その病院は、火星の丘の斜面に、カバラの“生命の樹"を模した配置で建てられていた。

小説の書き手である「わたし」は物語を始めるにあたり、日本語の表記の範囲を定め、登場人物となる13氏族を制定し、世界を作り出す。

長野県松本で暮らす作家のぼくは、連絡がとれない父・伊郷由史の安否を確認するため、新潟の実家へと戻った。

オーバー・チューリング・クリーチャ(OTC)が現実宇宙の解像度を上げ、人類がこちら側へ退転してしばらく。

20年以上続いた核戦争が終結したのち、人類は世界連邦政府を樹立し、重要事項の決定をコンピュータ“ヴァルカン3号”に委ねた。

ときは遠未来。海王星軌道上の“ジレンマの監獄”から脱獄を遂げた名うての量子怪盗ジャン・ル・フランブール。

戦場カメラマンの石塚旅人が乗り組んだ宇宙調査艦隊が、突如、 沖ノ鳥島星系を襲撃してきたエイリアンと交戦状態になる。

記者のマーティンは、イランで歴史的な政権交代の場に居合わせ、技術が人々を解放する力を実感する。

甘美で、繊細。壮大で、ぼんくら。

異次元との接触現象〈涯て〉に侵食される地球。

匿名の電話の警告を無視してフリーダは婚約者の実家へ向かうが、その夜のパーティで殺人事件が起こる。

電気風呂が売りの銭湯で起きた殺人の謎を描く、デビュー作の本格ミステリ「電気風呂の怪死事件」。

「まんじゃしろ」に祭られている美森さま。過疎が進む山村、美森町の守り神だ。

二十年前の破滅的な隕石落下により、大阪は異形の街と化した。

『千夜一夜物語』の翻訳でおなじみのリチャード・バートン卿、ゴシック小説の有名な怪物…さまざまな実在の人物、架空のキャラクターとの遭遇が描かれるホームズ物語の最新コレクション。

アメリカの田舎町。11歳のハロルドは、湖に棲むモンスターを呼び出す実験に夢中だ。

西暦2112年。人間の精神を数値化し最適幸福が追求できるようになった未来世界。

科学知識を駆使したミステリを描いた、日本SFの先駆者・海野十三。

巨大情報企業による実験都市アガスティアリゾート。

吹雪のアルプス山中で遭難機が発見された。傍には引き裂かれたジュラルミン製トランクの破片。

伊豆・鳥島の東北東で一夜にして小島が海中に没した。

イギリスの田舎町を豪雨が襲った夜、舞踏会からの帰途にあった二人の男は、急カーブの続く難所で自動車事故に遭遇した。

英仏帝国による統治が長く続き、科学的魔術が発達した世界。

新たな呪いは――「変異」する。進化を続ける「貞子」、ノベライズで登場! 時は令和。

N大学理論物理研究所助手の野々村は、ある日、研究所の大泉教授とその友人・番匠谷教授から一つの砂時計を見せられる。

『星を継ぐもの』シリーズ4作品 新版化 月面で発見された5万年前の死体はどこからやってきたのか？ ハードSFの巨匠ホーガン不朽の名作 第12回星雲賞海外長編部門受賞作 【創元ＳＦ文庫60周年記念新版】 月面調査員が、真紅の宇宙服をまとった死体を発見し

小学校教師アン・ネルソンを三年ぶりに訪ねてきた母親。別れた父親が手にした遺産の話をし、毒づいて帰っていった。

知られざる、もう一つの物語。“6月の蛙男”が雨音の中やってくる。

ほかの星から流れ着いた〈妖精〉は従順で謙虚、ペットとしてたちまち普及した。

東京地検特捜部検事・正崎善は、製薬会社と大学が関与した臨床研究不正事件を追っていた。

娘を惨殺され、失意の底に沈むエッセイスト草薙のもとに、かつての担当編集者から連絡が入る。小説を書かないか―。

終戦直後の大阪で、鉄を食べる人間が出現した。名は「アパッチ」。

ふとした気まぐれや思いつきによって、人間を残酷な運命へ突きおとす“悪魔”の存在を、卓抜なアイデアと透明な文体を駆使して描き出すショートショート３６編を収録する。

どこまで行っても、宇宙にはなにもなかった―空っぽの宇宙空間でただよい続け、いまだ出会うことのないバナナ型宇宙人を夢想し続ける無人探査機を描く表題作、淡々と受け継がれる記憶のなかで生まれ、滅びゆく時計の街を描いた「エデン逆行」など全10篇。

「横浜駅が急速に膨張している」と報告を受けたエキナカ在住医師・青目先生は、その原因が駅下層にある火山の噴火兆候ではないかと推測する。

ブレクは宇宙戦艦のAIであり、その人格を4000人の肉体に転写して共有する生体兵器“属躰”を操る存在だった。

江戸川乱歩の造語である“奇妙な味”は、ミステリにもSFにも怪奇小説にも分類不能の、異様な読後感を残す小説を指す。

マイホームを“マイ国家"として独立宣言。

「多重債務者」に「高額所得者」、「エステ会員」に「かもリスト」…。

いくつもの並行世界を行き来する少女たちの1度きりの青春を描いた表題作のほか、脳科学を題材として伊藤計劃『ハーモニー』にトリビュートを捧げる「美亜羽へ贈る拳銃」、ソ連とアメリカの超高度人工知能がせめぎあう改変歴史ドラマ「シンギュラリティ・ソヴィエト」、未曾有

その失踪は、数々の猟奇的な事件の発端だった―― とある反社会的組織に対抗するために設立された特殊情報管理室。

北から南へ、そして南から北へ。

ボランティアで児童虐待の電話相談をしている秋生。

自然と本能のまえにとまどう異星生物のライフサイクルを、斬新なスタイルで描き、1973年度ネビュラ賞に輝く表題作ほか、コンピュータによって他人の肉体とつながれた女の悲劇を通して、熾烈な未来社会をかいま見せ、1974年度ヒューゴー賞を獲得したサ

惑星ソラリス――この静謐なる星は意思を持った海に表面を覆われていた。

アメリカ美術工芸品商会を経営するロバート・チルダンは、通商代表部の田上信輔に平身低頭して商品の説明をしていた。

あらゆるものが退行し朽ち果てていく。

超情報化対策として、人造の脳葉〈電子葉〉の移植が義務化された2081年の日本・京都。

弱小なディメ王国の醜悪な第六王子アリスマは、その類まれなる計算能力によって頭角を現していくが―森羅万象を計算し尽くす夢に取り憑かれた王を描き、星雲賞を受賞した表題作、英語版アンソロジー初出の宇宙SF「ゴールデンブレッド」、なぜか自律運転車に乗せられる人型ロ

わたし、城の外に行きたいの 一家団欒に突然飛び込んできた少女は、「城」の外に出て行くと言う。

団地に住むショウタと親友トモヤ。

過去は変わらないはずだった―1992年夏、未来から来たという保彦と出会った中学2年の美雪は、旧校舎崩壊事故から彼を救うため10年後へ跳んだ。

二〇一八年、日本は二つの経済構造を持つ国になっていた。

人間の妄想を取り扱うエフ博士の妄想銀行は大繁盛! しかし博士は、彼を思う女からとった妄想を、自分の愛する女性にと……。