陶芸家・長倉英臣の父の一周忌で、石黒義彦は英臣の娘・智子と再会する。

定年を迎えたり、親しい友人が亡くなったり、親やきょうだいの法事に集まったりするとき、ふと胸をよぎるのは、幼かった頃のことや、最も輝いていた時期のことだ。

きみが先祖から受け継いできたものの正体が知りたい―都内の小さなPR会社を経営する俵谷慎介のもとに、郷土史家を名乗る老人がふいに現れた。

ただひとりの肉親だった祖父を目の前で殺害された渋木祐介少年の生活は、その日を境に一変した。

これが最後の仕事と思い決めて、危険な犯罪に走った初老の男が辿ってきた人生(「トマト」)など、七本の短篇を収録。

悔いてはいないが、そろそろ残された旅を急がなければならない。

弟は三年前、本牧埠頭に沈んだ愛車の中で発見された。腹をえぐられて死んでいた。

女生徒との恋愛がスキャンダルとなり、都内の名門校を追放された元教師。

海峡で消息を絶ったのは、弟に船長を任せた船だった。乗組員は全て死亡したと聞く。

結成14年のアマチュアロックバンドのギタリスト・姫川亮は、ある日、練習中のスタジオで不可解な事件に遭遇する。

若い女性と燃えあがるような情交を愉しむ。妻の体の奥底まで追求する。

大阪府警薬物対策課の桐尾と上坂は覚醒剤密売捜査の最中、容疑者宅で想定外のブツを発見した。

刑務所帰りの旧友と再会し、執拗につきまとわれる滋郎。愛する家族を守るため、言うなりに金を払うのだが―(「再会」)。

人は、死んだらどうなるの?―いなくなって、それだけなの―。その会話から三年後、凰介の母は病死した。

ささやかだが平穏な暮らしが、その日、失われた。怪しい男たちが訪れた時刻から。

まるで拾った宝くじが当たったように不運な一日は、一本の電話ではじまった。

刑務所で作られた椅子に奇妙な文章が彫られていた。

湯原直子がある邸から持ち帰った稀覯本は、直子の勤める古書店の客磯部の蔵書から消えた品だった。

生き急ぎ、駆け抜けてきた。

その誇りに、囚われるな―。鉄砲百人組の老武士、山岡晋平。

初老の介護士・三谷孝は、対人関係能力、調整力、空間認識力、記憶力に極めて秀でており、誰もが匙を投げた認知症患者の心を次々と開いてきた。

「おふくろに届けてくれ」坂倉博光は、そう言い残して数日後、謎の死を遂げた。託されたのは位牌だった。

第六協洋丸、仮想敵国の領海に接近するためのスパイ船。柏木はその仕事を好まず、親友・成瀬に船長の座を譲った。

民族の悲願、独立国家の樹立を求めて暗躍する中東の少数民族クルド。

人生に敗れ、詐欺を生業として生きる中年二人組。ある日、彼らの生活に一人の少女が舞い込む。

新宿・アンダーグラウンドを克明に描いた気鋭のデビュー作!おれは誰も信じない。女も、同胞も、親さえも…。

「私の赤ちゃんを返して!」誘拐された子供を求めて妻は出奔した…やがて子供は戻されたが、妻は行方をくらましたまま。

ノンフィクション作家・五十嵐友也のもとに届けられた一通の手紙。

幻の初期作品集!ミステリ、恋愛ホラーなど多彩な物語!容疑者を追い続ける老刑事、胸を打つ10の物語。

雪の札幌。

ノンフィクション作家・高嶺隆一郎は真犯人に直接インタビューする手法をとっていた。

同僚だった女に持ちかけられた交換殺人の提案に乗り、一面識もないその夫を殺した罪で逮捕された友竹智恵子。

トンネルを抜けると緑濃い山を背景に美しい里が現れた。浅茅が原だ。

添木田蓮と楓は事故で母を失い、継父と三人で暮らしている。

東京近郊にある共同農場の農場長・尾関譲に、ベトナム人ロアンから電話があった。

埼玉県蓮田市、黒沼の畔に建つ二つの名家で起きた一家惨殺事件と失踪事件。

警視庁犯罪被害者支援課――犯罪被害者の家族などの心の支援を行うセクション。 帰庁の時刻となった頃、電話が鳴った。

見上げた空は果てしなく高かった。都会での華やかな暮らし、想い続けている人の横顔が、ふわり浮かんだ。

”原作者”と”盗作者”の緊迫する駆け引きに息を呑む。

神山佐平は、やむなき事情から家中の者を斬り、無断で江戸へ帰ってきた。わずか二年前に仕官したばかりだった。

400日ぶりに東京に帰ってきた私立探偵沢崎を待っていたのは、浮浪者の男だった。

福岡で資産家の女児誘拐事件が発生。県警捜査一課刑事・皆川は、身代金を奪った犯人を追い詰め溺死させてしまう。

少年が大人へと成長する過程で経験する様々な心象風景―村祭りの一夜。祖母の入院。

建設コンサルタント・二宮啓之が、産業廃棄物処理場をめぐるトラブルに巻き込まれた。依頼人の失踪。

冷たい雨の夜だった、池内峻介は傷ついた女を拾った。彼女は江田美也子。

盗聴専門の探偵、それが俺の職業だ。目下の仕事は産業スパイを洗い出すこと。

不慮の死を遂げた夫のポケットベルへ、ひたすらメッセージを送信し続ける女。

定年まであと十年のベテラン刑事岩倉剛。

海に浮かぶ「密室」殺人者はここにいる。昭和34年。

ある女のひとを守ってほしい―沢崎の事務所を訪れた十才の少年は、依頼の言葉と一万円札五枚を残して、雨の街に消えた。

本書は沢崎シリーズの、第二期のスタートを告げる作品。

かつて極秘機関に属し、国家の指令で人間を“消して”いた加瀬。ある任務が原因で組織を離脱し、監視を受けながら暮らしている。

大人気ミステリー「――者」シリーズの原点 多額の保険金をかけた妻を、トリカブトで殺したM。

渡辺探偵事務所の沢崎のもとに望月皓一と名乗る金融会社の支店長が現われ、赤坂の料亭の女将の身辺調査をしてくれという。

「ソ連領沿海州に住んどる超能力者を、ひそかにワシントンに連行して欲しいんやけど」CIA関西支部の秘密依頼を受けたのはサギ師の岩内亮。