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悪人



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【この小説が収録されている参考書籍】
悪人
悪人(上) (朝日文庫)
悪人(下) (朝日文庫)

悪人の評価: 4.01/5点 レビュー 407件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.01pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全407件 261~280 14/21ページ
No.147:
(5pt)

馬鹿にされてたまるもんか

圧倒的な筆力で描き出される弱者たち。それは、いわゆる世間一般でいわれるような不幸からうまれた弱者ばかりではない。皆自分なりの幸福を追い求めているつもりで、いつのまにか断絶させられ、搾取され、虐げられている。事件を通して、すべての登場人物の不幸や孤独、存在の不確かさがあぶり出しになる。「大切な人がおらん人間が多すぎるよ」(被害者の父親のせりふ)「でもさ、どっちも被害者にはなれんたい」(主人公のせりふ)そう、誰かを悪人にしたてあげて、いつまでも被害者でいるわけにはいかない。馬鹿にされてたまるもんか、と再生する、主人公の祖母と、被害者の両親、光代たちに、限りない力強さを感じる、さわやかな読後感。ストーリーテリングも含めて星5つです。
悪人Amazon書評・レビュー:悪人より
402250272X
No.146:
(5pt)

悲恋

どうしても、祐一、光代の味方で何度も読んでしまいました。終盤、祐一が光代の足を揉んであげたりしながら、不謹慎と思いつつも、愛する人といる自然な楽しみを生まれて初めてかのように、かつ唯一過ごしているシーンがだいすきです。その分、そのあとの展開が切なくて苦しくてどうしようもないです。被害者は誰なんだろ。
悪人(下) (朝日文庫)Amazon書評・レビュー:悪人(下) (朝日文庫)より
4022645245
No.145:
(5pt)

切なくて苦しい。

パレードから続けて読みました。もう本当に寝る間も惜しんで読みました。悪人とは誰か?ってところがレビューでも多く取り上げられていますが、正直私も答えが出ません。誰から見ても明らかな悪人はこの話には居ない気がします。すごく不思議ですが、登場する人すべてが生き生きと描かれていて、まるで本当に実在するんじゃないかと思ってしまいます。要所に出てくる第三者の語りもすべてが繋がりをもっていて、構成の深さに圧巻でした。映画も公開予定なので観に行ってみようかなと思ってます。
悪人Amazon書評・レビュー:悪人より
402250272X
No.144:
(1pt)

このような本がなぜ評価されるのか???

現代社会での家族や性を浮き彫りにさせながら殺人事件、そしてラブストーリーへと展開する内容だが、その中で投影され続ける社会問題に全体性がなく、まるでマスメディアの情報のように断片的。結果として情報番組並みの稚拙な展開となっている。登場人物も、現実における人間性の本質が深く考慮されていない薄っぺらな人物設定。この極端にデフォルメされた、あり得ない人間性の登場人物たちの間で突然何の脈略もなく始まる逃避行的ラブストーリー、そして湧き起こる家族の情感にも何ら共感できない。手法に明らかな映像化狙いも見受けられ、結果として内容の質をさらに押し下げている。このような本が、評価されることに大きな問題を感じたし、メディアや出版社が作り上げる評価や賞といったものがいかに当てにならず、その信憑性がいかに崩壊しているかを痛切に感じた。
悪人Amazon書評・レビュー:悪人より
402250272X
No.143:
(2pt)

微妙です

全体を通して言えば第一章が一番面白く、物語が進むだけつまらなくなっていく感じだった。出会い系サイトで女漁りを続ける頭カラッポの男と、さえない女が出会い、純愛を育むなんてアホらしい展開にはシラける。登場人物がみんな頭悪いので読んでてイライラした。悪人というタイトルだが何が悪人なのか?この小説に悪人は出てこない。悪人を描けていない。悪人というタイトルは相応しくないと感じた。主要キャラは悪人というより単に頭が悪いだけだ。
悪人Amazon書評・レビュー:悪人より
402250272X
No.142:
(5pt)

夢にまで出てくる衝撃作!!

悪口ではありません、褒め言葉です。文章から、まるで光が感じられませんでした。本の向こうに広がる世界は鬱蒼としていて暗く重い。ストーリーの先が気になって仕方がないのだけれどもなかなか読むスピードが上がらない。ページをめくる度に胃の底にシクシクとした鈍痛が走り、気持ちも滅入ってくる。帰宅途中の車内で読了後、ふと顔を上げたとき、男性と眼があいました。きっと、私の全身から、なんとも言い難いオーラが漂っていたのでしょう。怪訝そうな表情を浮かべ、フッと私から視線をそらし場所を移動されてしまいました。また今作には、予想以上のインパクトを脳が受けていたらしく、その日の夢の中にまで作品が登場してきました。果たして、その夢で見た続きは正夢になるのか。これより早速下巻を読み始めてみます。
悪人(上) (朝日文庫)Amazon書評・レビュー:悪人(上) (朝日文庫)より
4022645237
No.141:
(5pt)

二度と読まないけど、傑作だった

人間て誰しも悪人の部分をこころに抱いているのかもなと考えさせられた。ほんの些細な偶然の重なりによって人生が変わる様を見事に描いている。法で裁かれる立場の人間だけが悪人では決してない。祐一と光代がもう少し前に出会っていれば二人は幸せになれたのだろうか?僕はなれなかったと思う。
悪人Amazon書評・レビュー:悪人より
402250272X
No.140:
(3pt)

「地方」という「つまらない場所」

この小説の舞台は著者の出身県も含む九州北部の三県だが、小説のページが進むにつれ都市ではなくそこであったということが物語上の意味を帯びていく。現実に地方格差は、高齢化や過疎化、経済不況の文脈で盛んにとりざたされているが、この小説で描かれるのはそういった地方の「閉塞」と、その中に取り残された人々の「孤独」だ。 これまでも「地方」は「おもしろくない場所」として描かれてきた。「おもしろくない場所」だからこそ「女」は、どうでもいいウソを、それもちゃんと驚いてくれる同僚にだけ話し、その反応をもって悦に浸る。その他にも、この小説に出てくる人間はみな、事件のこと他のことに関わらず、言葉の節々で自分に都合のいいような合理化を加えていく。 小説が描くのは、そんな「地方」に閉じ込められた人間たちが、自己の実存を辛うじて保つためにちびちび他者からせしめようとする「承認」である。くだらないと思う。どうしようもなく、中身がないとも思う。でもそれしかすることはないから、それが「地方」なのだ。多角的な視点で物語るこの作品では、それによって事態が複雑になっていくというよりも、むしろ人間の「醜悪さ」が鮮明になっていく。 だがそれは「地方」に限った問題なのか、疑問は残る。承認への飢餓感は、ネットを開けばすぐに見つかる。他者への理不尽な敵意から、無意味な自己顕示、それらはみんな自己への承認欲求が形を変えたものに過ぎない。おそらく誰しもが自己への承認を担ってくれる他者がいないからゆえに、ネットの向こうをのぞくのだから。にも関わらず、そこを選んだのは、作家のねじれた郷土愛の証か。
悪人(上) (朝日文庫)Amazon書評・レビュー:悪人(上) (朝日文庫)より
4022645237
No.139:
(5pt)

近年にない大傑作

吉田修一の「悪人」です。本作は凄いです。近年稀に見る大傑作です。本書を読まずして何を読むのですか、あなたたちは、と声を大にして言いたい。それほどの名著です。何故本書は傑作なのか。それは人間を描ききっているからです。人間というより、現代の日本人と言ったら良いのか。本書に描かれている登場人物は、全ての日本人になんらか似ている。つまり、本書の中に読者は自分を見出すのである。それはつらい経験です。なぜなら登場人物はみんな「悪」の側面を見せるからである。その「悪」は誰しもが経験のある「悪」なのである。それはつまり自分の中の「悪」を見つめることである。自分を見つめる行為は結構つらい。でも目を背けてはいけない。自分の「悪」と正面きって対峙しなければならない。そうすることで、自分を再度見つめなおせる。ポンコツの宗教書なんか読むより、ずっと救われる読書経験になるはずです。自分を知ることは、自分の「悪」を知ることであるからです。その悪を認識するだけで、きっと救われるはずです。本書のタイトル「悪人」は、作中の登場人物を指していると思っていましたが、きっと読者自身のことを指しているのだと確信を持ちました。
悪人(上) (朝日文庫)Amazon書評・レビュー:悪人(上) (朝日文庫)より
4022645237
No.138:
(5pt)

彼と、彼女たちの孤独に胸が締め付けられる

「悪人」とは誰のことだろうか。 読み終わった後もそれがわからない。 そして、それこそがこの作品で吉田修一が書きたかったことなのだろう。 それぞれの人が、それぞれに生きているこの世界で、今この瞬間も生活している「悪人」、そして「善人」。「人を愛する」ということがそれを作ってしまうのだとしたら、はたして、「人を愛する」という行為は人間の生まれもった美徳なのか、それとも原罪なのだろうか? 吉田修一の作品は、都会を舞台にした「パレード」を読んだのが最初だった。地方都市で暮らす地味な登場人物を扱った近作とは幾分印象が異なるが、現代に生きる人間の孤独、を描いている底流の部分でやはり吉田修一の作品だ、と個人的には感じた。間違いなく秀作だと思います。
悪人Amazon書評・レビュー:悪人より
402250272X
No.137:
(4pt)

本当の悪人が一番優しいのかもしれない。

GW、新幹線に乗るので本が読みたいと思い、手に取った作品。結末は、「こうなるんだろうな」と想像できたのですが、それぞれの心情が絡むと、こんなにも切ない作品だったのかと改めて感じさせられました。特に、年代も似ている光代に共感してしまって…。「あぁ…馬鹿な女だねぇ」と思いつつも、何故か憎めない。祐一に関しても、光代の為についた嘘だと信じたいのは、自分が女だからかもしれませんね。光代・祐一以外にも、彼らに関係する人達も登場してきて、その面白さで一気に読んでしまえる作品です。2010年の秋には映画化も予定されているので、その時は、是非観に行きたいですね。(^^*
悪人(上) (朝日文庫)Amazon書評・レビュー:悪人(上) (朝日文庫)より
4022645237
No.136:
(4pt)

殺人という非日常のリアル

上下一気に読んでしまえます。登場人物や風景の描写がすばらしく、あっというまに物語の中に引き込まれてしまいます。登場人物それぞれの抱える思い、それぞれの求めるものが出会っていくなかで、どうしてこうも切なさをつきつけられる結末となるのか。登場人物それぞれに、立場がまったく違う中でもなぜか共通するような弱さと強さ、人への思いのようなものを感じてしまう。そこにとてもリアルを感じます。悪人とは殺人者のことなのか?この物語に「悪人」は登場するのか?そもそも「悪」とは何なのか?映画も楽しみです。
悪人(上) (朝日文庫)Amazon書評・レビュー:悪人(上) (朝日文庫)より
4022645237
No.135:
(5pt)

引き込まれました。

私、九州出身なんですね。それも、舞台となった長崎、佐賀、福岡はすべて所縁があって…そんな単純な理由で購入した文庫本なんですが、読んだら最後、引き込まれてしまいました。購入しても飽きっぽくてなかなか読破できない私が、上下巻とも短期間で読んでしまうほど、面白かったです。陳腐な表現しかできませんが。共感したのは、やはり光代。彼女が感じることは、実は私が心の底に抱いている想いだったりしたし。光代みたいに愛にのめり込みたい!けど、愛って、儚くて脆くて一瞬のことなんですね。そんなことを感じつつ、それでも、恋じゃない愛に触れたいと思いました。登場人物は誰も切ないけれど…。電車の中で泣きながら読んじゃいましたよ。吉田修一という作家、実は初めて知りました。同じ長崎出身、しかも年が1つしか違わないんだぁ。九州弁も本当に自然でした。映画化、されるんですね。妻夫木くんと深津絵里、小説みたいに泣けるかしら。秋が楽しみです。
悪人(上) (朝日文庫)Amazon書評・レビュー:悪人(上) (朝日文庫)より
4022645237
No.134:
(3pt)

『最後の息子』を超えるのは難しい

これだけの長編を一気に読ませる、飽きさせない構成は流石。また、登場人物の人間臭さを嫌味なく浮かび上がらせる描写、文章力は、中だるみもなく最後までとても丁寧で、これがこの小説の最大の美点だと思う。しかし、所々挿入される、登場人物たちの独白などは、(勿論これがあるからこそストーリーが成り立ち、人物描写の補助となるが)少々安易で、その効果よりもわざとらしさが感じられてしまう。全体的には完成度が高いのだから、せっかくならもっと違う方法で固めていってほしかった。同じような手法を使い、作品全体の重さや文体なども似ている角田光代の『八日目の蝉』とつい比較してしまい、その点では『八日目の蝉』の方が押し付け感もなく秀逸と感じてしまう。また、祐一の回想で、フェリー乗り場にいた小さい女の子に竹輪をもらうシーンは蛇足。一気に安っぽくなってしまう。そこまでの運命の皮肉はいらない。方言に関しては、自分は吉田修一と同じ中学校卒で世代も近いのでよくわかるが、火曜サスペンス劇場に出てくるような長崎が舞台のドラマにありがちな違和感が多少ある。これは読者が長崎弁を理解しない人が圧倒的に多いことを想定して加減されているのだろうから、致し方ないとは思うが、同じ方言を使っている作品では、さだまさしの『精霊流し』の方が上手い。こちらは地の文が会話の前後で工夫されているので、かなり忠実な長崎弁で書かれているのにも関わらずわかりやすい。吉田修一作品は、大体読んでいるが、技術・センスでは『最後の息子』を超えることは難しいのかな、と感じる。それが今回の最大の感想。とはいえ、『横道世之介』、『7月24日通り』、『パレード』、『初恋温泉』などそれぞれ全く別の作家が書いたのではないかと思わせるほどの多彩な文体や雰囲気を操り、かつ、それぞれ必ず一定以上のレベルに仕上げてくる作家は、吉田修一以外にいないだろう。『悪人』は、この作家の新たな分野を見せつけた一冊となると思う。
悪人Amazon書評・レビュー:悪人より
402250272X
No.133:
(3pt)

誰もが陥るかもしれない

書店で見かけ、アマゾンレビューが良かったので読んでみました。一気に読み終えられる作品でした。希薄な人間関係と満たされぬ心、それを埋める為に出会い系を利用し、売春を行う者、繋がっているように見えてどこか繋がりきれていない家族の絆、騙す者騙される者…特別善良ではないが悪人と言うわけではない普通の人々の誰もが、僅かなボタンの掛け違いから、被害者にも加害者にも成りうる可能性を示唆しています。この作品の様に偶然(必然か?)起きた事件に際して、悪人とはなんだ?被害者に落ち度は全く無いのだろうか?と考えさせられはしますが、昔から良くある、その時代の話題・流行りの事象を散りばめた作品にしか思えませんでした。
悪人(下) (朝日文庫)Amazon書評・レビュー:悪人(下) (朝日文庫)より
4022645245
No.132:
(5pt)

「悪人とは誰か?」ではなく、「悪人とは何か?」を問いかける傑作

保険外交員の女が殺害された。捜査線上に浮かぶ男。彼と出会ったもう一人の女。加害者と被害者、それぞれの家族たち。なぜ、事件は起きたのか?なぜ、二人は逃げ続けるのか?そして、悪人とはいったい誰なのか?2007年刊。その内容とサスペンス仕立てのストーリーが大きな話題をさらって、吉田修一の新境地を開拓したと言われる一冊。著者本人も「代表作」と自認している小説。あらすじの重要部分は上に引用した公式の紹介文が的を得ている。☆×4.5。これだけでは分かりにくいので少し補足すると、主人公の清水祐一は寡黙な青年で、土木作業員を職業としている。車を唯一の趣味としているが、まわりからも少し何を考えているのか分からないとされている人物像で描かれている。被害者になる女性・佳乃は短大を卒業し、OLをしながら出会い系で男を適当につかまえ、そのなかで祐一と出会う。彼女は意中の人がいて、その大学生・増尾は何から何まで自由になっているように思える人物。その三者が絡み合い、ある日、事件が起き、ストーリーが転がりだす。この小説は確かにサスペンス仕立てのストーリーが魅力ではあるが、自分は推理モノに興味が無いため、そこで面白さを感じることはなかった。(また、この小説の本筋でも無い) やはり、この小説で際立っている魅力はひとつの事件を対象に、登場人物たち、そしてその家族・友人たちの様々な視点が交錯していて、物語を多重的・多層的にさせている部分に間違いないと思います。具体的には殺された佳乃の親の気持ち、佳乃を見てきていた友人たちの複雑な感情、容疑者にあげられる祐一を親代わりで育てた祖母の思い、祐一と交流があった元・風俗嬢の過去の話、祐一を捨てた母の言葉、増尾の親友が見る増尾の姿、そして何より、一緒に逃亡することになる光代の愛情と激情。それぞれの人物の事情・それぞれの人物が見た主要人物が角度を変えて語られることで、一人の人物には良い部分も悪い部分もつかみきれない部分もあり、それがストーリー(「悪人とは誰か?」)と絡みあうことで、得もしれぬ説得力を持たせています。これは構成の妙。基本的な文体は三人称で客観的に書かれていますが、要所要所でそれぞれの人物の一人称に大胆に視点を預け、ストーリーを深堀りさせていくのです。特に後半部分に絶え間なく語り部を変えながら差し込まれる第三者の独白(供述内容)は、このストーリーをどんどん加速させていき、本当にスリリングな内容になっていきます。この小説では「悪人(悪いの)は誰か?」ということを、作者が固定したひとつの視点で見せるのではなく、視点を揺さぶることで読者を混乱させます。それが非常に心地よい。ただ、この小説の魅力は構成だけではなく登場人物にあり、彼ら(彼女ら)が翻弄されながらも懸命に生きて行こうとする姿に惹きこまれずにはいられません。特に祐一と光代の逃亡劇、祐一の祖母の孤独な戦い、佳乃の父の復讐劇、すべてが愛しく、切ない。ラストシーンの光代の独白(載せたくてしょうがないのですが、自重します)は胸に来るものがあるのですが、個人的に良いと思ったのはその前の祐一のもうひとつ手前の風俗嬢の美保の独白。これがあることにより、当人たちの視点からの独白では誤解が生じる祐一の性質(人間性)がエクスキューズされていた。ここに吉田修一の愛情を感じたのは自分だけだろうか?この小説は文庫本で上・下とあり、ボリュームが多い。それでも推したい作品です。本作の読後感は「悪人とは誰か?」というただの推理小説レベルではなく、「悪人とは何か?」を問い直してくる骨太のもので、これは小説の力、吉田修一の才能のひとつの到達点を感じさせます。※蛇足1:この小説は非常に完成度が高く好きなのですが、どうしても作品の性質上、重松清の疾走 上 (角川文庫)と比較してしまう部分があり、☆5つの評価には至りませんでした。この小説の読後感に心を動かされた人は、ぜひ「疾走」を読んでみてください。※蛇足2:本作品は映画化されることが決定していています。公式ページも充実していますので、興味を持った人はぜひ。(キャストを知ると想像しながら読んでしまうかもしれないので、読み終えるまでは知らない方が良いかもしれません)
悪人Amazon書評・レビュー:悪人より
402250272X
No.131:
(3pt)

読まされるは読まされる

はじめは、とっつきにくい感じでした。場面も人物の主観もころころ変わるし、いちいちその人のバックボーンから始めるので、またか・・・と思って少しきつかったです。それでも前半は、「事件の真相」、後半は、「展開はどうなるのか?」で読まされました。ただ、事件の情報を小出しにして、ミステリーにしたわりに、結局事件は予想を超えるものではなかった。というよりも、予想より、はるか下だった。もっとなにかありそうという、期待をさせすぎ。車から突き飛ばした・・・って・・・それじゃ足りない。心理的にも。後半も読めてしまった。主人公の行動も美化しすぎた。でも、とにかく何日かで読ませる力はあるし、最後の着地点は個人的には好きでした。単なる愛で終わったら、嫌でした。懐疑で終わったのは、良かったです。最後に残念だったのは、それぞれの人間像が浅かった印象が強いことでした。特に佳乃と増尾。典型的すぎる。
悪人Amazon書評・レビュー:悪人より
402250272X
No.130:
(3pt)

モザイク

テンポよく進む展開に回想、登場人物それぞれのインタビュー形式の語りを織り交ぜグイグイと最後まで一気に読ませる。こういう小説はそんなにない。でも、終盤が弱い。パレードもそうだったけど詰めが甘い。え?って思わせたい作者の狙いは分かるけどここまで読んできた読者に作者の狙いの先は伝わらない。最後の最後でいきなりモザイクをかけるような終わりかたではっきり言って納得いかない。なんか中途半端な読後感だけが残る。途中までは間違いなく楽しめる。それだけにとても残念な印象が残る。
悪人(下) (朝日文庫)Amazon書評・レビュー:悪人(下) (朝日文庫)より
4022645245
No.129:
(2pt)

気分下降

前回、パークライフを読み、あまりよくわからなかったが、今回は評価がいいので読んでみた。物語としては、現代的なストーリーでサクサク読めたが、主人公がいまいちよくわからない、最後むなしい感じで気分が下降しました。
悪人Amazon書評・レビュー:悪人より
402250272X
No.128:
(5pt)

人とは哀し、寂し

昔の歌の文句で[生きてることはただそれだけで、悲しい事だと知りました]ちなみにかぐや姫の赤ちょうちんなんだけど、それが頭の中で何度も流れてくるような感じだった。人とは愚かで哀しく、寂しい生き物なんだ、と改めて痛感する作品でした。
悪人Amazon書評・レビュー:悪人より
402250272X

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