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悪人
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悪人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.01pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全407件 321~340 17/21ページ
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吉田修一の集大成のようだと思いました。今までの小説のいろんな要素がいい具合に盛り込まれています。嫌な役でも嫌な事でもなんでも引き受けてしまうのが当たり前になっている祐一の、底なしの優しさが切なかったです。自分が犠牲になることの苦痛なんかより、おいてきぼりにされることの恐怖がずっと大きい。祐一の優しさと淋しさが見事に表現されているラブシーンがとてもよかったです。祐一も光代も、ほんとうに淋しかったのです。 | ||||
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純文学系の作者なので、面白いか不安だったが、とても面白く読めた。事件自体は出会い系で知り合った男と女をめぐる話で、新聞の三面記事にのるような、小説としては、地味な話なのだが登場人物すべてが生々しく描かれているので非常にリアル感があった。ストーリーもこの後主人公の男はどうなっていくのかが気になり、ページの厚さも気にならずあっという間に読み終えてしまった。登場人物の中では、被害者の女性の父親がよく描けており、事件にかかわったある男に謝れと詰め寄ったシーンが印象に残った。 | ||||
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知っている町が舞台の小説は何故か興味が深い。この作品も福岡、佐賀、長崎と青春を過ごした場所が随所に現れる。現実逃避、独り、嘘、いろんなところで悪人は存在している。事実・・この小説を面白いと思えた自分にも悪人なココロは存在している気がする。とにかく一気に読めた久々の小説。 | ||||
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そんなつもりではなかったとです。「吉田修一って作家名、なんか聞いたことある」くらいのもんでした。本はうんざりするくらいぶ厚く、こげな本読もうなんて更々なかったとです。 一気に読みました。読ませられたとです。【いつでもつながる】携帯の先にあるものってなんやろね。 ・・・・孤独感・・・・焦燥感・・・・言葉にできないもどかしさが胸をかきむしるとです。「悪人」というタイトルには違和感もあるとじゃけど滅びにいたる道は、普通に何気なくそこにあるもんなんじゃろな。祐一!お前はホンに優しか男なんじゃね。一体誰が「悪人」なんじゃろね。つらかね。でもその弱さは罪なんよ。祐一!最後のお前のあの行動は、全てを超えた優しさやったね。三瀬峠に花ば手向けに行こうごたるよ。ありがと!この本に出会えてホンにうれしかよ。おなごの人にぜひぜひ読んでほしかとよ。 | ||||
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最初はあまり作品に入っていけませんでした。自分も経験した虚飾の若い世代の表現の仕方がとてもリアルで読んでいる私が身につまされるような・・・。そのうちに時間も忘れて引き込まれて、泣きました。誰が被害者だったのか、誰が加害者だったのか・・。でもそれ自体もうどっちでもいいような気さえしてくるパンチの効いたストーリーに出会えました。自分を飾るために嘘を重ねた佳乃、愛する人を守るために自分を犠牲にしてまで嘘をついた裕一。自分を守るための嘘、他人を守るための嘘、結局どちらが人を傷つけるのか。。私はそんなことを考えてしまいました。図書館で借りた本ですが、迷わず自分用に購入しました。私の愛読書となりそうです。 | ||||
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殺人事件に関しては、犯人が早い段階でわかってしまうのですが、1.その後、誰と誰がつながり、話がどう展開するのか。2.そもそも、なぜタイトルが『悪人』なのか?というのが、最初の段階では全く読めなかったため、先が気になり一気に読み終えてしまいました。様々な要素が絡み合っているため、「事件モノ」というような、単純なカテゴリーわけをすることができない1冊です。視点を登場人物のそれぞれに変えることにより、一連の場面の流れが思いもよらない方向に導かれる様子はかなり引き込まれました(同様の構成は他著者の作品でもありますが、視点を変える効果が特によく出ている作品だと感じました)ただ、タイトルが『悪人』ですが、まずこの本を読んで考えるのが、最終章「私が出会った悪人」で、「あの人は悪人だったんですよね」と言われているその「あの人」が本当に悪人だったのかということなのですが、全て読み終わると、「マスコミで大々的に取り上げられる、いわゆる犯罪を犯した人だけが「悪人」なのだろうか」と思わせられます。「悪人」という言葉を辞書で引くと、「悪いことをした人、悪い心を持っている人」と出ていますから、犯罪者も「悪人」ではあるのでしょうが、法で裁かれることはないけど、犯罪者以上の「悪意」を持つ人間も、ここには何人か登場します。背筋がぞっとするような「悪」の描写はありません。ただ、日常に当たり前のようにひそんでいる「悪」に関し、読者に考えさせる1冊ではありますから、この作者は十分な仕事をしていると感じました。吉田氏の小説はこれが初めてでしたが、今後も読んでみたいと思いました。 | ||||
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1つの殺人事件に関わる人々。登場人物のインタビュー形式のコメントからは、まるで実際のドキュメンタリーを読んでいるような気持ちを感じさせられる。人と人の出会いや繋がりから生まれる喜びや、憎しみ、恐怖、登場人物の一人一人の心情や行動がとてもリアルに伝わり、胸を締めつけるような苦しい環境の中で、微かに垣間見える優しさがとても眩しく思える。そんな作品だった。 | ||||
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視点が次から次へと切り替わって飽きさせなかった。殺人を犯した裕一はある面では悪人なのだが、彼のこれまでの行動を見ていると悪人とは思えない面もある。一方、殺害されてしまった佳乃は好意を寄せている男性のために裕一と会う約束をすっぽかし、かつ、好意を寄せている男性に捨てられるところを目撃された恥ずかしさから、裕一に八つ当たりする最低の女だが、彼女も根っからの悪人というわけではない。人の心には誰でも少なからず悪人になる要素が潜んでいるのだと思う。物語の終盤に、佳乃の父親が娘を捨てた大学生に会いに行くシーンがあり、その中で父親が「大切な人がいない人間が多すぎる。そんな人間が大切な人を失ったり欲しがったり一喜一憂する人を馬鹿にした目でみるのは間違っている」と言うのだが、これはまさにその通りだと思った。 | ||||
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普通に日常にいる・・こういう登場人物たち。目くそ鼻くそでつまらない腹の探り合いをする佳乃と沙里。二人の機嫌を伺い嫌われないように努める眞子。関東出身で標準語を話し佳乃達を見下した観がある鈴香。井の中の蛙ですごく生々しい。ボンボンで挫折や屈辱を知らない増尾。親の愛情を知らず祖父母の下で育てられ、寂れた田舎で黙々と日常を送る祐一。佐賀の片田舎で職場とアパートの往復だけの光代。出会い系サイトが元で起こるひとつの殺人。誰が誰をどんな風に思い、どんな態度をとって、どんな言葉を投げかけたのか。携帯やネットで繋がってる時代だからこその孤立感や焦燥感。性格や収入、外見で容赦なくランク付けされる今の時代を恐ろしいほど生々しく描いている。本当は誰が悪人で、誰が弱者なのか。なんか、もう・・魂吸い取られました。 | ||||
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【殺人】【出会い系サイト】【コンプレックス】【引きこもり】【悪質商法】現代社会における様々な問題を取り入れた内容、ストーリー展開も見事で一息に読みたくなる秀作。人物の描写がとても細かく独創的で、その人物の性格や背景をも物語ってくれます。舞台が東京ではなく、九州という所も良いですね。陰湿になりがちな内容ですが、九州弁の温かみで緩和されている様な気がします。そして、何より主人公 『祐一』 に惹き付けられます。あまりミステリーには登場しない朴訥としたタイプ。前編は何を考えているのか不明で掴みどころがありませんが、中盤から徐々に引き込まれ、最後には実在人物に対するような感情移入をしていました。強いて言えば、祐一と光代の結末をもっとハッキリさせて欲しかったなと。。。祐一ファンの私としては、祐一は光代を犯罪に巻き込みたくない一心で演技&嘘の況実をしたのであり、性癖などではなく、祐一なりの愛なのだと解釈しているのですが。 | ||||
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祐一、せっかくイケメンで背も高く生まれたのにね、その上、根が優しい。人生勿体無いよなぁ。犯罪者になってしまうだけの価値、ないのに、佳乃って子に。純ないい人に限って、こういう女の子と付き合ったりする。もっと早く光代と出会えてたら、まだ眞子のが相手として向いてるだろ〜といくら傍から思っても・・世の中結構そういうパターン多しですよね。ああ残念。佳乃は他人に自慢できるなら、誰でもいいの?光代は、自分のことを激しく求めてくれる人ならーそれで全部いいの?祐一は、温めあうことができるなら誰でも良かったの?(光代と出会うまで)全部がまず「寂しさとそれを埋める目的」の関係みたいで・・(佳乃は底の浅い見栄や競争心やコンプレックスからでもありますが)寂しい人ばかり・・。旅館のボンボンやそのボンボン親友も別の意味で寂しい人間だしね。祐一と光代は「この人だからこそ」惚れた、一緒にいたいーという関係に発展できたのに、悲しい最後です。 | ||||
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この本はだいぶ前に読んだのですが、それ以降、この本以上に心に残った作品には出会えませんでした。 一般的な普通の生活を営んでいると勝手に自覚していた私にはかなりショッキングな内容でした。 主人公・・・良い青年ですよね。家庭環境に恵まれているとは言い難いですが、とても心優しい青年だと思いました。 そんな彼が道を踏み外してしまうきっかけは、ちょっと我が儘な今時の若者の浅はかな言動です。 最後まで彼に寄り添う彼女も結局はただのエゴで彼を縛り付けていたように思います。 人が心から人を思いやるということが果たして可能なのだろうか、ただの自己満足で終わる事が多いのではないかと考えさせられました。 現代社会は悪人の素質を備えていなければ渡っていけず、純粋な人ほど世の中の負の部分を背負わされるように思いました。 その辺を子供たちにどう教えればよいものか、果たして教えるべきものなのか・・・・。 | ||||
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親がセックスして自分が生まれた、と知った時の衝撃に似てます。または、そのセックスの模様を想像するときの、よくわからないものに対する怖さ、まったく別人の顔を持っていると人に感じるときの畏怖。人間が持ついくつもの顔の恐ろしさ、少々こっけいを帯びた哀しさを感じる本でした。とはいえ、私も持っているはずなんですね。そんな顔。それは自分なりに理解しているのだけど、遠巻きにしている人から見れば、「悪人」になったり「善人」になったり勝手に判断されちゃうのですね。人々の暮らし、くせ、嫌な思い、やさしい気持ち、いろんな顔。小さなひだのところまで書いた本だと思いました。人間は結局、だれでも悪人でだれでも善人なんでしょうね。少しこっけいでもあり、哀しかったです。 | ||||
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福岡県久留米市で理容師を営む父親を持つ:石橋佳乃は生命保険会社の外交員をする女性達の借り上げアパートに住んでいる。12月の日曜日,実家との電話終えた佳乃は同じ外交員の友人二人と中洲で夕食の鉄板餃子を食べた後,男性と待ち合わせがあるといい一人になった。しかし,佳乃は翌日福岡と佐賀を結ぶ三瀬峠で冷たい絞殺死体となって発見される・・・福岡・佐賀・長崎の九州北部を舞台とした女性保険外交員殺害事件にまつわる人々にまつわる話である。単に殺人事件を主題とした物語ではなく,いろいろな人々の心情を細かく描いた作品である。話はストレートであるが,その心情の移り変わりをたどっていくうちに,大変悲しいというか,やるせない気持ちで一杯になる物語である。読み終わった後で色々と考えさせられる話でもあるが,読み物としても秀逸であり,物語に引き込み一気に読ませるストーリーであった。 | ||||
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朝日新聞で妖しい絵、それは束芋の絵であった。本作にも装丁に束芋の絵がのるのかなと思っていた。もし、のるのならば絵が内容を凌駕する恐れがあったのか、装丁の話はなかったらしい。そして本作を読んだ。とてもスリリングで情景が浮かぶ内容であったし楽しめた。時に感情移入し怒りを覚え、同情をし、現代の暗い部分をうまく浮かび上げた快作であると思う。 | ||||
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正直言って、殺害された被害者の佳乃は、はすっぱな20代の女性。自分の若さを武器に出会い系で会った男達にたかっていた。人を人とも思わぬ態度や嘘をついて虚勢をはっていた浅はかな女性だ。でもそんな彼女でも大事に育てた両親がいて、殺害されて言い訳でない。また容疑者の祐一にも、祖父母という家族がいた。そこに代わり映えのない生活を送る30女の光代や、軽薄男の増尾などの人間が幾重にもからむ人間ドラマ。『パークライフ』も読んだが、格段に上手くなった吉田氏に拍手。 | ||||
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さみしさ、むなしさ、胸の中の空を切る音。衝動、暴力、理想との落差。家族や友情のねじれ。すれ違いの宇宙。誰しもに覚えのある暗渠を、この作品はとてつもなくうまく表現していて、そのことに驚き、感動した。チンケな、猥雑な、ずる賢い、卑怯な。それらが、ごく凡庸でありふれたものであることを、思い出す。それらとともに、わたしたちは生きていて、わずかのボタンの掛け違いの可能性なんて、誰にだって起こりうりそうなことだと気づく。人生をつつがなく終えることに、ひたむきである人々の、守らんとしているものを、侵さないこと。かなえようのない誇大な幻想に、加担しすぎないこと。そんなことを噛み含めながら、生きることを過ごしていきたい、と。ん〜、すごい作品だ。読めて、よかった。 | ||||
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前もって言いますとこんなに評判がよくなければ書かなかったと思います。小説として見たときの率直な感想としては、まずまずかなあと。なので星は三つ。ただ世間の評価と自分の感想の齟齬がとても大きくなってしまったのでちょっとだけ。これで、悪を書いた、と言えるのか。悪とは何かと突き止めたのか。実のところそんなものは期待していなかったのですが、次。それでも必死に手を伸ばそうとしてあがいた真剣さ、切実さがこの作品にあったのか。そういうのが伝わってこなかったので、失望した面がやはりありました。やはり「悪」とか「悪人」なんてテーマがテーマですから、最初からそこまでは期待していないのですが、せめて作品の中でそれでも必死に模索しつづける何かがあれば納得できたと思いつつも(おそらくそれは著者の意気込みというか激しさだったと思います)、読んでみてあまりにあっけらかんな感じがしました。こんなテーマに挑んだ以上、小説として失敗してもいいから、息遣いを感じたかったなあ。一言でいうと迫ってくるものが何もありませんでした。 | ||||
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長崎、博多が舞台の事件小説。(クライムノベルというのか)鉄筋工?の若者の目を通して、善と悪、光と闇、怒りと赦しを描く(多分)。キーワード:善と悪、怒りと赦し、福岡、長崎、保険外交員3名、土方さん、西南大学生、湯布院の旅館のボンボン、久留米の床屋、三瀬峠、携帯、出会い系、健康食品、老人の町、スカイライン、灯台 | ||||
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「悪人」、めちゃくちゃ、感動しました。吉田修一という作家は、本当にすごい。推理モノ、サスペンスもののヒット作は多いけれど、たいていは、最後のオチのところで、なあんだ、とがっかりするのではないでしょうか。この「悪人」の場合、最後まで手に汗を握り読み、かつ、最後もすばらしい。というか、なんともいえない最後。。。あまりにも感動したので、同じ作者のほかの作品も買って読んでみましたが、「悪人」を凌駕するものは、はっきりいってありません。たぶん、読み始めは、ええ、こんな格差社会の底辺の話?と思うかもしれません。でも、そこで読みやめないでくださいね。その底辺にいるかと思った祐一に、どんどん魅了されていくのです。最後は、嗚咽してしまうほど、祐一にほれこんでいました。これほど深い作品に会うのは本当に初めて。そう言い切れます。超おすすめです!!!! | ||||
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