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柔らかな頬
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柔らかな頬の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.78pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全153件 21~40 2/8ページ
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この世の真実はあまりに不安定で、残酷だと感じさせる小説でした。 生きることの苦しみや辛さは必ずしも報われる訳ではなく、現代に生きるぼくらでさえも厳しい現実に救いを求めてしまう点では、人間が存在する限り宗教の存在意義はあると感じました。 カスミは救いを求めて有香を探し続けますが、周囲の変化や新たな出会いがあっても何処にも救いはありません。 この世に圧倒的な絶望があること自体地獄であるとしても「因果は巡る」という観点からすれば、結局それも自らつくりだすものだと思いました。 | ||||
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この世の真実はあまりに不安定で、残酷だと感じさせる小説でした。 生きることの苦しみや辛さは必ずしも報われる訳ではなく、現代に生きるぼくらでさえも厳しい現実に救いを求めてしまう点では、人間が存在する限り宗教の存在意義はあると感じました。 カスミは救いを求めて有香を探し続けますが、周囲の変化や新たな出会いがあっても何処にも救いはありません。 この世に圧倒的な絶望があること自体地獄であるとしても「因果は巡る」という観点からすれば、結局それも自らつくりだすものだと思いました。 | ||||
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この世の真実はあまりに不安定で、残酷だと感じさせる小説でした。 生きることの苦しみや辛さは必ずしも報われる訳ではなく、現代に生きるぼくらでさえも厳しい現実に救いを求めてしまう点では、人間が存在する限り宗教の存在意義はあると感じました。 カスミは救いを求めて有香を探し続けますが、周囲の変化や新たな出会いがあっても何処にも救いはありません。 この世に圧倒的な絶望があること自体地獄であるとしても「因果は巡る」という観点からすれば、結局それも自らつくりだすものだと思いました。 | ||||
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初めての作家の初めての作品です。直木賞受賞作ということがキッカケで読みました。殺人ミステリーと思いきやそれは本題ではないです。三浦綾子著の『氷点』的な暗さや重さを感じましたが、娘が忽然と姿を消したというのが事件なのか事故なのか、そのキッカケを作ったことを後悔する母親の苦悩と自己中心的な態度が何とも言えなく、絶妙な感じで描いていて興味深い小説でした。この人が犯人かと思ったら夢や幻想だったとかビックリさせられる場面もあり、警察の捜査が甘すぎない?という疑問もあり、長編ですが最後まで惹き付けられた良い作品でした。 | ||||
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何か不穏な水の気配が本書全体を覆っている。 それは各章につけられた章のタイトルが,第二章「水の気配」以降,第三章「漂流」,第四章「洪水」,第五章「浮標」,第六章「水源」,第七章「桟橋」,第八章「遡航」,第九章「放流」と続いていくことからも明らかで,それは子どもの失踪のため自身が「漂流」することになる主人公カスミやその他登場人物らの心象風景でもあり,神隠しのように姿を消した子どもと「水」に何か関係があるのではないかという読者の不安感をも醸し出し,それがゆえ,重い空気,いや空気というよりドロリと粘土の高い水のようなものが本書全体を覆っている印象を持つ一因となっているように感じる。 ただカスミを中心とした第三章までの展開の後,病を抱える元刑事内海純一を主人公とする第四章が,第六章では不倫相手石山を主人公とする物語が語られるあたりから,物語に重層的な動きが加わり,本書の面白さが一気に増してくる。 それにしても本書の人物設定はとてもユニークだ。 末期ガンの刑事内海や、心境に大きな変化をみせすっかり見た目も変わってしまう不倫相手の石山を中心に据えて物語を展開したり,新興宗教の教祖のような人物緒方や別荘地周辺の元自衛隊員など,よくこんな人物設定を思いついたなと思わせるユニークさと,小説全体の構成が上手いのか下手なのかどこかしっくりとこない感がありながらも、夢の形をとりながらいくつかの結末を示すその手法の面白さ、そして、それでも先へと読み進めずにおれない,なんとも一筋縄でいかない不思議な魅力を持つ作品だ。 | ||||
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大変面白かったです。女性の強さ、男性の身勝手さに共感しました。 | ||||
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桐野夏生さんの「柔らかな頬」上下を完読。読み終わって、何とも言いようのない気持ちになる。北海道の鉛色の海と人一人もいない荒れ地の風景が印象に残っている。粗筋を書くのは御法度なので書かないが、子供が行方不明になったことで、それぞれが原罪を抱えて、「漂流」していく様が、なんとも救いがない。スキルス癌に冒されている余命無い人物の登場で、ますます、みんなが「壊れていく」様子は容赦がない。キリストのようにやせ細った元刑事と、その周りの人物が、彼の夢として、告白していく。そのそれぞれが原罪を背負ったまま、生きていかなければならない、切なさを感じる。 とにかく、鈍色の海、鉛色の空、原野という中で、毎日が同一で変化のない生き方から脱出したが故に、そこから復讐をされ「壊れていく」人間を感じた。最後にカタルシスを期待したが、それさえ拒否された。 | ||||
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推理小説ではないんだ、犯人探しのストーリーではないんだ。とはいえ、主人公の心理に同感できない。自分の恋愛感情が母性を超えるかなぁ・・元刑事の協力者の心理もいまいち理解できない。末期がん患者の設定で、死に向かう心理に興味は惹かれたが、見知らぬ他人と見知らぬ地での死を自ら選ぶことに必然が感じられない。それぞれの夢の中で登場人物の幾人かが犯人として現れ、それぞれの動機を持ち、誰が犯人でもおかしくないという設定は新しいと思った。人とは罪深い、哀しいものであるということか・・主人公の人物像は、向こう見ずで自分の欲望に正直で誰におもねることもない。理解しがたいが魅力的な女性であることは間違いない。 | ||||
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下巻の表紙に上巻の中身。 しかも、図書館か何かのレンタル落ちなのか、変なハンコが押してあったしボロボロ。 表紙さえ合ってればいいってわけじゃないでしょうが。 きちんと確認してから送ってほしい。 | ||||
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桐野氏の作品は大好きでいつも読み始めると止まらないのですが、今回は中だるみが多かったです。 ただ、つい犯人探しをしてしまい、ミステリー調を期待してしまうような、不可解な事件を、アッサリと読者の期待を裏切り、日常の小さなボタンの掛け違いの末として描くあたりに、桐野氏の覚悟というか、意思を(勝手に)感じて、より好きになりました。こういうのを面白おかしさや、ワクワク感などよりも、いかにリアルにしていくか、というあたりに女性ならではの感受性を感じて、その書き手としての姿勢にとても共感、尊敬の気持ちをいだきます。 主人公のカスミには共感できないし、もう一回読むかと言われたら本作はたぶん読まないと思いますが、作家としての価値観が現れている気がして、他の本をもっと読みたくなる気持ちになりました。 「因果はめぐるのよ」と本文中にありましたが、その言葉を最後に思い出すと、日頃の小さな「逃げ」がいかに重たいかを感じて、実直に生きようと思わされました。 | ||||
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最初の設定から違和感、リアリティのない場面が多く誰にも共感出来ないし、無理のある展開だと感じました。 | ||||
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カスミの魂の遍歴が、主題の小説。 最後に誰が娘を連れ去った犯人か分からないが、そんなことはどうだっていいと思わせる筆力は圧倒的。 石山にせよ、内海にせよ、吐露された内面の分厚さは、一級の小説でのみ感じられるもの。 桐野は決して期待を裏切らない。 | ||||
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もう少し短くても良かったと思う。途中の夢のシーンは、何度も繰り返しでてきて、作者はこれで何がいいたかったか疑問を感じた。最初の別荘での話は、いくら何でもあり得ない。現実味がなさすぎる。最初から現実味が無いので、ずっとフワフワした感じで話が進み、最後の章に至っては、5歳の子供には無理すぎる指向回路で、ひどすぎた。文章が軽快なのでさらっと読めたが、後には何にも残らず、暗い気分になった。 | ||||
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新聞で読んだ方の評を読み買いました。 10年くらい前に里帰りをしていた父親がもう一人の子供を 家に置きに行った間に幼子がいなくなった事件を思い出し 上手に取り入れたなーと感心しました。 恋に狂った時の女性のこのような状態は理解出来ることです。 本当の犯人が分からぬまま、夢の中で犯人を見るという 構想はフランス映画の様でした。 読みごたえのある作品だと思います。 | ||||
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いわゆる善人が1人も出ない。寂寥感・・・だから現代にはいいのかもしれない。 誰も殺す動機がある怖さもある。失跡した子の両親も、愛人関係にあった夫妻にも。 そして別荘の持ち主夫妻にも、その知人にも警官にも・・・その寂寥感。 現代社会の中の人々の寂しさからくる「殺意」「自分の存在を認めたいがために逆に名もない子を殺す」 それが一番言いたかったことではないだろうか。 だが私はこの少女が「 昔の主人公のように連れさられるけど生きていて、ふっと顔を出す」というラストでもよかったような気がする。 しかしこんなに一気に読めたのは久々。文章力でぐいぐいと引っ張られていった。 最後の1章は賛否分かれるだろう。書かなかったほうがいいような気がする。 | ||||
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ほとんど善人が「いない」「かげがあって、しかも影を引きずるながら、また暗部に行こうとする」人々の暗い世界。すべて暗い・希望がない。 いったいカスミは何を探していたのだろうか?もしかすると失踪した娘でなく「失踪した娘をあきらめた自分を探すために」ではなかろうか。犯人は見つからないし最後の1章も「私は個人的に好きでない」これでカスミの娘が死んだとか犯人が男とわかってしまうから。 あくまでカスミの失踪した娘は、昔のカスミのように戻ってくるかもしれない。どこかで生きているかもしれない最後の1章も、けしてカスミの娘が 殺されたと断定したわけでない。 文章力はすごい。一気にぐいぐいと引っ張っていく、それこそ桐野作品のすばらしさだ。あっという間に一晩で読んだ。 | ||||
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若者の「本当の自分探し」小説が文学賞の最終候補に残ると、 侮蔑に近いような拒絶反応を起こす選者のセンセイがいます。 またか! 本当の自分なんてモノは、実体のない、どこにもないものなのよ。 今現在の、他者との関係性の中にしか、自分というのはいないのよ、 てなかんじで。 そうした考えに触れると、私はいつも、本当にそうなのかなぁ、と少し疑問に思います。 そうした考えの方が、ある種の思想に安易に汚染されてるんじゃないかなぁって…。 ところで本作は、いい年をした中年男女の、「自分探し」の物語です。 最愛の娘を失って、あるいは間近に迫った確実に訪れる死を前にして、あるいは地位も名誉も金も家族も失って、 それぞれが「本当の自分」を能動的に、あるいは受動的に、模索していく物語。 そうしたことを真剣に始めると、世俗的な人間関係を断ち切らないといけない。 その果てに見えてくるのは…荒涼とした風景です。 読み応えがありました。 ただ、最後の失踪した娘の視点で語られる章(カスミの夢想でしょうが)は、ない方がよかったのでは…。 直木賞受賞直後にこの作品を手に取って、またか、と読み始めてすぐに本を閉じたのを覚えています。 この作者の描くヒロインは、いつもスペシャルワンで、しかも人の男を盗る。 ヒロイン以外の女の登場人物は皆、世俗的で魅力がない人物に描かれています。 ヒロインだけが、何とも言い難い野性的な魅力を持っているのです。 そういう設定が、なんだ、作者の自己認識というか、願望じゃないか、と思って、ちょっと幼稚だなぁ、なんて思っていました。 それに寒冷地の別荘って、よほどのお金持ちでない限り、こじんまりと造るものです。 居間が吹き抜けで、あとは四畳半の物置があるだけの別荘の2階に、 大きな寝室が三つあるというのは、ちょっと現実離れしています。 私は寒冷地と海のそばにそれぞれ別荘を持っているのでわかるのですが、 この間取りだと2階はロフトと6畳程度の寝室、あとトイレ、くらいでいっぱいいっぱいですよ。 なんだか小説の設定に<主婦の世間知らず>という感じが桐野さんんお初期の作品には散見するので、 それも私は嫌いでした。 でも、どの文学作品も、それぞれ瑕瑾があるものです。(ないものもありますが) そこに躓いて先を読まないのは、もったいないな、と今回しみじみ思いました。 私が年老いて、物事を受け止める間口が広がったからでしょう。 この作品世界は、今までの日本の女性作家が描いたことのない、桐野氏のそれこそスペシャルワンだと思います。 | ||||
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結末はすっきりしないが、そこまで読ませる筆力、構成力は素晴らしいと感じた。 引き込まれるような流れは見事。 ミステリーとしては、結末は頂けないが、プロセスを十分楽しめることが出来た。 | ||||
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直木賞受賞作なんですね 移動時間用に最近流行作家の本を買い始めました もう少し面白いのかな~と期待していたのですが 中古で十分でした | ||||
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この作品をミステリーとか犯罪小説という狭い枠組みで捉えて読む人は読み手を突き放したラストに対して低評価なのでしょう。しかし本作は、女性だけが持ち得るが如き「母性」の極限や、「喪失感」・「閉塞からの脱出」という普遍的な人間の情感が見事な筆力で表現された稀有な例のひとつであると感じます。その救いのなさこそが作家桐野夏生の特質のひとつではありますが、その読後感はリアルに現実に光をあてて、「生きる」ことを再考させてくれるのです。「犯人は誰か」などというレベルのスタンスでこの小説を読もうとするならば、素直に諦めて他のミステリーを探すべきでしょう。 | ||||
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