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九尾の猫
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九尾の猫の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.31pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全49件 41~49 3/3ページ
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前作の『十日間の不思議』で、自らの論理に裏切られた探偵エラリィの自己再生がメインテーマの作品。 かつて初刊行時からしばらくはアクロバティックな論理展開に乏しく従来のクイーンらしくないため、あまり評価されてませんでしたが、後年サイコスリラーの流行などを経て近年さらに再評価著しい作品です。 ゆえに、本格ミステリ的な仕掛け、いわゆるミッシング・リンクには、大きな意外性はありません(ただ深い意味はありますが) 作品は、生と死を前記のテーマに複合的に絡めて、未知の連続殺人による大都市市民の恐慌を迫力ある筆致で描いてます。 本作での探偵クイーンの懊悩は深く、当初は自ら事件に関わる事すら拒否します。 しかし、父であるクイーン警視の再三の要請と説得でようやく事件解決に乗り出し、やがて犯人を追い詰めたかに思えましたが…。 ライツヴィル物の諸作では、事件の渦中にあって、人間的な弱さを見せたクイーンは、前作に引き続き精神的なダメージを負います。 ただ、 最後のクイーンの悔告を聴いた老精神分析医の言葉に、僅かながら救いの光明を見せていて、余韻の深さはクイーン全作品中随一です。 『フォックス家の殺人』、『十日間の不思議』、『ガラスの村』と並ぶ、戦後のクイーンを代表する名作です。 | ||||
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◆〈サイコ・サスペンス〉もの 本作は、トマス・ハリス『羊たちの沈黙』の大ヒット以降、 広く一般に浸透した〈サイコ・サスペンス〉ものの先駆的作品。 犯人の動機について精神分析的なアプローチをしている点や、「意外な真犯人」の 案出など、フォロアー作品に与えた影響は、計り知れないものがあります。 ◆〈ミッシング・リンク〉テーマ 本作は、〈ミッシング・リンク〉テーマ(無関係に見える被害者間の繋がりを探る)の 作品でもあります。 そもそも、サイコ・サスペンスにおいて、精神異常者の特異な動機を描く上で、この テーマが選ばれるのは必然といっていいのですが、本作における「繋がり」は特に、 即物的な論理を超えた哲学性、といったものが濃厚です。 ◆ニューヨークという大都市の「生態」 本作では、ある意味ニューヨークで暮らす名も無き「群衆」が主役だといえます。 連続殺人鬼《猫》の跳梁により、怯え、惑い、狂奔する「群衆」。 彼らの制御不能なエネルギーの奔流は、結果的に、 《猫》による事件の、何倍もの被害を、彼らにもたらします。 個人を超えた集団の力学に対し、何の対処もできないエラリイ。 そこで描かれるのは、神のごとき〈名探偵〉ではなく、リアリズムの 前に立ちすくみ、苦悩する一人の無力な青年の姿なのです。 | ||||
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◆〈サイコ・サスペンス〉もの 本作は、トマス・ハリス『羊たちの沈黙』の大ヒット以降、 広く一般に浸透した〈サイコ・サスペンス〉ものの先駆的作品。 犯人の動機について精神分析的なアプローチをしている点や、「意外な真犯人」の 案出など、フォロアー作品に与えた影響は、計り知れないものがあります。 ◆〈ミッシング・リンク〉テーマ 本作は、〈ミッシング・リンク〉テーマ(無関係に見える被害者間の繋がりを探る)の 作品でもあります。 そもそも、サイコ・サスペンスにおいて、精神異常者の特異な動機を描く上で、この テーマが選ばれるのは必然といっていいのですが、本作における「繋がり」は特に、 即物的な論理を超えた哲学性、といったものが濃厚です。 ◆ニューヨークという大都市の「生態」 本作では、ある意味ニューヨークで暮らす名も無き「群衆」が主役だといえます。 連続殺人鬼《猫》の跳梁により、怯え、惑い、狂奔する「群衆」。 彼らの制御不能なエネルギーの奔流は、結果的に、 《猫》による事件の、何倍もの被害を、彼らにもたらします。 個人を超えた集団の力学に対し、何の対処もできないエラリイ。 そこで描かれるのは、神のごとき〈名探偵〉ではなく、リアリズムの 前に立ちすくみ、苦悩する一人の無力な青年の姿なのです。 | ||||
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本作は共同執筆者の一人F.ダネイが来日した時に自選ベスト3を聞かれ、その次点に挙げた作品。だが、この自選ベスト3は当てにならない。「昔(全盛期)よりも今の方が力がある」と言っているスポーツ選手のようなものである。本作は"猫"と呼ばれる殺人鬼がニューヨークを恐怖のドン底に落とすというサイコ・キラー的要素が目新しい。 だが、クィーンの華麗な推理はやはり見られないのだ。ニューヨーク警察陣や協力者の精神科医と共に混迷の中に沈んでしまう。連続殺人には共通点がある筈なのだが、それが見出せないのだ。これをリアリティがあると取るか、"クィーンふがいなし"と取るかは読む人次第であろう。そして、9番目の犠牲者が出た時、やっと光明を見い出す。読む方はこれ以前に犯人が分かっているのだが。 残念ながら、探偵クィーンと共に作家クィーンも混迷の中に沈んでしまったとしか思えない作品。 | ||||
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今までのレビューの皆様と同様に、この作品はクイーンの傑作です。真の意味でパニックが起きる犯罪の怖さが読者を襲います。 ただ、ひとつ不明なのが、なぜ犯人はそんなに簡単に被害者達を連れ出し、または後をつけ、絞殺できたのか?この辺が私には不明瞭です。ということで星4つ。 | ||||
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1977年秋来日したフレデリック・ダネイは(共作者のマンフレッド・リーは1971年に没している)、インタビューに答えて作者自身のベスト・スリーに以下をあげている。1.『チャイナ・オレンジの秘密』2.『災厄の町』3.『途中の家』そして番外として本作『九尾の猫』をあげている。本作は1949年の作で、いわゆる国名シリーズやX・Y・Z・最後のドルリー・レーン・シリーズを書き上げた後であり、スタイルの呪縛から解かれ全く新しいエラリー・クイーンの冒険をその広範な知識のもと作り上げる時期だったと思える。プロットが実に現代的で他のレビューアーが書いている通り本作はクイーンの最高傑作だと僕も思う。他の『本格』作家に与えた影響も大きい。法月綸太郎氏などは『二の悲劇』の中で本作を『バイブル』と書いているくらいだ。国名シリーズやX・Y・Z・最後のドルリー・レーン・シリーズを読み上げてクイーンを理解したと思うなかれ、最高の果実はその先にあるのだ(●^o^●)。 | ||||
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クイーン(ダネイ)がベスト3に挙げた作品ですがと同時に日本で受けが悪いことを気にしていた作品病んでいるアメリカをサイコスリラー調に書き上げた無気味な作品ですが当時の日本では大量殺人ものは売れなかったんだと妙に納得してしまいます。今の日本の新本格物の方がよほど人が死にますしね | ||||
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クイーンの作品で傑作はと問われればこれか,あの本をあげます(最近のアマゾンレビューでは他書に触れるとそこだけカットされます。)。でも,クイーン最初の一冊となると無難な国名シリーズの最初あたりかYあたりの悲劇をお勧めします。この作品を一躍ヒットの作家が執筆していたなら有名になったのでしょうが,なにせ良品が多い作家なので損をしていると思います。昔の推理小説において,乱歩が褒めたとか,いつもベスト10入りしていたという評価は今日ではかえって失望の原因になると思います。ブランド名ではなく,推理小説の良品を求める人におすすめの一冊です。 | ||||
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クイーンは好きな自分の作品を選ぶとき必ずこの作品を上位にあげていましたそして、日本では人気が無いことも気にしていました大量殺人物なので好まれないのかなと・・・missing linkを求めるクイーンのニューヨーク物不気味な殺人者「猫」が怖いです | ||||
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