茶色の服の男
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茶色の服の男の総合評価:
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全1件 1~1 1/1ページ
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この作品は、冒険家に憧れる元気いっぱいで好奇心旺盛な女の子の、恋と冒険の物語です。 クリスティの作品というだけで、勝手に本格ミステリだと思って読みはじめたため拍子抜けしてしまいましたが、これはこれでとても楽しめました。 とはいえ、何度窮地に陥っても懲りず、明らかな罠にも単身突っ込んでいく主人公には、ちょっとイライラさせられます。 そのうえ、こんなに上手くいくわけないでしょ!といったご都合主義な展開も多く見られます。 でも、考えるより即行動という明朗快活な主人公のおかげか、最後まで楽しく気持ちよく読めました。 また、主人公の手記の合間合間に別の人物の手記が挟まれるのですが、その書き手がやたらと主人公の脚にこだわるスケベなおっさんです。 このおっさんが作品の面白さの肝と言っても過言ではないくらい、ユーモアたっぷりで大変気に入りました。 うら若き乙女の冒険活劇にスケベなおっさんの手記が挟まれるという、言葉にすると何ともわけのわからない構成なのですが、これが絶妙なテンポを生み出して作品全体の面白さに大きく貢献しています。 クリスティの他の作品に比べると荒削りで物足りなさはありますが、読んで決して損はしない作品だと思います。 | ||||
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アガサ・クリスティーの作品と知って読んでさえ、「ええっ! これ、ほんとにクリスティーが書いたん?」と大声をあげたくなってしまうそのくらい、本作は異色の冒険スリラーでした。 確かに、〈トミタペ〉シリーズでのタペンスや、『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』のフランキーのような、嬉々として冒険に飛び込んでいくおきゃんな女性が登場します。本書の主役、アン・ベディングフェルドですね。それにしても、この若きヒロインの行動力、命がけの冒険に身を躍らせる情熱は、ちょっと尋常じゃないくらいエネルギッシュで、あっけにとられることもしばしばでした。生き生きした魅力にあふれてるのは間違いないんだけど、クリスティーの登場人物にしてはブレーキが効かな過ぎるというか。後年のクリスティー作品にはない〝はっちゃけ感〟が、半端なかったっす。 作品の構成として「これ、うざくないか。ちょっとイラッとくるわ」思ったんは、アン・ベディングフェルドの語りの合間に、サー・ユースタス・ペドラーの手記が挟まること。でも、この同時並行的な書き方こそが、クリスティーがやりたかった本作品の肝(きも)的な趣向とも言えるので、「サー・ユースタス・ペドラーの手記、なんか邪魔やねん。取っ払ってまえ」言うたら、身も蓋もなくなってしまうんやけれど。 深町眞理子の訳文。 生き生きとしたリズム感が、とても良かったです。とりわけ、擬態語、擬声語の用い方が気が利いていて、はっとするものが多かったです。 文庫本表紙カバーも、素敵ですねぇ。谷口ジロー描く、船上のアン・ベディングフェルド嬢の絵が、いかしてるやないですか。イメージ写真の多い【クリスティー文庫】の表紙のなかでは超異色ですが、私はとても気に入ってます。 | ||||
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ポアロではなく、こういうヒロインが活劇する小説を書きたいという、クリスティの思いが伝わってきます。 また、こういう男性との恋愛も描きたかったんでしょうね…。 (後年、こういうタイプは、恋愛からほぼ確実に除外されるようになりましたが) | ||||
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ロンドンの地下鉄で、男の奇妙な死に方と、医者だと言って死んだ男に近づいた男を見た主人公アンが、事件を調べるうちに、ダイアモンドを巡って“謎の敵"との攻防戦に巻き込まれていく……。冒険と、ロマンス、アフリカの大自然と、道具立ても整ったユーモアのある、上質なスパイ小説で、誰が敵か味方か、最後まで分からないという、スパイ小説ならではの面白さも満喫できます。……ただ、一連の事件の背景·原因として、“何の邪気もない”イギリス青年が“わるいやつ”の手に掛かって、せっかく掘り当てたダイアモンドを奪われ、その上泥棒の濡れ衣を着せられて苦しめられるという"事実"が、伏線になっていますが、アフリカにあるダイアモンドは、アフリカ人のものなのではないのかなあという疑問が残ります。それと、主人公が、客船で、部屋を替わるとき、同じ部屋を、外の二人の男と取り合いになって、誰も譲らずに、船の責任者に掛け合って自分の希望を通すという場面がありますが、幾らスパイ戦だといっても、ちょっと意地張りすぎの感じがします。船室ぐらいのことで、しかももっといい船室があるのに、意地を通し、しかも、人が引き下がるのが当然で、意地を通すほうが偉いという考え……勿論、紳士の国イギリスでは女性に男が譲るのが当然なのかもしれないけど、その割には後で嫌がらせされたりして、決してただでは済まされない……、イギリス人て、消して付き合い易い人たちじゃないということが、よくわかる感じがします。こういう場面が、小説の中で描かれるということは、イギリスでは日常的に、こういう意地の張り合いや見栄の張り合いが行われているということであり、それが普通だということになります。……夏目漱石が、ロンドンを呪っていた理由が、わかる気がします。 | ||||
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私以外の評価は高いようであるが、以下のような点からほかのクリスティー作品と比べて優れていない。といっても、”アクロイド殺し”で一世を風靡する前の作品であり、この作品は”アクロイド殺し”しのプロトタイプ(他の人がおっしゃる通り二人の視点を一人に統一するアクロイド殺しへの伏線)として読めば非常に興味深い。 1.謎が多く、ストーリが煩雑。謎として、茶色い服の男は誰か?大佐は誰か?(フーダニト)ということだろうが、殺人の動機(ホワイダニト)があまりにも残念。いつやったか(ホエンダニト)はあまりにもあっさり解き明かされる。 2.別に南アフリカに行かなくても成り立つストーリー(クリスティーは旅情とロマンスを描きたかったのだろう) 3.一人3役もしくは4役が多すぎるのでわかりにくい(扉の登場人物リストに上がっていない名前まで細かく解析するとびっくり仰天)。 おそらく、アガサファンでなければ途中で読むことをやめたと思う。 | ||||
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