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特捜部Q アサドの祈り
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【この小説が収録されている参考書籍】
特捜部Q アサドの祈りの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.47pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全29件 21~29 2/2ページ
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久し振りだったので喜んで読みました。良かったですよ! | ||||
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特捜部Qシリーズの常連の主人公はカール・マークとアサドである。しかし、デンマーク語がそれほど得意でなく、 奇異な冗談を言い、身体能力抜群のアラブ人であるアサドの履歴はこれまでこのシリーズでは明らかにされてこなかった。 この本で、初めて、アサドとその一家の波瀾万丈の生活遍歴が明かされ、妻と子どもを救うためのアサドの苦悩と 活躍が描かれている。主舞台がベルリンというのもこれまでになかったシチュエーションである。家族救出のため宿敵と闘うアサド、カールの奮闘がサスペンス豊かに描かれているシリー中の秀作である。 | ||||
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シリーズずっと読んでいるのですが、変わった登場人物のアサドが、こんな過去をもっていたとは。ハラハラドキドキで、一気に読んでしまいました。 | ||||
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このシリーズは読み進めるにしたがって好きになり,これまですべて読破しています。 で,「アサドの過去が」,というストーリーでこれまでの活躍や背景がすべて明らかになって,これはナットク。 ただ,並行するひきこもりオタの事件は余分というか,関連性はなくなった移民の写真に触発されただけというところがもったいない。 別の1冊にして,このオタクの事件の解決の過程で,じっくりとゴードンの成長やローセの回復を書き込んだほうがより楽しみが増えてうれしかったなあと思いました。 | ||||
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デンマーク発特捜部Qのシリーズは、いずれも長いく入り組んだ助走路と凝った人間描写による前半の仕掛けを、後半で一気に畳みかけてくる圧倒感が特徴だと言えるが、本書も例外ではない……どころか、従来にない手に汗握るアクションの畳みかけとそのスケールがシリーズ屈指と言ってよさそう。ましてやシリーズ当初のころから謎めいていて気になって気になって仕方のなかったアサドの過去を物語る重要な一冊となる。シリーズファンとしてはこれは読み逃すわけにはゆかないだろう。 暗い題材を扱う特捜部Qのシリーズは、カール・マークの明るい人柄と、彼のユーモラスな感情描写により、コメディ的要素が含まれるなど、読書的にはいわゆる息継ぎ部分があって緊張感を休められ、少なからずほっとさせられるものなのだが、本書は少しいつもとは傾向が違う。 世界の宗教対立や強国による政治弾圧など、あまりに重すぎた近年の、中東戦争や国際テロなど、実際にある歴史背景をテーマとしたものだけに、どちらかと言えば暗く容赦ないサディスティックな心理描写、嫌な汗が吹き出しそうな残酷な恐怖から読者もなかなか逃げられず、このシリーズにしては、ちと辛い緊張が続く。 事実に偏れば、ストーリーがこうなるのもやむを得ないが、最後にはいつもの、本シリーズならではのアイロニーやユーモアのセンスが戻ってくる。キャラクターたちのそれぞれの成長や変化、次巻が楽しみな環境変化や転換なども大いに盛られることになるので、重く暗いトンネルを抜け出すまでは、カールとアサドの息詰まる冒険行に、文字通り息を詰まらせて頂きたい。 本書ではカールとアサドは休暇を取って独自の捜査を、事件の舞台となるドイツに展開する。条件付きの捜査とは言え、犯人であるサディストの真の狙いがアサドに絞られてゆく様子なので、全体の展開は地元捜査局を巻き込みつつ、スケールの大きな対テロ戦争へ発展しつつ、あくまで特捜部Qの物語であるのだ。 ヨーロッパと中東を舞台にしつつ、デンマーク国内では、ある若者が家族殺害と無差別殺傷事件を企んでいる情報にローセ(この事件で復活!)とゴードンが活躍する。日本的な要素として若者の「ひきこもり」と彼が凶器とする日本刀、そして刃物による無札別殺人を目論む若者の狂気などが、日本人読者としては気になる。こちらの事件があちらの事件と重なり錯綜して、という絡み方をするので、作中二つの緊張が縦のラインを作る。 ローセ、アサドとそれぞれのキャラクターが巻を追うごとに明らかとなり、当初の10巻完結まであと二作となった本シリーズ。カールの新しい環境変化含め、ハーディを負傷させた事件にも進展がありそうな気配、など、次作への期待を深める予告的描写を交えながら本書を終えてゆく。まさにデンマーク発国際的ミステリー作品と、それを支える個性的過ぎるキャラクターたちの活躍にさらなる期待がかかる。うーむ。 | ||||
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デンマーク、コペンハーゲン警察の地下にある難事件解決専門の特捜部Qだが、今回は舞台をヨーロッパ全土、特にドイツにカールとアサドが出向いて事件解決にあたる。 物語の幕開けはキプロスに地中海を船で逃亡してきた難民の溺死事件から始まり、今回は多数の水死者や餓死者で問題となったシリアや北アフリカからの難民問題がテーマかと思われたが、やがて難民を偽装したイスラム過激派のテロが大きなテーマとなっていることが明らかになる。しかも、テロの首謀者とアサドの過去の因縁が物語の太い縦糸となってストーリーが展開していくのである。 これと並行して、コペンハーゲンでも難民の死亡ニュースに触発された引きこもり男のテロ計画事件が特捜部Qに持ち込まれ、カールとアサドのいない留守部隊を翻弄するが、大小異なるタイプのテロを対比して進行させる展開が小説的工夫を感じさせる。 ところで、欧州諸国では近年、イスラム過激派等のテロが頻発しており、海外旅行で訪れても空港や繁華街の警備が厳重になっていることを肌で感じる。有名な事件を挙げると、 2015年11月 パリでレストラン、劇場、競技場での同時多発テロで、死者130人、負傷者約350人 2016年3月 ブリュッセルの空港ロビーと地下鉄駅で爆弾テロ。死者28人、負傷約340人 2016年7月 ニースでトラックが花火見物の群衆に突入し、死者84人、負傷者202人 2016年12月 ベルリンのクリスマスマーケットに大型トラックが突入し、死者12人、負傷者48人 2017年5月 マンチェスターでコンサートツアーを狙った爆弾テロが発生し、22名が死亡 2017年8月 バルセロナの目抜き通りで暴走車が群衆に突入し、死者14名、負傷者100名以上 このように、欧州諸国はテロと隣り合わせの日常を生きているといっても過言ではない。 本書で登場するテロリストはイスラム原理主義とはいっても、首謀者は個人的な復讐心で仲間を巻き込み、無辜の市民を大量殺戮することを厭わないモンスターとして描かれているが、これが著者のテロリスト像であり、テロ批判のメッセージなのだろう。 2001年にアメリカで起きた同時多発テロ事件のときは、第三世界の貧困やパレスチナの空爆による大量殺戮に対する超大国アメリカへの抗議行動として理解を示す人もいたが、あのときも被害者の大部分は無辜の市民であり、擁護することも理解することも絶対にできない非人道的大量殺戮事件だった。 こうしたテロ事件の増加に加え、近年の移民問題への不寛容な世論の高まりにより、自由、民主主義、国境を越えた人と経済の交流というEUの理念は大きな挑戦を受けている。その切迫感を感じる1冊である。 | ||||
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待ちに待った特捜部Q第八弾が刊行されてないか調べていたらAmazonページで標示された! 最近時々Wikipediaで調べていたら昨年『Offer 2117』という原題で刊行されていたことは知っていたので翻訳版を見つけ嬉しくなって早速入手した。 ネタバレなレビューを書くことは、これから読まれる読者の楽しみを奪うことになるので少し視点を変えた感想を書いてみたい。 著者のユッシ・エーズラ・オールスンは、このような警察小説のなかでも氏の思想性を歯に衣着せず言及している。 数えきれないほどのアフリカ大陸からの難民が地中海で犠牲になっていることから本書を書き始めている。 ネオコン政治家の要石の1人ディック・チェイニーの影響を受けたジョージ・W・ブッシュが、ドイツ、フランスなどの反対を無視して強行したイラク戦争を、オールスンは、本書のなかで徹底的に糾弾している。 もちろんオールスンは、エンターテインメントとしてこのような小説を書いているのだろうが、やはり根幹となる思想性があるからこそこのようなフィクションの物語にも読者が惹きつけられてしまうのだろう。 アサドの秘められた並外れた能力が如何にして培われてきたのか? 前作でダメージを受けたローセは特捜部Qに復帰できるのか? この二件のことは、本書ですべて知ることができますよ! カールとハーディが遭遇した「釘打ち機」事件解決だけを残して本書は終えています。 蛇足ながら、本書を初めて読まれる方へのアドバイスとして、このシリーズの第一作から読まれるようお勧めします。 | ||||
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特捜部Q第8弾。珍しくアサドが主役になる趣向。ファルージャという懐かしい地名が出てくる。アサドの過去は初めの方で開示されるので、書いてしまうと、元デンマークの情報部員で、除隊してファルージャ出身のマルワと結婚し、二人の娘に恵まれるが、コペンハーゲンには仕事がなく、情報部に戻って、フセイン独裁政権の国連武器査察団に同行させられる。刑務所で拷問された上司を奪回するが、今度は自分が秘密警察に捕まり、ガーリブによって死刑にされかかるが、ガーリブの顔に破壊性の猛毒をかけて逃走する。死ななかったガーリブはアサドの妻と娘を誘拐し、フセイン体制崩壊後は、テロ組織に潜り込み、シリアに潜伏し、アサドに復讐を通知する。16年後、巧妙な計画で、テロ組織を率いて復讐を開始したガーリブ対アサド+特捜部Qの死闘が本書である。コペンハーゲン、キプロス、スペイン、ミュンヘン、フランクフルトを経て、最後はベルリンでの対決と広大な空間を駆け、フセイン独裁時代から現在までと長い時間にまたがる。そのためか、警察小説+冒険小説的色彩が強くなっている。対テロ組織なので、ヴァイオレンスもなかなか。ストーリーもアクションも十分楽しめる。ところで、前作「自撮りする女たち」で、作者にさんざん虐待されたわれらがローセは何とか特捜部Qに復帰したものの、まだ不安定で、外観はすっかり老けてしまい、過食症と薬で20キロも太ってぶくぶくになっている。それでも、今回は比較的平安で、アサドとセックスしたり、ゴードンにセックスさせてやったり、サブストーリーのサイコパス少年の電話の相手をしたりで過ぎていく。最後にはローセのための見せ場も用意されている。次回では、もっとスリムになって、昔のような活躍を願いたい。 | ||||
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「特捜部Q―アサドの祈り "OFFER 2117"」(ユッシ・エーズラ・オールスン 早川書房)を読み終えました。待望のシリーズ第8弾。原題は、地中海で溺死した2117番目の犠牲者。 EUに於いて、よりよい場所を求めてさまよう難民?、密航に関しては、ディーヴァーの著作を始めいくつかのスリラーでもそのサブジェクトとして取り上げられていますね。それが、幕開けです。 今回は、その邦題どおり、アサドの「過去」が白日のもとにさらされ、デンマークを出て、サダム・フセイン時のイラクを経てたった一人デンマークに戻らざるを得なかった男の"アイデンティティ"の喪失とその奪還が、強いサスペンスを保持しながら語られていきます。「アメリカ側によるイラクが大量破壊兵器を所有しているという主張」に振り回され、既に歴史の闇の一部になりつつある"テロとの戦い"、"悪の枢軸"に巻き込まれた男たちの憤りと復讐の物語でもあり、そこにはユッシ・エーズラ・オールスンの(時代は異なるとは言え)「アルファベット・ハウス」同様「戦争」と「反戦」というテーマもまた内在しているように思えます。 現在と過去、スペイン、デンマーク、ドイツと舞台は変転しながら、2117番目の犠牲者に心を動かされたポンコツ・ジャーナリストの心情が哀れを誘い、また2117番目の犠牲者に心を動かされた「ひきこもり」事件をも併せて描写しながら(警察小説の常道とは言え、読ませます)、「喜怒哀楽」が、繰り返し流されるその涙がキャラが変わったかのようなアサドを通してぶん回ります。 勿論、カール、ローセ、ゴードンといつもの「特捜部Q」の登場人物たちもそれぞれが見せ場を与えられ、特にローセは、菩薩のような活躍を見せてくれながら、とても愛おしい。そして、スリラーですから詳細は語れませんが、クライマックスのドイツの平和な場所に於ける「戦闘」シーンにはただただ痺れたと言っておきましょう。 この次の物語では、アサドもカールも、もう一重、その強さも弱さも引き立たせる「家族」を持つことによって、男としての深さも慈しみも愛もまたより強く私たちに見せつけれくれるのでしょうね。 〝見た目を超える実力を持て〟、まあ、言ってみれば("So To Speak"(笑)) | ||||
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