夫に支配される人気作家・柚。先が見えない三流大学三回生の航大。

この主人公の流され方に、自分は違うと言い切れますか。人間・人生の不可思議をとことん突きつめる、著者の新たな代表作の誕生。

伝えられなかった言葉。忘れられない後悔。

ある晩かかってきた一本の奇妙な電話。

帝都に忍び寄る不穏な足音。ルンペン、ブッポウソウ、ドッペルゲンガー…。

かつての売れっ子作家・津田伸一は、いまは地方都市で暮らしている。

十三年前に札幌で起きた殺人事件と、同じ手口で風俗嬢が殺害された。

新たな代表作の誕生! 20年ぶりの書き下ろし あたしは、月のように死んで、生まれ変わる──目の前にいる、この七歳の娘が、いまは亡き我が子だというのか? 三人の男と一人の少女の、三十余年におよぶ人生、その過ぎし日々が交錯し、幾重にも織り込まれてゆく。

朝霞、新座、志木。家庭を持ってもこのへんに住む元女子たち。

短篇の名手が、深遠なカタルシスを紡ぎ出す。

宮沢賢治は祖父の代から続く富裕な質屋に生まれた。

優雅だが、どこかうらぶれた男、一見、おとなしそうな若い女、アパートの押入れから漂う、罪の異臭。

「身勝手な女」と呼ばれたって一ミリも後悔なんかしないわ。 照子と瑠衣はともに七十歳。

36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。

望むことは、罪ですか？　誰もが顔見知りの小さな町で盗みを繰り返す友達のお母さん、結婚をせっつく田舎体質にうんざりしている女の周囲で続くボヤ、出会い系サイトで知り合ったＤＶ男との逃避行──。

太平の世に行き場を失い、人生に惑う武家の男たち。身ひとつで生きる女ならば、答えを知っていようか―。

大丈夫、会いたいと強く願えば、きっと会える――。

就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。

秋田の貧しい小作農に生まれた富治は、伝統のマタギを生業とし、獣を狩る喜びを知るが、地主の一人娘と恋に落ち、村を追われる。

だからこそ潜るのだ。誰も潜らないから、誰かが潜らなければいけないのだと信じる。

再会は地獄への扉だった。十七年前、霧の霊峰で少年たちが起こした聖なる事件が、今鮮やかに蘇る―。

昭和初期の帝都を舞台に、令嬢と女性運転手が不思議に挑むベッキーさんシリーズ第二弾。

士族出身の上流家庭・花村家にやってきた若い女性運転手。

凄惨な連続殺人が発生した。独り暮らしの女性達が監禁され、全身を刺されているがレイプの痕はない。

ある夏の夜、酔って遅く帰ってきた姉から、失恋の顛末を聞かされる。

東京のはずれに位置する‘まほろ市’の駅前にある便利屋「多田便利軒」に舞いこむ依頼はどこかきな臭い。

なぜ、吉原一の花魁葛城は、忽然と姿を消したのか？　遣手、幇間、女衒ーー人々の口から語られる廓の表と裏。

誰かと生きるって、こんなにも孤独――。 長年連れ添った配偶者が、過去に大罪を犯していたら。

夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。

「ヤドカミ様に、お願いしてみようか」「叶えてくれると思うで。

才能豊かなパティシエの気まぐれに奔走させられたり、犬のボランティアのために水商売のバイトをしたり、難民を保護し支援する国連機関で夫婦の愛のあり方に苦しんだり…。

時を重ねて変わらぬ本への想い……《私》は作家の創作の謎を探り行く――。

能登七尾の畠山家に仕える武士の家に生まれた信春は、10歳で長谷川家の養子になる。

一番近くにいるのに 誰よりも遠い。 海釣りに出たまま、二度と帰らなかった夫。

最終学年を迎えた「私」は卒論のテーマ「芥川龍之介」を掘り下げていく一方、田崎信全集の編集作業に追われる出版社で初めてのアルバイトを経験する。

英雄を失った島に、新たな魂が立ち上がる。固い絆で結ばれた三人の幼馴染み、グスク、レイ、ヤマコ。

前作『六の宮の姫君』で着手した卒業論文を書き上げ、巣立ちの時を迎えたヒロインは、出版社の編集者として社会人生活のスタートを切る。

「憶えてるよ」僕は正気を取り戻した。

「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」日本からの密偵に帯同し、通訳として満洲に渡った細川。

絵に描いたような幼なじみの真理子と利恵を苛酷な運命が待ち受けていた。

高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律に魅せられた外村は、念願の調律師として働き始める。

専業主婦の小夜子は、ベンチャー企業の女社長、葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めるが…。

「山の民」に置き去られた赤ん坊。

豊後羽根藩の檀野庄三郎は不始末を犯し、家老により、切腹と引き替えに向山村に幽閉中の元郡奉行戸田秋谷の元へ遣わされる。

等身大の女性を描く、第126回直木賞受賞作。

1975年、偉大なる総統の死の直後、愛すべき祖父は何者かに殺された。17歳。

二十五年前に家族を捨てて出ていった父親が突然戻ってきた。妻と娘夫婦が経営する八ヶ岳の麓の園芸店へ。

「たいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった」川村七竃は、群がる男達を軽蔑し、鉄道模型と幼馴染みの雪風だけを友として孤高の青春を送っていた。

広告代理店営業部長の佐伯は、齢五十にして若年性アルツハイマーと診断された。

17人の書き手が自らの「身体」と向き合って記す、生きるためのリレーエッセイ 私の身体はほんとうに私のもの? 私の身体はどんな視線にさらされ、どのように規定され、内面化されているのか。

明治末期、文明開化の波も遠い越後の山里。

一級建築士の青瀬は、信濃追分へ車を走らせていた。望まれて設計した新築の家。

第153回芥川賞受賞作 「早う死にたか」 毎日のようにぼやく祖父の願いをかなえてあげようと、 ともに暮らす孫の健斗は、ある計画を思いつく。

女子大生と円紫師匠の名コンビここに始まる。爽快な論理展開の妙と心暖まる物語。

あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した…あたしはもうだめ。ぜんぜんだめ。

母と二人で大切にしてきた幼い妹が、ある日突然、大人びた言動を取り始める。