器晩成的性格と融合(もはや独立した存在)するという発想と 構成の矛盾、その矛盾が比類ない完成度に繋がったんだろう。 いや、結局謂うならば、散々賞讃しながらアレだが、この一冊は《推理小説》を意識(思考) するというよりも体験(そのもの)なのであって、特に読者を選ばず万人が愉しめるだろう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
トリックの緻密さと完成度は改めて言うまでもないけれど、それを面白いと思うかどうかは好みが分かれると思う。(私は考えるのが面倒だった;)ただそれと並行して、捜査を進めていく鬼貫警部の地味で温厚なキャラクターが、全体のストーリーに何とも言えない人間味と情緒を与えている。 中国〜九州地方の地理に疎い私には、情景が一度読んだだけではあまりぴんとこなかったけれど、ストーリーは人間模様と情緒、そして旅情さえも感じさせる、色々な意味で西洋にはないだろう独特の「湿気」ともいえる雰囲気を醸し出している。 推理小説の古典的名著というと、今の時代においては「古色蒼然」としてしまっているものもあるけど、この本は全然そんなことはない。推理小説ファンならぜひ一読をすすめたい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
1956年7月10日発表。御大鮎川哲也のデビュー作。実際はGHQに勤務の傍ら那珂川透、薔薇小路棘麿、青井久利、中河通、宇田川蘭子などの多々なる筆名を用いつつ、1950年に『宝石』の100万円懸賞の長篇部門に『ペトロフ事件』が入選しているので正確な意味での文壇デビューとはいえないかもしれないが・・・。本作を読んで感じ入るのは単にプロットが精緻にできているということでなく、一文一文の文章表現ですら精緻で、深い教養をバックグラウンドに抱えているのが良く分かることだ。文体の美しさはまるで中島敦の『山月記』を読んでいる時のような気持ちになった。そして随所に出てくる傑作の情景、たとえば石川達三の『日陰の村』や北原白秋、なんとエラリー・クイーンのライツビィルまで飛び出してきて驚き・感激である。傑作として生き残る作品というのは本作のようにすべてにおいて流麗華麗かつ精緻なるものなのだと感心してしまった。さすがである。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
いわずと知れた名作ですが、第一印象はまず、「複雑」でした。軽くみてはいけません。じっくり咀嚼しながら読み進めてください。トランクとその中身と人の動きが複雑なのは確かですが、焦らずじっくり読み進めば必ず楽しめるでしょう。特に本格ファンは満足できると思われます。謎解きできるかと聞かれると、ちょっと無理だと言わざるを得ませんが、緻密なトリックの積み重ねには脱帽です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
名作の復刻版ということで、話は1949年が舞台のミステリーです。かなりトリックが複雑で、よく考えながら読まないとわからない話です。面白かったかというと、実は微妙です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
私が読んだのはこの「創元推理文庫版」、いわゆる推敲された決定版。ちなみに「光文社文庫版」のほうは、最初に発表されたままのものだそうだ。で、このお話は、作中にもでてくるクロフツの「樽」を思わせる作品であることは有名な話だ。読んでみて実際どうだったかというと似てなくもないし何ともよくわからない。ただ、それを抜きにしても純粋に面白いお話であることはいえる。トランクのたどる経路やアリバイのトリックを、こつこつと紐解いていく鬼貫刑事の粘り強さに脱帽だ。しっかりとした筋立ては読んでても飽きないし、やはり実力がなければこうは書けまい。「樽」と比較して云々いうなんて野暮なことはせず、純粋にこの作品を読んで本格推理を楽しめばよいのだ。ただ、「光文社文庫版」との読み比べは是非やってみたいな。どちらにしろこの本を読むときは、是非メモの用意をして読むことをすすめたい(笑)。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
初めてこの作品を読みましたが、一つの事件の推理の過程をここまで徹底して書いてる作品って、そうそう無いと思います。けして派手な舞台設定ではないし、天才的な探偵が登場するわけでもないので、一見地味な印象を受けるかもしれませんが、甘く見てかかると大変な目に遭います。読み進めば読み進むほど、事件のデータが揃えば揃うほど、この小説の本当の底力が読者のみなさんの頭をぎゅうぎゅうと締め付けてくる音が聞こえてくるでしょう。(笑)オススメです! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
言わずと知れた、鬼貫警部のアリバイくずしの大傑作。なんですが、はじめて読んだとき(角川文庫版)は、ゴチャゴチャしていてわかりづらく、おもしろいとは思えませんでした。今回、創元推理文庫で決定版が出たのを機に、評価が高いんだから自分の読みが浅かった、悪かったに違いない!と再度チャレンジしてみました。トランクや複数の人物がいったりきたり、ややこしかったという覚えがあったので、今回はメモをとりながら読み進んでビックリ、確かにややこしいんですが、よくぞここまで緻密に考え抜いたものだと感心しました。伏線の張り方も絶妙で、ホンのちょっと顔を出しただけの人物が、後から重要な意味を持っていたことに気づかされ、これまた感心。その上、他の作品ではあまり私生活を覗かせない鬼貫警部の若かりし頃、学生時代の生活や恋愛について書かれていて、ファンにはトリックがどうのこうのより、こっちのほうが興味深く読めるのではないでしょうか。警察組織の中にいる人物が、有給休暇をとって知り合いの関係した事件を調査する、それに警察も協力する、などのちょっと不自然かな?と思えるところもありますが、なるほど、傑作の名にふさわしい本格ミステリです。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!