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虐殺器官
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虐殺器官の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.03pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全369件 241~260 13/19ページ
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伊藤計劃さんにより「虐殺器官」が書かれたのはもうずいぶん前のことですが…。 近年の国際情勢をニュースなどで見たとき不思議と 「あっ。これは虐殺器官で描かれていた世界だ…」 と腑に落ちてしまう自分がいます。 シリア情勢が内戦へと突入し国連は機能不全で役割を果たせず、アメリカもメリットの少ないシリアへの軍事介入へはいまいちアクションが無い。一方ロシアはアサド政権に対し武器を輸出し政府軍を支援…。アサド政権と反政府軍の戦いは熾烈さを増しシリア国内では政府軍による「虐殺」が日常的に行われている模様。 こういう「戦争・紛争・内戦」に対する一つの解釈が伊藤計劃さんの著書「虐殺器官」にはあるような気がしてなりません。 小島秀夫監督作品「メタルギア」にも通ずる今作。 「虐殺器官」は読書をされる方なら絶対に読むべき作品だと思います。 今の世界情勢を見ていると計劃さんの作品がよりリアリティを増して読者に通じるものがあるんじゃないかと…。 そう私は思います。 伊藤計劃さんありがとう。あなたのSF作品は間違いなく傑作です。 「今こそフィクションの力を思い知るだろう」(MGS 小島秀夫監督) p.s. 和書「ジェノサイド」(作者の名前はちょっと忘れてしまいました。汗)も小島秀夫監督は推していました!私はまだ未見ですが、よろしければチェックなされてみてください。混迷する世界情勢(戦争)についてTVのニュースだけではないアプローチが出来るかもしれません。(あくまで小説はフィクションですが、それでも読む価値は十分にある作品たち) | ||||
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ミステリーは普段さほど読まないんですが、 amazonにて、”おすすめ”本としてマッチングされたのが目に留まり、読んでみました。 作者のバックグラウンドはひとまず抜きにして、率直に面白かったです。 徹底的に一人称な物語で、主人公視点で物語が描かれてます。 とても冷静な印象を受ける心理描写は、陰鬱とも言えるし、少し病的とも言えるかも。 戦闘シーンが多数ある本作において、これが独特のスピード感を生み出してます。 ガンアクションシーン中に、クラシック音楽が聞こえてくるようなクールさがありますね。 近未来SFミステリーとして、ポイントは押さえられています。 暗殺という特殊任務にあたるのが、アメリカ人主人公。 生体組織が人工培養されるようになり、あらゆる工業製品の部材として使用される世界。 彼が使う武器、乗り込む乗り物、網膜に纏うセンシングフィルム等に、 これら最新テクノロジーが使われています。 単純に最先端技術というだけでなく、生命体を利用・培養してるところが、グロテスク。 しかし、タイトルとなっている虐殺器官というのは、上記ような気味の悪い最新プロダクツではありません。 この虐殺器官を主人公が探るというのが大筋です。 近未来の管理社会や、異常に発達してしまうバイオテクノロジーに対する問題提起やら、 SF小説らしいツボも押さえられていきます。 とはいえこの本の一番の特徴は、主人公の文学的素養が半端ないことかもしれません。 登場人物とのやり取りの半分以上が分かんないネタでした。。 そこに付いていけない読者としては、かなりテンポが崩された印象があります。 いろんな意味でテクニカルな本なのかもしれませんね。 | ||||
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たまたま書店のPOPで見かけたのが気になってたまたま購入しただけでしたが、 私の感性(というほどのものもないけど)には酷くぶん殴られたような気分になる作品でした。 いつか訪れそうな未来をこんな風に(しかも日本人が)書き上げるだなんて、誰も思わないと思います。 フィクションの世界なのに、「いかにもこんな現実が今生きている私の世界で有り得ていそうなこと」を 作者は鋭く、冷静に淡々とした文章で伝えてくれます。 とても読む人を選ぶ作品なのでなかなかお勧めできないですが、 歪んだものを受け付けられる人なら大丈夫だと思います。 作者が虐殺の文法を明確に表現しなかったのは、それが広まることを恐れたからです。 だって、虐殺なんておきたら怖いでしょ? | ||||
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発想は秀逸。ミステリーとしても手堅い。登場する兵器もどこまで実現されているかわからないほどリアルに書かれている。お勧めできる。 | ||||
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読み終わった直後の感想は、「青いなー」「幼いなー」。1人称で、その「僕」の思考が、あまりにも幼く、もしかして意図的に精神障害も加味して幼く書いているのかもしれませんが。惨殺の描写や、武器等の描写は、確かに、細かく、独特ですが、これも1人称の弊害か、同じ言い回しが何度も出てきて、語彙の少なさに白けてしまいました。アニメ映画のノベライズ版を読んでいる感じが抜けません。「言葉」が、脳の中の「虐殺」のスイッチを押すという発想も、リアル感に乏しく、これも、わざと主人公の妄想の一つとして書いているのかと思っていたら、最終章で、その手法がアメリカに虐殺をもたらしたことが事実として書かれており、あれれって感じです。ハーモニーを読もうかという気はうせてしまいました。この作品がベスト1になったのは、今の日本のSFファン自体が、若く、幼い世代中心だということでしょうか。 | ||||
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とても重厚で、ねばっこいSFです。 単なる近未来戦争モノかと思いきや、その独特の世界観がイケてます。 久しぶりにSFが面白いと思った一冊です。 | ||||
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書評を読んで『ハーモニー』を読んでみた。読了後、奇妙な充足感を得たので、続けて本書を読んだ。そして同じ著者のオリジナル長編をすべて読破してしまった。 核兵器が「使える」兵器で、使用後も世界が終末をむかえなかった近未来が舞台。世界中のいたるところで、国家は徐々に統治機能を失いつつある、奇妙な秩序ある混沌が世界を覆いつつある状況で「ハーモニー以前」の時代を描写している。 残虐な殺戮シーンもあるのだが、著者の文章からは、おぞましさが私には伝わってこない。不思議に冷たい文体だ。そのせいか、読者である自分が、一人称の主人公「ぼく」に自然に憑依できて物語世界に浸れた。兵器・乗り物等が生体パーツで構成されていたり、兵士の心理管理にコンサルティングや化学物質の投与が前提となっている未来が設定された世界だ。 本書は冒頭、以下のパスカル・キニャールの言葉の引用で始まる。「・・・人間の言葉が表現しているのは言葉全体の四分の一でしかないと見積もられている」そして設定上は人間の言葉には言語の違いによらない「虐殺の文法」がもともと内蔵されていることになっている。その部分を以下に引用する。「・・・この文法による言葉を長く聞き続けた人間の脳には、ある種の変化が発生する。価値判断に関わる脳の機能部位の活動が抑制されるのだ。それが、いわゆる『良心』と呼ばれるものの方向づけをねじ曲げる、ある特定の傾向へと」 おもしろい作品なのだが、1つだけ残念なのは、この、人を虐殺へとかりたてる「虐殺の文法」とやらが分かりづらい点だ。言語能力のように生得的なものらしいが、使いこなせる技術の習得は特定の人以外無理そうなので、結果的に得体の知れない説明不足の設定となってしまっている。 1つ楽しみなこともある。著者の死去に伴い、書き出しの原稿30枚の時点でとまってしまっていた未完の長編『屍者の帝国』を芥川賞作家円城塔が書き継いでいて、近々世に出るらしい。ストーリーとともに、文体が伊藤計劃になっているかどうかとても興味深い。 | ||||
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後進諸国で内戦や大規模虐殺が増加してる近未来が舞台のSF小説。 といっても、内容が現在の状況にかなり近いため、近未来が舞台であることを忘れて読んでいて、作中に「人口筋肉で作られた侵入鞘」などが出てきて「ああ、これはSF小説だった」と思い出す、そんな緻密な作品です。 米国大尉クラヴィス・シェパードが、『経歴等が謎の男ジョン・ポール』を逮捕する命令を受け部下達と供に後進国に派遣され失敗し帰還。 数回同じ命令を受けます。 その命令が発せられる度『ジョン・ポール』の経歴が少しずつ明らかにされ、命令が持つ本当の目的が仄見えてきます。 『ジョン・ポール』が入国した後に、その後進国で大規模虐殺が発生するため『ジョン・ポール』がある方法を使って大規模虐殺の種をまいているのではないかと推測される事。 『ジョン・ポール』とは何者で、大規模虐殺の種を撒く方法は何なのか、またその目的は? なぜ米国が逮捕命令を出し、彼の経歴を隠すのか? 舞台になる後進国の悲惨な内戦の様子を背景に、「自分の家族に対する鬱積した念」を抱えたクラヴィス大尉の語りで全ての謎が解き明かされる最後まで、夢中になって読みました。 とても、面白い小説でした。 | ||||
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文章も旨いし、さりげなく挟み込まれるSF要素も斬新で、作者が亡くなってしまったということが、なんという損失なのかと思いながら読んだ。 惜しむらくは、主人公が追い続ける男の動機にあまり説得力がなく、ちょっと拍子抜けだったことと、結末も少々期待はずれただったこと。 それでも、伊藤計劃はすごい。他の作品も読みたいと思わせてくれる作者だと思う。 | ||||
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ICTが軍事において先行して発達した先に社会科学(言語学)と結びついた行く末の、人間の悪意が表出したバッド・シナリオ的なリアリティのある近未来を最も表現できているSFだと思います。テロリストの動機が絶妙な空虚さであり、その点ではWhy done itのミステリとしても非常にハラハラして読みました。 このテクノロジーの発展の先に、同じ著者の「ハーモニー」がありますが、伊藤計劃による一連のシリーズをもっと読みたかったとつくづく思います。 | ||||
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いままでの日本SFとは断絶があるように見えるが確かな貌に日本SFのマインドを継承発展させている傑作。これからの日本SFに於いてのキーストーンだ。 | ||||
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個人的に興味のある研究テーマである「生体政治工学」と緊密にリンクしているので読んでみた。すぐにデネット的進化論のパラダイムに依存しすぎているのではと思った。現在最高のSFなのはそうなのだろうが、今一つ物足りない。911以後の世界というより、911以前にすでに911的世界であった世界を描いたバラードの『コカインナイト』、『スーパーカンヌ』、また個人的には文句のつけようのない黒沢清の『CURE』の抽象水準には達していないと思う。『CURE』を消化し換骨奪胎したSFはこれだけだろうと思うが。ただ、読んですぐ、強制的にでもすべてのアメリカンに読ませたい作品と思わせたのはこれだけだ。「世界平和」のために(これは半ばジョークである)。 では、『虐殺器官』がなぜ物足りないのか。たぶん、パスカルのいう退屈と気晴らし、あるいはニーチェのいう無への意志という、バラードにおいて抽象化され思考されていたテーマの掘り下げが稀薄だったからだろう。このテーマは、最近では國分功一郎氏が深く考察している。主人公やその同僚の言動や思いの描写によって、それが裏で示唆されているかに見えるが、現に書かれた言葉はまったく別のフレームに収まって最後までそこから出ていない。不動のアメリカンパラダイムである進化論の掌から一歩も出ていないようだ。ということはアメリカン、とくにNSAやCIA、国防高等研究計画局(DARPA)の面々に読ませても、短絡的に「それは俺たちのシマだろ。しかしよく勉強したね。君なら一緒にやれる」ということで終わってしまうのかもしれない。 | ||||
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知人の薦めで読んでみました。 超現代文学的SFといった感じでしょうか。 楽しめましたが、小説内には揺さぶられるまでのものはなかったので、 ☆は3つ止まりです。 物凄い情報量と文学的な表現が詰まってはいるのですが、 SFとしても文学小説としても個人的にはパンチがないなーと。 言葉(単語)の選び方が舞城と近い感じがしました。 ちょっと優等生に仕上げすぎている感じがします。 惜しい著者であり、1冊でした。 | ||||
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10年振りにまたSF的な興奮が恋しくなり、いい本をと探していると「ゼロ年代ベストSF」第1位という本書にたどり着き、ここから紐解くことにした。 冒頭のシーンを除くと前半はもうひとつ。物語の進行が(僕には)ゆるやかすぎ、登場人物の思想的なものについての会話や主人公の母を死なせたことへの後悔などにページが割かれ、個人的には退屈だった。 が、標的ジョン・ポールとの会話をきっかけにどんどん盛り上がってくる。捕獲劇や襲撃されるシーンなど圧倒的な迫力。戦闘シーンの描写や軍の仲間同士の会話が素晴らしい。 そしてなによりテーマが良かった。<虐殺器官>そのものは、なかなか面白い。10年振りの(SFならではの)興奮だった。単純な逆転の発想ではあるが、考えてもみなかったことを提示されたときの驚きと喜びがあった。素晴らしいテーマと発想の飛躍とを同時に揃えるのは非常に難しい。それを作者は見事にやり遂げている。それに加えて、最後に主人公が取る行動が、不謹慎ながら(個人的には)痛快だった。 欲を言えば、<虐殺器官>が具体的に実行される経緯そのものを読んでみたかった。が、それは神のみぞ知る(神も知らない?)領域なのか、著者の頭の中にのみあったことなのか、今となっては永遠に分からない。しかし、もしそこが書かれていたら(説得力があればあるほど)禁断の書になっていた。考えただけでぞくぞくする。もはや、個人で想像するしかなさそうだが。 この小説は日本のSFの流れを変えたといわれている。影響を受けた作品群を読んでみたい。 僕のようにしばらくSF離れをしていたような読者にもおすすめ。 | ||||
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SFって何なんでしょうか。 現実ばなれした空想? 近未来? それとも、新しい可能性? 恥ずかしながらSFが何の略か知らなかったのですが、science fiction:科学小説 の略なんですね。 この小説は確かにSFです。 でも、現実よりはるかにリアルです。 それはこの話の中で語られる、『戦争の必要悪』が現実世界の『平和の様式美』よりもよほどリアルだからです。 私がこれまでの人生で読んだSFの中で最も素晴らしく、そして恐ろしい小説でした。 筆者の早すぎる死がただただ悔やまれます。 生きているあいだに残してくださった作品のひとつひとつに、感謝と敬愛を込めて。ありがとうございます。 | ||||
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ジョン・ポールの、虐殺を世界に広めた理由というのがなかなか面白かったと思います。 イラク戦争がエンターテインメントだったり、WTC崩壊が一種のスペクタクル映像だったりという、いわば「別世界の出来事」という私たちの感覚を上手く捉えているのかもしれません。 主人公が感情をテクノロジーでコントロールされ、良心や罪の意識のないままに少年兵を殺したことに対して、逆に罪や罰を求めるという心理も、分からなくはありません。 しかし、この話において、その他の様々な軍事技術や情報技術がどこまで物語上必要だったのかというと、首を傾げるところではあります。 話のアイデアと、著者が書きたいSF要素に、微妙なズレを感じるのです。 主人公の冗長な独白はともかくとして、全体的に読みやすい文章とスピーディな展開があり、敷居が高く見られがちなSFというジャンルにおいては、入門編としても需要があることでしょう。 ただしかし、作品としてこれが物凄い支持や評価を得ているのを見ると、SFの没落というのを感じざるを得ません。 | ||||
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筒井康隆が絶賛していたので読んだ。 もし僕がSFファンであれば、五つ星かもしれない。 よく書けている。完成度の高い作品だと思う。 印象の第1は、物語の無国籍性。米国や世界政治のとらえ方など、日本人の作品とは思えないような内容である。実際、英語表現的な文章も多く、これを読みだした時、翻訳作品なのかと思った。 第2は、未来社会についての先進的想像力。とくに戦争について特殊作戦部隊の装備とか、負傷して傷みがあると認識できても痛いとは感じない仕掛け、特殊部隊として戦場に送られる際に受けるカウンセリングとか、その想像力は面白い。 第3は、繊細な文学性が込められていること。はかない主人公の心理の動きも面白い。描写がオーウエルの「1984年」を想起することもある。 著者は既に夭折。大変残念だ。 | ||||
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SF的な設定の「推理小説」や「文芸作品」はともかくとして、SFを作者、出版社ともに前面に押し出した小説を久しぶりに読みました。 2006年、小松左京賞最終候補にして、著者のデビュー作。 2007年刊行、2010年文庫化。 2001年9月11日の同時多発テロ以降、世界各地で内戦や民族虐殺が勃発。 アメリカ情報軍・特殊検索群i分遣隊のクラヴィス・シェパード大尉は、虐殺の背後に見え隠れするジョン・ポールと言う謎の人物を追っていくが…。 期待が大きかった分、不満な点もあり、と言ったところでしょうか。 【物語性の脆弱さ】 アメリカと言う巨大国家を敵に回していることから、ジョン・ポールは相当に緻密に活動をしているはずで、「どうやって追い詰めるのか」は、ストーリー展開を面白くするかどうかの鍵になるはず。 ところが、主人公も情報軍も後追いばかりで、追い詰めていくスリル感が薄いように思います。 「読み始めたら止まらない」と言う感覚にはなれませんでした。 【テーマについて説明不足】 題名から、「虐殺」と言う行為がテーマになっていることが推察されます。 また、その鍵を握る人物がジョン・ポールであることは明らか。 ならば、「虐殺」をどのようにジョン・ポールが操っていたのか、と言う点に読者の興味は向かうでしょうが、その説明が抽象的なのです。 中心的なテーマなのですから、具体的な描写で、説得力を持たせる必要があったのではないでしょうか。 −−以上は、普段「ミステリ」が中心の読者の感想です。 SFは久しぶりなため、SFを普段読んでいる方とは、違う感じ方をしていると思います。 ひとつ、これがSFなのかな、と興味を惹いた点があります。 それは「虐殺」に対する独特の世界観・思想観と言ったもの。 これは、ほかのジャンルでは描くことが出来ないものではないか、と感じました。 もしかすると、そこにこの小説の存在意義があるのかも…。 | ||||
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この著者のことも、もちろんこの作品のことも一切知らなかった。朝日新聞の書評欄で目に留めるまで。 日本SF史に残る大傑作らしい、著者は既に30代の若さで世を去っておられるとのことだった。 近未来の戦争を描く。軽快なハードボイルド文体で、アイデアも冴え、ウイットもよく効いているが どうしよもない息苦しさが読書空間を支配する。これは、やはり作者が捕らえられ幽閉されている 不治の病の空間の残照なのか。 そして、最終的にはこれ以上はもう求めようもない、笑うしかないような圧倒的なペシミスム。 20代前半で発病し、悪性腫瘍の親玉にロックオンされながら生き抜いた10年間。私には 想像もつかないが、常に遊び心を忘れない、ギャグ精神を維持し続けるという、心の持ちようが この人にあった。そう思いたい。 モンティ・パイソンネタがけっこう出てくる。一番笑ったのは、SWD という小道具。 Silly Walk Device だそうだ。 | ||||
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情報密度が濃いのにわかりやすく面白い。サイバーパンクのように雰囲気や細部だけではなく骨太な内容とストーリーがある。21世紀における様々な状況、軍事や医療のテクノロジーを2,3歩未来へすすめてみることで現代世界の抱える問題をくっきりと浮き彫りにしている。作者は紛れもなく天才です。時々トラウマになりそうな描写があり、結末もブラックで救いがないので4個にしようか迷いましたがやっぱりこれは5個でしょう。 | ||||
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