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教団X



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【この小説が収録されている参考書籍】
教団X
教団X (集英社文庫)

教団Xの評価: 2.60/5点 レビュー 329件。 Eランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点2.60pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全329件 321~329 17/17ページ
No.9:
(4pt)

著者と同世代の読者として

中村文則さんとは気が合うかもなぁなんて妄想。なぜかっていうと同じ世代だからじゃないかと自己分析。
今から20年以上も前って「ニューサイエンス」っていう、神秘主義が流行っていたんです。

シュレディンガー『精神と物質』、とか、フリッチョフ・カプラの『タオ自然学』とかバリバリ物理学の権威が現代物理学の限界を感じ始めて、その答えをに主に東洋に求めて、ヨガとか瞑想を始めたりしたんです。
精神というか意識は物質の化学反応のような方法論では語れない(のではないか)、宇宙には精神の力が宿っているんじゃないか、みたいな。

そして当時高校生だった(おそらく中村さんは中学生くらい)僕は、
Mrマリックの「ハンドパワーです」とかドラゴンボールの「すげえ、『気』だ」みたいなセリフとか天津飯の「気功砲」と言った技とかに感化されちゃって、こういうのを学べる大学って、ないかな、なんて思ったり。

少なくともあの当時マリックさんを「マジシャン」としては見てなかったと思いますが、いかが?

で、これって「カルト」の教義みたいでしょ? 
だからバカまでに考えていた僕は、下手すりゃあの教団に入信していたかもしれなかったわけです。危ない危ない。

この小説に出てくる「素粒子」とかどうとか、哲学的な知識を披瀝しているのも、当時のサブカルの文脈から掘り起こしたに違いないと思います。
今から二十数年まえのあの空騒ぎを解きほぐそうとした意図だと重います。
あの時代の疑問は「脳科学」が解き明かそうとしてます。
だからこの小説の評価は割れてしまうのでしょう。
あの時代を知らない世代にはとうてい理解できないジャンクドグマなのですから。
教団XAmazon書評・レビュー:教団Xより
4087715906
No.8:
(1pt)

立ち読みで十分なエロ小説

延々とダラダラ続く性描写は三流のエロ小説に勝るとも劣らず、エンタメ小説にしても下品。直木賞作家の『著者最高の傑作』と記されたポップの真意は凡人には知る由も無い。
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4087715906
No.7:
(1pt)

薄っぺらい

相変わらず、文章はうまいが話の中身や人物描写が薄っぺらいんですよね
教団XAmazon書評・レビュー:教団Xより
4087715906
No.6:
(1pt)

理解不能・・。

「去年の冬~」と同じ作家さんとは思えません、そのくらい私には難解でした。
途中で投げ出しました、読むこと耐えられません。
教団XAmazon書評・レビュー:教団Xより
4087715906
No.5:
(4pt)

雑多な素材を小説という器にぶち込んで化学反応させて生まれた物語。反応後に残ったのは二つの分離層というだけではちょっと寂しい。

「これは現時点での、僕の全てです」という著者の言葉に惹かれて読み始める。
 村上春樹の『1Q84』を越える作品なのかもしれないという期待も懐きながら。
 ブッダのことば、ユダの福音書、脳科学、宇宙論、量子力学、靖国神社、東京裁判、従軍慰安婦、軍需産業、ODA・・・。巻末には、40を越える参考文献のリストも列挙されている。宗教、科学、政治、経済と、幅広く渉猟したことが分かる。そこから得られた情報を基に、作家は物語を紡ぎ出した。
 オカルト教団Xを暴走させて政治経済の暗部を描く一方で、悩める人々の信頼を集める教祖のような存在である松尾正太郎を対置している。教団Xは「オウム真理教」が、松尾正太郎は「イエスの方舟」の主宰者千石剛賢がヒントになっているのだろう。教団Xの暗躍を通して、人間の欲望(権力、性)を描き、松尾の話を通して存在や生命の根源に迫ろうとしている。現在の世界を彷彿とさせるエピソード(誘拐・人質事件)も織り込まれており、右傾化する政権への痛烈な批判も含まれている。まるで今年(2015年)の世界を予見していたかのようにも感じられ、作家の想像力には敬服するしかない。
 雑多な材料を小説という器にぶち込んで攪拌し、化学反応を起こさせて物語を展開させた。しかし、反応が終わってみると、どす黒い沈殿(教団X)と透き通った上澄液(松尾正太郎)という二つの分離層が残っただけという印象はぬぐえない。
 私は欲張り過ぎなのだろうか。著者中村文則は優れたストーリーテラーではあるが、567ページの長編を読み終えた後、期待した文学的感動や余韻は淡く、物足りなさが残る。圧倒的な情報を盛り込んだ上で、村上春樹を超えるような、文学としても昇華された作品が誕生するのを期待したい。
教団XAmazon書評・レビュー:教団Xより
4087715906
No.4:
(1pt)

初期作品の輝きが消えてしまった

初期作品が人気の作家さんですが、
残念ながら最近は正統派の純文学ではなく、
お金の匂いがするエンタメ系小説を書かれるようになりました。

初期作品のファンであった為、余計にショックが大きいです。

「沢渡の過去」の告白文は、
初期を思わせる緊迫感がありました、が、
あとは正直、失礼ながら、面白くありませんでした。

某大型書店のポップメモでも、指摘されていましたが、後半の途中までは、だらだらとした内容が続きます。
エンタメ系としても、純文学としても、軸がぶれていて、非常に中途半端なストーリー展開でした。

表紙のデザインは、美しく、新鮮さがあります。
教団XAmazon書評・レビュー:教団Xより
4087715906
No.3:
(3pt)

成長とそのスケール感は伝わるけれど…

なるほど、これが彼のひとつの到達点かぁ
確かに作家として成長しているなぁって気はします

土の中の子供までは良くも悪くも古色蒼然とした内向きの純文学だったけれど、
何もかも憂鬱な夜に辺りからアメーバやらDNAやら別の生物学的な
ミクロの視点で人間存在を見つめるようになって、
そして悪意と仮面のルールで戦争やテロ、企業組織といった社会問題を
取り上げることで、現代社会の病巣と個々人の深層心理を結びつける
着想を得て教団Xと来たわけですね

んん、村上春樹のデタッチメントからコミットメント
という流れにとても似てますね
今作は村上春樹の作品でねじまき鳥クロニクルってところかな
宇宙や生物的なメカニズムまで巻き込む巨大で複雑極まりない世界の
不条理なシステムのコントロールに我々ひとりひとりはどう対応すべきか。
世界と個人の関係、そのスケール感は実にねじまきのそれ
そういや中村文則もアメリカのノワールの賞を貰って
グローバルな作家だったりするんですよね

ただ、まあ村上春樹のねじまき鳥と比べると、ちょっと野暮ったく
生硬な感じは否めませんね。やっぱり登場人物の描写に深みが、
説得力がまだまだ足りない。登場人物を多くしすぎたせいですかね?
松尾の奥さんはちょっと過去説明されたくらいだし、
高原の飢えというのもあの描写ではいまいちピンと来ない…

物語の中心人物であろう教団の教祖のカリスマオーラも
全然伝わってこかったですね
善やら悪やら神様になるやら色々と書かれてますが、
自分の空洞に惹かれるとか何とか説明されてますけど、
結局のところそこまで何故弟子たちが入り込むのかよく分かりません。
常識では考えられないのが宗教集団のつながりでも、
それを読者に説明するのが小説なわけで。
父性で弟子たちの承認欲求を満たすんだろうという風な描写が最初にあるだけで
具体的にどういったプロセスを経て洗脳を迎えるのかがよく分からないのです

あとは全体的に参考文献の引用が目立ち話が説明的すぎるのも
大きなマイナスポイントかな。物語になっていない部分が多いというか
登場人物の言葉として馴染んでない部分多し。前半の松尾の語りはほとんど
参考文献で埋まっちゃってますよね。あれはいけないと思います。
その後に出てくる50代の男や篠崎もそうですけど、ただ物事を
説明する為に用意した存在に見えてしまうんですよね。
単調な説明文なら元の専門書と変わらないので、小説家なら
もっと魅力ある惹きつけられるような文章で文学に昇華して欲しい。
司馬遼太郎がその時代をその目で観てきたかのように歴史を語る感じでオナシャス

お屋敷でのちょっとラブコメっぽいノリはとても面白かったですよ!
あれはきっと短編のゴミ屋敷からのユーモアが生かされてますね
AV女優に昔の彼女やクラスメイトを重ねってみようかな…(笑)
教団XAmazon書評・レビュー:教団Xより
4087715906
No.2:
(5pt)

善悪の彼岸

中村文則の最新作である本作は、まるで今までの集大成として渾身の力を込めて描ききったように感じる。今まで培ってきた小説技術を駆使して、壮大なテーマ「人間とは何か」をカルト集団を主軸にして、描ききろうとしている。しかし、この作品で最も訴えたい中村さんのメッセージは、常にあとがきの最後に述べられる「共に生きましょう」だろう。

この作品はふたつの宗教団体、ひとつは善として、ひとつは悪として対比させながら、その間を行き交う人間たちを描くことで、人間の揺れ動く心、善悪や性を描いている。また、両団体の教祖に、宇宙や生命の神秘、人間の善悪という概念、神の存在、性などについて語らせ、常に絶え間なく入れ替わる素粒子の集まりとしての人間の存在意義を模索している。
作者は、今までもそうだったが、今回もまた自分に正直であり、自分の存在意義、あるいは読者の存在意義を求めて模索する。私は、そんな息苦しいまでの自問自答を好感をもって読んでいる。それは私も同じように自問自答しているからかもしれない。

この作品を「掏摸」や「悪と仮面のルール」のように、ひとつのエンターテイメントとして読み上げることもできるだろうが、私はこの作品の影に以前読んだ中村作品のひとつ「何もかも憂鬱な夜に」がちらついて仕方がない。あの読書体験は私に生きる力を与えてくれたものだったが、この作品にもそのような面が見受けられる。というか、その延長線上にこの作品はあるのだろう。人が生きていくためには何が必要なのか、その人の存在が奇蹟的な有意義な存在であること、それをあらゆる形で解いてみせたかったのではないのだろうか?

また、今回は性(セックス)についても模索しているように思う。表題である宗教団体「教団X」は、その教義にセックスの自由がある。みなが乱交することを良しとし、それによって洗脳していく。性交描写も生々しく、官能小説かと思わされるような場面が散見される。
なぜ今回、そこまで性にこだわって書いたのだろうか?そして、その集団の教祖をなぜ悪として描いてみせたのだろうか?
それは、多くの宗教が性の自由を拘束するからだろうか?人は、実はかなりの部分で性の問題に縛られているのではないだろうかと、作者は考えたのだろうか?
この部分はまだ私にはよく理解できないが、またひとつの境地を開いたのかなとも思う。

本作品はおそらく作者の最長小説ではないだろうか。
なぜそこまで長くなったのかは、本作品のあとがきを読めば理解できるのではないだろうか。
世界と人間を全体から捉えようとしながら、個々の人間の心理の奥の奥まで書こうとする小説。そういう作品を書くのが目標のひとつだったと書いてあるので、それでおそらくこんなに長くなったのだろう。それに成功したかどうかは、読者たちの判断に委ねられている。
私個人の感想としては、技術的にはまだそこまでに至っていないように感じるが、言わんとしていることはわかる、といったところだ。

少々読むのに苦労したが、本作品のテーマには私は共感している。
小説の中の登場人物にも言わせたように、私も「共に生きましょう」。どんなに苦しくても。
教団XAmazon書評・レビュー:教団Xより
4087715906
No.1:
(3pt)

実態がつかめない宗教団体でした

松尾教祖のアットホームな雰囲気な善的な宗教団体と、一方、変質者というかサイコキラーである医者の沢渡教祖が率いるセックス教団である教団Xとの二つの組織が少し絡んだお話。
 二つの宗教団体が対比されながら、それらの主要な人物の内面が吐露されつつ、終盤は教団Xが機動隊にマンションビルを囲まれる事態に流れていく。セックス教団だから官能小説かと思えるエロい描写も多いが、出て来る女たちはどうも軽薄な感じで、作者には男尊女卑の傾向がありはしないかと思う。
 ストーリー的にはテレビドラマ水準でたいした工夫もない。
 
 はじめに違和感を抱くのは第一部で頻繁に語られる松尾「教祖の奇妙な話」だが、これが別に奇妙でもなく、中村元の書物や前野隆司の書物や他人の意見や読んだ科学理論の受け売りを毎回述べているだけで、作者が松尾教祖という人物をきちんと造形する努力をしたのかはなはだ疑問である。つまり、松尾教祖とその話が、具体性に欠け、松尾教祖に魅力が感じられないわけである。
 個人的には、昔、前野隆司の『脳はなぜ「心」を作ったのか―「私」の謎を解く受動意識仮説』などの本はとてもスリリングに読んだ記憶があるので、〈受動意識仮説〉をそのまま、「私」理論として語る松尾教祖とその背後にいる作者にはオリジナリティがまるでないではないかと思えるのである。受動意識仮説を全く知らない読者はおそらくこの部分でつまずいてしまうおそれもあるかもしれない。

 一方、教団Xの沢渡教祖の変態趣向には私は全くついていけない。まあ、きっと作者は、スタヴローギンを超える悪を描きたかったんだろうなあと思うし、終わり近く告白される「沢渡の過去」がおそらくこの小説で一番文学性を孕んだ箇所ではあるとは思えるが。
 あと、教団Xのナンバー2である高原の武装組織での体験談もまあ興味深い。しかしながら、小説の中に消化しきれない様々な現代社会への批判などの主張を全部盛り込むのはどうかと思う。エッセイにして書いてくれた方が読む方も気楽かもしれない。

 結局のところ、残念ながらそれぞれの宗教団体が信仰している神がどんなものなのか具体的なところがよくわからないので、抽象的な神のレベルでしか読者は理解できず、小説全体が単に机上の空論レベルのまま、絵空事のように宙に浮いているのである。私個人は当初、オウム真理教をどうしても想像してしまったが、オウム真理教の教義ではないし。というか教団Xにはたいして教義らしいものもないのである。セックスで信者を惹きとめているだけみたい。
 私的には、途中少し言及された靖国問題については、最近の小林よしのりと同じような意見が述べられていて、面白かった。
教団XAmazon書評・レビュー:教団Xより
4087715906

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