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黒面の狐
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黒面の狐の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全15件 1~15 1/1ページ
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読み始めは昭和の炭鉱やそれを中心とした話と思いましたが、しっかり推理がメインでした。 飽きる事なく読めました。 | ||||
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炭鉱という世界観を扱ったことは良いです。 しかし、その他は多大な問題があります。 ・戦争について、日本を悪、韓国を正義との前提で物語が進む。 ・トリックが古典的であるうえ、実現不可能なものとなっている。 ・伏線の回収ができていない。 | ||||
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以前、同じ著者の『幽女の如き怨むもの』についてのレビューで、私は次のように書いた。 「小説の探偵役が、事件の謎を解き犯人を指摘し、その結果犯人が逮捕され極刑に処されたとしても、事件の被害者側の怨みや憎しみが消えないのであれば、事件は"解決”したことにはならない。 人の心の中の、怨みや憎しみまでは、解決できないのだ。 そして、その怨みや憎しみこそが”怪異"を生み出すのだとしたら・・・、刀城言耶は、これまでも何も解決できていないことになってしまう。」 同じことが、こちらの新シリーズにも当てはまると思う。 この作品でも探偵役の行動を通じて、炭鉱労働者の間で一種の怪異譚として語られている”黒面の狐”なる存在が、どのような”怨み”によって生み出されたのかを、丹念に描いているからだ。 主人公はが結末において炭鉱町を去り、別の仕事を探さねばならなくなるのも、事件は解決できても”怨み”は解決できず、その”怨み”の残る場所には居られないから、と解釈できる。 おそらく作者は、昭和の炭鉱町を具体的にイメージできない世代の読者を想定したため、炭鉱関連の説明が長くなってしまっている。これはやむを得まい。 たとえば映画『空の大怪獣ラドン』などを観れば、昭和31年当時の北九州で実際にロケ撮影されているため、「坑口」「坑道」「炭車」「人車」「炭住」などのイメージはすぐにつかめるが、そうした映画すら見たことのない人の方が、今や多いのだ。 結果的に、説明されているような安普請の「炭住」を舞台にした密室トリックなら、多分アレとかアレに似ているだろうという先行作品をすぐに思いついてしまう。 また実際、その通りの展開なのだが、作者も密室状況の解明ではないところに解決の重点を置いているので、欠点とまでは言えない。 社会的背景を活かしつつ、伏線をきちんと回収し、怪異を生み出すことになる”怨み”すなわち動機に説得力をもたせた手際は、本格ミステリとして十分と評価するべきであろう。 九州の炭鉱町や炭鉱での大事故を社会的背景とした推理小説には、社会派の巨匠と言われた水上勉の『死の流域』があり、また南部樹未子の『閉ざされた旅』は本格ミステリとは言えないものの、北海道の炭鉱町を背景とする事件を描いた力作であった。 しかし、そうした過去の作品は社会派の力作ではあっても、ミステリの謎解きとしては物足りなかった。 それを思えば、本書は本格ミステリとして十分に読ませる。 作品中に、炭鉱を描いた戦前の探偵小説として大阪圭吉の短編「坑鬼」が紹介されている。 先ごろ刊行されたシリーズ二作目は、大阪圭吉で言えば「灯台鬼」に相当するのであろう。 ならば三作目は「とむらい機関車」か、はたまた「動かぬ鯨群」か。 なお、事件が始まるまでがやや長いせいか、文庫版にはプロローグとして「ある老炭鉱夫の話」を付け加え、”黒面の狐”の登場を期待させる効果を出している。 | ||||
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ホラー要素はほとんどなく、あくまでミステリです。 結構早い段階で犯人がわかってしまうので、ハラハラ感はないかも。 けしてつまらない訳ではありませんが、ちょっととっつきにくい内容かな。。 炭鉱に関する説明だったりがとにかく多いです。 そんなに詳しく炭鉱について書かなくても…と感じる程。 三津田ファンでも評価が分かれる作品なのではと思います。 | ||||
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朝の連続ドラマ「あさがくる」であつかわれた「炭鉱」を思い描きながら読みました。 当然、この本の方が「炭鉱(ヤマ)」についてくわしく、リアルで苛烈な描写です。 朝鮮人強制連行や強制労働についても学べますし、なんといっても「戦後の混乱期ミステリー兼迷信と因襲ホラー」といったところでしょうか。 主人公が「物理波矢多 もとろいはやた」という読みにくいが「科学的な頭脳と感性を持つ名探偵」らしい名前なのが興味深いです。 シリーズ化を企画しているのでしょうか? 小さなどんでん返しや「密室殺人」をもりこんで、あきさせません。 | ||||
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Reader Store版で読了。 北海道のタコ部屋と並んで悪名高い九州の納屋制度+「美しい国」の植民地経営+朝鮮人差別を背景に、 重厚なストーリーと、かなりスリリングな本格推理を展開させます。刀城言耶シリーズに用いられた 「信頼できない語り手」に頼らない分、本格部分がシビアです。一昔前なら「社会派と本格の融合」って 絶賛されていたでしょう。 にしても、他の方のレビューを見るとボロボロですね。社会的な内容がこれほど嫌われるようになったのか。 | ||||
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あ、新刊出てるーと思って読み始めたのだが、最初は違和感を覚えた。 もしかしたら同姓同名の別の作家の本を借りてしまったのか?と思ったが、 読んで行くとストーリーそっちのけの蘊蓄の羅列と名前の漢字に異常に拘る 「三津田節」は健在だった。 冒頭から「戦時中の昔話」がえんえんと続くので(「水魑の如くー」も このスタイルだったけど、あっちは数段面白かった)、 これに耐えられるかどうかが本作を読破するための鍵となる。 耐えられない人のために、3章までのあらすじをサクッと要約してみる。 日本という国が終戦直後の虚脱と混乱からようやく立ち直り、復興への道をそろそろ歩み始めた頃― 主人公の波矢多は大阪の会社を辞めて行くあてもなく南へと向かう列車に乗り、福岡の筑豊地方の寂れた炭鉱町に流れ着きます。 学生時代、成績優秀だけど貧乏だった波矢多は学費が全て官費で賄われるという満州に開設された超難関の建国大学を目指して死に物狂いで勉強し、見事合格しました。 満州に渡り高い理念を掲げるその大学で厳しくも充実した勉学の日々を送っていましたが、やがて戦局の悪化とともに大学は軍靴で踏みにじられた砂の城のように崩れ去り、教師や学友の多くは帰らぬ人となります。 独り残された波矢多は、敗戦時に陥った虚脱状態から未だ抜け出せずにいました。 降りた駅で感傷に浸って佇んでいると炭鉱の労働者を狩り集めていた怪しげな男に無理矢理連れ去られそうになりますが、そこに謎めいた美青年が現れて助けてくれます。 ところがその青年・合里は、戦時中は件の怪しい男と同じように炭坑夫を強制徴集する仕事をしていました。 波矢多の中に朝鮮で自分が動員したある青年の面影を見てとっさに助けてしまった、と合里は言います。 波矢多が連れて行かれそうになったのは過酷な労働を強いられる炭鉱の中でも極めてタチの悪いブラック中のブラック炭鉱で、かつて合里が連れてきた朝鮮人青年はそのブラック炭鉱に送り込まれて牛馬のように酷使された挙句に空襲で死んでしまったのだと。 その話と合里の人となりに興味を惹かれた波矢多は、合里が炭坑夫をしている炭鉱で自分も坑夫となって働く決心をしました。 で、4章から炭鉱を舞台に発生する連続怪死事件が幕を開ける。 ミステリとしてはシンプルな構成なので、犯人は解り易い。 ちなみに炭鉱町で起こる連続殺人というと、ホラー映画の「血のバレンタイン」を思い出す。 もちろん本作にはガスマスクを被ってツルハシを振り回す殺人鬼は出てこないが・・・ | ||||
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横溝正史先生を始め三津田先生やいろいろな作家陣も書かれてますが戦後間もない時代を舞台としたミステリ小説では メジャーな『旧家が支配する古い因習が残る田舎の集落』というモノがよく出てきます。 それはそれでそのメジャーな舞台を「この作家さんはどう料理するのだろう」という楽しみがあると思います。 ですがこの小説は炭鉱というあまりメインの舞台としては取り上げられていない(と思われる)場所で凄惨な事件が起こります。 犯人自体は早くに目星が付けられると思います。(当たってるかは別として) そこから最後まで楽しく読み進めることができました。 (本編をネタバレしないようにすると何を書いていいやら悩んだ結果、こんな短い幼稚な一文に・・・) ただ、物語初期の主人公と事件発生後の主人公の言動があまり一致していないというか別人のように感じました。 事件発生後は真相究明のために刀城言耶のようにさまざまな人物との会話から証言などを集めたり奔走しますが 「あなた最初は会社を辞めて住処も引き払って行く当てのないさすらい人になってたりあまり自分から人に近づいていくような 人に思えなかったんだけど・・・?」とかなり違和感を覚えました。 もしかしたら別の探偵役が登場する予定だったのでしょうか・・・? それか刀城言耶シリーズの1作として書かれていたけど予定変更されて主人公と刀城言耶が統合された名残とかでしょうか。 あと、三津田先生の著作はすべて所持していて掲載されている雑誌もほぼすべて保管している程度には三津田氏のファンですが 今作が☆3という低評価につながっているのが第二章のくだりが主な原因になります。 登場人物の合里光範が主人公を悪質な手配師から助けた理由としてかつて自分の置かれた状況と重なって いても経ってもいられなくなったからというのはわかるのですが、そのあと第二章ほぼすべてを使って 主人公と合里光範との会話形式で太平洋戦争中に日本が朝鮮半島と朝鮮民族に対してどれだけ酷い行いをしたのかということが およそ25Pにわたってずらずらと書かれています。 舞台説明としても登場人物の行動の動機の説明としてもほぼ機能してなく逆に異様な章として印象に残ってしまっています。 三津田先生個人としてそのあたりの歴史的な主張もあるのかとも思われますが、 2P程度とか、そういったことだけをメインとして書かれた本なのだとすればそれもいいと思いますが、 歴史的政治的な事柄とは切り離されるべきミステリ小説としてはあえて忌憚のない言葉を使えば「不適格」ではないでしょうか? そのあたりの住み分けができなくなった例として「美味しんぼ」の辿った末路なども存在します。 三津田先生は尊敬する作家です。「いま一番好きな小説家は?」と問われれば真っ先に迷いなく三津田先生を挙げます。 それくらい敬愛する先生です。なのであえて率直に書かせていただきました。 三津田先生の著作として御馴染みの他の著作の舞台や人物・怪異などが出てきますが、 まさか九州の炭鉱の汗臭い舞台の話で『の〇〇め』ちゃんのくだりが出てきたのは予想外でした(笑) | ||||
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私は民俗学を背景とした伝奇ホラーと本格ミステリ味とを融合した作者の作品を愛好しているのだが、本作ではその作風を全く変えて社会派思想小説の様な趣きを呈している。舞台は太平洋戦争直後の筑豊の炭坑。そこで、一応、事件は起きるのだが、作者の主眼はそこには無い(なので、ホラーやミステリを期待している方にとっては、空振りに終わる)。 「女工哀史」や「蟹工船」を読んでいる様な雰囲気が作品全体を包んでいる。作中では漱石の「坑夫」も引用され、当時の炭坑の(作中で以下の表現が成されているので個人的には差別や左翼思想の意図は全くない)社会の底辺(炭坑の奥だから、文字通り、社会の底辺である)で働く坑夫達の悲哀・苦業と、戦争で日本が弾圧・差別した朝鮮を初めとする東アジアの人々の悲哀・苦悩とを重ね合わせて描いた、上述した通りの、社会派思想小説である。巻頭に、「亡き母」への献辞が捧げられている事から察するに、作者の御母堂も筑豊の炭坑で働いた経験があるのではないか(飽くまで想像だが)。そうでも考えないと、作者がいきなりこの様な作風の作品を執筆した理由に皆目説明が付かない。 ホラーやミステリとしての出来はともかく、太平洋戦争直後の炭坑の模様を子細に描いたという点では、作者が得意とする民俗学の研究書としては一定の価値があるのかも知れない。しかしながら、個人的には、伝奇ホラーと本格ミステリ味とを融合した作者の元の作風に戻って欲しいと思った。 | ||||
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かつて日本の主要産業であった炭鉱での話。その成り立ちや経緯がよく調べられている。新たな名探偵(になるか?)が登場。三津田先生や新登場の探偵の今後の活躍に期待したくなります。 | ||||
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前回の長編「幽女の如き怨むもの」が「凄いガッツリと取材したんだな」と感じるほど遊女について綿密に描かれていて、 それはそれで面白いけど、これまでの刀城シリーズの雰囲気から浮いていて「何か違うな」と複雑な気持ちでした。 この「黒面の狐」を読んで感じたのは、本書は「遊女」と同じ流れの作品なんだなという事です。 戦時中日本に不本意に連れてこられた朝鮮人の方々の境遇についてかなりの尺を使って綿密に描かれています。 それはそれで興味深いのですが、どうしても以前の感じを求めてしまうので正直な話、「そこまで突っ込んで取材する必要はないのでは?」と感じました。 とは言えいつものように主人公が推理を二転三転させる流れはいつも通りで楽しめました。 個人的には、相当な覚悟を持って炭鉱の世界に身を投じたと思われた主人公が事件後あっさり辞めたのはちょっと拍子抜けでしたが。 何かその後別の事件に巻き込まれるみたいですし、シリーズ化するんでしょうか? 正直、刀城言耶の新作長編の方が読みたいのですが、この新主人公も応援していきたいと思います。 | ||||
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本のカバーをみて、刀城言耶シリーズの新作と喜びましたが違っていました 新しいシリーズです 雰囲気は刀城言耶シリーズと似ています ホラーよりも本格ミステリ要素が強いですね ただ肝心のトリックがちと弱い 正直、犯人もトリックも途中であらかたわかってしまいました 刀城シリーズは真相に圧倒されたのですが ただ作品の雰囲気は悪くないので次作もよんでみたいですね 木霊殺人事件と予告されてますが | ||||
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帯の謳い文句などからホラー小説のような印象を受けますが、ほぼ完全なミステリ小説です。ただミステリ小説にしても提示される密室などの謎にあまり引き込まれない感じでインパクト弱い気がします。 著者のインタビューによると執筆当初刀城言耶シリーズの新作のつもりで書いていたそうですが、確かに解決篇(?)で推理が二転三転する展開はまさしく刀城言耶シリーズのそれでしたが、真犯人にしてもそれほど予想外という人物でもなくミステリ好きな人なら作品の手法としてこういった展開の場合は大体こういった人物が真犯人であるというある意味鉄板というか教科書的な展開で、まあやっぱりそいつだろうな的な予想がおおむね早い段階でできてしまうと思います。 これが刀城言耶シリーズだったらがっかりし過ぎてたと思うのでそうじゃなくて良かったと思いました。 やはり三津田作品という事でこの作品も他の三津田作品と同じ世界のお話という設定のようで、著者の他作品の舞台になった地名の出身者が登場人物にいたりします。 あと刀城言耶シリーズで言うところの『九つ岩石塔殺人事件』みたいなこの作品の主人公の別作品が今後出るのかな?と匂わすような旨の記述もありその辺は少し楽しみでもありますが、年月がかかっても待ちますので著者には刀城言耶シリーズ初期のようなもっと奥深いホラーミステリ作品を期待してます。 | ||||
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戦後の話ということもあり、日朝間との歴史絡みの話が色濃く出ている。作者としてもかなりの挑戦として臨んだ作品と感じられた。 中身としては、話の流れは刀城言耶シリーズなどと同じ展開になっているが、ホラーの要素はあまり無くミステリーに重きを置いた作品となっている。ただし、ミステリーとしても王道なストーリーで今一つ物足りない感じが否めない。読み手に何を感じとってもらいたいのかという点を意識してもらいたいところだ。著者の作品は大好きなだけに今後の作品に期待する。 | ||||
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戦後まもない北九州で起きた不可解な連続殺人事件。という概要の本書だが作者の作品の中ではホラー要素はかなり抑えめであり、ミステリーもかなり地味な感じを受けた。犯人も大抵の人はかなり早期に気が付くのではないだろうか?また当初は刀城言耶シリーズ として書こうとした名残なのか主人公の推理の仕方がそっくりである。というか個人的には刀城言耶シリーズで読みたい気がした。作者としては今回はホラーやミステリーよりも戦前戦後のタブーのようなものに踏み込みたかったのかもしれない。物語の終盤で主人公が別の事件に巻き込まれることが示唆されており、今後シリーズ化されるのかもしれない。 三津田さんにはかなり期待しているし好きな作家さんなのだが、なんだか最近ぬるく感じる。 | ||||
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