碑文谷事件
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初版刊行(参考)
種別
短編
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あらすじ
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評判
碑文谷事件の評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 C ランク
碑文谷事件の総合評価:
9.00/10点 レビュー 4件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
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表題作は、冒頭こそ<燃料店の連合軍><南海コークス>と<瀬戸物商の同盟軍><松竹ドビンズ>による<職業別野球の決勝戦>などという呑気なスタートだが、<深夜の駅の灯をみて詠める><高しまだ崩れて今日はいわた帯>という迷俳句がキーとなる“地名”を使った見事な“アリバイ崩し”が炸裂する名篇。そもそも“鬼貫”の名が、<関西の俳人上島鬼貫>を勝手に借用したらしいので、TVシリーズ「刑事・鬼貫八郎」で作者に無断で“八郎”の名が付けられても、自分のしたことを顧みれば<腹をたてるわけにもいかない>とも書いている。「誰の死体か」は「白昼の悪魔」などをまぜて、そのTVシリーズの1話となった。藤真利子が健闘していたが、やや焦点のぼけた仕上がりだった。それでも、この大地康雄を鬼貫役にしたドラマは、これはこれで鮎川マナーを貫徹する好篇ぞろいだったと思う。
しかし、やはり、これ一篇といえば、長篇「人それを情死と呼ぶ」以前に発表された単行本未収録の同タイトルの中篇だろう。長篇へと至る前のスケッチなどではない力のこもった完成作といってもいいものだ。ただ、ここに鬼貫警部は登場しない。長篇はいわば彼を登場させることでさらなる膨らみをもたせることになったのだろう。その代わりに、ここでは途中登場の河辺由美が探偵役として活躍する。「1時10分」のオ侠(キャン)な婦人警官といい、鮎川ミステリには時折、男には真似のできない冴えた女性が登場するが、この由美も実に頭が切れる。何でもないものから事件のほころびを発見するのは何も男の探偵だけではないのだ。実兄が女子大生と心中したとされる事件に違和感をもつが、それを<くったくのない顔つきで手をくんであるく男女とすれちがったりすると、彼らが宇宙のふしぎな生物のように見えた>と感じ、容疑者と対面する際にはその緊張感を<ブラジャーがきつすぎて呼吸がくるしい>と表現する。作者の感覚の卓越さも読みどころの一つだろう。