(短編小説)
碑文谷事件
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鬼貫警部シリーズの全短篇を収める全3巻のうちの1巻目。ほぼ発表順の収録なので、今回は中川透名義のものも含む初期のものだ。「宝石」に掲載された「楡の木荘の殺人」と「悪魔が笑う」は、鬼貫のハルピン時代のもので、彼はロシア人に“アニツーラ”と呼ばれたりする。非常に異国情緒あふれるもので、やや違和感があるものの読みすすむうちに新鮮に感じられもする。<人間そのものが何かを軽蔑しなくては生きていけない動物なのかも知れないね>なんて警句も生き生きしている。 表題作は、冒頭こそ<燃料店の連合軍><南海コークス>と<瀬戸物商の同盟軍><松竹ドビンズ>による<職業別野球の決勝戦>などという呑気なスタートだが、<深夜の駅の灯をみて詠める><高しまだ崩れて今日はいわた帯>という迷俳句がキーとなる“地名”を使った見事な“アリバイ崩し”が炸裂する名篇。そもそも“鬼貫”の名が、<関西の俳人上島鬼貫>を勝手に借用したらしいので、TVシリーズ「刑事・鬼貫八郎」で作者に無断で“八郎”の名が付けられても、自分のしたことを顧みれば<腹をたてるわけにもいかない>とも書いている。「誰の死体か」は「白昼の悪魔」などをまぜて、そのTVシリーズの1話となった。藤真利子が健闘していたが、やや焦点のぼけた仕上がりだった。それでも、この大地康雄を鬼貫役にしたドラマは、これはこれで鮎川マナーを貫徹する好篇ぞろいだったと思う。 しかし、やはり、これ一篇といえば、長篇「人それを情死と呼ぶ」以前に発表された単行本未収録の同タイトルの中篇だろう。長篇へと至る前のスケッチなどではない力のこもった完成作といってもいいものだ。ただ、ここに鬼貫警部は登場しない。長篇はいわば彼を登場させることでさらなる膨らみをもたせることになったのだろう。その代わりに、ここでは途中登場の河辺由美が探偵役として活躍する。「1時10分」のオ侠(キャン)な婦人警官といい、鮎川ミステリには時折、男には真似のできない冴えた女性が登場するが、この由美も実に頭が切れる。何でもないものから事件のほころびを発見するのは何も男の探偵だけではないのだ。実兄が女子大生と心中したとされる事件に違和感をもつが、それを<くったくのない顔つきで手をくんであるく男女とすれちがったりすると、彼らが宇宙のふしぎな生物のように見えた>と感じ、容疑者と対面する際にはその緊張感を<ブラジャーがきつすぎて呼吸がくるしい>と表現する。作者の感覚の卓越さも読みどころの一つだろう。 | ||||
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鮎川哲也作品の収集を始めたので購入した。やはり鮎川哲也の作品は間違いなく一級品だと思う。若い読者には古く見えるかも知れないが、推理小説の真髄は貫かれていると思う。 | ||||
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ハルビン時代の事件簿2作品も収録。戦前・戦後の日・中・露・入り混じった頃のムードが堪能できます。 表題作の「碑文谷事件」も列車のアリバイトリックを用いているのですが、該当県在住の方はきっと見破れますよ。 鬼貫刑事のこつこつぶりは、長編ほどではありませんが、今回も細かいです。粘っこいです。 かくして犯人は完全犯罪の難しさを身を持って知るのでした。 | ||||
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長編の超有名シリーズキャラクターながら、短編の少ない鬼貫警部の作品を、初期短編やのちに長編化された幻の作品と共に集めたシリーズの第一巻。この第一巻では、のちに同名の長編となって(もちろん同じ骨子でも犯人は異なるのでご安心を)、これまで単行本に収録されなかった「人それを情死と呼ぶ」中篇版が目玉。中篇も意外な犯人だが、幕切れもなんとも切ない。どの作品もトリックあり鉄道トリックありの”アリバイ崩し”。短編でも長編でも、鬼貫警部のカンと粘り強さは読者を引きつける。特に「誰の屍体か」は、死体の身元がわからない、誰が犯人かわからない中でのアリバイ崩しという名作。アリバイ崩しは推理小説の常道ながら、その面白さをあらためて感じさせてくれる作品集。また、それぞれの作品に登場する女性も実に様々で、印象深い。 | ||||
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