乳呑み児をかかえた家来と出奔した妹を斬るために遠国まで追っていった兄は、みじめな境遇におちながらも小さな幸福にすがって生きる妹一家と出会う。

2019年は開高健、没後30年。 ヴェトナムで実際に地獄を見た著者が描く、戦場文学の到達点。

夫を日本に残し参加したヨーロッパツアー。最初の目的地パリで一行と別れた野木泰子は、一人カイロへと向う。

銀座の一流画廊に画を売込みに来た女流新人画家降田良子。

部屋住みの若侍堀源次郎には、ひそかに心を寄せる娘がいた。散歩のたびに目顔で挨拶をかわす、坂下の家の娘である。

大吉田藩七十万石の正嫡順二郎は、四歳の時、側室一派の陰謀によって廃嫡され、国許で幽閉同然の生活を送る。

全長二五〇メートルに及ぶ列車「ミステリー号」が四〇〇人の乗客ごと姿を消した! 奇想天外なトリックの、傑作鉄道ミステリー。

近代絵画史に画期的な業績を残し、天才の名を定着させた青木繁。東洋美の幽玄画家として評価の高い坂本繁二郎。

近代絵画史に画期的な業績を残し、天才の名を定着させた青木繁。東洋美の幽玄画家として評価の高い坂本繁二郎。

時代ものの小説を書いていると、とかく筆が江戸期にむかい、 またその時代を小説にするのが一番面白い。

英雄的でもなく、美しくもなく、人々の誤解と嘲りのなかで死んでいったイエス。

時代小説の名手、山本周五郎が描いた時代小説。人間は条件に左右されてはならない。

都会からはなれた小さな入江で出会った老人と新婚の夫婦。その夜、老人が見たのは、新婚の2人が殺しあう夢だった。

「死人はこんなものを持っていたぜ」 「何ですかい、中身は」 肩から肋(あばら)の中まで抉られた刺殺体は何を語るのか……。

生れついての放蕩がやまずに勘当され、“やぶからし"と自嘲するような前夫のもとに、幸せな家庭や子供を捨ててはしる女心のひだの裏側を抉った表題作。

2020年は著者没後30年。 再び味わいたい、池波正太郎の世界。

一家の糊口を凌ぐために刀を売り、竹光を腰に仕官の条件である上意討へと向う浪人の心意気『竹光始末』。

「転びキリシタン」もまた、「神の子」なのか? カトリック作家が描く、キリスト教文学の最高峰。

米英上層部を揺がした例の事件から二年、姿を現わしたチャーリーを、かつて苦汁を飲まされた両国の情報部が、共同してつけ狙う。

ある日、少年の頭上でボールが割れた。

身分のちがいを理由に大名の姫から絶縁された旗本、五橋数馬は奇抜な方法で出世を試みる。

五年の在任中、署でも官舎でもぐうぐう寝てばかり。

妹に対して道ならぬ行為をはたらき、それを悔いてグレていった兄の心の軌跡と、思いがけぬ結末を描く『あんちゃん』。

ああもしたい、こうもしたい。はてしなく広がる人間の夢だが……。

枯野の襖絵に点睛を加えるために、初めて会った芸妓に野原で扇を落させる流れ絵師。

気が弱く、口べたで、ぱっとしない中年の男。

2020年は著者没後30年。 再び味わいたい、池波正太郎の世界。

1906年、ポーランドの片田舎で私生児として生れたヴワデクは、極貧の猟師に引きとられた。

ずば抜けた商才と頑張りで社会の底辺からのし上がったアベルは、全米に拡がるホテル・チェーンを作りあげた。

青江又八郎、26歳。江戸・裏店(うらだな)にて、生活のため用心棒稼業に手を染める。

わが子が頭部に異常をそなえて生れてきたと知らされて、アフリカへの冒険旅行を夢みていた鳥は、深甚な恐怖感に囚われた。

ノーベル文学賞受賞。異常をもって生まれたわが子を抱える青年の魂の遍歴、絶望と背徳の日々―。

何者かによって父を殿中で殺され、家禄削減を申し渡された加乗与四郎が、事件の真相をあばくまでの記録『花杖記』。

4人のサラリーマンが、宴会の席で上司の部長をにらみつけていた。

激動の時代を証した女たち―鎖国から開国へ流れる歴史のただ中で、時代の障壁と運命の隘路に窮しつつ、人生を選択した女たちを描く大長編。

アルプスの湖底から発見された箱の一つが消え失せた。

どろりとしたヘドロにまみれた死体が発見された。

タイム・マシンを発明して、直前に起った出来事を眺める「笑うな」など、ユニークな発想とブラックユーモアのショートショート集。

居酒屋でいつも黙って一升桝で飲んでいる浪人、松村信兵衛の胸のすく活躍と人情味あふれる子育ての物語『人情裏長屋』。

昭和36年7月、神奈川県の小さな町で、飲み屋を営む坂井ハツ子の死体が見つかった。

昭和36年7月、神奈川県の小さな町で、飲み屋を営む坂井ハツ子の死体が見つかった。