怪物團―異形コレクション
- 異形コレクション (56)
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個人的BESTは飛鳥部勝則の「洞窟」。 | ||||
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目次を見ると3つのパートに分かれていて、それぞれには特にタイトルはついていないものの、似た雰囲気の作品を集めてあるように思えました。または、最初が正統派ホラーなのに対して、後に行くに従って、過激に、スプラッタに、暴力的な傾向の作品になっているように感じました。 最初の方から、個人的に気に入ったものをあげていけば、 飛鳥部勝則「洞窟」は村落部で、性にまつわる土着的な恐怖を描いて秀逸。 朝松健「醜い空」お得意の歴史ホラー、清らかで高貴な尼がふと見せる表情が怖い。 編者の井上雅彦氏による「碧い花屋敷」は、前置の説明文にもあるように、昭和レトロな怪奇SF映画を意識して作られたもの。 化野燐「カナダマ」遺跡にまつわるホラー。古いものを粗末にするとバチが当たるということかも。 上田早夕里「夢見る葦笛」は無意識から精神を支配される恐怖、幻想SFの香りです。 倉坂鬼一郎と飯野文彦作品は、偶然どちらも牛に関する恐怖を扱ったものです。牛はおとなしい動物だと思うのですが、なぜか日本では恐怖の対象にもなっていたようで、地獄の獄卒が牛頭だったり、祇園社で祀られている祟り神の牛頭天王や、牛人間である”くだん”件”字の通り半分が人間で半分が牛という妖怪のようなものも伝えられていて、それらと同種の恐怖が描かれています。 入江敦彦「麗人宴」は異形コレクション収録前作の続編というべきもので、鉄輪の井戸にまつわるお話。由緒正しい京都弁の響きが怖いです。 最後に、真藤順丈「ボルヘスハウス909」の異様な迫力にやられました。 なお、この本が初版発行された2009年に怪奇小説、ドラマ、映画の大御所、田中文雄氏が亡くなられています。井上雅彦氏の追悼文も最後に添えられています。 | ||||
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本書が通巻の四十三冊目。とても全巻は読み切れていませんが、思い出したようにちょこちょこと手にとって、ぱらぱらと頁をめくっています。今回は『怪物團(かいぶつだん)』とタイトルにあるように、テーマは“怪物”。現代日本の異端の作家たちが創造した怪物たち、モンスターたちの一大見世物(スペクタクル)。印象的な短篇がいくつもあり、本シリーズで私が読んだ中では、初期の『時間怪談』に次ぐ読みごたえ。虚構の物語世界にとっぷりハマる数時間を過ごすことができました。 飛鳥部(あすかべ)勝則「洞窟」、朝松 健「醜い空」、井上雅彦「碧(あお)い花屋敷」、平山夢明(ゆめあき)「ウは鵜飼いのウ」、岩井志麻子「暗い魔窟と明るい魔境」と、それぞれ面白かったのですが、とりわけインパクトがあったのは次の二篇。真藤順丈(しんどう じゅんじょう)の「ボルヘスハウス909」と、上田早夕里(さゆり)の「夢みる葦笛(あしぶえ)」。 真藤順丈という作家のことは全く知らず、「ボルヘスハウス909」で初めて接したのですが、凄い才能であるなあと一発、ノックアウトされました。幕開けの第一頁目から三頁目あたりまで、そこには“ボルヘスハウス”で暮らす異形の住人たちの様子が描かれているのですが、その異形の者たちの造形、姿がとても魅力的なんです。真藤順丈という作家が脳内画像に映し出すビジョンと、その幻視力の鮮やかな豊穣感にわくわくしました。ホラー系作家のなかでも要注目の若手ではないかと、ゴシック太字で脳裏にインプットいたしました。 もう一編。イソギンチャクに似た怪物で、いつの間にか次第に増殖していく“イソア”の恐怖を描いて、不気味な隣人風テイストが魅力的な「夢みる葦笛」も、ぞくぞくさせてくれましたねぇ。人々をうっとりさせる怪物の歌声は、まるで、横溝正史の『悪魔が来りて笛を吹く』のフルートの音のよう。作者&作品紹介文の中、井上雅彦が名前を挙げていた冬木 透(ふゆき とおる)の協奏曲。聴いてみたくなりました。 | ||||
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