赤後家の殺人

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評判

赤後家の殺人の評価:

3.76/5点 レビュー 21件。 D ランク

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平均点3.76pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全31件 1〜20 1/2ページ
No.31
(3pt)

フランス革命当時にさかのぼる人を殺す部屋の由来

ストーリーは他のレビューアさんたちが詳細に書いてくださっているので省きますが、氷雨が降り霧深い陰鬱なロンドンで、旧家で不可解な殺人事件が起きるという、カーらしさが横溢する作品です。

個人的に一番興味深かったのは、第9章の「後家部屋の由来」です。そこで1人きりになって2時間過ごせば必ず死んでしまうという後家部屋。現に先祖の何人かが原因不明の死を遂げているのですが、どうしてそこが後家部屋と呼ばれるようになったのかをブリクサム家の次男であるガイが語る部分です。
ブリクサム家のご先祖チャールズが留学していた時代、パリではフランス革命の嵐が吹き荒れていました。そんな中で彼が恋に落ちたのは、なんと絞首刑を担当していたサクソン家の令嬢マリイ・オルタンスでした。彼らは結婚し、なんとかしてフランスを脱出、英国に移って双子の子供たちに恵まれます。ただ、その後夫婦は不仲になってしまいます。
ある日、サクソン家の長老であった曾祖母マルトが亡くなり、遺言によって彼女の家具一式が英国へ送られてきました。現在の後家部屋は、その家具が納められた部屋なのです。この間のストーリーがいかにもカーらしいというか、古い時代の香気とロマン、そして不気味さに満ちていて魅力的です。

その後の謎解きは、決定的だと思われたマスターズ警部の推理が間違っていたり、H・Mの推測もはずれていたり、ある人物が”実は自分はこういうものを見てしまった”とか”黙っていたけれど、こうだった”と告白するたびに二転三転。このあたりは結構混乱するというか、えっ、また違うの?なんだよ~と思ってしまいました。多少ご都合主義なところは否めず、すっきりとしません。
犯人は最後30ページになるまで明かされません。犯人の可能性がある人物は限られているのに、それは意外な人物でした。

ヒロインの年齢が21歳、31歳と記述が間違っているのは皆さんがおっしゃっている通りですね。それにしてもカー作品を読んでいるとカーの女性の好みがわかってしまいます。長い髪のいかにも女らしいぱあっとあでやかな”運命の女”的美女という感じです。
密室不可能犯罪と怪奇趣味に満ちたいかにもカーらしい作品でした。
赤後家の殺人 (1960年) (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 赤後家の殺人 (1960年) (創元推理文庫)より
B000JAR482
No.30
(3pt)

フランス革命当時にさかのぼる人を殺す部屋の由来

ストーリーは他のレビューアさんたちが詳細に書いてくださっているので省きますが、氷雨が降り霧深い陰鬱なロンドンで、旧家で不可解な殺人事件が起きるという、カーらしさが横溢する作品です。

個人的に一番興味深かったのは、第9章の「後家部屋の由来」です。そこで1人きりになって2時間過ごせば必ず死んでしまうという後家部屋。現に先祖の何人かが原因不明の死を遂げているのですが、どうしてそこが後家部屋と呼ばれるようになったのかをブリクサム家の次男であるガイが語る部分です。
ブリクサム家のご先祖チャールズが留学していた時代、パリではフランス革命の嵐が吹き荒れていました。そんな中で彼が恋に落ちたのは、なんと絞首刑を担当していたサクソン家の令嬢マリイ・オルタンスでした。彼らは結婚し、なんとかしてフランスを脱出、英国に移って双子の子供たちに恵まれます。ただ、その後夫婦は不仲になってしまいます。
ある日、サクソン家の長老であった曾祖母マルトが亡くなり、遺言によって彼女の家具一式が英国へ送られてきました。現在の後家部屋は、その家具が納められた部屋なのです。この間のストーリーがいかにもカーらしいというか、古い時代の香気とロマン、そして不気味さに満ちていて魅力的です。

その後の謎解きは、決定的だと思われたマスターズ警部の推理が間違っていたり、H・Mの推測もはずれていたり、ある人物が”実は自分はこういうものを見てしまった”とか”黙っていたけれど、こうだった”と告白するたびに二転三転。このあたりは結構混乱するというか、えっ、また違うの?なんだよ~と思ってしまいました。多少ご都合主義なところは否めず、すっきりとしません。
犯人は最後30ページになるまで明かされません。犯人の可能性がある人物は限られているのに、それは意外な人物でした。

ヒロインの年齢が21歳、31歳と記述が間違っているのは皆さんがおっしゃっている通りですね。それにしてもカー作品を読んでいるとカーの女性の好みがわかってしまいます。長い髪のいかにも女らしいぱあっとあでやかな”運命の女”的美女という感じです。
密室不可能犯罪と怪奇趣味に満ちたいかにもカーらしい作品でした。
赤後家の殺人 (創元推理文庫 119-1) Amazon書評・レビュー: 赤後家の殺人 (創元推理文庫 119-1)より
4488119018
No.29
(3pt)

いつもの冴えが無いH.M. 1935年出版 翻訳1960年

弓弦城を再読してないのですが、冒頭から判断すると続編的な感じ。発端にはゾクゾクさせられますが新アラビア夜話(スティーブンソン)を先に読んでたほうが良いかも。(本編とは関係なし。雰囲気作りですね)
いつもの通り人物描写が下手なのでごたつく序盤、なかなかスリリングな中盤を経て、全員集合、謎解きが始まるよ!という流れ。(最後は大勢で押しあいへし合いという変な場面)
小ネタはまあまあ、でも大ネタが残念。警察の見落としを期待してはいけません。それにあのトリック(p387)はないでしょう。しれっとやっちゃうのがJDC/CDらしいのですが…
フランス革命ネタは作者の趣味全開ですがいささか退屈。興味深かったのはロイヤル スカーレット事件(p312)これ書かれざる事件なのかなぁ。
以下トリヴィア、原文は参照出来てません。
p124 タラッタラッ、大きな悪狼が…(H.M.の鼻歌): 「三匹の子豚」(ディズニー1933)のWho's Afraid of the Big Bad Wolfかな?
p172 ラ マルセイエーズ: 歌詞は結構血なまぐさいです。
p306 海の妖女たちはどんな歌を歌ったか…: Sir Thomas Browne, "Urn-Burial"(壷葬論)ですね。モルグ街のエピグラフで有名。
p344 ルール ブリタニア(支配せよ、大英帝国)Rule, Britannia: イギリス国歌、スチュアート党が愛好、と宇野先生が注釈しています。詞James Thomson、曲Thomas Arne(1740)
名言が一つ: イリュージョンは真理よりよっぽど貴重ではるかに美しい(p366) JDC/CDのモットーですね…
赤後家の殺人 (1960年) (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 赤後家の殺人 (1960年) (創元推理文庫)より
B000JAR482
No.28
(3pt)

いつもの冴えが無いH.M. 1935年出版 翻訳1960年

弓弦城を再読してないのですが、冒頭から判断すると続編的な感じ。発端にはゾクゾクさせられますが新アラビア夜話(スティーブンソン)を先に読んでたほうが良いかも。(本編とは関係なし。雰囲気作りですね)
いつもの通り人物描写が下手なのでごたつく序盤、なかなかスリリングな中盤を経て、全員集合、謎解きが始まるよ!という流れ。(最後は大勢で押しあいへし合いという変な場面)
小ネタはまあまあ、でも大ネタが残念。警察の見落としを期待してはいけません。それにあのトリック(p387)はないでしょう。しれっとやっちゃうのがJDC/CDらしいのですが…
フランス革命ネタは作者の趣味全開ですがいささか退屈。興味深かったのはロイヤル スカーレット事件(p312)これ書かれざる事件なのかなぁ。
以下トリヴィア、原文は参照出来てません。
p124 タラッタラッ、大きな悪狼が…(H.M.の鼻歌): 「三匹の子豚」(ディズニー1933)のWho's Afraid of the Big Bad Wolfかな?
p172 ラ マルセイエーズ: 歌詞は結構血なまぐさいです。
p306 海の妖女たちはどんな歌を歌ったか…: Sir Thomas Browne, "Urn-Burial"(壷葬論)ですね。モルグ街のエピグラフで有名。
p344 ルール ブリタニア(支配せよ、大英帝国)Rule, Britannia: イギリス国歌、スチュアート党が愛好、と宇野先生が注釈しています。詞James Thomson、曲Thomas Arne(1740)
名言が一つ: イリュージョンは真理よりよっぽど貴重ではるかに美しい(p366) JDC/CDのモットーですね…
赤後家の殺人 (創元推理文庫 119-1) Amazon書評・レビュー: 赤後家の殺人 (創元推理文庫 119-1)より
4488119018
No.27
(5pt)

横溝正史好きなら是非

あとから考えると少し地味だけど、読んでる途中はドキドキ。本格派と怪奇の組み合わせが好きなので、カー以上のはなかなないです。
赤後家の殺人 (1960年) (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 赤後家の殺人 (1960年) (創元推理文庫)より
B000JAR482
No.26
(5pt)

横溝正史好きなら是非

あとから考えると少し地味だけど、読んでる途中はドキドキ。 本格派と怪奇の組み合わせが好きなので、カー以上のはなかなないです。
赤後家の殺人 (創元推理文庫 119-1) Amazon書評・レビュー: 赤後家の殺人 (創元推理文庫 119-1)より
4488119018
No.25
(3pt)

おっとっと・・・ズルッ・・・

ジョン・ディクスン・カーが、カーター・ディクスン名義で発表したもの。
結論からいうと、ずっこけた。
終盤近くまで愉しんでいたが、ラストの謎解きは肩すかし。
赤後家の間での殺人は、必然性が低いし、動機も納得し難い。
余談で、美人キャラの年齢表記がおかしい。21と31では大違いだろう。
せっかくのホラー色満載の御膳立てだったが、走者一掃のスリーベースヒットと思い
きや、内野安打で、どうにか1点入ってディクスンのサヨナラ勝ち。まあ、いいけど。
(殺人で無駄な描写があるのも解せない)
それから、どうも訳文がギクシャクしていて、スッキリしない。
ディクスンマニアなら、敢えて必読。 一般の推理小説ファンは読まなくてもいいや。
御免ね、ディクスン卿、じゃなかった、HM卿・・・
赤後家の殺人 (1960年) (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 赤後家の殺人 (1960年) (創元推理文庫)より
B000JAR482
No.24
(3pt)

おっとっと・・・ズルッ・・・

ジョン・ディクスン・カーが、カーター・ディクスン名義で発表したもの。
結論からいうと、ずっこけた。
終盤近くまで愉しんでいたが、ラストの謎解きは肩すかし。
赤後家の間での殺人は、必然性が低いし、動機も納得し難い。
余談で、美人キャラの年齢表記がおかしい。21と31では大違いだろう。
せっかくのホラー色満載の御膳立てだったが、走者一掃のスリーベースヒットと思い
きや、内野安打で、どうにか1点入ってディクスンのサヨナラ勝ち。まあ、いいけど。
(殺人で無駄な描写があるのも解せない)
それから、どうも訳文がギクシャクしていて、スッキリしない。
ディクスンマニアなら、敢えて必読。 一般の推理小説ファンは読まなくてもいいや。
御免ね、ディクスン卿、じゃなかった、HM卿・・・
赤後家の殺人 (創元推理文庫 119-1) Amazon書評・レビュー: 赤後家の殺人 (創元推理文庫 119-1)より
4488119018
No.23
(4pt)

事件が単純化されてゆく

ギロチン刑執行吏を祖先に持つブリクサム家。

百五十年間に四人を殺した後家部屋ですが、
それは「三つの棺」の密室講義にも分類されている
つまらない項目の手だ。

ベンダーの後家部屋での死をめぐり、
マスターズ警部の大ボケ推理、吹矢と筒の消失、
部屋の窓外についたガイの指紋、黒い絹糸などが
誤誘導となり手がかりとなり物的証拠となり、
様相が混沌を呈します。
しかし、あえなく躓いたり、自己申告があったり、
物語の中途で解決したりで、さまざまな夾雑物が
除去され、結局、事件の核心だけが残る。

ガイ殴殺も同様で、ラヴェルとカーステアズの取っ組合い、
イザベル叔母の偽証などが周辺に付加されます。
しかし、他愛もない事実が判明したり、反証があがったりで、
事件は、単純化されてゆきます。

様々な材料が揃っているカオス状態の場合、煩瑣な
ロジックを、このように単純化された場合、
一種の直感を要することとなる。

HMは、ある手がかりから単純明快なトリックを
看破するが・・・。

ガイと真犯人の私利私欲の二本柱をプロットとし、
大いなるオカルト趣味で包み込んだいかにも
カーらしい作品。

※ 写真・自己紹介は無視して下さい
赤後家の殺人 (1960年) (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 赤後家の殺人 (1960年) (創元推理文庫)より
B000JAR482
No.22
(4pt)

事件が単純化されてゆく

ギロチン刑執行吏を祖先に持つブリクサム家。

百五十年間に四人を殺した後家部屋ですが、
それは「三つの棺」の密室講義にも分類されている
つまらない項目の手だ。

ベンダーの後家部屋での死をめぐり、
マスターズ警部の大ボケ推理、吹矢と筒の消失、
部屋の窓外についたガイの指紋、黒い絹糸などが
誤誘導となり手がかりとなり物的証拠となり、
様相が混沌を呈します。
しかし、あえなく躓いたり、自己申告があったり、
物語の中途で解決したりで、さまざまな夾雑物が
除去され、結局、事件の核心だけが残る。

ガイ殴殺も同様で、ラヴェルとカーステアズの取っ組合い、
イザベル叔母の偽証などが周辺に付加されます。
しかし、他愛もない事実が判明したり、反証があがったりで、
事件は、単純化されてゆきます。

様々な材料が揃っているカオス状態の場合、煩瑣な
ロジックを、このように単純化された場合、
一種の閃きを要することとなる。

HMは、ある手がかりから単純明快なトリックを
看破するが・・・。

ガイと真犯人の私利私欲の二本柱をプロットとし、
大いなるオカルト趣味で包み込んだいかにも
カーらしい作品。
赤後家の殺人 (創元推理文庫 119-1) Amazon書評・レビュー: 赤後家の殺人 (創元推理文庫 119-1)より
4488119018
No.21
(3pt)

フランス革命の血塗られた歴史が恐怖を煽るが・・・

「赤後家」(Red Widow)とは聞き覚えのない言葉だし、「ギロチン」の俗称だと言われてもどうもピンとこないので、ちょっと大きめの英語の辞書を幾つか引いてみたが出てこない。それもそのはず、19世紀頃のフランス語のスラングでギロチンのことを veuve(英語のwidow)と称したということらしい。だから、ほとんどの英米人にとっても「The Red Widow Murders」なるタイトルは中身を読むまで意味不明の言葉なのであって、ゆえに『赤後家の殺人』という邦題も意味不明といって非難するには当たらない。

ルイ14世から直々に任命されて以来、歴代首切り役人を務めてきたロンギュヴァル家の娘と結婚したチャールズ・ブリクサムの悲劇が、この小説の恐怖の源泉になっているが、フランス革命の血塗られた歴史を背景に、このブリクサムの物語や「赤後家の部屋」の来歴を記すカーの筆致はなかなか見事だ。「プレーグ・コート(黒死荘)の殺人」でのロンドン・ペストの描写もそうだったが、こういった歴史的な事実と怪奇趣味を交錯させた記述におけるカーの才能は特筆すべきものがある。

第一の殺人の密室トリックのポイントは、15分ごとに外からの呼びかけに答えた被害者の「声」の謎と、毒殺方法の謎である。「声」のトリックの方はあまりに不自然だが、毒殺のトリックは当時としてはかなり斬新だとは思う。が、これを可能にするある要素が最後まで隠してあるので、読者が推定するのはまず不可能であって、ややアンフェアだ。駄作とは言わないが、ミステリとしてはちょっとまとまりに欠ける、残念な一作。

とはいえ、黒死荘→白い僧院→そしてこの赤後家と色モノ3連荘のあと、次の「三つの棺」でカーの密室嗜好はピークをむかえることになる。この時期のカーは、本当にマジで密室の構成法について様々な角度から検討・研究に勤しんでいたのだろう。
赤後家の殺人 (1960年) (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 赤後家の殺人 (1960年) (創元推理文庫)より
B000JAR482
No.20
(3pt)

フランス革命の血塗られた歴史が恐怖を煽るが・・・

「赤後家」(Red Widow)とは聞き覚えのない言葉だし、「ギロチン」の俗称だと言われてもどうもピンとこないので、ちょっと大きめの英語の辞書を幾つか引いてみたが出てこない。それもそのはず、19世紀頃のフランス語のスラングでギロチンのことを veuve(英語のwidow)と称したということらしい。だから、ほとんどの英米人にとっても「The Red Widow Murders」なるタイトルは中身を読むまで意味不明の言葉なのであって、ゆえに『赤後家の殺人』という邦題も意味不明といって非難するには当たらない。

ルイ14世から直々に任命されて以来、歴代首切り役人を務めてきたロンギュヴァル家の娘と結婚したチャールズ・ブリクサムの悲劇が、この小説の恐怖の源泉になっているが、フランス革命の血塗られた歴史を背景に、このブリクサムの物語や「赤後家の部屋」の来歴を記すカーの筆致はなかなか見事だ。「プレーグ・コート(黒死荘)の殺人」でのロンドン・ペストの描写もそうだったが、こういった歴史的な事実と怪奇趣味を交錯させた記述におけるカーの才能は特筆すべきものがある。

第一の殺人の密室トリックのポイントは、15分ごとに外からの呼びかけに答えた被害者の「声」の謎と、毒殺方法の謎である。「声」のトリックの方はあまりに不自然だが、毒殺のトリックは当時としてはかなり斬新だとは思う。が、これを可能にするある要素が最後まで隠してあるので、読者が推定するのはまず不可能であって、ややアンフェアだ。駄作とは言わないが、ミステリとしてはちょっとまとまりに欠ける、残念な一作。

とはいえ、黒死荘→白い僧院→そしてこの赤後家と色モノ3連荘のあと、次の「三つの棺」でカーの密室嗜好はピークをむかえることになる。この時期のカーは、本当にマジで密室の構成法について様々な角度から検討・研究に勤しんでいたのだろう。
赤後家の殺人 (創元推理文庫 119-1) Amazon書評・レビュー: 赤後家の殺人 (創元推理文庫 119-1)より
4488119018
No.19
(2pt)

この星の数は小説の内容ではなく翻訳についてです

本書を読んで変だと思うところが多々ありました。その部分について原書と比較し、その一部について感じたことを書いてみます。こんなことを書くと、「鬼の首でもとったように」とか、「文句があるならはじめから原書を読め」などと言われそうですが、誰が読んでも変だとわかる翻訳が手直しもされず半世紀以上も放置されているのを残念に思いこんな文章を書いてみました。将来の読者のためにも、出版社には(ハヤカワさんでもいいですから)ぜひ新訳を出していただくよう強く希望します。その際、読者が原書を参照したくなるような訳はどうかご勘弁を……
(1)
A「あの人だって二十一になったじゃないか」p38
B「なにを騒ぐんだ、ジュディス。おまえだっていつまでも子供じゃない。二十一になるんじゃないか」p147
C「(途中略)彼女はたしか、三十一と聞きましたよ」p234
これらはいずれも同じ女性の年齢に関する記述です。Aの原文は、She’s over twenty-one, anyhow. です。〈試訳〉「いずれにしろ、(成人年齢の)二十一はすぎているのだろう」これを「二十一になった」と訳したことが頭にあったせいでしょうか、Bもそれに合わせてthirty-oneを強引に二十一と訳しています。Cでは、そんなことはおかまいなしに、いきなり十も歳をとって三十一となっています。原文ではBもCもthirty-oneです。これでは本書を読んだ人は、Cの三十一が誤植か何かで、この人物の年齢は二十一だと思うのではないでしょうか。どうでもいいと言えばどうでもいいことですが、せめてこのくらいは本にする前に出版社の人が確認してほしいものです。
(2)
「ぼくは屋敷にはいりましたよ」p256
そのあと同じページで「二階の、あかりのついた窓は、ブラインドが下りているが、人影が前後に動いているんです」と続きます。
屋敷にはいってしまって、どうして窓にうつる人影が見えるでしょう? この原文はI ducked back again.です。〈試訳〉「さっきまでいた場所(向かい側の軒下)に戻りました」でどうでしょうか。そのあとさらに同じページで「とにかくぼくは邸内にはいった」と言っています。ここで屋敷にはいったのです。
(3)
「イザベルさんのほうはもう寝てしまったんではないかな」p279
このせりふの少し前、p251でH・Mが「いまは(昼の)十二時をすぎたところ」と言っています。また、このイザベルさんという人はp258で、睡眠薬で寝込んでいたという記述もあります。そんな人が昼間から寝てしまうものだろうか、と思って、原文を読むとBut I don’t think Isabel’s awake yet. となっています。これはここで訳すまでもないでしょう。昼の十二時を夜中の十二時とかん違いし、またそれを作者がかん違いしたとかん違いしたのでしょうか?
(4)
「Xが死んでしまって、事件もすんでしまったはずですのに、なぜみなさんは、いつまでもこうして、わたくしどものところへおいでになりますんですか?」p316
(Xのところには人名がはいりますが、未読のかたのために伏せました)
この前のページで「お見せしたいものがありますの」と言っておきながら、このページでは、事件の解明に屋敷を訪れたHMやマスターズ警部に対し、まるで何しに来たのかと言わんばかり。本当にこんなことを言っているのでしょうか? また、「事件がすんでしまった」という発言も意味がわかりません。確かに本のページは残り少ないですが、新たに殺人がおきたばかりだというのに、どうして事件がすんだと言いきれるのでしょうか? 原文は以下のとおり。
“But there’s one thing I’ve got to know: why did you insist on his coming here, when there was no need after X’s death?
〈試訳〉「教えていただきたいことがひとつあります。どうして彼(ペラム博士)をここに来させたのですか? Xが亡くなってしまったのですから必要ありませんでしたでしょうに」発言者はペラム博士のことを言っていたのでした。また、上記の発言を受けて、H・Mが「事件がおわった?」とききかえしています。それに対応する原文は “Wasn’t there?” です。「おわった」ではありませんよね?
(5)
さて、(4)を試訳のように訳すと、前の別のところとつじつまが合わなくなります。
「Xの検死に立ちあってもらうために、(ペラム博士に)きょう四時にここへ来てもらう約束なんです」p289
ペラム博士について、かたやXの検死の立ちあいを依頼し、かたやXが亡くなったので来る必要はないと言っています。そもそもここを読んだとき、民間人が民間の医者に、殺人事件の検死の立ちあいを依頼することなどあるのだろうかと思ったのですが……
“I had asked him to call here at four o’clock this afternoon, to have a look at X.”
“had asked”ですから、ペラム博士に依頼したのはXが死ぬ前と解釈すべきで、また、かねてからXに精神異常の疑いがあったこと、ペラム博士が精神科医であることを考えれば、あとの”have a look at”は検死に立ちあうではなく診察するという意味でしょう。そう考えれば、Xが亡くなったので来る必要はないという、(4)の試訳とも矛盾しません。
つっこみどころはまだまだあるのですが、長くなるのでこのへんでやめます。ここに挙げたのは訳書を読んで変だと感じたものですので、原文と訳を逐一比較すればまだおかしな訳があるのかもしれません。最後に、たまたま見つけたほほえましい例をひとつ挙げて終わりにします。
暗号書類が山と積みあげられている。p218
「暗号書類」は、「ひもで縛られた書類(新聞紙?)」です。原文はCorded papersです。Coded papersではありません。
赤後家の殺人 (1960年) (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 赤後家の殺人 (1960年) (創元推理文庫)より
B000JAR482
No.18
(2pt)

この星の数は小説の内容ではなく翻訳についてです

本書を読んで変だと思うところが多々ありました。その部分について原書と比較し、その一部について感じたことを書いてみます。こんなことを書くと、「重箱のすみをつついて」とか、「文句があるならはじめから原書を読め」などと言われそうですが、誰が読んでも変だとわかる翻訳が手直しもされず半世紀以上も放置されているのを残念に思いこんな文章を書いてみました。将来の読者のためにも、出版社には(ハヤカワさんでもいいですから)ぜひ新訳を出していただくよう強く希望します。その際、読者が原書を参照したくなるような訳はどうかご勘弁を……
(1)
A「あの人だって二十一になったじゃないか」p38
B「なにを騒ぐんだ、ジュディス。おまえだっていつまでも子供じゃない。二十一になるんじゃないか」p147
C「私はまだ五十ですし、彼女はたしか、三十一と聞きましたよ」p234
これらはいずれも同じ女性の年齢に関する記述です。Aの原文は、She’s over twenty-one, anyhow. です。〈試訳〉「いずれにしろ、(成人年齢の)二十一はすぎているのだろう」これを「二十一になった」と訳したのが頭にあったせいでしょうか、Bもそれに合わせてthirty-oneを強引に二十一と訳しています。Cでは、そんなことはおかまいなしに、いきなり十も歳をとって三十一となっています。原文ではBもCもthirty-oneです。これでは本書を読んだ人は、Cが誤植か何かで、この人物の年齢は二十一だと思うのではないでしょうか。どうでもいいと言えばどうでもいいことですが、せめてこのくらいは本にする前に出版社の人が確認してほしいものです。
(2)
「ぼくは屋敷にはいりましたよ」p256
そのあと同じページで「二階の、あかりのついた窓は、ブラインドが下りているが、人影が前後に動いているんです」と続きます。
屋敷にはいってしまって、どうして窓にうつる人影が見えるでしょう? この原文はI ducked back again.です。〈試訳〉「さっきまでいた場所(向かい側の軒下)に戻りました」そのあとさらに同じページで「とにかくぼくは邸内にはいった」と言っています。ここで屋敷にはいったのです。
(3)
「イザベルさんのほうはもう寝てしまったんではないかな」p279
このせりふの少し前、p251でH・Mが「いまは(昼の)十二時をすぎたところ」と言っています。また、このイザベルさんという人はp258で、睡眠薬で寝込んでいたという記述もあります。そんな人が昼間から寝てしまうものだろうか、と思ったら案の定、原文を読むとBut I don’t think Isabel’s awake yet. となっています。これはここで訳すまでもないでしょう。昼の十二時を夜中の十二時とかん違いし、またそれを作者がかん違いしたとかん違いたのでしょうか?
(4)
「Xが死んでしまって、事件もすんでしまったはずですのに、なぜみなさんは、いつまでもこうして、わたくしどものところへおいでになりますんですか?」p316
(Xのところには人名がはいりますが、未読のかたのために伏せました)
この前のページで「お見せしたいものがありますの」と言っておきながら、このページではまるで何をしに来たのかと言わんばかり。本当にこんなことを言うと思います? また、「事件がすんでしまった」という発言も意味がわかりません。確かに本のページは残り少ないですが、新たに殺人がおきたばかりだというのに、どうして当事者が、事件がすんだと言いきれるのでしょうか? 原文は以下のとおり。
“But there’s one thing I’ve got to know: why did you insist on his coming here, when there was no need after X’s death?
〈試訳〉「教えていただきたいことがひとつあります。どうして彼(ペラム博士)をここに来させたのですか? Xが亡くなってしまったのですから必要ありませんでしたでしょうに」発言者はペラム博士のことを言っていたのでした。また、上記の発言を受けて、H・Mが「事件がおわった?」とききかえしています。それに対応する原文は “Wasn’t there?” です。「おわった」ではありませんよね?
(5)
さて、(4)を試訳のように訳すと、前の別のところとつじつまが合わなくなります。
「Xの検死に立ちあってもらうために、(ペラム博士に)きょう四時にここへ来てもらう約束なんです」p289
ペラム博士について、かたやXの検死の立ちあいを依頼し、かたやXが亡くなったので来る必要はないと言っています。そもそもここを読んだとき、民間人が民間の医者に、殺人事件の検死の立ちあいを依頼することなどあるのだろうかと思ったのですが……
“I had asked him to call here at four o’clock this afternoon, to have a look at X.”
“had asked”ですから、ペラム博士に依頼したのはXが死ぬ前と解釈すべきで、また、かねてからXに精神異常の疑いがあったこととペラム博士が精神科医であることを考えれば、あとの”have a look at”は検死に立ちあうではなく診察するという意味でしょう。そう考えれば、Xが亡くなったので来る必要はないという、(4)の試訳とも矛盾しません。
つっこみどころはまだまだあるのですが、長くなるのでこのへんでやめます。ここに挙げたのは訳書を読んで変だと感じたものですので、原文と訳を逐一比較すればまだおかしな訳があるのかもしれません。最後に、たまたま見つけたほほえましい例をひとつ挙げて終わりにします。
暗号書類が山と積みあげられている。p218
「暗号書類」は、「ひもで縛られた書類」です。原文はCorded papersです。Coded papersではありません。
赤後家の殺人 (創元推理文庫 119-1) Amazon書評・レビュー: 赤後家の殺人 (創元推理文庫 119-1)より
4488119018
No.17
(5pt)

面白い

ミステリー好きな方にはたまらない密室殺人ですよ~。もう何回か読み直しています。面白いと思いますよ。
赤後家の殺人 (創元推理文庫 119-1) Amazon書評・レビュー: 赤後家の殺人 (創元推理文庫 119-1)より
4488119018
No.16
(5pt)

よくできたトリック

これもよくできているということで購入。色のついた作品はどれもすばらしい。これも思いがけない密室でびっくりしました。さすがです。
赤後家の殺人 (1960年) (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 赤後家の殺人 (1960年) (創元推理文庫)より
B000JAR482
No.15
(5pt)

よくできたトリック

これもよくできているということで購入。色のついた作品はどれもすばらしい。これも思いがけない密室でびっくりしました。さすがです。
赤後家の殺人 (創元推理文庫 119-1) Amazon書評・レビュー: 赤後家の殺人 (創元推理文庫 119-1)より
4488119018
No.14
(3pt)

トリックは秀逸、その他は今ひとつ

数年前に一度読んだが、ストーリー・トリックとも全く忘れていたため再読。

今回も毒殺のトリックには本当に感心させられた。ただし、手がかりが少なく(提示されても「そうだっけ?」と思った)、また犯人を示す証拠にも乏しい。あと動機も?と感じた。

意外性のあるトリックが楽しめれば十分、と思える人にはよいと思うがカー初心者にはお勧めできない。
赤後家の殺人 (1960年) (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 赤後家の殺人 (1960年) (創元推理文庫)より
B000JAR482
No.13
(3pt)

トリックは秀逸、その他は今ひとつ

数年前に一度読んだが、ストーリー・トリックとも全く忘れていたため再読。

今回も毒殺のトリックには本当に感心させられた。ただし、手がかりが少なく(提示されても「そうだっけ?」と思った)、また犯人を示す証拠にも乏しい。あと動機も?と感じた。

意外性のあるトリックが楽しめれば十分、と思える人にはよいと思うがカー初心者にはお勧めできない。
赤後家の殺人 (創元推理文庫 119-1) Amazon書評・レビュー: 赤後家の殺人 (創元推理文庫 119-1)より
4488119018
No.12
(5pt)

3版カバー付求む!!

3版カバー付求む!!
★評価は、5。
3版は2種あり注意必要!
取り急ぎ・・。
赤後家の殺人 (1960年) (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 赤後家の殺人 (1960年) (創元推理文庫)より
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