(短編集)
忌まわしい匣
- 異世界 (87)
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ミステリ、ホラー、ジュブナイル、ファンタジー、映画翻訳なんでもできちゃう牧野修のホラー短編集的長編。要するにひとつの目的が提示されて、そこからオムニバス的に多種多様なホラー短編が語られていくのだ。その数、その種類の多さ、その上手さにこの作家の器用さを感じずにはいられない。じめっとした和製ホラー、超能力、オカルト、スプラッター、ヴィラン/モンスター系、サイコ/電波、耽美・・・その引き出しの多さも素晴らしいが、短編ごとの方向性に合わせて様々な文体を使いこなし、しっかり読ませるあたりの技術力の高さには本当に感心する。 ただ、欠点を挙げるなら「なんかこわかったなあ・・・」という味わい深さがある反面、大きなカタルシスみたいなものはない。短編集みたいなものだからしょうがないなとは思うのだが、求め過ぎたくなる文章力があるからそう感じてしまうのだろう。 | ||||
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短編13作を収録。牧野作品の中でも特級レベルで猟奇的な作品が並ぶ。剥き出しの暴力やそれに伴うグロテスクな描写というのは、いずれの牧野作品にもよく見られるものだけど、今作の多くにおいては(特に第1部)そうしたグロテスクな描写がゴシックであったりはたまた耽美的な世界観であったりする特別なフィールドへとリンクすることなく、昇華されることがない。いわば、まさしくグロテスクな怪物の挙動を意味も分からないままに焼きつけられる衝撃性のみが際立っている。 常人からすれば全く意味不明なまでに殺戮の嵐が吹き荒れる前半部においてそれは特に顕著で、理解のりの字も浮かばず溢れ出し蓄積されていく血の海に吐き気を覚える。血の赤というのは大変にインパクトが強く、それだけに非日常の興奮があるにはあるのだが、身体が損壊される描写の衝撃の連続に、次第に胸が焼けてくる。作品とは別に関係ないのだが、死体からパーツを剥ぎ取って肉人形を作るような猟奇的殺人者に殺されるのと、秋葉原の事件のような身勝手な動機を持つしかしある意味まだ人間的な部分を残した人物に殺されるのでは、残された関係者の心情はどちらがまだマシなんだろうか。そんなこともチラリ考えた。 そんなわけで前半部においては正直結構なグロッキー状態となり、アララこれちょっとしんどいなぁと思ったりしたのだが、中盤以降ではいかにも直接的な殺戮グロテスク絵巻がそのエキセントリックさの超過により次第にわけのわからない世界へと飛び始め、馴染みの牧野節ともいえる面白さが横溢を開始する。個人的に最も印象的だったのは『罪と罰の機械』かしら。生きとし生ける者の罪を測り、その罪に対し粛々と処刑を進める殺戮マシーンが登場する。ただひたすらに測り、罰を下す超越的な存在。その姿態は自らの任務に対し100%効率的であり、つまりはめちゃくちゃグロテスク。そんな怪物じみた精巧なマシンが、渾然とした幻想的な風景へと瓦解昇華されていく描写が凄まじく美しい。粘膜のようにネバつくグロテスクを描きながら硬質かつ美麗という、牧野ブンガクを象徴するような優れた一作だと思います。それからこれは第1話なんだけど、『おもひで女』も物凄く良かった、というか怖すぎる。記憶を這い上がってくる女の描写自体が恐いのだが、それによって現状認識が狂っていくその感覚が恐ろしい。読中に津原泰水の『蘆屋家の崩壊』収録の『猫背の女』を思い出した。 他にも好きなタイプの作品がいくつかあったのだけど、息切れしてきたのでこの辺で打ち止め。良くも悪くも著者の頭の中を間近に覗きこむような直接的なインパクトが強い作品。ちなみに巻末解説では先の津原泰水含め、古川日出男などの名前も並列で挙げられていた。どの作者も等しく好きな身としては、自らの好みの共通性を後から証明される感じで、おぉ!などとちょっと興奮したりしていたのでした。 | ||||
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血と糞尿と肉と汚泥と。 おそろしくグロテスクでスプラッターなものの中に 孤高の美しい存在があることを教えてくれる作品。 などと中途半端な感想を言わずとも 感じる人にはすばらしい感動を与えてくれる作品だ。 牧野氏の作品を読むと 足下がぐらつくような衝撃を受けることが多い。 ああ、重い、重すぎる感動。 | ||||
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牧野修らしい質の高い短編集です。 (一応話に関連はあるのだけど) 確かにスプラッターなグロっぽい物もあるのですが この人の持つ品性がそれを決して嫌らしいものにしていませんね。 ホラー系の何が好きって最初っから上辺を剥がれた人間が リアルに描かれているのが好きです。 電波対戦などは久しぶりに楽しいSFでした。 | ||||
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スプラッタ嫌いなので最初は失敗したと思ったのですが、スプラッタながら読ませる短編が多かったです。 『MOUSE』を思い出させる話もあり、この価格でこの内容はお得。 あまりに充実しすぎて、その後に出た『傀儡后』に既読の印象を持ってしまったのが残念でした。・・・贅沢過ぎますか。 個人的に、3人のおじいさんの話がお気に入り。 | ||||
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