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ネジ式ザゼツキー
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ネジ式ザゼツキーの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.93pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全29件 1~20 1/2ページ
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島田荘司氏の御手洗ものの講談社ノベルス初の描き下ろし作品だ。 御手洗は今回はほぼ安楽椅子状態で主人公の精神分析と童話のみから真相を暴き出す。 このノベルス版はメインパートが横書き一段組みで右から読んでいくというよく分からない体裁になっていて、童話パートが通常の縦書き二段組みになっている。 不可解な幻想に隠された真実を見出すという構成は御手洗ものの眩暈と同パターンだが、眩暈ほどは悪夢的ではなく、読後も爽やかな印象である。 メインの殺人のトリック的にはさほど大したものでもないが、そこからこれだけの大風呂敷を広げる島田氏ならではのストーリー構成力が見事である。 | ||||
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御手洗シリーズは全部読んでるわけじゃないですが、いや、これは最高傑作の一つですよ。 とてもトリッキーな構成で、実は推理小説としての完成度が高い。 この作品は2つのパートに分けられます。 1. 記憶喪失の男が書いた意味不明な小説から、実際に起きた殺人事件の存在を明らかにする。 2. 殺人事件の細部が明らかになった後で、改めて事件の真相を解き明かす。 「1」の部分は、毀誉褒貶があるようです。御手洗による謎解きは確かに強引なんですが、まあ普通に読みすすめればOK。 問題は「2」で、こちらはちゃんと、読者が推理して真相を当てられます。 ラストは、作中人物のセリフにある「まるで世界一周の旅をしたみたいだった!」の通り、深い満足感が得られます。 完璧な作品ではないですが、御手洗シリーズのファンなら絶対に見逃せない作品です。 | ||||
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荒唐無稽なファンタジー「タンジール蜜柑共和国への帰還」。 この一編を抜き出して読んでも楽しめます。 ミタライは記憶障害者がものした「タンジール...」やラモス元刑事の証言などから 例によって超絶推理を働かせ三十年前の事件の真相を言い当てます。 死体の首が切断され、頭部には雄ネジが、胴部には雌ネジが組み込まれているという 一見猟奇的な殺人事件を、ミタライは狂人やサイコパスの仕業ではないと帰結し、 犯人のやむにやまれぬ事情を見抜いてしまいます。 狂気と常識の落差が何ともいえぬカタルシスを呼びます。 本書でも島田先生のとんでもない発想が見られる反面、弱者に対する労わり、 心根のやさしさが溢れているといえるだろう。 | ||||
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『アトポス』や『眩暈』などに続く大型の奇想ミステリーといったところ。作中人物による童話を足掛かりにした妄想的な大風呂敷を強引にたたみ込んでいくスタイルで、筆力は昔とさほど変わらぬものの、あちこちに無理がうかがえ、読後のカタルシスもあまりなかった。残念といえば残念。 | ||||
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魅力的な謎を作るためにはある程度の無理は必要だが、この作品はいささかやりすぎである あれほど無茶にこじつけていいのなら、人が目からビームを出したり口からミサイルを発射することさえ リアルの話として解決できてしまう そして現実の事件も今更ではあるがいささか偶然に頼りすぎなのが困りどころ もう少し犯人には頑張ってもらいたいものだ ファンが優しい目で読むならそれなりに楽しめる作品 | ||||
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サイドストーリー豊富、たまにグダグダ、蘊蓄満載のやたら分厚い文庫系の御手洗シリーズで、 アポトス、眩暈に次いで気に入った作品でした。 後半の盛り上がりまでに時間がかかる作品が多いのですが、今回はとにかく最初から引き込まれる。 本作は若干メルヘンテイストであり、トリック(というより不思議現象の正体)が気になってスイスイ読めますが、他作品に比べると後半の展開は少し地味だったかなとも思います。 御手洗シリーズ初読の方はトンデモトリックに驚き飽きれるかもしれないので、占星術殺人事件かロシア幽霊軍艦事件をお勧めします。 特にミステリ好きではない友人に貸しましたが、3日程度で読み終わったそうです。 | ||||
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この作品と同時に魔神の遊戯も読みましたが、いつ頃から、このような作風になったのだろうと思わされる内容でした。 トリックは小さく、それに偶然性を付け加えて引き延ばすという形です。 ラストの謎解きでは今まで苦労して読んできたのに、これだけかと少し悲しくなりました。 医学の本を読みたい訳ではないので、前半や所々の解説は苦痛でした。 占星術や斜め屋敷、あるいは初期の短編のように、トリックに驚かされることはありません。 やはり御手洗のような奇才は日本の風景のほうが似合っていたと思いました。 | ||||
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つげの「ネジ式」を知っていると、余計なことを考える分、すっかり騙されちゃう。 著者の提唱する21世紀本格の実践編である。 著者の御手洗もの長編は、年鑑大作の刊行以降、しばらく低迷していた。 本作は、ある意味、著者の転機になったものだ。 御手洗ものとして久しぶりのヒットであり、多分手応えもあったのではないだろうか。 以降、著者の長編は、ほとんどが御手洗ものになる。 メインのストーリーだけではなく、途中に別ストーリーが挿入されるのは、「アトポス」とかの豪華大長編のころからのお馴染みの作法だ。 「龍臥亭〜」などもそうだ。 ただし、本作では、それが作中人物の創作、というところがミソかな。 もちろん、その別ストーリーが全く関係なかったら怒っちゃうけども、いろいろと絡んでくる。 だから、別ストーリーが挿入されることで本筋を読む勢いが中断されちゃうけど、それもしょうがない。 何より本作は、脳科学者御手洗が探偵なのだ。 「占星術〜」や「異邦〜」の頃は、まさか彼が脳科学者になるとは、想像もしていなかった。 これは、著者が‘真のミステリはひとの心の中にある’ということに、気がついたからだろう。 ただし、あまりこの方面で進めると、インパクトの大きい大技物理トリックの出番が少なくなっちゃうんだ。 それはちょっと残念だから、この方面は適当にしておいて、著者にはもっと剛腕を発揮して欲しい。 そう、あの「北の夕鶴〜」や「斜め屋敷〜」のショック。 あのての作品の新作を読みたいものだ。 | ||||
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そんな登場人物の言葉がそのままぴたりと自分の気持ちと当てはまる本でした。 御手洗潔が主人公でなくても本格物として もっといえばミステリーという枠にとらわれない傑作であると思う それが御手洗ファンならば尚たまらないとでしょう まず登場から御手洗潔がなぜそんなところで働いているのか? (御手洗潔は一体何を、どこを目指しているのかというような面白さ(自分はかなりぶっとびました笑)) 謎めいた物語と登場人物 時に強引と言われるような本格物の推理、ギミック 驚きとわくわくの連続で読んでいてとても楽しく 面白くて読み終わるのが惜しかったです 丁度旅の終わりの様に 良い本に出会うと生きてて良かったと大げさでなく思います、そんな風に感じさせてくれた本でした 余計なことですが個人的にはレオナが出てこなくて良かったと思いました笑 | ||||
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島田荘司氏の長編に共通して言える特徴は「冗長」。余計なおしゃべりや挿話が多過ぎる。敢えて翻訳調な言葉遣いを散りばめているところから察するに、おそらくディクスン・カー等、英米のミステリーを踏襲しているつもりなのだろうが、氏の作品の場合、鼻についてしまう。本作でも他の多くの作品でもそうだが、挿入される「おとぎ話」の類は無視して読まなくとも、探偵の推理には殆ど影響しない。却って「時間の無駄を防げた」と安堵するほど。文芸部に属する中学生の書くような、玄人らしからぬ文章(セリフ回しなど)にも辟易する。氏独特の荒唐無稽で破天荒なストーリー展開に(のみ)敬意を表して星は三つにとどめ置く。 | ||||
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導入部は魅力的でその後の展開を楽しみに読み進めたものの、大雑把な構成にがっかり。 昔、”教科書音読→訳を発表”をひたすら繰り返させた英語教師の事を思い出した。退屈な授業だった。 しかし、Amazonのレビューを見ると好評価。それどころか、あの一気に説明し続けるさまが良いらしい。 人の好みは様々だなあと改めて思う。 | ||||
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島田氏の作風は「暗闇坂」以降、冒頭で大風呂敷を広げ、以後、牽強付会を重ねて辻褄を合わせると言う"コジツケ小説"にパターン化してしまった。本作もその例に漏れない。「眩暈」と同様、一時的記憶障害を持つ男が語る謎の世界を解明すると言う内容で、「眩暈」では「アルジャーノンに花束を」形式の手記が対象だったが、本作では男が書いた童話「タンジール蜜柑共和国への帰還」が対象。以下、問題点を挙げてみよう。 (1) 御手洗のみ原語で童話を読んでおり、読者には「タンジール蜜柑...」と言う変な日本語訳で紹介される。読者にも初めから「Tangerine」と示してくれれば、ビートルズ・ファンなら御手洗と同程度の推論が可能である。即ち、御手洗の優越性を強調するための作者の狡猾な細工なのである。この意味で、童話は全て英語で記すべきだったろう。また、「Sun King」は歌詞だけでなく曲名なのだから、正確に記述して欲しい。それにしても、Johnの曲なのに男の名がマーカットとは...。 (2) 男の記憶が3層に別れると断定しているが、これに対する科学的論拠が示されないし、また示せる筈がない。人間の記憶のメカニズムには未知の部分が多いのに、御手洗一人が何故記憶の構造を確定出来るのか ? 御手洗は何時世界一の脳医学者になったのか ? (3) ルーシーの発見は史実。ザゼツキーは架空の人物。即ち、史実と虚構を混在させており、童話(虚)→ルーシー(実)→ザゼツキー(虚)と言う本作の本流が受容し難い。読者のためのミステリと言うよりは作者の趣味で書いている感が強い。 (4) ゴーレムとネジとの関連が希薄で、主題が霧散しているし、事件の推理が相変わらず偶然性に頼ったもので説得力が皆無。 ミステリと考えず、誇大妄想小説として読めば、それなりに楽しめる作品であろうか。 | ||||
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コンセプトは「眩暈」と同じようなもの。脳科学と一見幻想的な殺人事件の絡みを行い解決をはかるというもの。しかし、肝心の「蜜柑共和国」の現実的な解明が乱暴にかつ短絡的に終始している感が否めなかった。「眩暈」ではファンタジーすべてが現実的に説明できている鮮やかさがあるのに対し、こうした幻想創出手法が許されるのならばなんでもありだろう。もう少し現実と幻想との融合を読者に納得させるほどの事実論理性を出してほしかったように思う。 | ||||
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良いですね!島田ワールド炸裂です。混沌から論理的に収束に向かうプロセスは、御手洗的(島田的)説得性に満ち、ファンならば、うん、うんと納得することしきりです。一気に読めます! | ||||
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600ページ大作だけあってどんどん謎が増殖してゆく(そこがまたいいのだが)が、どうやって収束させてゆくかが不安だった。が、見事に御手洗は全てを解決してくれた。島田荘司健在の証拠である。 島田氏の奇抜な発想には驚かされるばかりだが、それが一段とヒートアップしたものが本作なのだ。ネジで体にはまっている死体、そして謎の童話。噴出する「ミステリーズ」が魅力的。飽きない。それらを無視してはいけないが、もう1つ注目したいのは、引き裂かれた男女のドラマである。 謎を解いたその先には人間たちの過去がある、思いがある。その構成がすごい。 島田荘司は都筑道夫のごとく全身推理作家だ。 | ||||
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ネジ式?ザゼツキーってとっても言いにくいんですが、人の名前? じゃあ、タイトルはネジ式の人ってこと?!!何なんでしょうか? 記憶喪失になった男が童話を描く。童話の内容から、御手洗はいろんな事実を 男との病室での会話で明らかにしていく。 死体になぜねじがはまっていたのか?御手洗のロジカルな頭は理屈でそれに 答えを出す。いつもながらすごい人です。 交互に挿入される童話は、最初読みにくかったが、最後のところの男女の会話に とても感情移入でき、必要な組立だった。冤罪が解き明かされ、男女の再会へと 繋がるストーリーは、爽快感を感じた。 | ||||
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御手洗潔とハインリッヒの、ホームズ・ワトソン的な関係性が清々しいミステリー長編。徹頭徹尾、ひとつの室内、おなじ机を囲んで物語が紡がれていきますが、会話のテンポが小気味よく、不思議のなかから拾い上げた新しい謎、そしてその謎を紐解いていく過程がすらすらと頭に流れ込んできます。 思っていたよりも、ずっと読みやすかったですよ。 | ||||
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記憶喪失の男がかいた童話。「タンジール蜜柑共和国」というのどかな響き、そこに登場するちょっぴり奇妙な人たち、メルヘンなようで時にシュールな展開に、読めば読むほど頭の中のクエスチョンマークが増えていきますが… 御手洗氏の推理が、物語の謎を解きほぐし、さらには男が記憶喪失になった過去のいきさつまで明らかにしていくのは圧巻です。ついに到達したそこには予想もしないショッキングな事件が! 長編ですが、ぐいぐいと引き込まれ、一気に読んでしまいました。おすすめです。 | ||||
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本書は、ここ何年かの中では出色の出来だと思う。 本書にはとびきり奇妙な謎が、これでもかというほど詰め込まれている。 とりわけスゴイのが、ネジ式ではずれる首の謎だ。 ネジ式?人間の首が?いったい、どゆこと? 誰もがそう思うことだろう。そして、そんなとんでもない謎が論理的に解決されるわけがないと思ってしまうだろう。こんなことが現実に起きるなんてことはありえない。だが、これが理路整然と解決されるのだ。これには唸ってしまった。本書では完全にしてやられた。 今回もおいおい、こんな大風呂敷広げて大丈夫なんですか島田さん!とツッコミの一つもいれたくなってしまう謎なのだが、これがまことに納得のいく結末をむかえてしまうから素晴らしい。 ひとつ難を言えば、ノベルズ初の試みだと思われる横書きの部分が最初読みづらかったことだろうか。 しかし、それもこの奇妙な世界を構築する上での島田特有の『演出』なのだろう。慣れれば横書きと縦書きの交差もストレスなく読めるようになる^^。 久しぶりに御手洗物で大いに溜飲を下げた作品だった。ほんと楽しめた。 | ||||
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島田荘司氏のグロテスク系の作品と思えるが,患者の症状など興味深い部分が多かったものの,死体それ自体はそれほどグロテスクなわけでもなく,グロと対比されるべき謎解きの理知性についても,どちらかというとメロドラマ風な気がして,グロと理知の落差で魅せる氏の作品の中では可もなく不可もないレベルかなと思いました(失礼)。 精神の病の世界って,現実ははるかにシュールなんですね。身近に例があるのでそうおもう。なにしろ,精神を精神が判断したりするので,本当に患者は向こうなんだろうか?とこちらが揺らいでしまうことがある。その意味では,もっとシュールな「精神と精神のぶつかり合い」を描いてほしかったと思います。ミタライさんが常に正常では面白くない,といっている(笑)。それに比べるとアトポスのような体の病気(体が先で,その影響を精神が受ける)を扱った作品のほうが説得力があったと思います。 ということで,星ひとつだけ引かせていただきます。おもしろいのはおもしろいです(をい)。 | ||||
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