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メソポタミヤの殺人
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【この小説が収録されている参考書籍】
メソポタミヤの殺人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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さすが安定の面白さだけど、意外とあっさり。 | ||||
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クリスティの充実期といわれる1930年代の諸作の中では、評価が安定していない作品です。 どちらかと言えば支持派が多い感がありますが、殺人方法の現実性や、意外性を追求しすぎてさすがに無理があるのではと思わせる犯人の設定など、マイナス面が多々見受けられるのも事実です。私個人としては全面否定とまではいかないものの、やや誉められすぎている、という印象を持っています。ミステリーとして弱いのみならず、クリスティ作品の魅力である文章の巧みさが出ていないのが最大の理由です。もっとも、これについては、語り手である看護師のエイミー・レザランが自分は文章が下手だ、と言っているので、見事に下手に書いてある、という見方もできるかもしれませんが……。 また、この作品については、2点あらかじめ留意しておくことがあります。 まずは、エキゾチックなタイトルとは裏腹に、中近東物らしい異国情緒をほとんど感じられないこと。クリスティが夫の仕事を通してよく知っていた遺跡調査についても特段の描写はありません。つまり、舞台は必ずしもメソポタミアである必要はなく、主要登場人物は遺跡調査隊でなくても成立する物語になっているのです。どちらについてもクリスティは積極的に書く気がなかったように見受けられます。 次にデヴィッド・スーシェが主演しているTVシリーズ『メソポタミア殺人事件』とはメインとなる事件の真相以外、かなり内容が異なっていることです。冒頭の殺人をはじめ、ルイーズが殺害されるまでの展開はほぼ完全なオリジナルとなっており、中盤で起こる自殺事件も原作にはありません。そもそも、ヘイスティングス大尉やヴェラ・ロサコフ伯爵夫人はその名すら登場しません。そのため、TV版から入ると、かなり地味な印象を持たれるかもしれません。 以上の点で、クリスティの著作、あるいはポアロ物をまだあまり読んでいない、という方は後回しにされることをお勧めします。かなり甘めに見ても、“中近東を舞台にしたクリスティー作品の最高傑作”という惹句は妥当性を欠いていると言わざるを得ないでしょう。 むしろ興味深いのは、クリスティが考古学者である登場人物の台詞に託して、ポアロの仕事を考古学に通じる面がある、と言っていることです。過去の事実をかき集め、それらを正しく配列し、本来の姿を推理する……これはまさに、クリスティが後期の作品で繰り返し取り上げた“回想の殺人”そのものです。本作の印象が残っているうちに『五匹の子豚』などを読まれると、また違った読後感を楽しめると思います。 【補足データ】 初版:1936[昭和11]年7月 初版刊行時点でのクリスティの満年齢:45歳 長編として:全66作(メアリ・マスコット名義で刊行された非ミステリ長編6作を除く)中の19作目 ポアロ物の長編として:全33作中の12作目 | ||||
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1936年のクリスティーの全盛期に発表されたポアロものの長編。 バクダードが舞台の観光趣向の作品だが、特にバクダードが舞台である必然性はなく英国でも成り立ついつものクリスティー風味だ。 殺人が起こるまでが長く、事件自体もかなり地味なものだが、ホテルの部屋割りがトリックの肝になるなど、本格志向の強い作品である。 同じポアロの異国舞台ものではナイルに死すとかの方がやはり傑作であろう。 メインの人の入れ替わりトリックもかなり無理があるのは否めない。普通気づくだろう・・・・。 クリスティーの全盛期の作品としてはイマイチ知名度がないのも納得のイマイチの出来の作品である。 | ||||
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すでに指摘されているとおり、明かされる真相は無理があるし、それほど華麗なものでもないので、カタルシスは少ない。犯人は疑わしく思っていた人物なのだが、そのわりにポワロが早々と容疑者リストから除いている(ようなふりをしている)ので、それに欺された。トリックよりも、中東の遺跡発掘現場というエキゾティシズムあふれる場におけるヨーロッパ人コミュニティの息のつまるような雰囲気の方が印象的な作品。 | ||||
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この作品、記述者がヘイスティングス大尉じゃないんですよ。読み始めて、そのことを知った瞬間、 「げげげ、記述者が通常と違うってことは、またクリスティが嫌らしい叙述トリック使おうとしてるよ。また読み終わった後、不愉快にさせられるのか・・・」 と一瞬嫌な気分に・・・。 でも、そうじゃありませんでした。本格ミステリーの王道をいってる感じで極めて読後感のよい作品ではあったと思います。 この作品、密室トリックが面白いって人もいるけど、別の作者の某有名短編で使われたトリックの変形バリエーションなので、ミステリーマニアにしてみたら、 「ああ、あのトリックに少し手を加えて流用したのね・・・」 くらいにしか思わないでしょう・・・。 とはいえ、中東を舞台にした作品の中では「ナイルに死す」につぐ完成度であることは間違いないと思います。 | ||||
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以前、この作品が評判の割りに話題にならないのは、一部の表現(地域や民族に関する)が現代の表現コードから外れていると考えられているからなのかと思っていました。私自身はそのことだけ覚えていて、ストーリーは子供の頃に読んだきり、忘れてしまっていました。 そして今回再読(というより私の脳内の記憶上は初読に近いかも)してみて...プロットはまあまあ。私は実は途中で犯人とトリックが分かってしまいましたが、その「分かった」感は適度に楽しんで読めるレベルでした。 しかし...どうしても、動機の軸となる部分の設定が...受け入れられません! こんなことあるわけないでしょう!! 動機の性質自体は別におかしくないので、もう少し何とか工夫できなかったのかなぁと悔やまれます。明かされる事実自体は変えなくても、被害者の側が知っていたかどうかとか。 そこが修正されないと、これでは単なるなぞなぞ(だとしたら無用に長い)になってしまい、小説の体を成さないように思えます。 そこが異なっていたら、星4つだったかも。(これ以上書くとネタバレになりそうなので終わります。) | ||||
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考古学者の夫君の付き添いでクリスティもエジプト、中近東に行く事が多かったようだ。本作はその影響を受けたエジプト物「ナイルに死す」と並ぶ中近東物の代表作。当時の中近東(現イラク)の雰囲気が良く出ている。 しかし、所変われどクリスティが描くのは相変わらずの人間模様。死んだ筈の夫からの手紙等、定番の組み合わせで物語が構成される。恋愛を絡ませた構成の巧みさがクリスティの手腕である。一応、密室風殺人が起きるのだが、トリックはチェスタトンの短編からの借用だろう。いつもながらのクリスティ節で楽しませてくれる作品。 | ||||
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まず設定に無理がある。 いくら二十年?だっけ経ったからといって、忘れるのはおかしい。 まあ、それは無しにしても、イマイチ引き込まれるものがなかったなあ、本作は。 魅力はメソポタミヤの描写だろうか。それで大分救われている。 クリスティお得意の今で言うトラベル・ミステリー(ナイルに死すより落ちるが)。 旅行気分が味わえます。 | ||||
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クリスティーの中東物の最高傑作と言われる作品だが、これが最高傑作なら中東物も大した事はないな、と正直思ってしまった。もちろん、クリスティーの作品だからおもしろいし、充分楽しめる。だが、人間的な要素で、かなり不自然に思える箇所が見受けられたのが気になった(曖昧な書き方で申し訳ないが、ネタばらしになるので)。本格推理物では、人間がちゃんと描かれている必要はないかもしれない。しかし本書では、人間的な要素がとても重要な役割を果たすので、そうは行かないと思う。 | ||||
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