亡き父に代わり、わたしを育てた従兄アンブローズが、イタリアで結婚し、急逝した。

1913年オーストラリアの港に、小さなトランクとともに取り残されていた少女ネル。トランクには、お伽噺の本が一冊。

島から一歩も出ることなく、判で押したような平穏な毎日を送る人々を突然襲った狂乱の嵐「東風」。

アメリカ随一の女流本格作家マクロイによる、趣向と技巧を凝らす短篇集が文庫化。

映画『赤い影』の原作となった表題作をはじめ、日常を歪める不条理あり、意外な結末あり、天性の語り手である著者の才能を遺憾なく発揮した作品五編を収める粒選りの短編集。

匿名の電話の警告を無視してフリーダは婚約者の実家へ向かうが、その夜のパーティで殺人事件が起こる。

ゆうべ、またマンダレーに行った夢を見た―この文学史に残る神秘的な一文で始まる、ゴシックロマンの金字塔、待望の新訳。

あなたの目の前にこの世でもっとも危険な陥穽がが口を開いている。人生の断面を鋭く抉る六つの物語。

江戸川乱歩の造語である“奇妙な味”は、ミステリにもSFにも怪奇小説にも分類不能の、異様な読後感を残す小説を指す。

イギリスの田舎町を豪雨が襲った夜、舞踏会からの帰途にあった二人の男は、急カーブの続く難所で自動車事故に遭遇した。

ウェールズ地方の牧歌的な農園で勃発した、奇怪な事件。二転三転する謎に挑む、チャッキー警部。

家に出没するネズミを退治するため、罠を買うようにと妻に命じた夫が目にする光景とは…ぞっとする終幕が待ち受ける「ネズミ」。

共同経営者ハクストンの死は、他殺だった。

折口信夫、乱歩も絶賛した「かむなぎうた」、ほの暗く、ほの明るい幻想怪奇「東天紅」、民俗的ミステリ風味「吉備津の釜」、得意の台湾物「消えた家」、呪いの家「ひこばえ」、泉鏡花賞「泥汽車」、ハイカラ右京番外篇「明治吸血鬼」…澁澤龍彦も種村季弘も賛美した異端のダン

隠退した名探偵リングローズはイギリス海峡に面した旧領主邸ホテルに招待された。

電気風呂が売りの銭湯で起きた殺人の謎を描く、デビュー作の本格ミステリ「電気風呂の怪死事件」。

医師のノートンは、海岸の遊歩道で見かけた美貌の娘に、一瞬にして心を奪われた。その名はダイアナ、あだ名は“コマドリ”。

山中で交通手段を無くした青年クインは、〈塔〉と呼ばれる新興宗教の施設に助けを求めた。

まったく何ともいいようのないうまさだった――隠れ家レストラン〈スピローズ〉で供される料理はどれもが絶品ばかり。

『千夜一夜物語』の翻訳でおなじみのリチャード・バートン卿、ゴシック小説の有名な怪物…さまざまな実在の人物、架空のキャラクターとの遭遇が描かれるホームズ物語の最新コレクション。

六月半ばの日暮れどき、ダートムアの採石場で、スコットランド・ヤードの敏腕刑事ブレンドンは、絶世の美女とすれ違った。

毎週金曜の夜、刑事のデイビッドは妻を連れ、ブロンクスの実家へママを訪れる。

小学校教師アン・ネルソンを三年ぶりに訪ねてきた母親。別れた父親が手にした遺産の話をし、毒づいて帰っていった。

母が亡くなり、叔母の住むジャマイカ館に身を寄せることになったメアリー。

クリスマス商戦のさ中、デパートのおもちゃ売り場でアルバイトをする十九歳の女性テレーズは、美しい人妻と出会う。

平凡な何気ない日常から、小さな芽が出て、育ち、色鮮やかな花が咲く。悪夢という名の大輪が…。

毎年恒例のくじ引きのために、村の皆々が広場へと集まった。子供たちは笑い、大人たちは静かにほほえむ。

イギリスの田舎町。病弱なマシューは、優しく利発な姉に守られ、幸せな少年時代を過ごした。

風が吹き荒さぶ中、闇を裂いてトラックがやってきた。運転する商人は葡萄酒を運んでいると主張する。

1815年、パリに向かう英国人青年が救った見目麗しい伯爵夫人。

一月四日の夕刻、ジェームズ・アンズウェルは結婚の許しを乞うため恋人メアリの父親エイヴォリー・ヒュームを訪ね、書斎に通された。

ある夜、自宅近くのたばこ屋でウィリングが見かけた男は、「私はベイジル・ウィリング博士だ」と名乗ると、タクシーで走り去った。

雪嵐の中、オスロ発ベルゲン行きの列車が脱線、トンネルの壁に激突した。運転手は死亡、乗客は近くの古いホテルに避難した。

男がバーで「マクジョージ」と叫び客を撃つ。が、撃たれたのはマクジョージではない?これは単なる間違いか。

大学生のジョーは、授業で身の回りの誰かの伝記を書くことになった。

有能だが変わり者の事件分析官アーベルと彼の助手となった、有能な女性刑事ハンナは、解体され、内臓を抜かれた死体が次々と見つかるという猟奇的な連続殺人事件の真相に挑む。

ホームズ・パスティーシュの新機軸、その後編。

田舎に引っ越してきた主婦につきまとう、美しい二頭の銀の犬――不安に揺れる女性の孤独を幻想的な筆致で描く、ケイト・ウィルヘルム「銀の犬」。

皮肉屋で独善的な文筆家の父と、人生への希望を失った母の元を離れて大学の女子寮に入った17歳のナタリー。

ときは遠未来。海王星軌道上の“ジレンマの監獄”から脱獄を遂げた名うての量子怪盗ジャン・ル・フランブール。

雇い主の車で初めての南仏を目指した女が巻き込まれた事件。

愉快、痛快、奇々怪々、紀要、多彩で、怪力乱舞。ようこそ、奇想ワールドへ。

目撃者の前で、少年が開けた荒野から忽然と消えた人間消失事件と、密室殺人――スコットランドを舞台に、名探偵ウィリング博士が不可能犯罪に挑む謎解きの傑作。

「トンネル」……いつも乗り慣れた列車だが、気づくともうずいぶんトンネルに入ったまま。不審に思って車掌を探すと…。

弁護士デクスターが休暇中に出会ったのは、瑠璃色の瞳で霊を見るエイルマー・ヴァンス。

そこのあなた、とびきりの悪夢を見てみませんか? ビルから転落し、ひと晩ごとに地面に近づいていく、夜ごとの悪夢を青年が語る「夢判断」など、残忍で皮肉、コミカルで悪魔的な全20編を収めた短篇集。

英仏帝国による統治が長く続き、科学的魔術が発達した世界。

お金をたくさん持ち、女性をたくさん口説く――破天荒な人生をおくる伝説的な親戚、オズワルド叔父から、甥の私におびただしい量の日記が届いた。

たまたま行き着いた、その駅に存在しないはずの地下3階は、異世界への入口だったのか?名作の誉れ高い表題作をはじめ、独特の温かさ、優しさ、ユーモアを内包するファンタジックな短篇群を収録。

欧米では、世界の短編推理小説の傑作集を編纂する試みが、しばしば行われている。

ある日突然、壁を抜ける能力を手に入れた、登録省の役人デュティユル。彼は新しい上司と手紙の書き方をめぐって対立する。

逃げ場はない。恐怖を生みだす源は人の心にあるのだから…。

国民的女優ローレルが少女時代に目撃した、母をめぐる恐ろしい出来事。

ロンドン警視庁の女性刑事セイディはあるネグレクト事件の失策で謹慎処分となり、ロンドンを離れ、コーンウォールで過ごすうちに、打ち捨てられた屋敷を発見した。

江戸川乱歩編『世界推理短編傑作集』刊行から五十余年。創元推理文庫が21世紀の世に問う、新たなる一大アンソロジー。