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黒面の狐
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黒面の狐の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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ホラー要素はほとんどなく、あくまでミステリです。 結構早い段階で犯人がわかってしまうので、ハラハラ感はないかも。 けしてつまらない訳ではありませんが、ちょっととっつきにくい内容かな。。 炭鉱に関する説明だったりがとにかく多いです。 そんなに詳しく炭鉱について書かなくても…と感じる程。 三津田ファンでも評価が分かれる作品なのではと思います。 | ||||
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あ、新刊出てるーと思って読み始めたのだが、最初は違和感を覚えた。 もしかしたら同姓同名の別の作家の本を借りてしまったのか?と思ったが、 読んで行くとストーリーそっちのけの蘊蓄の羅列と名前の漢字に異常に拘る 「三津田節」は健在だった。 冒頭から「戦時中の昔話」がえんえんと続くので(「水魑の如くー」も このスタイルだったけど、あっちは数段面白かった)、 これに耐えられるかどうかが本作を読破するための鍵となる。 耐えられない人のために、3章までのあらすじをサクッと要約してみる。 日本という国が終戦直後の虚脱と混乱からようやく立ち直り、復興への道をそろそろ歩み始めた頃― 主人公の波矢多は大阪の会社を辞めて行くあてもなく南へと向かう列車に乗り、福岡の筑豊地方の寂れた炭鉱町に流れ着きます。 学生時代、成績優秀だけど貧乏だった波矢多は学費が全て官費で賄われるという満州に開設された超難関の建国大学を目指して死に物狂いで勉強し、見事合格しました。 満州に渡り高い理念を掲げるその大学で厳しくも充実した勉学の日々を送っていましたが、やがて戦局の悪化とともに大学は軍靴で踏みにじられた砂の城のように崩れ去り、教師や学友の多くは帰らぬ人となります。 独り残された波矢多は、敗戦時に陥った虚脱状態から未だ抜け出せずにいました。 降りた駅で感傷に浸って佇んでいると炭鉱の労働者を狩り集めていた怪しげな男に無理矢理連れ去られそうになりますが、そこに謎めいた美青年が現れて助けてくれます。 ところがその青年・合里は、戦時中は件の怪しい男と同じように炭坑夫を強制徴集する仕事をしていました。 波矢多の中に朝鮮で自分が動員したある青年の面影を見てとっさに助けてしまった、と合里は言います。 波矢多が連れて行かれそうになったのは過酷な労働を強いられる炭鉱の中でも極めてタチの悪いブラック中のブラック炭鉱で、かつて合里が連れてきた朝鮮人青年はそのブラック炭鉱に送り込まれて牛馬のように酷使された挙句に空襲で死んでしまったのだと。 その話と合里の人となりに興味を惹かれた波矢多は、合里が炭坑夫をしている炭鉱で自分も坑夫となって働く決心をしました。 で、4章から炭鉱を舞台に発生する連続怪死事件が幕を開ける。 ミステリとしてはシンプルな構成なので、犯人は解り易い。 ちなみに炭鉱町で起こる連続殺人というと、ホラー映画の「血のバレンタイン」を思い出す。 もちろん本作にはガスマスクを被ってツルハシを振り回す殺人鬼は出てこないが・・・ | ||||
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横溝正史先生を始め三津田先生やいろいろな作家陣も書かれてますが戦後間もない時代を舞台としたミステリ小説では メジャーな『旧家が支配する古い因習が残る田舎の集落』というモノがよく出てきます。 それはそれでそのメジャーな舞台を「この作家さんはどう料理するのだろう」という楽しみがあると思います。 ですがこの小説は炭鉱というあまりメインの舞台としては取り上げられていない(と思われる)場所で凄惨な事件が起こります。 犯人自体は早くに目星が付けられると思います。(当たってるかは別として) そこから最後まで楽しく読み進めることができました。 (本編をネタバレしないようにすると何を書いていいやら悩んだ結果、こんな短い幼稚な一文に・・・) ただ、物語初期の主人公と事件発生後の主人公の言動があまり一致していないというか別人のように感じました。 事件発生後は真相究明のために刀城言耶のようにさまざまな人物との会話から証言などを集めたり奔走しますが 「あなた最初は会社を辞めて住処も引き払って行く当てのないさすらい人になってたりあまり自分から人に近づいていくような 人に思えなかったんだけど・・・?」とかなり違和感を覚えました。 もしかしたら別の探偵役が登場する予定だったのでしょうか・・・? それか刀城言耶シリーズの1作として書かれていたけど予定変更されて主人公と刀城言耶が統合された名残とかでしょうか。 あと、三津田先生の著作はすべて所持していて掲載されている雑誌もほぼすべて保管している程度には三津田氏のファンですが 今作が☆3という低評価につながっているのが第二章のくだりが主な原因になります。 登場人物の合里光範が主人公を悪質な手配師から助けた理由としてかつて自分の置かれた状況と重なって いても経ってもいられなくなったからというのはわかるのですが、そのあと第二章ほぼすべてを使って 主人公と合里光範との会話形式で太平洋戦争中に日本が朝鮮半島と朝鮮民族に対してどれだけ酷い行いをしたのかということが およそ25Pにわたってずらずらと書かれています。 舞台説明としても登場人物の行動の動機の説明としてもほぼ機能してなく逆に異様な章として印象に残ってしまっています。 三津田先生個人としてそのあたりの歴史的な主張もあるのかとも思われますが、 2P程度とか、そういったことだけをメインとして書かれた本なのだとすればそれもいいと思いますが、 歴史的政治的な事柄とは切り離されるべきミステリ小説としてはあえて忌憚のない言葉を使えば「不適格」ではないでしょうか? そのあたりの住み分けができなくなった例として「美味しんぼ」の辿った末路なども存在します。 三津田先生は尊敬する作家です。「いま一番好きな小説家は?」と問われれば真っ先に迷いなく三津田先生を挙げます。 それくらい敬愛する先生です。なのであえて率直に書かせていただきました。 三津田先生の著作として御馴染みの他の著作の舞台や人物・怪異などが出てきますが、 まさか九州の炭鉱の汗臭い舞台の話で『の〇〇め』ちゃんのくだりが出てきたのは予想外でした(笑) | ||||
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私は民俗学を背景とした伝奇ホラーと本格ミステリ味とを融合した作者の作品を愛好しているのだが、本作ではその作風を全く変えて社会派思想小説の様な趣きを呈している。舞台は太平洋戦争直後の筑豊の炭坑。そこで、一応、事件は起きるのだが、作者の主眼はそこには無い(なので、ホラーやミステリを期待している方にとっては、空振りに終わる)。 「女工哀史」や「蟹工船」を読んでいる様な雰囲気が作品全体を包んでいる。作中では漱石の「坑夫」も引用され、当時の炭坑の(作中で以下の表現が成されているので個人的には差別や左翼思想の意図は全くない)社会の底辺(炭坑の奥だから、文字通り、社会の底辺である)で働く坑夫達の悲哀・苦業と、戦争で日本が弾圧・差別した朝鮮を初めとする東アジアの人々の悲哀・苦悩とを重ね合わせて描いた、上述した通りの、社会派思想小説である。巻頭に、「亡き母」への献辞が捧げられている事から察するに、作者の御母堂も筑豊の炭坑で働いた経験があるのではないか(飽くまで想像だが)。そうでも考えないと、作者がいきなりこの様な作風の作品を執筆した理由に皆目説明が付かない。 ホラーやミステリとしての出来はともかく、太平洋戦争直後の炭坑の模様を子細に描いたという点では、作者が得意とする民俗学の研究書としては一定の価値があるのかも知れない。しかしながら、個人的には、伝奇ホラーと本格ミステリ味とを融合した作者の元の作風に戻って欲しいと思った。 | ||||
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前回の長編「幽女の如き怨むもの」が「凄いガッツリと取材したんだな」と感じるほど遊女について綿密に描かれていて、 それはそれで面白いけど、これまでの刀城シリーズの雰囲気から浮いていて「何か違うな」と複雑な気持ちでした。 この「黒面の狐」を読んで感じたのは、本書は「遊女」と同じ流れの作品なんだなという事です。 戦時中日本に不本意に連れてこられた朝鮮人の方々の境遇についてかなりの尺を使って綿密に描かれています。 それはそれで興味深いのですが、どうしても以前の感じを求めてしまうので正直な話、「そこまで突っ込んで取材する必要はないのでは?」と感じました。 とは言えいつものように主人公が推理を二転三転させる流れはいつも通りで楽しめました。 個人的には、相当な覚悟を持って炭鉱の世界に身を投じたと思われた主人公が事件後あっさり辞めたのはちょっと拍子抜けでしたが。 何かその後別の事件に巻き込まれるみたいですし、シリーズ化するんでしょうか? 正直、刀城言耶の新作長編の方が読みたいのですが、この新主人公も応援していきたいと思います。 | ||||
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本のカバーをみて、刀城言耶シリーズの新作と喜びましたが違っていました 新しいシリーズです 雰囲気は刀城言耶シリーズと似ています ホラーよりも本格ミステリ要素が強いですね ただ肝心のトリックがちと弱い 正直、犯人もトリックも途中であらかたわかってしまいました 刀城シリーズは真相に圧倒されたのですが ただ作品の雰囲気は悪くないので次作もよんでみたいですね 木霊殺人事件と予告されてますが | ||||
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帯の謳い文句などからホラー小説のような印象を受けますが、ほぼ完全なミステリ小説です。ただミステリ小説にしても提示される密室などの謎にあまり引き込まれない感じでインパクト弱い気がします。 著者のインタビューによると執筆当初刀城言耶シリーズの新作のつもりで書いていたそうですが、確かに解決篇(?)で推理が二転三転する展開はまさしく刀城言耶シリーズのそれでしたが、真犯人にしてもそれほど予想外という人物でもなくミステリ好きな人なら作品の手法としてこういった展開の場合は大体こういった人物が真犯人であるというある意味鉄板というか教科書的な展開で、まあやっぱりそいつだろうな的な予想がおおむね早い段階でできてしまうと思います。 これが刀城言耶シリーズだったらがっかりし過ぎてたと思うのでそうじゃなくて良かったと思いました。 やはり三津田作品という事でこの作品も他の三津田作品と同じ世界のお話という設定のようで、著者の他作品の舞台になった地名の出身者が登場人物にいたりします。 あと刀城言耶シリーズで言うところの『九つ岩石塔殺人事件』みたいなこの作品の主人公の別作品が今後出るのかな?と匂わすような旨の記述もありその辺は少し楽しみでもありますが、年月がかかっても待ちますので著者には刀城言耶シリーズ初期のようなもっと奥深いホラーミステリ作品を期待してます。 | ||||
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