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声の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.18pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全30件 21~30 2/2ページ
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大変に満足させられた。 充実の推理小説。 クリスマスシーズンのホテルで、サンタの扮装をしたドアマンが殺害された・・・・・・。 登場人物たちの名前が、アイスランドの名前ということで、なじみ辛く、導入部分は没頭できなかったが、一度名前を覚えてしまうと、すっかりはまってしまった。 捜査に当たる警察官、ホテルの従業員、他、それぞれの抱える状況、悩みも、よく描かれている。 重厚であり、また、時折シニカルに、ウィットにとんだ会話もあり、上質な小説。 さすがアーナルデュル・インドリダソン、次作も期待!!!! | ||||
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もはやこれは文学作品だろうと思う。 主人公の背負った過去は暗く重く、その人生は今まで救いがなかった(何よりも、本人が自分に救いを許していないのだ。 )が、事件の被害者やその家族に思いを馳せるうち、自分自身の深淵を見つめるようになっていく。 それと共に、娘との関係が徐々に歩みよりをみせ、すこしづつ光が見えてきたようだ。 それにしても、訳が不味すぎるのは残念。 ところどころ、意味が取りにくい表現すらあって、味わうどころではない。 | ||||
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これで3作目ということですが、今までの『湿地』『緑衣の女』とどれも素晴らしい。 人生を感じる、アイスランドを感じる、そして、運命という場所から逃げられない閉塞感を感じます。 スターという栄光の中で生きた子供時代、落ちていく偶像。 外国では、スターであることは、家族の一生を左右するほどのことなのでは、ないかと思います。 細かく説明するよりも、まずは読んでみてください。 | ||||
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殺された男の過去が暴かれてゆく。 単純にそれだけなのだが、この興奮は何なんだろう?前2作品も同じように過去を探ることで物語が展開していく。 でも飽きない。 3人の刑事のキャラも好きです。 3作も読むと愛着もわきます。 エーレンデュルとエヴァのやりとりもハラハラします。 今回少し理解しあえたようです。 父娘なのにいがみ合うのは悲しい。 | ||||
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翻訳第3弾目です。 前2作も、素晴らしい作品でしたが、こちらも素晴らしいです。 驚くようなトリックはなく、どちらかというと地味にお話は進んでいきます。 誰もが傷を負っていて、誰もがそのことに囚われている。 古い過去の出来事や現在のことが絡まりあい、結末へと向かっていきます。 ストーリーも良いのですが、文章から著者の目線の優しさというのでしょうか、そういったものを感じます。 読み終わったあと、切なさや静かな共感を感じられますよ。 | ||||
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たいして好きでもない主人公のシリーズ物の最新作だったので、期待せずに読み始めましたところ、おもしろくってビックリ。 このシリーズ、こんなにおもしろかったっけ? 登場してくる重要なキーワード、ひとひとつがいちいち魅力的です。 魅了されました。 ただし、きわめてガイジン的な効率のよくない捜査手法にはイライラします(笑)。 終盤のもたつきにも血圧上がります。 もうホシはあがってるじゃないかよ~っ!!! (はぁはぁ) なので星5つはあげられません。 ついでに、主人公の娘も、私なら即施設にぶちこみます。 (よけいなお世話) | ||||
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トリックや難しい推理に重きを置いた作品では無く、登場人物一人ひとりの人柄、人生に深く迫り、それらが複雑に絡み合うようなストーリーになっています。 最初、独特な翻訳に少し戸惑いましたが慣れてしまえばまどろっこしい表現を一切省いた単純明快でシンプルな文体がテンポ良く読む助けになってくれます。 主人公や殺された男、そしてその家族、それぞれが人にはとても推し量れない傷を負っていて、それが明らかになって行くに連れ、 あまりの人間臭さに共感を余儀なくされ、すっかり感情移入してしまいました。 とても秀逸な作品だと思います。 この作者さんの他の2作も是非読みたい! | ||||
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作者の作品としては、「湿地」、「緑衣の女」に続いて本作を読んだ。所謂エーレンデュル・シリーズ中の一作。ちなみに、最初に邦訳された「湿地」はシリーズ第一作ではない(この辺の邦訳順は出版社に配慮して欲しい所)。先の二作を読んで感じたのだが、本シリーズはミステリと言うよりは、家族関係や個々の過去を中心としたアイスランドの社会問題、あるいはアイスランドの歴史を描こうとの意匠の様だ。本作もその例に漏れず、ミステリ色は薄いが、エーレンデュル・ファンにとっては読み応えのある一作に仕上がっている。 事件の被害者は高級ホテルの"住込み"のドアマンを20年間務めて来た孤独な初老の男。本シリーズを既読の方は、「ハハーン、このドアマンの過去に何か問題があったんだ」と思う筈。そして、それが当ってしまう点にマンネリ感が漂う。更に、表題が「声」であり、本文の前の"登場人物一覧"中に幼少期のドアマンに声楽を教えた人物の名前が出て来るので、捜査前にこのドアマンの前歴も分かってしまう。その前歴から現在に至る過程の捜査手順もいつも通り。このドアマン一家、サブ・ストーリーとして語られるDVを受けている子供の一家、そしてエーレンデュル父娘という家族関係の畳み込みもデジャブ感タップリ。しかし、ここからが私の意表を突いた。私にとっては初耳(未邦訳のシリーズ冒頭作中では触れられているのかも知れない)だったが、少年時代のエーレンデュルとその弟との関係がつぶさに語られるだ。そして、エーレンデュルが(もしかしたら)自分のために弟が遭難死したのではないかという大きなトラウマを抱えて人生を送って来た事が読者に提示される。エーレンデュルは孤高の男として描かれて来たが、その理由がようやく分かった(弟の死によってエーレンデュルは精神的に死んでしまったのだ。その意味では<孤高>というよりは<孤独>)。エーレンデュル父娘が不仲(「湿地」の冒頭で既に不仲だった)な理由もようやく分かった。更に、女っ気のないエーレンデュルの前に魅力ある既婚女性が現れる......。どうやら、作者はエーレンデュル自身の物語を深化させようとしているらしい。 このドアマンの事件は、エーレンデュルの過去を掘り起こす"呼び水"だったとさえ思えた。DV、所謂<GLBT>といった、シリーズのモチーフである家族・性的問題を中心とした社会問題を扱いながら、エーレンデュル自身の物語の深化を意図した興味深い作品だと思った。 | ||||
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アイスランド、レイキャベク警察犯罪捜査官エーレンデュル・スヴェインソン。 彼が日本で初登場したシリーズ第一作目「湿地」(創元推理文庫)は読者に大きな衝撃を与えた。さらに第二作目「緑衣の女」(東京創元社)は巻頭一行目で読者を一気に物語に引き込み、その内容も緊迫感に満ちあふれた、CWAゴールドダガー、ガラスの鍵賞受賞納得のミステリであった。 そして第三作目の登場である。 クリスマスまであと一週間。賑わうホテルの地下室で男の死体が発見された。 レイキャベク警察エーレンデュル、シグルデュル=オーリ、女性捜査官エリンボルグたちが現場に駆けつける。 現場は倉庫のような部屋で、死体はサンタクロースの扮装をしてメッタ刺しにされ<ズボンは引き下げられていた。性器の先にコンドームが垂れ下がっている。> 発見者はホテルの若い女性清掃係ウスプ。 死んでいたのは二十年前からホテルのドアマンをしていたグドロイグル・エーギルソンだった。 死んだ男の名前は割れたが彼の正体が全く分からない。ホテルの従業員たち誰もが無関心なのだ。 部屋に残されていたのは一冊の本「ウィーン少年合唱団の歴史」。そして鑑識課が見つけた一枚の紙切れ。そこには「ヘンリー18:30」と書かれていた。問題のヘンリーは宿泊者の中にいる。 エーレンデュルが二人の関係を調べていくうちにグドロイグルの栄光と悲劇の過去が次第に明らかになってくる。 <なぜグロドイグルはこの狭い粗末な部屋で何十年も過ごすようになったのか。なぜ誰にも顧みられなかったのか?> そして暴かれる彼と家族たちの不幸な関係。 それはエーレンデュルに自分自身の家族との関係も思い出させてしまう。第一作目「湿地」ですでに描かれていたように妻とは別れ、娘はドラッグに溺れ、息子はアルコール依存症という深刻な問題を抱えていた。 今のエーレンデュルにはクリスマスなど関心がなく、クリスマス休暇に予定もない。一人部屋にこもりうず高く積まれた本を読んでいるのだ。失踪者や遭難者のことが書かれた本を。 孤独を愛しているかのように見えるエーレンデュルにも、隠された悪夢のような日々があった。 本書で語られる物語(サーガ)は楽しいはずのクリスマスにおきたいくつかの家族たちの悲劇を描いている。 殺されたグロドイグルの身におきた数十年の過去に遡る悲劇。 エーレンデュルの実父と実母と自分たちがたどってきた過去。 そして娘エヴァ=リンドが突きつける今ある自分の家族とは何か、自分の子供たちとは何かという問い。 <エーレンデュルのクリスマスの物語(サーガ)>は結末を迎えるかに見えるが、まだ先は見えない。 <事件が解決に近づいても、興奮も勝利感もない。> <自分の心の奥にはまだどこから手をつけていいか分からない問題があることも分かった。> 柳沢由実子氏が「訳者あとがき」に書かれている第四作目「湖の男(仮題)」の刊行を熱望する。 | ||||
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400ページ少々と程よいボリュームの中で、内容の濃い、緻密な組み立てと納得性の高い展開に大満足の読後でした。 ストーリの主軸はクリスマスシーズンでにぎわう、アイスランドの観光ホテルで発生した、猟奇的な殺人事件です。 被害者は、そのホテルの地下室に住み込みで働くドアマン、グドロイグル・エーギルソン。 彼は、幼少期には、類まれなる美声で天才と持てはやされながら、「あること」を機に、栄光の絶頂から、大きな挫折を味わわされ、彼の運命は一気に暗転することになります。 彼の生い立ちは、印象深く、非常に悲しみをかきたてます。特に、挫折して家出してからの、父親や妹、彼自身の生家に対する複雑な心境はさらなる悲しさ、切なさを覚えます。 さらに、事件の関係者それぞれが、なんらかの暗い事情を抱えており、事件に至るまでの、止むに止まれぬ状況に、悲しい共感と、説得力の高さの両方を強く感じました。 事件の捜査にあたるのは、犯罪捜査官のエーレンデュルと、彼の部下、エリンボリクとシグリデュル=オーリで組まれる捜査チームです。 重たく、暗鬱なストーリー展開の中、彼らの会話に、ほんの少しながらウイットが添えられており、本作の魅力を高めていたと思います。 彼らの捜査は「聞き込み」がメインだったと思います。ただ、前述のとおり、事件の関係者は何らかの後ろめたい事情があり、エーレンデュルたちの聞き込みに対して、なかなか真実を語りません。また、有力とも思える証言も、重要な真実が全て語られず、捜査の始まりから中盤までは、むしろかく乱させられます。 この困難な中、エーレンデュルたちは地道な捜査で証拠を得て、また、最初はろくに証言をしなかった関係者に対して、なだめ、説得し、時に威圧しながら真実を積み上げていきます。この事実関係の繋がりが非常に緻密で納得性が高く、「誰の証言から何が判っていくのか」この捜査の展開に緊迫感を覚えながら読み進めました。 また、主題の事件と並行して二つのエピソードが展開します。 一つは、全く別件のDV事件、もうひとつはエーレンデュルと、彼の娘、エヴァ=リンドとの複雑な親子関係についてです。 これらのエピソードは、主題の事件とは直接の関係は持ちません。 ただ、本作の読み手に対する親子関係、人間関係にかかる「訴え」をより重く、鮮明にするための大きな要素になっていたと思います。 | ||||
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