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湿地
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湿地の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.87pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全44件 41~44 3/3ページ
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北欧アイスランド・ミステリー界で活躍し世界中で高い評価を得ているキャリア15年のベテラン作家アーナルデュルの出世作となったエーレンデュル捜査官シリーズの第3作です。近年の北欧ミステリーブームの中で私がこれまで読んできた作品の国は、スウェーデン・デンマーク・ノルウェーに次いで本書のアイスランドが4ヶ国目となりました。(余談ですが残り1国フィンランドの作品も何時か読んでみたいと思います。)本書は本国で1999年に原書が刊行されてから5年後の2004年に英米に向けて紹介されまして、更に8年後の今年やっと日本版が刊行となりました。どうしてこんなに素晴らしい実力派の著者の紹介が遅れたのか?やはりまだ馴染みの薄い国の作品だから運に恵まれなかったのだなと思えますが、でも過ぎた事は振り返らずに未来に目を向けてこれから残された未訳の14作をどんどん紹介して行って欲しいと強く望みます。私が本書を読んで一番強く感じたのはヒューマニズムの部分で、久々に昔読んだ日本ミステリー「人間の証明」森村誠一著を思い出しました。この二作は内容的に見ると共通する部分がそれ程多くないとは思いますが、その人間の遣る瀬無い感情を生々しく描いている点に於いては似た雰囲気を感じました。 北の湿地ノルデュルミリのアパートで発見された老人の死体の傍らには意味不明のメッセージが残されていた。激情による突発的な殺人と見える状況の中でレイキャヴィク警察犯罪捜査官エーレンデュルは不審を感じ被害者の老人の過去を辿る内に新たな犯罪の手掛かりを得てある異常な仮説を立てるのだった。 本書は複数の容疑者の中から真犯人を突き止めるという形のミステリーではなく、確かに定石通りに終盤まで犯人の正体は明かされませんが、謎解きや推理する事にあまり意味があるとは思えません。とにかくこの心が張り裂けそうになる悲痛な犯罪ドラマと必然に思える悲劇的な結末の衝撃を全身全霊でもって受け止めてください。本書を読んで特に感心したのは著者がそれぞれの人物像を描く事に心を砕く方であり性格の造形が非常に巧みだという点で、重要でない端役の人々に至るまで登場する全ての人が生き生きとした印象を残し決しておざなりには書かれていません。そんな中でやはり何と言っても主役のエーレンデュル捜査官の人間的な魅力が最高です。同僚と全く意見を交換せずに行動する身勝手なオレ流の独断専行家タイプであり、当然の如く年下の若い同僚二人エーリンボルク(女性)とシグルデュル=オーリとの間にジェネレーション・ギャップが生まれ昔気質の捜査の進め方に不満を抱いたりもしますが、でも最後にはその実力と人間性に共感し完全にわだかまりを解いて心の底からの信頼を勝ち取るのは流石だと思います。またほとんど堅物でありながらも自分では意識しないユーモア感覚の持ち主で、妻が結婚式の場から失踪した品質管理責任者の夫に向かって「女は品質管理しがたいもの」と言う所などは皮肉も効かせて絶妙の味だと思います。警察官としてはほぼ完璧な彼も私生活では自信がなく悩みが多い50歳のやもめ男で、20年前に別れた妻との間に出来た二人の子供の不幸な境遇に負い目を感じています。本書では麻薬中毒常習者の娘エヴァ=リンドの荒んだ生き方を正そうと幾度も苦労した果てに遠慮を捨て去り真っ向からぶつかって心を通わせる父娘の人間ドラマが素晴らしいです。今回は名前のみ紹介された息子シンドリ=スナイルも次作以降に登場するのか興味を惹かれます。 本書は真実の意味での被害者と言える人々、特にカバーに描かれた幼い少女ウイドルの死が可哀そうで心が張り裂けそうになるあまりにも酷く悲痛な犯罪ドラマの完成度によって世界中から高い評価を得たのでしょう。私は一読して強い感銘を受け著者の才能は正真正銘の本物だと確信した次第で、ぜひとも全ての作品を読みたくて堪らない気持ちで一杯になりました。東京創元社様には努力して頂いて今後単行本でも文庫本でもどちらでも結構ですのでどんなに時間がかかろうとも着実に紹介を進めて行って欲しいと強く願います。 | ||||
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結論から言えば、買って損のない本でした 犯人の動機が、被害者の過去の犯罪から生じていること 被害者はレイプ犯罪者だったこと 犯罪と犯罪が、まさに”血脈”として繋がっていくこと とても上手に構成されていると思います 惜しむらくは、相も変わらずこの手の作品の主人公、 今回は警察官ですが、身内に不幸な状況を抱えているという設定は 何とかならないものでしょうか 不幸を背負ったものしかミステリーの主人公にはなれないのでしょうか? 作品に深みを持たせるためには不幸というバックボーンがなければだめなのでしょうか? 日本の2時間ドラマの主人公のような設定はやめてほしかったなと それが残念です | ||||
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アイスランドの荒涼とした無彩色の風景描写が、陰惨な物語世界と不可分にマッチしています。 物語は、40年前に起きたある事件に端を発する悲劇が描かれるのですが、主だった登場人物のほとんどはいわゆる善良な無辜の民で、無理なく感情移入できます。 過剰に踏み込んだ人物描写や複雑な背景設定は無く、物語を追うのに難渋することはありません。 失ったものへの深い哀惜が事件を加速させ、失いかけているものへの焦燥が主人公の再生につながっていく。 何より特筆すべき点は、基本的に暗い物語で悲劇的結末を迎える割に、読後感がかなり良い点です。 ドライな語り口に反して、主人公や犯人のナイーブでウェットな内面描写は、日本人の感性にかなりフィットしそうな気がします。 | ||||
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冒頭から、退屈なのんびりペースと思いきや…どんどん謎に引き込まれていきました。 そのあと急加速し、一気に終局へ・・・・。 なかなか面白いミステリーでした。 途中で犯人がわあってしまったのは少し残念ですが、シリーズ初作としては及第点でしょう。 面白かったです。 | ||||
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