月世界小説
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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期待が大きすぎたのかもしれない。 言語を武器にして戦う、言語のために戦うという話らしいというので、言葉の使い方を楽しみにしていた。 ところが読みはじめてみれば、なんともごちゃついた、終始ガチャガチャとした文体とストーリーで、読むことが気持ち良くなかった。 高校生の書くような文章だという感触。 が、これは、このレビューを書いていて気づいたのだけれど、もしかして、あえての演出だったのだろうか。だとしたら、荒削りな感触うぃ受けるのも納得するし、これは作品として見事なんじゃないかと思う。「月世界小説」の世界が成立している。 ただ、外側の1読者からしてみれば、進め方が急すぎる、分割もされすぎている。映画のCMを見ているようで、非常に忙しい。 ページ数が倍ぐらいでもっと書き込んで、文章ももう少しスマートな感じで、言語での戦闘シーンが多かったら、面白くなっていそうだと思う。 | ||||
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Amazonで購入させていただきました。 はじめに、ぼくはSFはあまり読んだことがないSF初心者であることをお断りしておきます。 SF初心者でも十二分に楽しめる小説、これが牧野修(まきの・おさむ)さんの『月世界小説』です(はじめぼくは、タイトルを「つきせかいしょうせつ」だと思っていましたが、実際のところ、「げつせかいしょうせつ」と読むようです)。 村上春樹さんは、ジョージ・オーウェルの『1984年』の向こうを張った『1Q84』で、その後の世界の分岐点を1984年と考えて物語世界を構築しました。 この『月世界小説』は1975年(あるいは1945年)をその分岐点と考えて物語っているようです。 物語は2014年現在からはじまります。 主人公の菱屋修介(ひしや・しゅうすけ)は、ゲイの小説家です。 菱屋くんは友人で出版社勤務の石塚啓太(いしづか・けいた)のことが好きです(つまり、菱屋くんはゲイです)。 菱屋くんは石塚くんに誘われてとプライド・パレード(LGBTQの祭典)を見学しに来ています。 そのとき、天使たちがラッパを吹き鳴らして登場し、「地に住める者どもは禍害なるかな、禍害なるかな、禍害なるかな、尚ほかに三人の御使いの吹かんとする喇叭の聲あるに因りてなり」(p.19)と人間たちに告げ、辺りは阿鼻叫喚の地獄絵図となります。 そこから世界は1975年に巻き戻され、「1975 世界n+1」の世界と「世界n-1」のメタ世界ーー時には「1958-1975 世界n+1」の世界ーーへと行きつ戻りつします。 そして最終的には人類対神の闘いへと発展します。人類の武器は「物語ること」です。物語ることによって、語られたものが現実化する、まさに「物を語る」ということです。 人間は神に勝てるのか、勝てるとしたらどうやって、という本書のさわりの部分は実際に読んで確かめてください。 ささやかだけれど確かなことは以下の引用に示されています。 「「それで、どっちが勝ったのかね」子供のように不安な顔でジョンが訊ねると、ケートは優しく彼の頭を撫でる。/「まだ勝敗は決まっていないのですよ。でもね、こうしてあなたが幸せになる物語が語られることもまた、人類のささやかな勝利なんですよ。一匹の蝶が羽ばたくことが大きな竜巻を引き起こすように、この勝利はやがて人類とその物語の大きな勝利へと繋がる、のかもしれませんね」」(p.423) アウトサイダー・アートの巨匠ヘンリー・ダガーや日猶同祖論や言語的ジェノサイドやバタフライ効果、『聖書』やミルトンの『失楽園』、そして主要なモチーフとして日本語の言霊思想などいろいろなギミックが散りばめられています。 ぼくはそうしたもののなかに伏流しているものとして、大本教の出口王仁三郎の思想や水村美苗さんの『日本語が亡びるとき』(筑摩書房、2008)がある気がしますが、どうでしょうか。 SFを読んだことがない人でも楽しめること請け合いです。 オススメです。 | ||||
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文字通り(?)言葉を武器に戦うのかっこよすぎる。 小説が好きならきっと一度は空想したことがあるであろう、「自分の物語で戦う」を見事に描いていて、この作品中学生とかで出会ってたら絶対影響受けすぎて人生狂ってただろうな…。 映像が頭に浮かんでくるようでその想像すら本の中から出てくる腕に鷲掴みにされグシャグシャにされる快感。 ラストは普通に泣いてしまった。 | ||||
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SF大賞の特別賞を受賞した作品である。その講評を見ると「イメージの喚起力とドライブ感覚(北野勇作)」「イメージの鮮やかさとスペクタクル(篠田節子)」といったように、視覚的表現が評価されているようだ。確かに、『月世界小説』の状況描写は読者の脳内に鮮やかな色彩を持ったイメージを想起させる。それはまるで今敏の『パプリカ』を見ているような感覚だった。しかし、それ以上のものはなかった。物語として成立しているのか不明な構成、言語学の概念を無視した設定などなどは、読んでいて苦痛だった。 | ||||
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主人公 菱屋修介が、破滅しようとする世界n(本来の2014年?)から「現実逃避」した先であるはずの彼の「妄想(と思われていた)=世界n-1」は、実は「太平洋戦争後に米国に支配されたままの1975年」=世界n+1で重要な役割を果たすとされる本「月世界小説」の中身である、という具合に、複数の「パラレルワールド」が交錯、互いに干渉しながら物語が進行します。 テーマがテーマなために「言葉遊び」的な要素も多く、「学園紛争」や「公安」といったキーワードのせいもあるかもしれませんが、全体的に押井守監督のアニメや漫画、あるいはつかこうへいなどの不条理(?)劇をイメージしながら読み進めていました。また、終盤に向かって、聖書をモチーフに「多彩な言語をもって神の意志に背いた人類」対神=「非言語的存在」の戦いが中心となるあたりからは、アニメ「エヴァンゲリオン」が連想されたことから、必然的に「訳が分からないエンディング」を危惧していました。しかし、これが意外と(?)「きちんと」物語は完結していて、それなりに納得して読み終えることが出来ました。 | ||||
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