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柔らかな頬



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柔らかな頬の評価: 3.78/5点 レビュー 153件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.78pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全153件 101~120 6/8ページ
No.53:
(1pt)

合わない・・・

終始自分だけを哀れみ、自分を埋める存在を求めるため
失踪した娘を探す主人公に、娘への悔恨を見出すことはできない。
彼女が感じているのは、唯一自らへの同情なのだ。
作品としては一貫して主人公に寄り添う形で描かれているため、
主人公の魂の放浪とやらがまったく心に染みず、
やりきれない気持ちと腹立たしさだけが残った。
筆力はあるのだと思う。しかし、それで描かれた心象は
おぞましいの一言に尽きた。そうとしか感じ取れなかった。
世界に絶望して、孤独を埋める術を探すほどに賢しくもなく、
物語の裏側で潰えていったであろう存在が不憫でならない。
あんな風にしか扱えないなら、生まなきゃいいのに。
柔らかな頬Amazon書評・レビュー:柔らかな頬より
4062079194
No.52:
(3pt)

作者の責任

桐野夏生は好きな作家。
ヤクザとけんかしたこともないだろうおぼっちゃま教授が
薦めなくてもOUTはすごいし
『テロリストのパラソル』の2年も前に
『顔に降りかかる雨』を書いていたのもすごい。
でも
やっぱりこれはいただけない。
作者には作品のラストを語る責任があると思う。
もちろん手法の一つとして余韻を残したり
読者の想像に任せるというのはありだとしても。
子供を失った夫婦いや家族が崩れていく様
本来は何の関係もなくても
自分が咎められる行動をとっていたときに
不幸を受けたときに感じる罪の意識
死んでいくもののせつないような無力さ
それらすべて見事に描いていると承知したうえで
あえてこの作品は評価できない。
柔らかな頬〈上〉 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:柔らかな頬〈上〉 (文春文庫)より
4167602067
No.51:
(5pt)

腹の底に響く圧倒的な存在感

私は、物語の奥底に流れ続ける重低音を、読中ずっと感じていた。
それは主人公カスミが幼い頃に、毎日聞いていた北海道の暗い海の海鳴りなのだろうか?
高校を卒業したカスミは、その海から、鬱屈した平凡な毎日から逃れようと東京に出た。そして都会での生活という海の中で再び漂流し、不倫に溺れようとする。「子供を失ってもいい」とさえ考えるカスミの前から、自分に良く似た幼い娘が失踪する。我が子を探し続けるカスミが、本当に求めていたのは、北海道に捨ててきた自分自身の真実なのか。人生に流れる奇妙な縁で、20年ぶりに留萌の村に帰ったカスミ。娘の捜索には何の進展も無いが、カスミの夢や、死にゆく内海の白昼夢として、数々の可能性が作者によって示される。悲しいほどの救いの無さ。何が現実で何が夢なのか?何が事実で何が想像なのか?読者さえ、作者の術中に嵌まり、文章の中を漂い続け、小説の終わりに呆然と立ち尽くす他は無い。しかし、本を閉じた瞬間から、耳について離れない海鳴りと、作者の圧倒的な筆力とに、いつまでも浸っていたいと強く希望する自分がいる。
文句なしの五つ星、作者の文句なしの代表作。
柔らかな頬〈上〉 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:柔らかな頬〈上〉 (文春文庫)より
4167602067
No.50:
(5pt)

因果は巡る

故郷・北海道から家出して飛び出し、東京で結婚したカスミ。不倫相手・石山との情事を目的に、2人の家族を伴って北海道の別荘を訪れたカスミを待っていたのは長女・有香の失踪事件だった。カスミの漂泊はここから始まったのだった。
人里離れた別荘地での失踪事件をテーマにしているが、謎解きがメインではなく、登場人物たちのほの昏い心理描写が読みどころ。この点、著者の「OUT」と共通している。
親を捨て、不倫の末に夫と子供を捨てようとしたカスミ。同じくエリートの地位と家族を捨てようとした石山。念願の刑事になったとたんに若くして死病に冒された内海。有香の失踪をきっかけに、彼らが自らの犯した「罪」に苛まれ、苦悩する様子が克明に描かれている。ぞくぞくするほど読み応えがある。
本書のこのような結末には賛否あろうと思うが、個人的には非常に満足のいく読後感であった。著者の「OUT」を超える作品と評価したい。
柔らかな頬〈上〉 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:柔らかな頬〈上〉 (文春文庫)より
4167602067
No.49:
(3pt)

再生か?開き直りか?

「捨てたはずの北海道なのに・・・。」カスミは石山に誘われて、支笏湖畔の
別荘にやってきた。そして、お互いの家族の目を盗み、石山との逢引を重ねる。
そんな中、カスミの娘有香が行方不明に!何年も有香を探し続けるカスミの前に、
ガンで余命いくばくもない元警察官の内海が現れた。
カスミの探しているものはいったい何だったのだろう?本当に娘の有香だったのか?
本当に捜し求めているものは、案外自分の心の内にあるのかもしれない。
あれほど嫌っていた北海道。そして両親。だが、最後にカスミがたどり着いたのは
嫌っていた場所だった。母の生きざまや内海の命が消えゆくさまは、カスミの
生き方を変えようとする。開き直りなのか?再生なのか?それはカスミ自身にも
分からないような気がした。
柔らかな頬〈上〉 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:柔らかな頬〈上〉 (文春文庫)より
4167602067
No.48:
(5pt)

代表作

第121回直木賞受賞作2000年版 このミス5位2000年文春ベスト10 4位「OUT」とならぶ桐野氏の代表作。直木賞というと作者の旬をすぎたころの作品が候補作路なるケースがままみうけられるが、この作品にかぎっては、とるべくしてとったという印象である。北海道の小さな町での未来を悲観し18歳で親を捨てて上京した主人公カスミ。十数年ぶりに不倫相手の家族と自分の家族を伴い、北海道の別荘を訪れることになるが、そこで自分の長女が神隠しにあったように失踪してしまう。この作品は、この長女の失踪事件をベースに進行するのであるが、数通りの解釈が作品中で提示されるものの、結局最後まで真実は明らかにされない。このことをミステリーとしてアンフェアととらえる向きもあるかもしれないが、あくまでも真相を幾通りかに絞った上で、読者によっていかようにも解決させることができ、安易な?真相を提示されるより、作品の質が高まっているように感じた。むしろ、この作品はミステリーの形態はとりながらも、謎解きではなく、事件を通した登場人物達の心情の変化、魂の漂流に重きをおいた作品であり、そういった意味で優れた作品にしあがっているように思う。
柔らかな頬Amazon書評・レビュー:柔らかな頬より
4062079194
No.47:
(3pt)

ミステリーなのかな・・・

ミステリーと思って読見始めたので、この終わり方には大不満でした。しかしミステリではなく普通の(?)小説だとしたら、後半の夢と現実が交錯させた表現も含め「色々な解釈の仕方があるのだ」ということで、不自然ではないです。女性独特(と思われる)の心理・・・カスミの典子に対する羨望の混じった嫉妬や、サチコがカスミに両親の消息について嘘をつく箇所等等・・・を描き方が巧みで一人一人を違和感なく受け入れることができると感じました。
柔らかな頬Amazon書評・レビュー:柔らかな頬より
4062079194
No.46:
(4pt)

漂流と邂逅

「理不尽」あるいは受容不可能な状況に押し出され、流浪に漕ぎ出す主人公二人の、複合幻想と邂逅の物語。桐野夏生の物語の多くは、周辺、辺境、下層へ「回帰」あるいは「堕ちていく」ことへの、妥協なきカタルシスを描く。「人の『文学的』解放」というものをこんにち彼女ほど描けている作家はいないだろう。いささかの強引さと、結末が蛇足でありその無意味さは気にかかったがそれ以上に著者の「人(女性)の解放」への首尾一貫したこだわりがある。
柔らかな頬〈上〉 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:柔らかな頬〈上〉 (文春文庫)より
4167602067
No.45:
(4pt)

ラストがね・・・

 不倫相手との家族ぐるみの旅行の最中、突然失踪した幼い長女。それを機にピンと張った糸の様にぎりぎりの所で保てれていた幸せな家庭生活は脆くも崩れ去ってしまう。主人公は失踪した娘を、死の臭い漂う末期癌患者の元刑事と共に探しに行くのだが・・・という流れのお話。 話の流れは面白かったし、一気に読ませてくれるだけの文章力ではあった。しかし終盤に近づくにつれ夢と現実、嘘と真実が入り乱れるような混沌とした描写を用いて著者自ら話を崩壊させてしまったような気がする。結局自分で創り出した少女失踪の原因を、自分で解くことが出来なくなってしまったそんな印象がぬぐえない終わり方だった。 最終章は・・・どこか映画の「セブン」に似た後味の悪さを覚えた。不要な気もするが、これがあるからこの話は他の普通の話と一線を画するものになった気もする。
柔らかな頬〈上〉 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:柔らかな頬〈上〉 (文春文庫)より
4167602067
No.44:
(3pt)

ミステリー?ヒューマンドラマ?

主人公・カスミの娘が行方不明になると言うことからミステリーだと思って読み進めていました。しかし死を宣告された元刑事・内海が登場する辺りから物語はヒューマンドラマの色を濃くしていきます。人間描写・心理描写が多く、「生きるとは何か」「死ぬとは何か」という人間の究極のテーマについて深く考えさせられます。内海やカスミが娘の失踪に関する夢を見るのですが、読み手は夢想と現実の区別がつかなくなります。あらゆる解釈が可能な物語だと思われます。
柔らかな頬Amazon書評・レビュー:柔らかな頬より
4062079194
No.43:
(5pt)

美は醜、醜は美

主人公の女の思考が、怪物の内面を覗いているようでゾッとした。男が女に感じる「不可思議な神秘性や自由奔放な魅力」は、この怪物性(=視野が狭く利己的で即物的な思考)なのかもしれない。
柔らかな頬〈上〉 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:柔らかな頬〈上〉 (文春文庫)より
4167602067
No.42:
(4pt)

最後まで一気に読みました

「犯人は誰なの?」と最後まで一気に読んでしまいました。登場人物は比較的多いのですが、ひとりひとりの個性が強いので、読んでいて混乱することはありませんでした。好き嫌いが分かれる結末かとは思いますが、ほかの本とはひと味違う終わり方で、なかなか強烈な一冊でした。
柔らかな頬〈下〉 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:柔らかな頬〈下〉 (文春文庫)より
4167602075
No.41:
(5pt)

深い愛情と果てしない絶望

不倫相手が夫の知り合いでもあったため、二組の家族旅行という名の不倫旅行を企てた主人公、カスミ。その旅行先で愛娘が突然、行方不明になり、一時は不倫相手のために家族を捨ててもいいとまで思ったカスミは、激しい後悔と自責の念に打ちのめされます。主人公カスミを丁寧に描く一方で、他の登場人物達の心の動きも細かく描かれ、同じ出来事でもカスミの眼を通した事実や思いと、夫や不倫相手の感じる事実や思いが異なる点を浮かび上がらせていきます。同じ時を体験していても、理解する現実や感じる心は人それぞれなのだという当たり前の現実、いわゆる事実の多面性を、緻密な描写で丁寧に描きます。読み進むうち、カスミの深い絶望と母親としての溢れる愛情に、ぐいぐいと引き込まれていきます。カスミの絶望と愛情の深さにどっぷり浸かった頃に、より深い愛情と果てしない絶望が静かに頭をもたげる・・・そんなラストが待っています。
柔らかな頬〈上〉 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:柔らかな頬〈上〉 (文春文庫)より
4167602067
No.40:
(2pt)

何?

この作家の小説を初めて読みました。上巻はまだしも、下巻はストーリーが展開しないので、かなりつらい思いをしました。話の結論も良く分らないまま終ってしまい、全くワクワク、ドキドキ感がない話です。ミステリーなのに哲学書でもあるまいに、人生にそんなに迫らなくても良いのに。これって本当に直木賞?
柔らかな頬〈下〉 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:柔らかな頬〈下〉 (文春文庫)より
4167602075
No.39:
(1pt)

なんだったの?

登場人物の描写が薄く「石山」とか「和泉」とか 苗字だけで書き進められても一瞬「これ 誰だっけ?」と 思ってしまう。最後は「・・・・は?」って感じです。
柔らかな頬〈上〉 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:柔らかな頬〈上〉 (文春文庫)より
4167602067
No.38:
(5pt)

私は満足しました。

主人公カスミの心にポッカリ空いた穴を埋めに行く物語だと思いました。決して、謎解きの物語ではないですね。生きるということは、何かを探しながら生きる事であり、全て解決と言うわけにはいかない。自分の中の満たされないものを抱えながら、悩みながら生きていく。そんな物語です。彼女の話はちょっとサービス過剰ではないか?と思うくらい細かく描写してくれるので、いつも読み終わったあとにイライラすると言う事はありません。ラストも賛否両論あるようですが、これで良かったように思います。ただ、自分が母親になってから読んでみるとまた違った感想を得られるように思います。
柔らかな頬Amazon書評・レビュー:柔らかな頬より
4062079194
No.37:
(4pt)

ミステリとはいえないが面白い

桐野 夏生さんは「OUT」という主婦グループによる死体解体遺棄業の話(こう書くと殺伐としてるな~)でミステリ作家としてブレイクした作家で、この「柔らかな頬」はOUTの後発表され、直木賞を受賞した作品ということでミステリとして期待してしまいますが、はっきりいうと「これはミステリではありません」。なぜミステリではないかということを書くとネタバレっぽくなって面白さが半減するので(私の場合がそうでした)書きませんが、ミステリではないからといって「面白くない」かというと、それは違って「とても面白いです」。桐野さんの文章が非常に平明で読みやすくイメージを喚起するので、物語世界に没入しやすいのです。そしてその物語世界のいくつかのエピソードがとても面白いです。(わたしは、風俗嬢のヒモになる男の話が好きです。)発表されたときにミステリ読者の間で物議をかもしましたが、ジャンルにこだわらなければ面白い小説です。ただやはりわたしとしては正直言って「OUT」のほうがずっと面白いと思いました。
柔らかな頬〈下〉 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:柔らかな頬〈下〉 (文春文庫)より
4167602075
No.36:
(4pt)

闇と光

初めて読んだ桐野作品。このレビューを書いている今は他に四作読み終えています。この本を最初に選んだのは作者本人が「一番好きな作品」だと目にしたからです。作者を知るには最良であろうという安易な考えでした。「これはただのミステリーではない。読み終えるには魂を込めて読まなくては・・・」読み始めて程なく気づいた時には流れに巻き込まれていました。現実には思いもかけないようなことが重く重く圧し掛かって、日常が息も絶え絶えに乱されることが起こります。災害や家族の波乱の中、またこうして穏やかな光を浴びる時間がつかの間でも訪れることに驚きさえ感じます。「カスミ」が浮き沈みしながら人生を漂う様を私自身に添わせながら、最後にそれでもすっくと立っている彼女に感動し共鳴しました。
柔らかな頬〈下〉 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:柔らかな頬〈下〉 (文春文庫)より
4167602075
No.35:
(5pt)

子どもがいなくなってからどうやって生きていったらいいか。

幼い子どもを持つ身としては、始め感情移入してしまって、読むのが辛かったです。なので、最初に結末までのあらすじを読んでしまってから、テーマに沿ってゆっくり読みました。消えた子どもを捜す母親の内面は、桐野さんも子どもがいるのかどうかとても気になったほど、ものすごく書き込まれてると思いました。5歳の娘がいなくなるなんてことが起きたら、カスミのように一見つじつまの合わない人間になってしまうでしょう。あんなに筋の通った強い女性だったのが、ああやって変わってしまう。何かに頼ったり、失踪した日にこだわったり。桐野さんの本は他にOUTしか読んだことはありませんが、OUTの主人公が確固たる自分に向かって突っ走っていったのとは逆に、カスミは元々自分らしく生きていたのが壊れてしまい、今度は自分の外界というかこの世の常みたいなものも取り込んで(死んでないんだからやってかなきゃならない)人生のやり方を探し、結局自分自身・自我?なんてものは重要じゃない、不変の自我なんかないみたいなことを見つけていく話だと思いました。カスミは道弘さんのところに戻って、現実の時間を重ねている梨紗ちゃんのそばにいてあげてほしいなと切に切に願います。札幌に行くみたいでしたが。桐野さんは書き方が容赦ないので、弱気な私は暗い余韻ひきずりまくりで、私こそ救われたい!という感じです。
柔らかな頬Amazon書評・レビュー:柔らかな頬より
4062079194
No.34:
(5pt)

最高!

桐野夏生さんの本は全て読んできましたが、これは特に好きな作品です!あえてラストをあのようにしたことで、「犯人探し」の小説ではないことに好感がもてます。桐野さんが描く登場人物って素敵だなぁ。ハラハラするけど、不思議な空気が漂った作品です。
柔らかな頬Amazon書評・レビュー:柔らかな頬より
4062079194

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