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悪人



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【この小説が収録されている参考書籍】
悪人
悪人(上) (朝日文庫)
悪人(下) (朝日文庫)

悪人の評価: 4.01/5点 レビュー 407件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.01pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全407件 241~260 13/21ページ
No.167:
(3pt)

作り話に騙されすぎ

読んでなくてこういうことを書くのも気が引けましたが、興味があってレビューを読むと、>「強姦したと警察に訴えてやる」と騒がれただけで、カッとなって殺害するような犯人。で、殺された女もロクな女じゃなかったから 結論として誰が被害者か分からないし、人の善悪なんて誰にも断言できない、といったようなレビュー多し。でも、「強姦したと警察に訴えてやる」と女に脅迫されても、事実がそうでないのなら一般的な人間はもし誣告されても敢えて警察に捕まってそこで真偽を争うべきだろうと考えるのが普通だろうし、脅迫した相手をいちいち殺していたら日本は殺人事件だらけになってしまうことだろう。こういう娯楽小説を読むのも結構だが、物事の善悪がすぐぐらついてしまうような人が多いことに恐怖すら感じる。
悪人(下) (朝日文庫)Amazon書評・レビュー:悪人(下) (朝日文庫)より
4022645245
No.166:
(5pt)

えぐられたなぁ。

この小説がさらっと読めて心に残らなかった人がなんとも羨ましい。被害者である佳乃の、付き合う相手で自分の価値が上がるような錯覚から出る嘘や出まかせ。本命からは相手にもされず、出会い系で知り合った男にチヤホヤされる事で自分も捨てたもんじゃないと自己肯定するような薄っぺらい自意識。娘の育て方への後悔を、娘をバカにした男への復讐心で紛らわす被害者の父親。親の七光りや虚勢で自分を大きく見せようとし、醜いものにはあからさまな増悪を見せる大学生の増尾。毎日何の変化もなく退屈な生活の中で、初めて会った人からホテルに誘われ、これこそ私の運命の人だと信じてしまう浅はかな光代。主人公祐一の、ヘルス嬢への執着、母親への金の無心の演技、佳乃へのストーカー的な行動、物語ラストの光代への嘘の演技。一見優しさに感じられるが、実は相手の気持ちを考える事の出来ない、恋愛をまずセックスでしか構築出来ないような、究極の自己中。そう。法的に罪人は祐一一人でも、全員悪人なのである。そしてそんな登場人物にいとも簡単に感情移入し言いわけを探している私も、悪人の一人であると認識させられるのである。
悪人Amazon書評・レビュー:悪人より
402250272X
No.165:
(5pt)

現代の闇に光をあてる吉田修一の金字塔

地方都市で起きた殺人事件を、犯人とその周囲の人間の視点で切り替えるように描写しながら偽善によって自己満足にひたる世間、退屈な日常に潜む罠、不器用で正直にもかかわらず不幸に遭遇してしまう人、といったリアリティのある現代的なテーマに切り込んでいます。この小説を読んで、自分なりに登場人物を悪人の順に並べてみてください。きっと結果に愕然とし不安とやるせなさを感じてしまうと思います。現代人のうっすらとした不安、心の闇に光をあて続ける吉田修一の傑作です。
悪人(上) (朝日文庫)Amazon書評・レビュー:悪人(上) (朝日文庫)より
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No.164:
(5pt)

多くの人の人生一つ一つにたいして涙が出てきた

上下巻の評価をここでするとすれば、面白い、いや、素直な人間模様が描かれた話だが、そこに人生を生きることの悲しさと切なさと苦しさが絡みついていて、読んでいる間中、じわじわと全身に染みわたってくる「生きることの重み」みたいなものがあった。ただ殺人犯である青年が捕まるまでの話。一言でいえばそれだけ。でもそこにどうやっても「生きていくこと」とか「人間関係」とか「誰かを想うということ」という現実世界にリンクしたものを感じずにはいられなかった。ただのフィクションとしては読めない切羽詰まったものがあって、どこの部分をとっても救われないと感じた。暗い。でも、強烈に惹きつけられた作品で、後半は涙が出た。犯人に同情したわけでもないし、一緒に逃亡した女に共感したわけでもない。ただ、そこに関係する多くの人の人生一つ一つにたいして涙が出てきた。映画でどう表現されていくのかはわからないが、映画になった代表作という観点からでなく、ただの数ある小説の中の一つとしておススメ。
悪人(上) (朝日文庫)Amazon書評・レビュー:悪人(上) (朝日文庫)より
4022645237
No.163:
(3pt)

平凡な小説だと思った

外出先で待ち時間ができてしまい、軽く読むことができ、話題のものをと購入。あまり期待していなかったが、退屈で、いつか劇的な展開があるのかもと自分を騙し騙し読み続けた。しかし最後まで心を揺り動かされることなく終わってしまった。何故退屈なのか。事実は小説より奇なりを地で行く事件が毎日のように報道されて、私自身が擦れてしまっているのか。「悪人」というタイトルからは、登場人物の誰もが悪人になり得るという設定が容易に推測できた。主人公の最後の行動も、どんでん返しを狙ったのかもしれないが、逆に定石通りで驚きはなかった。地方の閉塞感は上手く表現されていると思った。北九州の寒々とした冬の情景が主人公の心象風景と重なった。主たる登場人物には感情移入できなかった。増尾の友人鶴田の言葉に一番共感できたくらいで。宮部みゆきの『模倣犯』を思い出した。被害者と遺族の無念さを痛いほど感じたし、犯人を追うライターも魅力があったし、犯人の底知れなさにもぞっとした。わかりやすい魅力ある登場人物で読者を引っ張っていくことはもしかしたら簡単なことで、この著者は敢えて、貧しく希望がない弱者の若者を主人公にすることに挑んだのか。被害者も然り。それならそれで、もっと描きようがあるだろうと思う。ストーリーも平板に流れ、大きな山場もなかった。平凡な小説だと思った。特に友人に貸したいと思うような本ではなかった。
悪人Amazon書評・レビュー:悪人より
402250272X
No.162:
(4pt)

もれなく一人の人間を描く

九州地方に珍しく雪が降った夜、土木作業員の清水祐一は、携帯サイトで知り合った女性を殺害してしまう。多くの登場人物を、これまた多くの登場人物の視点から描く。悪人だと思っていた人の良い面を見せられ、善人だと思っていた人の悪いところを見せられる。作者の意図通り、大いに混乱した。でも、これが本当なんだろうなーキャラを立たせるために、なにか一つの役割を割り振って固定してしまう小説が多いが、そんな単純な訳ない。良い人にも悪い一面があり、悪い人にも良い一面がある。人は合理的ではない。ここまでもれなく一人の人間を描いた小説は初めて読んだ。こういうの好きです。面白かった。おすすめです。
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4022645237
No.161:
(1pt)

安い話

登場人物に悲惨なエピソードをいくつも背負わせて、それの2乗3乗で、最終的に超悲惨な話に仕立てた、ってことですよね。悲しい話でも生命力など人間賛歌が底流してれば人は感動しますが、この本で”感動した”と思っているあなたは多分悲しい気持ちになっただけではないでしょうか?貧乏くさくて、しみったれた、お涙頂戴の安い話だと思います。私はこういう話を読みたくはないです。「絶対この役をやりたい!」と思った妻夫木くんすら安い俳優に思えました。
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4022645237
No.160:
(5pt)

祐一に恋して

映画館で悪人の予告を観て、妻夫木さんが印象的だったので文庫本を手に取ってみました。本当にすごい勢いで読破しました。それくらい話に引き込まれて。祐一は無口で不器用な男だけど、一途で一生懸命尽くす姿に惹かれました。九州の男っぽいなぁって…正直、祐一に惚れて、キュンキュンして仕方なかったです。こんなにも読者の気持ちをさらえる吉田さんがスゴイと思いました。悪人を読み終えてから、ほかの作品も読み始めました。テンポがあって読みやすくて、こんな作家さんに出会えてよかったです。
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No.159:
(5pt)

この寄る辺のなさは何なのか

この本を読んで最初に頭に浮かんだのは、NHK特集の「無縁社会」だった。私ももうずっと長いあいだ、1人で暮らしているが、正直、寂しさや孤独には耐えがたいものがあり、毎日を生きるのはやっと、と思うこともときどきある。社会は流動化し、核家族も崩壊、単身世帯が増加しているそうだ。地方は疲弊し、シャッター通りは田舎に行けばどこにでもある。社会の紐帯は完全に弛緩しきってしまっている。この弛緩しきった社会、関係の網目を以前のように戻すことはもはや無理であろう。単身に慣れた人々には「世間」と呼ばれるような関係の網目は逆に息苦しくも感じられるに違いない。しかし、人々は孤独に苦しんでいる。周りを見渡せば、なぜこんなにもみんな孤独で、生きることに苦しんでいるのか、そう思うような人々ばかりである。すべてを社会のせいにするつもりはないが、国政や地方自治体レベルで、もっとこまめにセーフティーネットを幾重にも張り巡らして、人々を孤独から救う方法をまずは政治が考えるべきだろう。だが、そのうえで、個人でもできることはあるはずだ。私の身は寄る辺ない。私も本気で誰かに出会いたい。そして、誰かを愛し、愛されたい。しかしもし、私が愛されていることに気づかないのならば、私は誰かを愛することもできないのかもしれない。祐一は、本当に孤独だっただろうか。祖母の祐一への愛に、もっと深く気づくことはできなかっただろうか。祖母は、祐一への愛をもっと、もっと深く伝えることはできなかっただろうか。佳男は、佳乃への愛を、もっと、きちんと伝えることは、できなかっただろうか。大切な人を失ってからでは遅すぎる。あなたを愛している、その気持ちを、本当に大切な人に、もっと深く相手に届くように、伝えよう。そう思った。
悪人Amazon書評・レビュー:悪人より
402250272X
No.158:
(1pt)

何でこんな単純な話が受ける?

新聞で読んでいました。前半、サスペンス調で毎朝新聞を読むのが楽しみでしたが、後半で、あれれれれれ???だれが「悪人」なのか?普通に考えれば殺人者が悪人だが、本当にそうと言えるのだろうか?問いかけ自体は大きな可能性がある命題だけど、「殺人者祐一が悪人と言えるわけではない」と言いたいあまりに、軽薄な大学生(名前失念)の分かりやすい卑怯さ・軽薄さ、母親に金をせびって母親の罪悪感を軽減させるエピソードも単純すぎ、佳乃にいたっては、幽霊になってまで祐一を弁護するような発言をさせるなんて・・・。なぜか、これら単純な人物描写は「金色夜叉」を思い出させます。それにしても、佳乃の恋愛ってなんだったんでしょうか。あんな軽薄学生を本気で好きだった・・・???そして、佳乃を振った軽薄学生に「娘の純情を踏みにじったやつ・・・!」とナイフを向けようとするバカ親。娘が振られたからって、相手を憎むか???目も当てられない展開に、新聞小説って大変なんだな、作者もきっと、こんなできばえでは辛いだろうな。なんて思ってたところ、え、賞獲った? え、映画化・・・? ええええええっ!世の中分からないものです。
悪人Amazon書評・レビュー:悪人より
402250272X
No.157:
(5pt)

ここ最近でいちばん!

ビジネス書の息抜きに肩の凝らない文芸書を読んでいましたがライトすぎて右から左でした。これは、いい意味で「肩が凝る」、すばらしい作品です。次々に告白する人間が変わるところなんかは芥川龍之介の「藪の中」を思い出しました。ラストの「救われなさ」は、本当に真実を書いていると思います。ああ、人間って、こうだよなあ、と。うーん、近いうちにもう1回読むなあ。
悪人(下) (朝日文庫)Amazon書評・レビュー:悪人(下) (朝日文庫)より
4022645245
No.156:
(4pt)

誰が悪人なのか

一気に読みました。読めました。登場人物に同情したくなったり、こいつは最低だと思ったり、そんなばかなと思ったりしました。どの人物も、弱かったり情けなかったりして、感情移入できるようでできない・・・。いったい悪人は誰なのか。悪人とはなんなのか。見る人によって、立場によって、悪人とは、はかわるはず。結局最終的に、たまたま彼は悪人になってしまった。選んで悪人になってしまった。後味は・・・悪いです。
悪人Amazon書評・レビュー:悪人より
402250272X
No.155:
(5pt)

“悪人”って? “悪い人”って?

“横道世之輔”から2冊目です。今回も著者にやられてしまいました。う〜ん、わかっていても?辞められんな。今回も一気に読んでしまった。参りました。著者にはまってしまった!次は“パークライフ”読もうっと!
悪人Amazon書評・レビュー:悪人より
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No.154:
(3pt)

1日で読んでしまった!

前半は、人物描写・設定とも魅力的で、夢中で読みました。 ところが、光代と祐一が会って数分で安く結ばれたあたりから、失速感が。 2人とも、現実の世界から逃避したかっただけで。相手は誰でも良かったんじゃないの? コレのどこが純愛なんだろう? いかんせん光代が退屈な女性で読んでいて辛かったです。頭が悪いうえ、自分の都合で祐一の自首のチャンスを奪うような、自己中な女だったりで。涼香や美保みたいな、現実世界を逞しく生きる女子に、もっと絡んでほしかったです。
悪人Amazon書評・レビュー:悪人より
402250272X
No.153:
(4pt)

読後に改めて、タイトルの意味を噛みしめてみると良いかもしれない作品

ページ数の割にそんなに読み終えるのに時間がかかったという印象はなかった。それはつまり自分自身がこの作品を無意識に、広い意味で“面白い”と感じていたという事だろう。内容に関しては、保険外交員の女を殺害してしまった土木作業員の男とそんな男に想いを寄せる一人の女との逃亡劇、といってしまえば最もわかりやすいと思う。そしてそこに関わってくる様々な人間の群像劇といえばいいのか、とにかくそんな形でストーリーは進んでいくここで大胆な意見を言わせて頂くと、この作品は夏目漱石の『こころ』に通じるものがあると個人的には思う。勿論内容や表面的なテーマはまるで似ても似つかないのだが、例えば“すいか”と“花火”がそれ自体は全く違うものであっても共に“夏”を連想させてくれるようにとにかくその本の持つ空気感が似ていると個人的には感じた。特にそう感じたのはそのタイトルセンスである。こころに関しても読後にそのタイトルの意味を噛みしめた記憶があるからだ。とりあえず同氏の他の作品を読んだ事のないものには、読んでみて損は絶対にない作品だと思うしその良さをじわじわと効いてくる類のものだと思うただ、昔からの同氏のファンの方には多少お薦めし難い部分もあるのだが…(特に初期の作品のファン)
悪人(上) (朝日文庫)Amazon書評・レビュー:悪人(上) (朝日文庫)より
4022645237
No.152:
(5pt)

あぁぁ(深〜い溜息)

寝る間も惜しんで読んでしまった。読もうリストにずっと入れていたけど、なんとなく重そうだったのでやっとその気になって読んだ。久しぶりにどっぷりはまりこんでしまった。きっと読んで良かった。ただただ考えさせられる。読み終わって正直なところ、モヤモヤ感は拭いきれないがすごい本に出会えた。人の心は複雑だし、本当のところ何を考えていて本心は何なのか。実際今周りの人たちに対する感じ方と、その人の持つ本質というものは違うのではないか。。疑心暗鬼になるわけではないけれど、自分の中に何かが出てきた気がする。うまく言えないけれど。パレード、日曜日たち、女たちは二度遊ぶとか色々読んだけど悪人はなんだか違う色をした本な気がした。あー久しぶりに本を読んで疲れたな。久しぶりに本を読む時間の為に過ごしたな。
悪人(上) (朝日文庫)Amazon書評・レビュー:悪人(上) (朝日文庫)より
4022645237
No.151:
(3pt)

長いけど一気に読める

結構な長編なのですが、読了させるだけの文章力があって良かったです。内容に関しては、評価され過ぎのような気がする。・まずユウイチがヨシノの首を絞めた理由が、何となく弱い。とくに強い憎しみの無い状態なので、ユウイチの短絡性、頭の弱さとしか結び付けようがないが、後からの描写で実はそうでもないんだ、思考回路や情緒のある男なんだというような展開になっている・なんで光代はユウイチと逃げたの?どれだけうだつの上がらない孤独な人生を送ってきたか、どれだけ自分を抱きしめてくれる存在が欲しかったか、というのは分かるけど、出会い系サイトで知り合って、まずホテル行こう、と言って来るような男に、そんなのめり込めるでしょうか。しかも人を殺したと言われて一緒に逃げられるでしょうか。ちょっと頭悪いとしかいいようが無い。それぞれの登場人物の視点から、みんな寂しい、立場は違えど一生懸命だ、悪いヤツに見えても純真なところもあるんだみたいなことを物凄く主張してくるような小説でしたが、上記のような矛盾がしこりになってどこかシラけながら読んでしまいました。そして・・・・「ユウイチが男前」という設定からどうも・・・映画化を目論むにおいがプンプンして。。とりあえず最後まで読めたので☆3つ
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402250272X
No.150:
(3pt)

引き込まれてしまう本ではありますが・・・・・

引き込まれて一気に読んでしまう本ではあります そうではありますが・・・・ 自分の気持ちを的確に相手に伝えられない人間 相手の気持ちや考えを読めない人間 自分の行動が引き起こすであろう諸事を考えられない人間  自分はそんな人間には同情の気持ちは持てません そんな人間は疎ましいと思ってしまいます、 相手を思いやるのなら相手にその思いやりが伝わらなければ何の意味もありません 相手を思いやる気持ちがある人間なら相手が自分をどのように思っているのかが当然わかるはずで、相手の言動によって感情の揺れが引き起こされたにせよ、その感情に支配されるならどこまで支配されていいのか、その結果どの程度の不利益が自身に降りかかるのかそこまでの最低限の計算が瞬時にできてしかるべきです 思いやる人間がいるのならその思いやる人間への影響までもある程度は考えて自身の行動に責任を持たなければなりません  作者は不器用だけど生真面目で思いやりのある人間がおこしてしまった殺人事件を通して物事には表面には出てこない、上っ面では計り知れない深いものがあるんだとそんなことをいいたかったのでしょうか  祐一はきっと優しくて思いやりのある人間なのでしょう でも、美保の気持ちを確認することもできない 佳乃に疎まれていることも感じとれない 光代に本当の気持ちを伝えたうえで演技させることもできない そんな人間はただの愚か者なだけです  あの人は悪人だったんですよね? そんな言葉を問いかける光代も所詮その程度の女だと思うし祐一はその程度の女にまたも自分勝手な思いやりをかけただけの愚かな男だということです  人間関係に不器用であることは現代社会においては弊害である 僕はそう思っています  作者が感じて欲しいことはわかっているつもりですが、純粋な良心は小さな悪意にさえ勝てないのが現実です 悲しい現実だとは思いますが・・・・
悪人(上) (朝日文庫)Amazon書評・レビュー:悪人(上) (朝日文庫)より
4022645237
No.149:
(2pt)

なぜ高評価?

一章で登場人物たちのマイナスな部分が巧みに描かれ、期待をさせてくれる。これからこの「いやな感じ」がどのように覆されるのか、楽しみにして読み進ましたが……。まったく期待外れでした。一章での祐一の性的ないやらしさ。ラブホで女の子の写メを撮るとか、ラブホテルへいくことばっか考えてるとか、ガソリンスタンドの女の子の胸を考え勃起するとか、まるでザコキャラのような人物描写。被害者の佳乃の安っぽいウソや虚栄心。とかになんらかの過去や、理由を勝手に求めて読んだ私も悪いのでしょうが、結局何の説明もフォローも最後までない。初めから終わりまで、影を背負ってはいるけどとりあえず、女と会えばセックスしたがるただのスケベと、家族だけには愛されてるけど、男や友だちに対してあまりにも軽薄でいやな女のまま。これじゃ、後半を背負う遺族の悲しみが半減されても仕方ないです。また、ヒロインが、どうして主人公と逃亡するほど熱く彼を愛したのかも、まあ2度ほど出てきますが、「それが理由〜?」って、共感できない。読んでいて、「あ〜、あの作家ならここは納得させてくれるよね、きちんとおとしてくるよね」と何度も思いました。登場人物にさして感情移入できなかったせいか、ラストの純愛モードも、なんだかなあ、でした。
悪人Amazon書評・レビュー:悪人より
402250272X
No.148:
(4pt)

一気読みの快感!

非常に読みやすい本です。舞台は九州の小都市。登場人物はいずれもやや「負け組」的な人物ばかりで特別な予備知識不要でサクサクと読めました。物語は「悪人」である犯人に感情移入していく方向で進みます。不器用な男です。男前で金髪の若者ですが、幼い頃に母親に捨てられ、仲間ともあまり派手には遊ばない地味な男。そんな彼にも普通の恋愛欲やプライドがあり、埋められない心のすき間に何かをねじ込むべく、出会い系サイトに手を出し、フトした拍子に起こしてしまった事件。法を冒した者が必ずしも「悪人」ではないという物語。私はこの吉田修一氏の作品を他には未読なのですが、非常に現代人の心の機微を描くのが上手な作家と思われます。文庫上下巻ですが、まよわず下巻も購入して良い快作です!
悪人(上) (朝日文庫)Amazon書評・レビュー:悪人(上) (朝日文庫)より
4022645237

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