■スポンサードリンク
赤後家の殺人
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
赤後家の殺人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.76pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ストーリーは他のレビューアさんたちが詳細に書いてくださっているので省きますが、氷雨が降り霧深い陰鬱なロンドンで、旧家で不可解な殺人事件が起きるという、カーらしさが横溢する作品です。 個人的に一番興味深かったのは、第9章の「後家部屋の由来」です。そこで1人きりになって2時間過ごせば必ず死んでしまうという後家部屋。現に先祖の何人かが原因不明の死を遂げているのですが、どうしてそこが後家部屋と呼ばれるようになったのかをブリクサム家の次男であるガイが語る部分です。 ブリクサム家のご先祖チャールズが留学していた時代、パリではフランス革命の嵐が吹き荒れていました。そんな中で彼が恋に落ちたのは、なんと絞首刑を担当していたサクソン家の令嬢マリイ・オルタンスでした。彼らは結婚し、なんとかしてフランスを脱出、英国に移って双子の子供たちに恵まれます。ただ、その後夫婦は不仲になってしまいます。 ある日、サクソン家の長老であった曾祖母マルトが亡くなり、遺言によって彼女の家具一式が英国へ送られてきました。現在の後家部屋は、その家具が納められた部屋なのです。この間のストーリーがいかにもカーらしいというか、古い時代の香気とロマン、そして不気味さに満ちていて魅力的です。 その後の謎解きは、決定的だと思われたマスターズ警部の推理が間違っていたり、H・Mの推測もはずれていたり、ある人物が”実は自分はこういうものを見てしまった”とか”黙っていたけれど、こうだった”と告白するたびに二転三転。このあたりは結構混乱するというか、えっ、また違うの?なんだよ~と思ってしまいました。多少ご都合主義なところは否めず、すっきりとしません。 犯人は最後30ページになるまで明かされません。犯人の可能性がある人物は限られているのに、それは意外な人物でした。 ヒロインの年齢が21歳、31歳と記述が間違っているのは皆さんがおっしゃっている通りですね。それにしてもカー作品を読んでいるとカーの女性の好みがわかってしまいます。長い髪のいかにも女らしいぱあっとあでやかな”運命の女”的美女という感じです。 密室不可能犯罪と怪奇趣味に満ちたいかにもカーらしい作品でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
弓弦城を再読してないのですが、冒頭から判断すると続編的な感じ。発端にはゾクゾクさせられますが新アラビア夜話(スティーブンソン)を先に読んでたほうが良いかも。(本編とは関係なし。雰囲気作りですね) いつもの通り人物描写が下手なのでごたつく序盤、なかなかスリリングな中盤を経て、全員集合、謎解きが始まるよ!という流れ。(最後は大勢で押しあいへし合いという変な場面) 小ネタはまあまあ、でも大ネタが残念。警察の見落としを期待してはいけません。それにあのトリック(p387)はないでしょう。しれっとやっちゃうのがJDC/CDらしいのですが… フランス革命ネタは作者の趣味全開ですがいささか退屈。興味深かったのはロイヤル スカーレット事件(p312)これ書かれざる事件なのかなぁ。 以下トリヴィア、原文は参照出来てません。 p124 タラッタラッ、大きな悪狼が…(H.M.の鼻歌): 「三匹の子豚」(ディズニー1933)のWho's Afraid of the Big Bad Wolfかな? p172 ラ マルセイエーズ: 歌詞は結構血なまぐさいです。 p306 海の妖女たちはどんな歌を歌ったか…: Sir Thomas Browne, "Urn-Burial"(壷葬論)ですね。モルグ街のエピグラフで有名。 p344 ルール ブリタニア(支配せよ、大英帝国)Rule, Britannia: イギリス国歌、スチュアート党が愛好、と宇野先生が注釈しています。詞James Thomson、曲Thomas Arne(1740) 名言が一つ: イリュージョンは真理よりよっぽど貴重ではるかに美しい(p366) JDC/CDのモットーですね… | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ジョン・ディクスン・カーが、カーター・ディクスン名義で発表したもの。 結論からいうと、ずっこけた。 終盤近くまで愉しんでいたが、ラストの謎解きは肩すかし。 赤後家の間での殺人は、必然性が低いし、動機も納得し難い。 余談で、美人キャラの年齢表記がおかしい。21と31では大違いだろう。 せっかくのホラー色満載の御膳立てだったが、走者一掃のスリーベースヒットと思い きや、内野安打で、どうにか1点入ってディクスンのサヨナラ勝ち。まあ、いいけど。 (殺人で無駄な描写があるのも解せない) それから、どうも訳文がギクシャクしていて、スッキリしない。 ディクスンマニアなら、敢えて必読。 一般の推理小説ファンは読まなくてもいいや。 御免ね、ディクスン卿、じゃなかった、HM卿・・・ | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「赤後家」(Red Widow)とは聞き覚えのない言葉だし、「ギロチン」の俗称だと言われてもどうもピンとこないので、ちょっと大きめの英語の辞書を幾つか引いてみたが出てこない。それもそのはず、19世紀頃のフランス語のスラングでギロチンのことを veuve(英語のwidow)と称したということらしい。だから、ほとんどの英米人にとっても「The Red Widow Murders」なるタイトルは中身を読むまで意味不明の言葉なのであって、ゆえに『赤後家の殺人』という邦題も意味不明といって非難するには当たらない。 ルイ14世から直々に任命されて以来、歴代首切り役人を務めてきたロンギュヴァル家の娘と結婚したチャールズ・ブリクサムの悲劇が、この小説の恐怖の源泉になっているが、フランス革命の血塗られた歴史を背景に、このブリクサムの物語や「赤後家の部屋」の来歴を記すカーの筆致はなかなか見事だ。「プレーグ・コート(黒死荘)の殺人」でのロンドン・ペストの描写もそうだったが、こういった歴史的な事実と怪奇趣味を交錯させた記述におけるカーの才能は特筆すべきものがある。 第一の殺人の密室トリックのポイントは、15分ごとに外からの呼びかけに答えた被害者の「声」の謎と、毒殺方法の謎である。「声」のトリックの方はあまりに不自然だが、毒殺のトリックは当時としてはかなり斬新だとは思う。が、これを可能にするある要素が最後まで隠してあるので、読者が推定するのはまず不可能であって、ややアンフェアだ。駄作とは言わないが、ミステリとしてはちょっとまとまりに欠ける、残念な一作。 とはいえ、黒死荘→白い僧院→そしてこの赤後家と色モノ3連荘のあと、次の「三つの棺」でカーの密室嗜好はピークをむかえることになる。この時期のカーは、本当にマジで密室の構成法について様々な角度から検討・研究に勤しんでいたのだろう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
数年前に一度読んだが、ストーリー・トリックとも全く忘れていたため再読。 今回も毒殺のトリックには本当に感心させられた。ただし、手がかりが少なく(提示されても「そうだっけ?」と思った)、また犯人を示す証拠にも乏しい。あと動機も?と感じた。 意外性のあるトリックが楽しめれば十分、と思える人にはよいと思うがカー初心者にはお勧めできない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
1935年に書かれた本書は密室殺人を扱っており、かの江戸川乱歩も絶賛した。 確かにおもしろく読み進むことができたが、解決を知ってしまうと「なあんだ」の感なきにしもあらず。よく言われるように、この人のミステリは竜頭蛇尾。謎づくりが巧い反面、種明かしがあっけなくて尻すぼみという気がする。 「外傷がまったくないのに、どうやって殺されたのか」というメイントリックや、「死亡推定時刻では1時間前に死んでいるのに、なぜ部屋からはずっと声が聞こえていたのか」という不可能状況や、「被害者の持っていた手帳はなぜ消えたのか」という不可解などは、すべて相関関係があるわけではなく、「たまたまいろいろ重なって犯人的にラッキー」みたいなことに過ぎない。ラストでそれを知らされると、妙な徒労感がどっと押し寄せてくる。 “不可能は分割せよ”とはいうが、あまり分割しすぎるとピンボケになってしまう…というか、やはり竜頭蛇尾の弊を免れないだろう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
カー得意のオカルティズム趣味が横溢した作品。その部屋で眠れば必ず毒死するという"死の部屋"でまた犠牲者が、という設定。無論、密室状態である。その家は、フランス革命時の首切り役を努めた呪われた一家。まさしくカー好みでムードは満点である。 犠牲者はその家に伝わると言われる財宝が目当てで、わざわざ"死の部屋"に赴く訳である。この辺でトリックは読めてしまう(というか他に考えられない)のだが、カー・マニアはその後も雰囲気を楽しめるかもしれない。私が本書を読んだ時、創元からはカーの作品は5冊程度しか出ていなかった。その意味でも代表作扱いされているのだと思うが、カー・マニア以外にはちょっとキツイ作品かもしれない。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!