日本アパッチ族
- SF (392)
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あり得ない奇想天外なストーリーに動転しながら、面白くて笑いながら読み進むうちに、いつしか鉄を主食とする奇妙なアパッチ族なる者に共感している自分を発見する。 アパッチ族とは、戦後の死刑廃止の"民主主義"制度により、謂われもなく市民社会から追放され遺棄された厄介者たちのことだ。生き延びるために鉄くずを主食としていることから、そう呼ばれている。遺棄された場所が大阪市内の元兵器製造工場跡地なので、食べる鉄には不自由しなかったからだ。 やがて強靭な体力を保持することになるアパッチ族は、日増しにシンパが増大。あくどい政府に抵抗して、国家権力との戦闘に突入する。しかし、アパッチ族は銃弾を跳ね返し、逆に食料品として蓄えたり、突撃してくる戦車までかじり食ってしまう始末。砲弾が飛び交う中で、のんびりと大阪弁で駄洒落を飛ばしながら深刻な戦況を討議するアパッチ族。コミック的なブラックユーモアが満載である。 一連の深刻なSFものとは異質な小松左京の傑作である。権力の脅威と傲慢、画一的な官僚制への皮肉、さらに、日本とは、そもそも人間とは、悪とは、善とは、という本質的な問いかけ。 おもしろうてやがて哀しきアパッチ族物語。お勧めです! | ||||
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単純に面白かった。隔離された人間が鉄を食べるようになり、人間とは別のアパッチという種族になる。そうなった世界で何が起こるのかを想像する。この想像力はすさまじいし、それを大阪弁で軽妙に物語が進んでいく。「人間が鉄を食べるようになるなんてありえないだろ!」というツッコミは野暮である。むしろアパッチとは何を象徴するのか考えながら読むのが楽しい。人類が異種に対して排除に向かう傾向があり、どのような仕打ちをしでかすのか、最後は大きな話になるのだが、実際に人類がアパッチへと進化してしまった場合、作品のようなことが起こるのだろうなとリアルに感じてしまう。 | ||||
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ワテ、この小松左京はんの長編第1作を読んだんは実は初めてなんやけどな(令和3年9月の改版初版)、こりゃどエライ小説でっせ!冒頭、主人公がつい課長の鼻を引っ張ってクビになるんはちょっと北杜夫かとも思うたけど、そのまんま大阪城横の広い広い砲兵工廠跡地(昔ホンマにあったんやて.ワテが物心ついた頃にはもうキレ〜に再開発されとったけどな)に追放され(有刺鉄線で2重に囲われ機関銃を備えたトーチカで監視されとる、なんや昔の東映映画「女囚701号/さそり」の刑務所みたいや)、そこで知りおうたインテリ左翼のクソ真面目な活動家との脱走は速攻でアカンくなって、そのまんま死にかけた主人公のオッサンはこの追放地の奥で人知れず独自の王国を築いとった食人族ならぬ食鉄族(通称アパッチ族)の仲間になんねん.鉄食ろうて生きとるコイツらの生態を大真面目に解説している第二章はもう抱腹絶倒やで!真面目な話、これ以上堕ちようのないコイツらにはなんちゅうか突き抜けた明るい爽快感があってワテも応援せなっちゅう気になんねん.尤も同じマイノリティ集団でも隆慶一郎はん描く「無縁の徒」らと違って、女子供を犠牲にしても生き延びる非情で自分勝手な連中なんやけどな.ま、それはそれとして、世間的に存在を抹消されたものとして社会の底の底で生きるアパッチ族が全国の仲間とツルンで東京の国会に乗り込み、やがて日本国家を滅ぼすんやから痛快でないはずがないやんけ、と思うとったらそうでもないとこが奥深いっちゅうか.確かに日本は自分らをハミゴにした憎い敵なんやけど、そういうたかて自分らも元は同じ日本人なんやし、それを滅ぼしたんに対して幾許かの罪悪感ちゅうか寂寥感ちゅうか、勝った後の内輪揉め含めてなんかやるせない感じがリアルや.これが出た昭和39年、東京オリンピックで盛り上がっとる頃の日本をオチョクったナンセンスなエンターテイメント小説なんやけど、昭和6年生まれで戦中・戦後に青春過ごした小松左京はんが、日本というシステムに対する怒りや失望や愛情といった複雑な心情を饒舌な大阪弁でやわらこう丸めてあらわに語り、今となっては全く異世界としての日本を創造したようにもみえる怪作・快作とちゃうか、とワテは思うてまんねん.ま、ちゅうことでここら辺でほな. (2022年12月4日追記)こないだ「日本沈没」のレビューで「フォロワー無し」と書いててふと思いついたんやけど.日本から生まれた新種族が日本を滅ぼすっちゅう設定は、森岡浩之はんの「星界の紋章」(’96年)に引き継がれてるんとちゃうか、と思うてんねん.本人に聞いたんちゃうけどな.これだけでなく本作にインスパイアされたんは他にもいろいろあるんちゃうかとワテは思うで.よう知らんけど.ほな. | ||||
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大阪弁。空気感。子供の頃に聞いたような、聞いてないような、会話の言い回し。 もっと早い時期に読んでいればよかった。全世界で読まれるべき日本のSF作品である、知らんけど。 | ||||
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予想を裏切る面白さ。 鉄を食べる人間のふざけたお話かと思いきや、意外とシリアスな面もあり読み応えあり。 本作(1964年)の約10年後に発表される大傑作『日本沈没』(1973年)が生まれる産声が聞こえるような(日本という国の滅亡と再生への希望が描かれる共通点あり)熱のある作品です。 失業という罪に問われ、罪人を閉じ込める廃墟に追放された木田が、廃墟の中で出会った山田とともに廃墟脱出を図る前半部分のハラハラ感。 その後、鉄を食べる集団アパッチ族と出会ったことでアパッチとして生き抜くことを選択する木田が、鉄を食べる(一日6キロのスクラップを食べ、半リットルのガソリンを飲む)うちに体質が変わり、銃で撃たれても平気になり、遂に人間たちとの戦闘になる中盤のワクワク感。 戦車に対しても「うまそうな戦車やなあ。よう肥えとるわ」と食べ物に見えるおふざけ感もあり。自衛隊も武器を食べられアパッチ族の前では近代兵器も全滅状態。 そしていったんは市民権を得たかのように見えたアパッチ族と日本国家との大戦争に突入する後半。 まさに「無秩序なエネルギーに満ちた廃墟の物語」です。 | ||||
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