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悪人
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悪人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.01pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全407件 401~407 21/21ページ
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悪と思うことは、こうも相対的なものなのか、と思う。悪人は誰なのか?殺した人間か、殺された人間か。それとも殺した人間を憎む人間のことだろうか、またそれをあざけ笑う人間のことか。殺した者を庇う者、殺された者を中傷する者、またそんな人間たちを追い詰める者、賛同する者・・・・悪人は誰なのか、わからなくなる。ただ、殺した者に救いを、殺された者に殺されて当然だ、と思ってしまった一読者である私自身も悪人なのだと思った。物語の登場人物+読者、いったい誰が悪人なのだろうか? | ||||
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吉田修一作品が好きで、ミステリーも好きなら、これはちょっと興奮してしまう一冊です。この作品を前半・中盤・後半と分けると、前半あたりですでに犯人が分かり、後に残ったこの大量のページにはいったい何が書かれているんだろうと、訝しく思いました。犯行までの詳細が、ちょっと退屈になるくらい丁寧に書き込まれているくらいかなと思いながら期待せず読んでいたのですが、逆にどんどん引き込まれていきました。生きていると「知人」と呼ばれるひとが周りにたくさんできてくるけど、自分はそのひとたちをどれだけ知っているんだろう、とちょっと考えさせられました。また、メディアが一方的に発信する情報をただそのまま受け取る怖さにも改めて気づきました。多面的で複雑な要素で成り立っている人間性を果たして他人が断じることができるのか、断じていいものか、とても深いところが書かれていると思います。おすすめです。 | ||||
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読書は自己完結するほうなので、他人の感想とか、あまり興味がない。なのに、この本を読んだ後、無性に誰かと、この本について話がしたい、と思った。なぜ、この物語のタイトルが「悪人」なのか?途中まで浮遊したままだった、この「悪人」というタイトルが、最後にずっしりと、自分の中に沈澱してくる。そして聞きたいのです。この物語で締め括られる「?」のように、誰かに聞きたくなるんです。 | ||||
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これまでの吉田修一とは、明らかに違う。峠。殺人。ハイウェイ。灯台。逃避行。驚くほど面白くて一気に読んだ。凡百のミステリーよりもドキドキさせられたのは、作者が「事件」ではなく「人間」を描き切っているからか。失意の中での勇気。殺された娘を憶う父親の台詞が哀しく、そして強い。読後、ガツンとくる傑作。 | ||||
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朝日新聞を読んでいないため、新聞に連載されていた小説ということは本を手にとって初めて知ったのですが、作者が「ようやく代表作(?自信作?)といえるものが書けた」というだけあって、非常に楽しめました。関係者の供述が其処此処に入るという組み立てられ方をしていることもあり、小気味よい展開と相俟って、あっというまに読んでしまいましたが、読み終わって、そのタイトルの意味するところ、非常に考えさせられました。読んだ方と内容について語りあいたくなる本です。 | ||||
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吉田修一の作品は全て読んでいるが、今までの作品とは全く違う作風となっている。さりげない一瞬の描写、人物描写、そして言葉で多くを語らない。無駄な言葉がないため、あっさりとした印象を持つ人も多いかもしれないが、描かれている情景を想像させるには十分すぎる重みがある。ただこの作品は違う。内容、構成としては宮部みゆきの「理由」に近い。新しい分野でここまでの作品を仕上げてしまう作者の才能はすばらしい。もともとの作風が加われば、更に深い作品が仕上がるのではないだろうか。最後に内容について少し。人の心の中にある見栄や欲望が人を傷付ける。悪人などそもそもいない。もしそれが悪と言うのであれば、善人なんて皆無に近い。羊の群れに1匹の狼を放てっも大多数の羊は助かる。狼の群れに1匹の羊を放てば羊が助かることはない。精一杯足掻く、それだけだ。 | ||||
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吉田修一は『パーク・ライフ』で第127回芥川賞(2002年)を受賞したが、この作品から『ランドマーク』『長崎乱楽坂』を描いた時から期待大の作家だった。それは、この作家はまだまだ力を隠しているという予感だ。今回の作品では、その待っていた期待を上回る化けかたで戦慄が走った。読後、頭皮にも背中にも鳥肌が走った作品に、★5個のレベルではない。出会い系で知り合った男女に殺人という設定は、ここ最近数多くの作家が手を出している。よってこの本のその程度の気持ちで読まないでいるのは、あまりにも勿体無いし、本好きの人ならなんとしても読んで欲しいと思う。それは、この本に出てくる老若男女の描きかた、内面の感情の揺れ方のリアリティーの旨さにある。犯罪は犯した犯人だけのものではない、そんな軽く薄いものではないと思わずにはいられない。出てくる老若男女の気持ちが波動となり、大きなうねりをもってくる。読後高波に飲みこまれたかのように圧倒された。蠢く魂が1つではない、犯罪に手を染めた人に関わる沢山の人の魂が蠢いている一冊。凄い!久しぶりにやっと凄い本に辿り着いた。 | ||||
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