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虐殺器官
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虐殺器官の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.03pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全369件 141~160 8/19ページ
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タイトルに惹かれて数年前に購入。ずっと放置していたのだけど、「11/22/63」(スティーブンキング)をあえなく挫折したのを機に読み始めたら、引き込まれた。 SF小説という範疇で、様々なテーマ(戦争やら内戦やら管理社会やら進化論やら罪と罰やら)を取り扱っている感じ。フィクションだけど、描かれている幾つかの事柄は起こりうるかもしれないと感じさせる。主人公の心理も私小説風?にしつこいくらい描写されていて、SFチックなシーンとの振り幅が面白かった。結構グロい描写はあるけど、「五分後の世界」(村上龍)よりはソフトな気が。 著者の伊藤さんが同い年なので、話の中に登場する映画やサブカルチャー的な小ネタに親近感があり頭の中で映像化しやすいのも読みやすかった要因かも。(11/22/63は、この点がしんどく挫折した)伊藤さん、これが処女作で、あと一つ長編ハーモニーを発表して、34歳の若さで病気で亡くなられてしまったのは本当に残念。 万人にお勧めとはいわないけど、同年代の特に男性陣は、楽しく読めるんじゃないかなー。 | ||||
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ここまで切羽詰らないと駄目なんすかねぇ・・・。 余命いくばくもなかった作者には、コレしか手段がなかった訳ですが 人並みに生きれる「かも」知れない我々は真似をしないように。 | ||||
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個人的には人がどんどん殺される話は好きではない。では、なぜ読む気になったのかというと「よく分からないけれど話題になっているから。映画化もされるし」だ。それ以上でもそれ以下でもない。結果的には、著者の筆力のおかげでどんどん物語に引き込まれた。 子供がどんどん殺される描写は慈悲もなく哀しいものだ。許せないものの1つではあるが、それ以上に著者の描写がうまい。誤解を怖れずに表現するが、美しいといってもいいかもしれない。そのため、残酷なシーンが頭の中を攻撃しながらも、受け入れて物語を楽しんでしまう。 こんな人がたくさん死ぬ物語を美しいと感じる私が異常になったのかもしれない。でも、これが正直な感想だ。映画を観たらまた印象が変わるかもしれないが、この小説を読んでいるときに頭の中に出てくるイメージは、惨劇ではあるがどこか芸術的な風景である。その世界に引き込まれ、あっという間に読み終えてしまった。 | ||||
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人は頭の中にボタンを持っている。 もしかしたら人間以外の動物にもボタンはあるのかもしれない。 でも、そのボタンを押す「自由」を持っているのが人間。 包丁を持ったら人を刺す。 拳銃を手にしたら人を撃つ。 デスノートがあったら。 虐殺の文法が、実行できる形で手に入ったら。 主人公のクラヴィスは、「母から愛されていなかった」事実から逃れるためにボタンを押し、 ジョン・ポールは、「妻子が核で吹き飛んだ瞬間、愛人との逢瀬に耽っていた」罪から逃れるためにボタンを押した。 「虐殺の文法」や、「殺戮兵器」が問題なのではない。 きっかけは本当は何だっていいし、どこにでもあるんだろう。 「その日、フラれてムシャクシャしていた」だけでもいい。どんなきっかけであろうと、人はボタンを押してしまうことがあるんだということ。 他人ではなく自分を殺すことだってある。 人の自由が人の命を奪う。 それまで散々テクノロジーの恩恵を受け、「痛い」とわかっても「痛み」を感じず、職業軍人の名目のもと、殺人をしてきた主人公は、ラストで、テクノロジーに報復される。テクノロジーが紡ぎ出した「母の記憶」の中に、自分はいなかった、と。 善悪ではない。神も仏もいない。頭の中にボタンがある。地獄がある。自由がある。 殺人も虐殺も、人間の持つ可能性のうちのひとつなんだろう。いつだってありとあらゆる理由で、私達はそれを「選んで」いる。 | ||||
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現代から一歩だけ進化した世界観はまさに近未来小説といった感じ。 軍に属する登場人物たちが使用する道具の用途や説明が細かく、ああSF小説を読んでいるなという気分になり楽しかったです。 ストーリーとしては各地で起こる虐殺の原因となる男を軍人である主人公が追い求める話ですが、この追走劇に関しては非常にあっさりしているため読んでいてそんな簡単に終わってしまうのかと拍子抜けでした。 人々の間に虐殺を生む方法に関してもこれが肝かと思いきや結局最後まで詳細は明かされずこちらの件に関しても拍子抜け。 罪と罰を巡って葛藤する主人公の内面にかなりのページが割かれているためその部分こそがこの小説の核なのかなとは思うのですが、主人公に感情移入するには主人公の背景が曖昧だったのと思考や言動がやや突拍子もなかったため共感しきれず終わってしまいました。 どこに焦点を当てて読めばいいのかわからず全体的に散らかり気味かなという印象を受けましたが、それでも終盤の母親に関してのくだりや主人公の決断には胸を塞がれるような苦しさを覚えました。 虐殺に一人囲まれて過ごす主人公のこれからを思うと、うーん切ないです。 | ||||
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4時間ほどで読めた。 日本でこんなに面白いSF小説を書く人がいたなんて。 近未来のアメリカ特殊部隊の隊員が各地で内戦をプロデュースしている謎の男を追っていきます。 途中で奪った車にフジワラトウフとかかれているのが笑いました。 まさか途中で笑わせられるとは思いませんでした。 最初に死者の帝国を読んでいたので、 伊藤計劃の作品がこんなにも面白いとは思いませんでした。 特に軍事関連の描写は詳しくなりハードボイルドな世界が描かれれています。 虐殺器官が機能した世界がどうなっていくのか、 それはハーモニーという作品でわかるでしょう。 | ||||
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ちょっとグロテスクなシーンもありますが近未来の残虐さを描いたSFとしてなかなか楽しめると思います。 国家機関の職務を忠実に遂行していた主人公が次第にその疑問を感じてしまう物語構造も王道的で 一気呵成に読める良質なエンターテインメント小説の資質を兼ね備えているといってよいでしょう。 ただメインストーリーを支えるプロットにいろいろ粗雑な点が一読して目に付いてしまうのも事実で ・虐殺器官なる文法の説明が弱いのでいまひとつリアリティが持てない ・加えて虐殺器官によって集団内で虐殺の起こるロジックも何か腑に落ちない (たとえば個の生存かつ利他行為を前提とするなら自己の属する集団より異分子の他集団に対して殺戮を働く方がずっと自然では?) ・主人公がルツィアに想いを寄せたりエピソードの行動に至ったりする経緯が突発的で面食らう といった具合に惜しいなあと感じる点がちらほら。 個人的にはナノマシンがちょっと便利すぎやしないかってところも気になりましたが(笑) ただそうした弱点を差し引いても、なお読者を惹きつける娯楽作品として魅力を保っているところに 生前の著者の才気が紛れもなくうかがえます。 つくづく早逝が惜しまれますね。 | ||||
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普段、レビューというものは一切書くことはないが、ここに記す。 この作者の執筆当時の状態を、読み終わった後に知り、非常に切ない気持ちで胸がいっぱいになった。20代になって間もないうちにこのような文学作品に巡り会えたことは、私の人生に少なからず影響していくことだと思う。敬意を込めて、「ありがとうございました」と伝えたい。 | ||||
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映画化に伴いその前にと思い手に取りました。 大筋のストーリー展開自体はいたってシンプルです。衝撃を受けるような展開はありませんでした。 しかし一つ一つの事象に対する表現が素晴らしいです。この作中に登場する主人公同様「ことばが好き」であることが伝わる文章でした。 また2006年に書いた未来とは思えないくらい現在とリンクしたリアリティを感じる未来をうまく表現していると思います。 そのため今読んでも古さを感じさせない内容でした。 難しい表現や専門用語、過去の戦争、映画などがちょこちょこ使われているので、 調べながら読むことを考えるとKindle版をお勧めします。 | ||||
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国内のSF小説が読みたくなり、ゼロ年代SFベスト第1位というこで購入しました。 冒頭からの入りは、凄く惹きつけられ、ワクワクしながら読んでいたのですが、ゼロ年代SFベスト第1位という期待からか、第二部に行く頃にはやや期待ハズレという気持が拭えませんでした。 先ず最初に感じたのが、作者の価値観や思想、考えが押し付けがましく、自分に酔ってる様にも感じました。 ストーリーも進んだなと思うと、主人公の心情が始まり、それが長く、同じようなことなので、『またかよ』ってな感じになってしまいました。また、表現や使っている言葉もあえて難しい横文字を使ったり。同じような文章が何度も出てくるのでクドく感じました。 キャラクターに関しても、薄っぺらく、ただ、作者が言わせたいことを書いてるだけにしか感じず、 魅力、説得力が全然無いように思います。 SFの部分もリアリティが無く、 部分、部分を取ると良いんですが、全体で見ると、世界観がチグハグでSFとしての満足感は薄かったです。 総称して、作者の論文を小説ふうにしたようで、価値観や思想が合う人には評価が高くなると思いますが、SFエンターティメントを望んでる人にはおすすめできないと思います。 評価が高いのは、作者の悲劇的な人生を、うまく使ったメディア操作の力?何じゃないでしょうか。 | ||||
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多くのアイデアを一つに織り込んだすごい作品でした。 簡単なあらすじ 地球上で大量虐殺が行われる中心に、ジョン・ポールという謎の男がいつも存在する。彼を追うために、米軍大尉クラヴィス・シェパードが派遣された。この二人の戦いの結末はいかに。 こんな感じです。 SFガジェットの設定が魅力的で、現実では実用が無理そうなものでも、実際にあったら面白いよね、というロマンのようなものが感じられた。作者のSFへの愛が伝わる。 また、敵であるジョン・ポールが実にいい味を出している。敵として申し分のないミステリアス性と絶対性を有していながらも、細く脆い人間味を大いに感じさせるキャラ造形だった。敵キャラとしては非常に優秀な部類に入るのではないかと思う。 敵が魅力的だと、より一層主人公との対決に熱が入るというものです。 一方主人公クラヴィスは、典型的な軍人のイメージとは違って、ナイーブな造形をしている。生と死についてしつこいくらいに思考し、人を殺すことについて日々答えを探している。母親の延命治療をやめさせたことや、少年兵を殺していかねばならないことが、クラヴィスの精神を苦しめていくことになり、彼の意思決定に大きな影響を与える。 そんな二人の対決の物語として読むとわかりやすいかと思います。 キーワードはやはり虐殺器官。または虐殺の文法。 タイトルになっている虐殺器官とは一体なんなのか。何度も出てくる虐殺の文法とはどんなものなのか。どうやって虐殺を起こしているのか。それを歴史的な背景や文化的な背景、進化論的背景、淘汰論的背景に結びつけて、説得力のあるものに仕立て上げている。このハウダニットが明かされたとき、この作品のすごさを垣間見ることになるだろう。少なくとも私は一種のカタルシスを感じた。 しかしカタルシスを感じるためには、その歴史的文化的進化論的背景の説明がどうしても必要になってしまい、少しばかり小難しい話がつづいていくことになる。重要なことなので、その説明を語り手が次々とかわりながら論じていかねばならなく、物語の展開は非常にのろいものとなってしまいがちである。 もう一つのカタルシスどころである、ジョンのホワイダニット。これにもホッブズ的な混沌の説明や思弁的な説明が必要である。私は幸いながら、少なからずそれらの知識があったので、そういう風に物語に絡めるのかぁと楽しめたが、一旦メタ的に考えると、哲学やら文化やらに興味のない人には少々退屈なストーリーになるのではないかと危惧しました。正直、興味のないミリタリ関連の知識の羅列は、リアリティを高めるために必要だとわかってはいるが、私にはすこし退屈に感じられた。もういいから話を進めろよ、と。立場が違えば、同じことが文化の説明にも言えるのではないかと思いました。 そういうわけで、SFやミステリ的には非常に優れた作品であるが、ドラマ的には惜しいとも言える作品になってしまった。文体はスピーディーだが、展開はスローリー。人間ドラマも、ひたすら内面の掘り下げで、くどいくらいにスローリー。キャラとの対話も、思想や文化についての掘り下げに尽きる。母親関連の話は特にそうだし、ドラマとしても劇的なものではなかったなぁ、と、そのような印象を持ちました。読んでいる最中にクラヴィス視点で時間が止まっているのです。ただ作戦実行中は、クラヴィス視点の時間が目まぐるしく移り変わり、とても楽しめるし面白い。 まとめると、やはりSFやミステリとしては賞賛に値すべき作品ではあるが、人間ドラマとしてはもしかしたらあなたの期待に応えられないかも?といった感じです。それでも私はこの作品を読んでよかったと思うし、楽しめました。おすすめです。 最後に。 あとがきの母親の言葉に、目頭が熱くなったのは私だけ? | ||||
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サイバーパンクという分野は、すでに結構歴史を積み重ねてきているにもかかわらず、エポックメイキングな作品はそう多くないと思う。 P.K.ディックを黎明期として、「ニューロマンサー」が世界観を確立し、「攻殻機動隊」がさらにリアルなイメージを作り出した。 (他に「ダイヤモンド・エイジ」みたいな優れた作品もあるが一つの潮流を生み出すには至っていないと思う。) この流れの主軸は、電脳世界、人工知能、サイバネティクス、攻性防壁=Black Ice、といった一連のキーワードで表される世界観である。 サイバーパンクというのはこの世界観を共有する作品群のこと、というのがこれまでの流れだった。 しかし、この「虐殺器官」では虐殺の言語=脳のソフトウェア(言語)による脳の機能に対するクラッキングという新しいサイバーパンクの可能性が提示されている。 これはサイバーパンクの歴史に新たな概念を加え得る、画期的なものであると評者は思う。 社会科学的な発想のサイバーパンクというのは評者には驚きであった。 この「虐殺器官」はまだまだ荒削りではあるが、筆者が全く新しい分野を創造することができる非凡な才能を有していることを示すに余りある作品である。 より洗練されればどんな傑作を生み出せたかと思うと、その夭逝を惜しまずにはいられない。 | ||||
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冒頭の部分だけで、読みにくさはわかってもらえると思います。本当に読みにくいです。そこがこの本のポイントだと思います。 2006年の第7回小松左京賞最終候補で、2007年発表。そんなときに、こんな内容が考えられたんだと思うと、スゴさにトリハダがたちます。それくらいに設定もストーリーしっかりしています。それを、目いっぱいの読みにくさで表現している。正直、読みとめられなかったです。 デビュー作で粗削りだったと言われているこの著者ですが、きっと本当なら、ずっとこのままのスタイルで書いていたことでしょう。だからこそ、本当に惜しい才能を失ってしまったのだと思います。渾身作・・・だなんて一言では片付きませんが、本当にスゴイ作品です。 だれもに読んでもらいたい本とはいえません。だからこそ、読みたい人に読んでもらいたい本です。 | ||||
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映画化されるということと、やたら本屋で推されているので、期待を込めて小説を買って読んで見ましたがはっきり言って無駄でした。 まず、ここまで説明しなくても分かるから!と叫びたくなるほど諄く言葉を書き連ねているためスピード感がなく、戦闘シーンなど面白くなるべき所でも全然面白くない。夏休みなどの作文で規定された文字数を超えるために無駄に説明を入れたり同じ事を何度も言う感じというのが一番近いです。 また、時折入る日本語の横の英語をカタカナにしたものが痛々しい。カタカナで書くか日本語で書くかはっきりしろと言いたい。 そして展開や結末も納得のいくものではなく、わけが分からないよ…と呟きたくなるレベル。 はっきり言ってここまでつまらない本に始めて出会いました。学生のテストの時などの現代文の問題でもつまらないものはありましたが、ここまでのものは中々ないと思います。 これから面白くなるかもという期待と惰性で最後まで読みましたが、見事に裏切られました(笑) 虐殺器官と一緒にハーモニーも買ってしまったのでそちらも読まないといけないと思うととても憂鬱です… これから購入するか迷っているなら映画で見ることをオススメします…映画なら多少は面白くなるかもしれないので… | ||||
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以下,ネタバレのつもりは無いがネタバレと感じる人間もいるかも. ------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 世界観としては革新的に新しいアイデアがあったようには感じなかった.近未来のテクノロジーが発達した監視社会という感じ. しかしその分詳細な部分までリアリティを追求している感じで,概ね納得しながら読めると思う. 面白さとしては一気に読み進められるくらいには面白かった.外国人の名前を覚えるのが苦手なので一気に読まないと誰が誰なのかわからなくなるからという理由もあったが. | ||||
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先進国へのテロが抑制されたものの、「第三世界」では紛争が激増した近未来。米軍大尉クラヴィス・シェパードは、大量虐殺の首謀者を暗殺する任務についていた。首謀者たちは一様に、自らの残虐行為に対して理由を語ることができない。虐殺の裏ではつねに、謎のアメリカ人ジョン・ポールの名がつきまとう。亡霊のように姿を見せないポールを暗殺するため、クラヴィスは上層部からの命令を受けるが…。 以前から気になっていたのですが、アニメ映画化ということで読了。 はじめの感想としては、内容云々よりもレトリカルな言い回しに凝っているな、というもの。ひねりの効いたフレーズ、過去の偉人たちからの引用、ウィットやアイロニーにとんだ会話文、等々。くどいところもあるので好き嫌いはわかれそうですが、個人的には好みでした。 また、後半多少の失速感はありますが、文体にもドライブ感があります。 ただ、映像時代の作家だからか、視覚的な要素が濃いように思います。読み手の頭のなかにある程度の映像のストックがある、という前提で書かれている印象を受けました。 一応、アメリカ人クラヴィスの一人称「ぼく」による語りになっているのですが、登場人物の多くがアメリカ人ですし、私小説的なウェットさがあって、あまり「アメリカ」を感じません。 タイトルにもなっている「虐殺器官」については、根拠が弱いように思いますが、着想はおもしろかったです。オチとなる主人公の最後の選択も良かったのですが、アメリカ人ならあの選択はしないだろうなとも思いました。 ほかにも、戦闘時の殺人を合理化・効率化するための感情抑制から自己の問題につなげていたり、コマーシャリズムにおける第三世界の窮状や軍事の民営化など、意欲的にテーマを盛り込んでいます。今見ると古臭さは否めないところもありますが、そうしたテーマを見事にエンターテイメントに昇華していたと思います。 ガジェットや設定は近未来の軍事ものだけあってSF的というよりもミリタリー要素が強く、あまり現代兵器に明るくない身にはわかりにくいです。物語中の様々なガジェットに使われる「人工筋肉」に関しては、現実では蓋然性は低そうだなという印象でした。 まとめとしては、読み応えがある娯楽作品でした。映像化向きだと思うので、映画が楽しみです。 | ||||
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アニメ映画化するということで上映前に読んでおこうと思い読んでみたがとても人の感情が出ていないようでとても物語の中で登場人物たちの感情の動き方がとても面白い作品だった。 物語全体は一人称で語られている。現実では当たり前のように話している言葉の重みを感じられる作品だった。また現代で起きている問題に対してもアプローチしているのではないかと感じられた。 | ||||
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ハリウッドで実写化したら、いい映画になると感じました。日本を舞台にしても面白かもしれないです | ||||
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ニューロマンサー以来、サイバーパンク小説が増えましたがニューロマンサーを越えるもしくは同等の小説に出逢っていませんでした。それはニューロマンサーのまねであったりアレンジしたくらいでそれでもストーリーの面白さを越えるものがなかったからですが、この小説はニューロマンサー以来とてもリズムよく読み進められ尚かつストーリーやアイディアの新しさを持った作品だと思います。残念ながら私がこの小説を知った時点で作者は亡くなってしまっていました。それがとても残念です。ですが、だからこそ少ない作品のすべてが最高に面白いと思えるのかもしれません。ニューロマンサーが好きな方ならお勧めできる作品だと思います。 | ||||
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深い作品だとおもいます。この作品はアニメ化もされるということで既に期待値の高い小説だったんですが、期待通りという感じでした。 | ||||
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